著者
西野 哲朗
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.251-258, 1994-03-15
参考文献数
10
被引用文献数
2

属性文法は1968年にKnuthによって考案された重要な記算モデルです。今回から6回に分けて属性文法の基礎理論からさまざまな応用に関する連載を始めます。これは、初めての日本語による本格的な教科書です。
著者
高木 啓吾 加藤 信秀 笹本 修一 秦 美暢 田巻 一義 木村 一博 梁 英富 外山 勝弘
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.138-144, 2004
参考文献数
7
被引用文献数
4

背景.気管病変に対するステント療法は,多くの気道疾患患者のQOL向上に寄与したと言えるが,その適応,手技,合併症,成績に関する問題が未だ山積している.本稿では気管および気管分岐部のシリコンステント療法の有用性と問題点に論点を絞り,我々の経験例を中心に分析したので報告する.対象.1992年4月から2003年4月に経験した気管および気管分岐部の狭窄病変32例で,部位は気管14例,気管分岐部18例,疾患別では,肺癌16例,食道癌11例,悪性リンパ腫2例,気管切開後狭窄2例,甲状腺腫1例であった.ステント種別では,Dumon直型14例,Dumon-Y型13例,Dynamic型5例であった.結果.肺癌による狭窄のうち,気管病変は縦隔のbulky転移リンパ節によるものですでに予後不良であり,留置後の多くが1ヶ月以内に死亡したが,気管分岐部病変では,3ヶ月以上の生存例が10例中7例(70%)あり生存が見込まれた.一方,食道癌では,気管病変にせよ気管分岐部病変にせよ,ステント療法に加えて化学放射線治療が奏効するので,3ヶ月以上の生存例は予後が判明している10例中6例(60%)にあった.ステント留置後の腫瘍の再増生や瘻孔発生の可能性を考えると,本病変ではワイアーステントよりもシリコンステントの有用性が高いと考えられた.ステント留置に際して気管分岐部病変では,狭窄程度のみならず気道軸の偏位を重視しなくてはならず,高度偏位例では術中に出血に基づく換気障害による一時的な低酸素血症に留意しなくてはならなかった.留置後療喀出障害はステント全長が90mm以上の例で高率にあり,またステント内面の細菌増生は,留置後4ヶ月以上経過した12例で検討すると,全例でbiofilmの形成を認め,留置後の定期的な経過観察が必要と思われた.結論.シリコンステント療法は,その侵襲度は大きいが確実な気道確保のもとで行う安全な療法である.これを実践するには万全の体制でよき指導者のもとで臨まなくてはならない.呼吸器科医は今後硬性気管支鏡の苦手意識を取り去り,軟性気管支鏡のみならず硬性気管支鏡も熟知して,確実な気道確保のもとで多くの治療法を選択できるようになることが望まれる.
著者
河中 正彦
出版者
山口大学
雑誌
山口大学独仏文学 (ISSN:03876918)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.v-vi, 2007

河中正彦教授追悼号
著者
秦 多恵子 川畑 篤史 伊藤 栄次 喜多 富太郎
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.651-658, 1989-12-01
被引用文献数
1

自律神経失調症の1モデル動物であるSARTストレスマウスでは, 血小板数減少, 骨髄巨核球数増加および出血時間の延長が既に報告されている。今回はこれらの現象について, SARTストレスとは異なったタイプのストレスを負荷した動物との比較の観点から, さらに詳細な検討を行った。1)ラットにおいても, マウスの場合と同様, SARTストレスによる血小板数減少は認められた。2)2日間の寒冷ストレス負荷によって血小板数の増加がみられたが, 1時間負荷および5日間の負荷では無変化であった。急性の拘束水浸ストレスマウスでは血小板数減少が認められた。電気ショックおよび拘束ストレスを急性的に負荷すると血小板数の増加が認められたが, 慢性的に負荷すると急性時の変化は消失していた。3)骨髄巨核数はSARTストレス以外のストレスによっては変化しなかった。4)拘束水浸ストレスによる血小板数の減少はストレス負荷中止3時間後には完全に回復していたが, SARTストレスによるそれは中止後5日経過してもなお認められた。5)SARTストレスにより出血時間は2倍以上に延長したが, 拘束水浸ストレスによっては約35%の延長が認められたのみであった。6-Hydroxydopamineにより体表面血流量の増加を来したマウスでは, 約50%の出血時間延長が認められた。以上の成績より, 自律神経失調症を伴ったSARTストレス動物における血小板数減少は, このストレスの1つの特徴であると考えられる。また, SARTストレスによる出血時間の延長には血小板数減少のほか, 血流量の増加も関与している可能性が示唆される。
著者
千葉 英利 稲沢 良夫 宮下 裕章 小西 善彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.431, pp.21-25, 2008-01-16

最適化アルゴリズムを用いたレドーム設計に関して報告する.一般的にレドームはその形状やレドームへの入射波の入射角が任意であることを想定して設計する必要があり,その最適設計は非常に困難な問題となる.そのため最適化アルゴリズムを用いた設計が有効である.本稿では,近年注目を集めているParticle Swarm Optimization(PSO)と呼ばれる手法を用い,透過係数の周波数特性を評価関数,レドームの層厚み,レドーム形状を規定するパラメータを最適化変数として最適設計を実施する.また,PSOにおける解探索の大域性を向上させるため,本稿ではPSOにGAにおける突然変異の概念を取り入れた手法を導入し,それをMutated PSO(MPSO)と称する.MPSO,PSO,GAを扱い,それらの比較検証及びレドームの設計結果について報告する.比較の結果,MPSOは反復終盤でも最適解の更新を続け,結果的にMPSOはPSOよりも安定的に良好な最適解に到達することを確認した.また,最適化により得られたレドームの電気特性は,評価した全周波数帯域で透過特性-2dB以上を実現した.
著者
秋山 孝正 小川 圭一 奥嶋 政嗣 土田 貴義
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.421-430, 2002-08-15

都市高速道路の適切な交通管理をおこなうためには,各オンランプからの流入交通量の予測をおこない,それにもとづく本線上の交通状況の予測をおこなう必要がある.しかしながら,流入交通量は不規則な変動を示すため,従来法である指数平滑法による予測は困難であった.そこで本研究では,不規則な変動に対応できる予測方法として,カオス理論,ニューラルネットワークを用いた流入交通量の時系列予測方法を提案する.さらに,流入交通量予測値を用いて渋滞シミュレーションによる交通状況の予測をおこない,交通管理への適用性について検討をおこなう.この結果,従来法に比較して予測精度が向上することがわかった.とくに,短期的な流入交通量の変動の予測においては,局所ファジィ再構成法を用いたカオス理論による予測が有効であることがわかった.
著者
渥美 龍男
出版者
岐阜医療科学大学
雑誌
岐阜医療科学大学紀要 (ISSN:18819168)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.167-179, 2007

平成17年3月の名鉄美濃町線(関-岐阜間)の廃止後,地域社会に様々な影響が生じ,特に関市周辺では運転再開を望む声が高まっている。本稿ではこの軌道線が廃止に至った社会的背景の整理,統計データの分析,学生に対するアンケート調査の解析を行った。その結果,法改正により鉄軌道の撤退が届け出制になり,また,会社内での内部補助が難しくなった等の社会背景の元で,同規模の鉄軌道の中で輸送密度が大きいにもかかわらず,大手私鉄の運営が故に営業経費が高くかつ運賃が低い為に大きな赤字になり,そのままでは事業存続困難になり廃止に至った事が分かった。また,廃止により本学の看護学科の学生に関して,発表値と同様に通学利用者の半数強がバスに移行したが,経済的負担が増え,本学看護学科だけでも時間的な損失を含め概算で年間約240万円の損失が生じた事が分かった。さらに,5割強の学生が美濃町線の再開を望んでいることが明らかになった。
著者
山田 和弘 星野 貴彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.478, pp.81-86, 2007-01-17
参考文献数
7
被引用文献数
1

東海道新幹線においては,2009年よりお客様に対して,地上〜車上間の通信路に漏洩同軸ケーブル(LCX)を利用し,最大で約2Mbps/例車の通信速度で,新幹線車内でインターネット接続サービスを提供する予定である.また,将来的には通信速度を向上させる要求が高まると考えられるため,数十Mbpsのダウンリンク回線が構築可能な衛星通信方式や,100Mbps以上で双方向通信が可能なミリ波通信方式などの検討を進めている.しかしながら,衛星通信ではトンネル内に不感知帯が生じる,ミリ波通信では1アンテナのカバーエリアが高々100m程度であるなど,新幹線のような高速移動体通信においては,数十Mbps程度以上の広帯域通信を,ある1つの無線通信方式を利用して構築することは技術的にもコストの面からも容易ではない.このため,将来的にはLCX通信,衛星通信,ミリ波通信など複数の通信方式を利用して地上〜車上間の通信を行うことが考えられるが,それぞれを別システムとして扱うと,お客様が利用する通信方式を選定する必要が発生し,また選定された通信方式が切断された場合などにはシームレスに他の通信方式に切り替えることができないなど,複数の通信方式を構築するメリットが非常に小さくなってしまう.そこでこの問題を解決するため,本論文では,モバイルIP技術を活用した複数通信経路上での動的ルーティング,各方式間での不等価負荷分散を実現するシステムの構築,および東海道新幹線を利用した検証試験について報告する.
著者
他谷 周一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MPS, 数理モデル化と問題解決研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.86, pp.87-90, 2007-09-03
参考文献数
5

東海道新幹線の地震防災システムでは,遠方で発生する大地震の早期検知を目的とした「早期地震警報システム」と,沿線での実際の揺れを把握することを目的とした「沿線地震計」とで構成される.本稿では,東海道新幹線地震防災システムの概要を紹介する.
著者
野口 泰生 萩原 つね子 赤星 直輝 武 理一郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.255-256, 1992-09-28

Batcherにより開発されたバイトニックソートは最も高速な並列ソート法の一つである。バイトニックソートは本来はソートネットワークのためのアルゴリズムである。しかし実際には一般の並列計算機を用いて複数の比較器を少数のPEにマッピングし、比較器間の結合をPE間の通信でシュミレートすることで実現されている。特に超立方体結合の並列計算機では比較器間の結合を効率よくシュミレートできるのでバイトニックソートはよく用いられる。バイトニックソートを超立方体結合の並列計算機に移植する場合、従来のマッピングでは1つのPEに1つのソートエレメントを置く(1PE-1エレメントマッピング)。このマッピングではPE間通信を超立方体結合上で閉塞なしに処理できる。またどの通信も超立方体結合上の隣接間のみに限定できる。しかし1つの比較を2つのPEで重複して行なう無駄が生じる。これに対して筆者等は1つのPEに2つのソートエレメントを置く新マッピングを考案した(1PE-1比較マッピング)。新マッピングでは比較の重複がない。また1PE-1エレメントマッピングと同様にPE間通信を超立方体結合上で閉塞なしに処理し、どの通信も超立方体結合上の隣接間のみに限定できる。本報告では、バイトニックソート、1PE-1エレメントマッピングについて簡単にレビューした後、1PE-1比較マッピングを紹介し、その性能評価を行なう。
著者
淺井 康行
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.134, no.6, pp.320-324, 2009 (Released:2009-12-14)
参考文献数
5

創薬研究においてcell–based assayと呼ばれる細胞機能性試験は,簡便・迅速なアッセイ方法として頻用されている.これまでの細胞機能性試験で使われる細胞は,旺盛な増殖能を有するCHO細胞やHeLa細胞といったがん化した動物由来あるいはヒト由来の細胞株に目的とするターゲット分子の遺伝子を導入したものであった.しかし,このような細胞を用いたアッセイ系の一部はヒトへの外挿性はあまり高くはないことが経験的にわかってきた.一方,外挿性の低さを克服するためのフェノタイプ(形質)利用アッセイで主として用いられる初代培養細胞は,実験に用いるまでの工程が煩雑である上に,得られた細胞が脆弱であったり,ロット間のバラツキが大きかったりHTSに必要な細胞量を確保することが難しい細胞が多いことが欠点であった.このような状況から,これまで使用されている細胞株のように大規模な実験に使用できるほどの細胞量を容易に確保することができ,かつ,初代培養細胞のようにnativeに近い細胞として幹細胞由来細胞が期待され実用化され始めている.ES/iPS細胞由来心筋細胞を用いたQT延長アッセイ系(QTempo:QT prolongation Examination with Myocardia derived from Pluripotent cell)は,化合物を創薬早期に検索し創薬後期以降での“ドロップアウト”を少なくすることを主眼に置いて研究開発されてきた.QT延長関連試験は用いる細胞材料や検出法によりいくつかの方法があるが,本法はAPD(action potential duration)検出手法とヒトへの創薬に適していると考えられているサルES細胞やヒトiPS細胞を組み合わせたものである.われわれが構築したアッセイ系において化合物を評価することでよりヒトへの外挿性の高い心毒性の予測が可能となる.
著者
高野 雅典 加藤 正浩 有田 隆也
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.221-233, 2005 (Released:2009-10-16)
参考文献数
26
被引用文献数
2

An individual having a Theory of Mind (ToM) can read the minds of others. If we assume further that the individual considers each of them also to have a ToM, then there should be recursive structure here. We believe that emergence and evolution of this structure are deeply linked to the evolution of intelligence. We construct two computational models: an abstract model describing fitness landscapes interacting with each other and a concrete model describing physically-situated agents moving around avoiding collisions. We conduct evolutionary simulations using the concrete model in order to investigate the dynamics inherent in the mechanism of recursion. Several unexpected properties of recursion were found, including a significant difference in fitness between odd levels and even levels of recursion. This is due to the asymmetry between level 0 and 1 (without and with ToM). We also discuss an evolution scenario in which human beings have evolved the ToM.