著者
谷川 清隆
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
総研大ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.5, pp.44-45, 2004-03-25
被引用文献数
1
著者
武子 愛 児島 亜紀子
出版者
日本女性学研究会
雑誌
女性学年報 (ISSN:03895203)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.61-79, 2023-12-16 (Released:2023-12-16)
参考文献数
24

軽度の知的障害がある女性たちの性産業従事に関するこれまでの言説の多くは、彼女たちを性搾取の被害者として捉えるものであった。本研究ではその捉え直しを行うべく、性産業従事経験と婦人保護施設の入所経験があり、かつ軽度の知的障害のある女性たち2名に聞き取り調査を行った。分析枠組みとして反抑圧アプローチ(AOP)における抑圧と抵抗の概念を用いた。結果、彼女たちにとって性産業従事は、周辺化・無力化されにくい場所であり、抑圧に対して抵抗することができる、主体的な行動を発揮しやすい場所であることが明らかになった。

33 0 0 0 OA 人工地震の役割

著者
早川 正巳
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.27-47, 1972-02-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7

人工地震・地震探査あるいは地震探鉱という言葉はすでに我々には耳なれたものであるが, 案外, その利用や現状については知られていないこともある。編集委員会からの要望に応えて, ここに筆をとつた。利用などかなり広範囲なので不充分な点があると思う。おゆるしいただきたい。上にしるした三つの言葉の意味は, 大体同じようなものであるが, はじめの方ほど広い意味ぐらいにとつてもらえばよかろう。本文でははじめの人工地震を用いることにする。人工地震はどのようにして発展してきたのであろうか, 最初は石油, 石炭などの地下資源をしらべることから始まつたのであるが, 次第にその応用も広まり, 更には地殻の構造解明にまで発展してきた。そのためには陸地のみならず, 海洋においての人工地震の技術が大いにあずかつて力となつたのである。ここではまず, 前半ではこれらの人工地震の歴史をひもとき, またその歴史と関連して, その技術の進歩が如何にその時々の関連学問, 技術の発展や社会情勢の影響をうけたかをふり返つてみる!後半では人工地震でしらべられる構造をその規模の大小に応じて, 小さな方から順次大きな方に実例を用いて説明してゆくことにする。
著者
原 寛美
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.516-526, 2012-07-20 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
3 6

脳卒中後に生じる可塑性の知見に基づき,脳卒中リハビリテーションは進められる必要性がある.Critical time windowと呼ばれる発症後2〜3週以内に,効果的なリハビリテーションの介入をすることが可塑性を最大限に引き出すことになる.急性期からの運動機能回復のステージ理論が提唱されている.急性期は残存するcorticospinal excitabilityに依拠する回復であり,3ヵ月で終了する.その後3ヵ月をピークに生じているメカニズムは皮質間抑制が解除されるintracortical excitabilityであり6ヵ月まで続く.その後6ヵ月以後も続くのはtraining-induced synaptic strengtheningのメカニズムである.それぞれの時期に効果的なリハビリテーションプログラムを選択する必要性がある.治療的電気刺激,ミラーテラピー,課題志向的訓練などがプログラムの選択肢となる.経頭蓋磁気刺激と集中OT(Neuro-15)は,従来は困難であった慢性期における上肢手指麻痺改善に向けた新たなリハビリテーションの手法である.
著者
杉下 守弘
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.51-67, 2012 (Released:2017-04-12)

大正天皇(1879-1926)は大正三年、陛下三十五歳の頃に緩徐性進行性疾患に罹かられた。稀に見る珍しい御病気といわれ、いまだ不明のままである。このため、色々な憶測が行われている。本稿はこのような迷妄を打破するため、大正天皇のおそば近くに居られた方々の日記、侍医や宮内庁御用係による拝診書や御容態書、および大正天皇実録などを検討し大正天皇の御症状、御病気、およびその原因を明らかすることを試みた。大正三年(1914)、発話障害(恐らく、失語症、しかし構音障害の可能性もある。)で始まり、その後、前屈姿勢が生じた。大正四年(1915)、階段の昇降に脇からの手助けが必要となった。四年後(大正七年、1918)の11月には発語障害は増悪し、軽度の記憶障害が認められた。五年後(大正八年、1919)には歩行障害が生じた。その後、これらの症状の増悪とともに、大正十年(1921)末には御判断及び御思考なども障害され認知症となられた。大正天皇の御病気は、初発症状が「失語症」なら「原発性進行性失語症」と推定される。「原発性進行性失語症」は言語優位半球(通常は左大脳半球)の前頭葉、側頭葉および頭頂葉のうちの少なくとも1つに脳萎縮がおこり、はじめに顕著な失語症を生ずる。その後、脳萎縮が広がるにつれ、失語症は徐々に増悪し、さらに記憶、判断、思考なども障害され、認知症となる。「原発性進行性失語」には三つの型があり、大正天皇の御症状はそのうちの「非流暢/ 失文法型」の可能性がある。初症時の発語障害が失語症ではなく、構音障害の場合は「大脳基底核症候群」が考えられる。「大脳基底核症候群」は、一側優位の大脳半球皮質と皮質下神経核(特に黒質と淡蒼球)などの萎縮でおこるといわれる症状で、中年期以降に徐徐に始まり、ゆっくり進行する運動及び認知機能障害である。「原発性進行性失語症」あるいは「大脳基底核症候群」などを起こす原因については現在のところ明らかにはされていない。大正天皇は御降誕後一年の間に二回、鉛中毒が原因の可能性がある「脳膜炎様の御疾患」に罹患された。幼少時に脳疾患に罹り、その症状が完全になくなり、しかも長年にわたり症状が無くても、その幼少時の脳疾患が原因で別の神経変性疾患をおこすということはありうることである。したがって、御降誕後に二回罹患された脳膜炎様の御疾患は「原発性進行性失語症」あるいは「大脳基底核症候群」の危険因子(病気を引き起こしやすくする要因)と考えられる。
著者
横田 晋大
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.15-22, 2017 (Released:2018-07-20)
参考文献数
78
被引用文献数
2

In this paper, the evolutionary roots of gender differences in aggressive behavior are presented. Previous studies in the field of social psychology have shown that men are more aggressive than women not only in interpersonal, but also in intergroup relationships. From an evolutionary psychological view, it is predicted that outgroup aggression is triggered by the psychological mechanisms adapted to intergroup conflict specified for males. However, social psychologists demonstrated that ingroup cooperation, but not outgroup aggression, was dominant in intergroup conflict situations in a laboratory experiment. On the other hand, in these days, some evidence in the field of cultural anthropology, ethnography, and bioarcheology have clearly shown that hunter-gatherer and forager males frequently engaged in war. I discuss whether intergroup conflict influences selection pressure on male aggressive behavior as a reproductive strategy to enhance fitness.
著者
大倉 韻
出版者
首都大学東京・都立大学社会学研究会
雑誌
社会学論考
巻号頁・発行日
no.32, pp.109-134, 2011-10

現代日本のアダルトゲーム(ポルノゲーム)はただ性行為を消費するだけではなく、感動的な物語や登場キャラクターへの恋愛感情をも消費対象とするような独特の進化を遂げている。それを消費するオタクたちは概して現実の恋愛や性行為に対する意欲を欠くため、しばしば「虚構に逃避している」と批判されてきた。だが実際には彼らは逃避しているのではなく、恋愛に関して独自の価値観を持っているようであった。そこでアダルトゲーム消費者にインタビューを行ったところ、次のような知見が得られた。(1)中学高校時代を「一般人」として過ごした者は恋愛の実現に意欲的な傾向があり、「オタク」として過ごした者は意欲的ではなかった。(2) 前者は友人や先輩などから恋愛に関する情報を多く得ており、後者にそのような経験はなかった。Berger and Luckmann の「第二次的社会化」の概念を用いれば、人は「意味ある他者」と恋愛に関する情報交換をすることで恋愛の実現を自明とみなす価値観を内面化していくと考えられる(「恋愛への社会化」) 。前者はその主観的必然性が強化されるものの後者は強化されず、よって「多くのオタクは一般人と比較して恋愛の実現にあまり動機づけられていないため、虚構の恋愛描写で十分満足できる」という可能性があることが見出された。
著者
奥村 隆
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.77-93, 1994-06-30 (Released:2010-05-07)
参考文献数
44

「思いやり」と「かげぐち」どちらも, ありふれた現象である。 しかし, どちらも, 私たちが他者とともにあって「社会」を形づくる形式・技法として考察されるべきものではないだろうか。私たちがある技法を採用するのはどうしてか, それを「社会」形成の形式とするときその社会はどのような性格をもつのか。こうした問いの焦点のひとつに, この現象は位置づけられるのだ。このような「社会」形成の形式・技法は, 日常の自明性のなかにいるかぎり対象化できない。本稿では, 次のような方法をとる。まず, ある視点から, 論理的に一貫した理念型 (「原形」と呼ぶ) をつくる。その理念型を基準とすることで, 日常は基準からズレたものとして見えるようになる。そこで, そのズレ・距離 (「転形」と呼ぶ) を測定することで, それを生みだしている力=私たちが日常採用している技法が記述可能なものとなる。本稿は, 「存在証明」という視点を採用する。ここから組み立てられる「原形」は, 他者とともにあって「社会」を形成する困難さを内包したものになるだろう。この「原形」からみるとき, 「思いやり」と「かげぐち」が, その困難さに折り合いをつけながら「社会」を形づくる技法であり, それゆえにふたつが結びつかざるをえないものであること, そして, この技法をもつ「転形」 (すなわち私たちの社会) に「原形」とは別の困難さが存在していること, が浮かび上がってくるのである。
著者
西山 昴志
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.177-178, 2019-02-28

ある画像に対して、その画像内の物体の位置や配置を変更せずに別の画像の画風を反映させることができる。基本的に変換にはそれぞれ変換の基となるコンテンツ画像と画風が抽出されるスタイル画像1枚ずつ用いるため、これらの組み合わせも変換結果に影響を与える1つの要因となる。 画風変換の意図によるが、アニメ画像を別のアニメの画風で変換するとした時に、そのアニメ画像に適したスタイル画像を探すのは非常に手間がかかる上、適切なスタイル画像が存在しない可能性もある。そこで複数のスタイル画像を用いることで対象とするアニメの画風を補完し合い、1枚ずつのペアよりスタイルを反映しやすくする手法について検討を行う。
著者
Ivena CLARESTA Dianti Desita SARI Susi NUROHMI FATHIMAH Amilia Yuni DAMAYANTI
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.66, no.Supplement, pp.S283-S285, 2020 (Released:2021-02-22)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Rasulullah Shallahu’alaihiwassalam said, “if a fly falls in the vessel anyone of you, let him dip all of it (in the vessel) and then throw it away, for in one of its wings has the ailment and the other has the cure” (Al-Bukhari). This hadith creates controversy because in general flies are a vector for the spread of disease from dirty places to food or drinks. Therefore, the research was conducted on right-wing of fly (Musca domestica) as neutralization of drinks contaminated by a microbe. This research used the method of Complete Random Design by 5 treatments and 2 repetitions. The treatment was done by sterilized water (positive control), drinking water added to the bacteria Escherichia coli (negative control), and drinking water contaminated by Escherichia coli bacteria with the addition of 1, 2, and 3 flies right-wings. The research began with taking the right-wing of fly and continued with the dilution of Escherichia coli culture tubes up to 6 times. The bacterial culture inoculation was carried out using Pour Plate method on Eosin Methylene Blue agar which is incubated for 12–48 h at a temperature of 37ºC. Data retrieval is done by observing the calculation of the number of microbes using a colony counter every 12 h. The data which obtained for 48 h incubation show “0” as the result, that cannot be analyzed with SPSS. The result indicates the microbial development does not occur on contaminated drinks by addition with right-wing of Musca domestica.
著者
江間 三恵子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.247-258, 2013-03-30 (Released:2013-04-30)
参考文献数
34
被引用文献数
1 3

In this paper, the beast, chicken and egg types as food during the Edo period were evaluated. Our results are summarized as follows:1) The habit was used to eat salted whale meat in the juice from December in Edo period.2) Deer meat and seal meat were made dry and were salted foods.3) The meats of whales and birds were salted foods, and were kept in one year. And then they were used as special event foods.4) The meat ball and soup were used with rice and vegetables, and used as a side dish.5) Wild boar meat and deer meat were cooked in their juice in a pot in winter time as “Botan Nabe” (boiled boar food) and “Momizi Nabe” (boiled deer meat food) .6) As for eating roasted meat, a person in Edo period ate dog, rabbit, otter, deer, etc. They also ate boiled swan and crane chicken.7) “Senba cooking” (fisherman cooked food) and roast bird were also ate by the general population.8) Eggs were used rice, called rice gruel, the porridge of rice and vegetables etc. It was used for dishes with juices, cooked food and steamed and broiled foods.
著者
板垣 春昭
出版者
The Vacuum Society of Japan
雑誌
真空 (ISSN:05598516)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.574-580, 1995-06-20 (Released:2009-09-29)
参考文献数
7
著者
笹井 理生
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.901-908, 1997-12-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
22

蛋白質の立体構造のイメージは我々に驚きを与える. 自然はどうしてこのような美しい, 精妙な構造を作ったのだろうか? そして, それに劣らず不思議なことは, ランダムな鎖にほどけている蛋白質が条件さえ整えば, 生理活性を持つ構造へ自発的にフォールドする能力を持つことである. 最近, 統計物理学的な視点でこのフォールディング過程の問題が扱われ, エネルギー面の統計的性質がその中心概念であることが明らかにされてきた. この見方は実験にも影響を与え, 新しい実験方法の開拓を促した. フォールディングの物理はこれまでの物理の枠を拡げて, 情報, 形, 進化を問題にする複雑系の科学を産み出そうとしているのかもしれない.