著者
小谷 允志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.276-282, 2005 (Released:2005-08-01)

世界初の記録管理の国際標準ISO15489は2001年9月に制定された。この標準は国際的な記録管理のベストプラクティスとして,官民を問わずすべての組織の記録管理のガイドラインとなるものだが,「説明責任」が基調となっているのが特長である。ISO15489は近々,日本語化されJIS X 0902として発行される。日本での活用の方向としては,筆者が「記録管理のパラダイムシフト」と呼ぶこれからの記録管理,「説明責任のための記録管理」の遂行に役立つことが期待される。
著者
倉岡 寛 藤井 信忠 上田 完次
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.62-69, 2007-01-26
被引用文献数
2

生態系や社会システムなどの現実のシステムにおいて,いかにして協調行動が創発するかということは,大きな関心事である.また,近年,複雑ネットワーク研究によって,多数の構成要素からなるインターネットやタンパク質の化学反応などのネットワークは,スケールフリー性やスモールワールド性の性質を有し,そのような性質がネットワークの機能に深く関わっているということがわかっている.複雑ネットワークにおいていかにして協調行動が創発するのかということは大きな関心事である.その際,ネットワークの構造自体が構成主体の意思決定の結果として進化するということと,ネットワーク上でのダイナミクスは不可分な関係にあると考えられるため,これらは同時に扱う必要があると考えられる.また,実世界では構成主体間で情報は局在性を有しているため,情報の局在性を陽に考慮する必要がある.本研究では,ゲーム理論における空間囚人のジレンマに対し,情報の局在性を導入してモデル化し,エージェントの相互作用の結果創発する協調行動について,計算機実験による検証をおこなった.その結果,情報の局在性が頑健な協調行動を形成する上で有効である,ということが示された.
著者
高田 政明 飯田 幸雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J86-C, no.12, pp.1342-1349, 2003-12-01

FDTD法において表面インピーダンス境界条件を用いた実用的な導体境界処理法を提案している.本方法では,導体の表面インピーダンスを集中定数回路の入力インピーダンスで近似する.その近似は広帯域において高精度であることが示されており,本方法の有効性を数値的に確認している.
著者
前田 恭兵 長岡 千賀 小森 政嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.308, pp.13-18, 2007-11-04

心理カウンセラーによる心理臨床面接場面および高校教諭による悩み相談場面における対面対話中の対話者の身体動作の同調傾向をビデオ解析に基づいて検討した.50分間の心理臨床面接の映像は4事例あり,それぞれカウンセラーの評価により「高評価事例」と「低評価事例」に分類されている.また,悩み相談場面2事例は心理臨床面接場面に登場したクライエントと高校教諭の面接である.すべてのセッションは模擬面接であった.対話者の身体動作の大きさをウェーブレット変換による映像解析によりそれぞれ求め,移動相関分析により両者の身体動作の関係を検証した.その結果,全体的な相関係数は「高評価事例」では「低評価事例」や悩み相談よりも高かった.また「高評価事例」では共通した時間変化パタンが見られた.
著者
金 明蘭 樋口 孝之 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.59-68, 2006-05-31

韓国では1990年から地域の象徴通りとして「文化通り」での整備が進んでいる。本研究では、「文化通り」の街路空間特性の考察、ならびに、完工済みである「文化通り」の現地調査と自治体管理者へのインタビュー調査から舗装面の物理的形態と通りの利用特性について解析を行い、「文化通り」のフットスケープデザインについて総合的な考察を行った。現状では、ローリング工法であるアスファルト舗装と経済的なセメントブロック舗装が大部分を占めており、歩車共存、施工の容易性、経済性が優先されている。美的配慮や地域特性の表現、環境親和へ配慮がなされたフットスケープデザインは少ない。一方で、「文化通り」は地域の要所に設定され人通りも多く、半数の箇所でイベントも開かれていることが確認された。「文化通り」のフットスケープデザインおいては地域のアイデンティティの表現が強く求められ、ブロック舗装をはじめとした多様なパターン展開を容易とする舗装を積極的に活用することが有効である。
著者
小林 航
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2005-10

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2117号 ; 学位の種類:博士(理学) ; 授与年月日:2005/10/27 ; 早大学位記番号:新4106
著者
〆谷 直人
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.350-358, 1995-08-31
被引用文献数
1

血中CRP微量定量の臨床的意義を明らかにするために,non-radioisotopic immunoassayの一種である高感度測定装置を用い,我々が設定した成人年齢別の正常値に基づいて,各種病態における血中CRP低濃度域の変動について調べ,また他の急性相反応蛋白およびIL-6と比較検討した。成人においてCRP低濃度域ならびに異常低値を示す疾患としては,ホルモン産生腫瘍,乳癌・卵巣癌の一部などの女性の腫瘍があり,良性のものではSLEなどの膠原病に認められた。また,治療によりCRPは低下するが,ステロイド治療,ならびにホルモン剤投与症例では著明な低下が認められた。ステロイド1日投与量10mg以下ではCRPはほとんど変わらず,20mg以上で明らかに低下し,40mg以上では著明に低下した。ステロイド投与患者でCRP値が異常低値ないし低濃度域となる場合に,CRP値を1週間から10日間に2回程度経日的に測定し,CRP値の連続3回以上上昇した場合に,その上昇傾向から感染症合併の有無を判断する指標として有用であると考えられた。CRPは他の急性相反応蛋白およびIL-6の変動と比較し,ステロイド治療後CRPは顕著に低下するが,他の急性相反応蛋白は漸減する傾向が認められた。CRPの著減する機序についてはステロイドによる抗炎症効果とそれ以外の機序が考えられた。
著者
青木 直史 伊福部 達
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-09-18

合成音声における自然性の再現を目的として、母音合成時に不規則信号を音源信号に付加する試みがなされてきている。いわゆるmixed excitation音声合成方式として知られる方法は、バズ音源と白色雑音源の併用によってLPCボコーダ等の線形分離音声合成システムによる合成音声の音質の向上を目的としている。ここで提案する音声合成方式も同様に音源信号を周期信号と非周期信号の和で表現する。周期信号には-12dB/octの声帯フィルタを通過したパルス列信号を用いる。非周期信号には1/fゆらぎのクラスに分類される不規則信号を用いる。本方式は音声知覚に重要なacoustic cueを再現することによる合成母音の自然性の向上を目的としている。
著者
青木 直史 伊福部 達
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.96, no.565, pp.25-32, 1997-03-06
被引用文献数
4

持続発声母音の自然性の要因として、ピッチゆらぎ(ジッタ)および振幅ゆらぎ(シマ)が重要な役割を担っていることが知られている。本研究では、これまでの報告で考察されているものよりも長時間のジッタおよびシマの解析から、これらが1/f^βゆらぎ、ここで、β≃1の特徴を示すことを明らかにした。さらに、1/fゆらぎとしてモデリングしたジッタおよびシマが、白色特性のジッタおよびシマよりも、正常な持続発声母音の知覚を喚起させるうえで有効であることを音響心理実験によって明らかにした。

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著者
大内励三 著
出版者
大内励三
巻号頁・発行日
1911
著者
Minoru Izumi Koichi Fukase
出版者
(社)日本化学会
雑誌
Chemistry Letters (ISSN:03667022)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.594-595, 2005 (Released:2005-03-19)
参考文献数
18
被引用文献数
19

New reductive benzylation of hydroxy functions was effected by using the combination of benzaldehyde, TMSCl, and Et3SiH. TMSCl first reacts with alcohols to form HCl, which is probably the ultimate catalyst for this reaction system. TMSCl can also trap water and thus effectively promote dehydration reactions when more than stoichiometric amount of TMSCl is used. Although excess TMSCl was required for the foregoing reactions, TMSCl could be readily removed by simple evaporation.
著者
渡邊 栄治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.544, pp.31-35, 2006-01-17
被引用文献数
4

本報告では, 計算機にログインする際のパスワード入力動作から抽出したキーストロークダイナミクス(keystroke dynamics)に基づいて, 個人認証を行うための手法について検討する.キーストロークダイナミクスによる認証方法では, キーボードのみを入力装置として利用できる長所を持つものの, 行動的な特徴を利用するために, 同一人物であっても試行ごとに揺らぎが存在する.したがって, このような行動的な特徴から個人ごとの適切な特徴を抽出することが, 認証手法の精度を改善するために重要である.本報告では, キーストロークダイナミクスの統計量に基づいた認証手法およびキーストロークダイナミクスに基づいた階層型ニューラルネットワークによる認証手法について検討し, 実験結果から両手法を定量的に比較検討する.
著者
松尾 剛 山口 満 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.719, pp.1-6, 2004-03-09

本稿では,実際に演奏された実楽器音を対象とした,楽器音のスペクトル構造に基づいた楽器推定法を提案する.その原理は,和音の楽器音をくし形フィルタで単音に分離する.そして,このくし形フィルタの特性を考慮して,くし形フィルタの出力スペクトル構造と各楽器音ごとに用意されたテンプレートのスペクトル構造とのマッチングをとることで楽器を推定する.実際の演奏楽器音に対応するため,音の立ち上がり付近(音長の短い音に対応)のスペクトル構造を使用する.また,ある程度の周波数変動にも対応できるように,二重くし形フィルタ(H^d(z) = (1-z^<-N>)^2:零点付近の減衰大)を使用した.さらに,音源分離に使用したくし形フィルタの影響を補正するとき,くし形フィルタの出力スペクトルでなくテンプレートのスペクトルに二重くし形フィルタの利得を乗ずることで,二重くし形フィルタの零点付近の誤差の増大を抑えた.計算機シミュレーションは,ビオラ,バイオリン,ホルン,クラリネット,アルトサックスの5楽器を使用し,音域3-5オクターブの2和音すべての組合せ(重複音は除く)について行なった.その結果,平均推定誤り率10%以下で推定できた.
著者
京谷 孝史 平出 壮司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C (ISSN:1880604X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.747-756, 2006 (Released:2006-11-20)
参考文献数
12

本論文では,均質化理論に基づくトポロジー最適化手法を応用したロックボルトの最適配置設計法を提案する.ロックボルトを挿入することによる岩盤の弾性係数と強度の増加は,均質化理論に基づく解析を通して定量的に評価することを通して,弾性係数と強度を配置間隔と挿入角度の関数として近似表現することができる.それらを基本関数として,岩盤構造物全体のグローバルコンプライアンスや破壊に対する安定性を表す汎関数を定義することにより,制約条件下でのそれら汎関数の最大化あるいは最小化問題としてロックボルトの間隔と挿入角度を最適化する最適配置設計問題を定式化する.例題として,提案法を道路トンネルの標準支保パターンに適用してその有効性を検証する.