著者
竹中 佳彦
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.109, pp.70-83,L9, 1995-05-20 (Released:2010-09-01)
参考文献数
52
被引用文献数
1

When did the Japanese begin to regard the United Nations as the ideal organization? Most of Japanese intellectuals must have advocated the construction of the “Greater East Asia Mutual Prosperity Sphere.” When and why did the switch from the regionalism to internationalism occur? This article's purpose is to answer these questions, focusing on the Japanese intellectuals' perception of the postwar international organization in the Pacific War.In 1942, the Association of International Law in Japan established four committees in order to serve their country by pursuing and constructing the Greater East Asian International Law. It made a plan to issue the Greater East Asian International Law Series.The first volume of this series was written by YASUI Kaoru, who was an associate professor of international law at Tokyo University. He introduced the idea of the national socialist international law initiated by Carl Schmitt to Japan. He expressly wrote in this book that he could select neither liberal international law, nor Marxist international law, nor national socialist international law as his own position. But he was purged from Tokyo University in 1948. Why? Because he never denied establishing the Greater East Asian International Law. After the Pacific War he became a Marxist student of international law, and he played an active part in the movement to prohibit the atomic and hydrogen bombs.One of the faculty members to oppose Yasui's promotion to a professor in 1943 was YOKOTA Kisaburo, who was the head professor of international law at Tokyo University. Both Yokota and Yasui were followers of TACHI Sakutaro, but Yokota considered that Yasui was unprincipled and went with the current of the times. Yokota studied the non-belligerency phenomena in World War II, dissimilar to belligerency or neutrality on the international law. He never converted from liberalism to militarism, though he criticized the United Nations for attacking Japanese hospital ships and merchant ships. And he paid attention to the international organization plan discussed among the United Nations at the Dumberton Oaks Conference before the surrender.He foresaw that the United Nations would be the name of the new international organization, and he temporarily translated the word of the United Nations with “Kokusai Rengo, ” which meant not Allied Powers but the international union of states, as if it were an ideal organization. This free translation might only be in imitation of the precedent that the League of Nations had been translated into the term “Kokusai Renmei” which implicated the international league in Japanese, but it was fixed as the formal translation in postwar Japan. It has given the United Nations the image of the ideal international organization for the Japanese.
著者
箕輪 雅美
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.43-63, 2013-03

本稿では,モーニング娘。とAKB48という2つのアイドルグループをビジネスシステムとして捉えることで,それら の2つのグループが高い経済的成果を上げ続けている理由を分析する.モーニング娘。に長期に渡る成功をもたらしたのは,アイドルグループをブランドとして捉え,企業が新製品を投入することでブランドの長期に渡る生存を図るように, メンバーの入れ替えを繰り返すことで,グループの長命化を可能にしたことにある.AKB48の空前絶後と言われる成功の理由は,小劇場において毎日公演を行うことにより,仮説・検証のサイクルを高速で回し,グループを顧客のニーズに高いレベルで適合させ,核となる顧客をつくりあげた上で,それらの顧客に複数のCDを購入させるライブアイドルの手法を発展的に導入し,新しいビジネスシステムを創造したことにある.
著者
富田 昌平 TOMITA Shohei
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.129-136, 2017-03-31

本研究では、幼児期における恐怖対象の発達的変化について検討した。研究1では、保育園年中児29名、年長児26名を対象に、恐怖対象の有無やその内容と理由、5つの一般的な恐怖対象(お化け、動物・虫、暗闇、幽霊、注射)に対する感情評価について尋ねた。その結果、子どもの恐怖対象の数は加齢に伴い減少すること、女児は男児よりも恐怖対象を持つ傾向にあることが示された。研究2では、幼稚園児の保護者66名を対象に、子どもの恐怖傾向とその強さ、恐怖対象の内容と発達的変化について尋ねた。その結果、恐怖対象の発達差や性差に関して、研究1の結果が概ね繰り返された。また、内容的には年齢や男女問わず、お化け、動物・虫、幽霊、暗闇、1人でいることなどが多く挙げられ、加齢に伴い想像的なものに対する恐怖が増加することが示唆された。考察では、幼児期における恐怖対象とその発達的変化を踏まえた上で、「怖い」を楽しむ実践を育児や保育においてどのように位置づけ、展開していくかが議論された。
著者
巻田 和男
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.15-24, 1996-03

最近の地球磁気の研究によると, 地球磁場はこの1000年間に急速に減少しており, もし今の減少速度で減り続けると, あと1000年ほどで地球磁場がなくなってしまうと言われている。注目すべき点は, 南アメリカ周辺部において, 地球磁場の減少速度が特に著しいということである。この地域は南大西洋磁気異常帯として知られているように, もともと磁場強度が大変弱い所であるため, 今の減少速度で推移すると, この地域の磁場はあと400年余りで消失してしまう状況にある。ところで, 地球磁場はこれまで何回となく磁場反転を繰り返してきたわけであるが, 近い将来, 人類は大変弱い磁場環境におかれることが予想され, 更には, 地球磁場反転の場面に遭遇する可能性も考えられる。他方, 最近の人工衛星観測によると, 地球磁場が大変弱いブラジル周辺部において, 多量の高エネルギー粒子(数MeV以上の電子及び陽子)の入射が見られることが報告されている。これらの粒子は高度数十キロメートル付近まで降下し, X線を放射していることも知られている。今後, 地球磁場の減少が続くとすれば, これらの現象がますます顕著になっていくと予想される。ただ, これらの高エネルギー粒子やX線は厚い大気に阻まれ, 地上までは到達していないため, 地上の生態系に大きな影響を与えていないと思われる。しかしながら, 超高層大気中において, これらの高エネルギー粒子が様々な電磁現象(電磁波の発生や電子密度の変動等)を引き起こしていることが考えられる。また, 最近の観測では, 高エネルギー粒子の入射がオゾン層破壊を引き起こしているという報告もある。これらの状況より, 本研究は, すでに著しく磁場強度の弱いブラジル域において, 超高層大気の現状を調査することにより, 近い将来, 地球磁場が大変弱くなった状況下における地球環境を予測することを目的としている。
著者
北村 紗衣
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

当特別研究員の研究課題は、シェイクスピアを中心としたイギリス・ルネサンスの悲劇における女性表象である。2009年度は前年度に引き続き、このテーマに関する考察を深めるべく研究を進めた。本年度は昨年度に引き続き修士論文の一部を発展させ、シェイクスピアの恋愛悲劇『アントニーとクレオパトラ』におけるクレオパトラ像のあり方をそれ以前のクレオパトラを扱った悲劇群と比較し、シェイクスピアの作品は古代からルネサンスまでの「クレオパトラ文学」とも言えるような伝統の中にどのように位置づけることができるかを分析した論文「イギリス・ルネサンスにおける『クレオパトラ文学』--シェイクスピアのクレオパトラとその姉妹たち」を執筆し、『超域文化科学紀要』に投稿した。投稿後、その内容を5月31日の日本英文学会にて発表した。また、シェイクスピア劇がアメリカ映画においていかに受容されているかについての予備的な研究を開始し、5月23日の大澤コロキアムにて"Shakespeare in High School : The Taming of the Shrew and 10 Things I Hate About You"というタイトルで発表を行った。この他、シェイクスピアにおける共感覚(synesthesia)的な比喩に関する予備的な研究を開始し、7月5日に京都造形大学で行われた表象文化論学会第4回大会にて「共感覚の地平-共感覚は『共有』できるか?」という研究パネルを組織し、「感覚のマイノリティ-共感覚と共感覚者をめぐるフィクション」と題して文学における共感覚の一般的表現に関する発表を行った。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1911年09月20日, 1911-09-20
著者
佐々 裕美 向後 千春
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.185-194, 2021-09-10 (Released:2021-09-22)
参考文献数
22

技術者向けの企業内集合型研修において,過去10年間に4つの研修改善施策をシリーズで実施し,それらが授業の理解度に与えた効果を受講者による授業評価アンケートを用いて評価した.最初の施策を実施した以前から継続する講座19件のアンケート回答結果延べ約7,000名分について,各施策の前後における授業理解度の変化を分析した.その結果,一連の施策完了後に理解度は有意に上昇し,中程度の効果量が認められた.各研修改善施策の効果については,講座体系の整備,講座の重要ポイントの策定およびテスト結果の即時フィードバックが理解度向上に有意に寄与することが明らかになった.さらに,施策による理解度の変化には,授業形式により異なる傾向があることが示された.
著者
野中 郁次郎
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.60-69, 2007-05-01 (Released:2012-02-15)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

4 0 0 0 医事新聞

出版者
医事新聞社
巻号頁・発行日
no.1040, 1920-02
著者
馬橋 由佳 大倉 哲也 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.323-328, 2007-10-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
20
被引用文献数
1

炊飯の昇温期の温度履歴の違いが米飯の化学成分に及ぼす影響を調べた。5種の異なる昇温速度での炊飯では,全糖および還元糖量が昇温速度に応じて増加した。グルコース量は昇温速度が遅くなるにつれ有意に増加したが(p<0.001),フルクトースおよびスクロース量には変化がなかった。総遊離アミノ酸は炊飯によって有意に増加したが(p<0.05),5種の昇温速度に依存した量差はほとんどみられなかった。昇温期に40℃,60℃,80℃ を15分間保持した3種の炊飯においては,特に60℃を維持したもので全糖,還元糖量が増加した。グルコース量は60℃(p<0.001)および80℃(p<0,05)の温度保持で有意に増加し,フルクトースおよびスクロース量には違いがみられなかった。総遊離アミノ酸は,グルコースに比べ量差は小さいものの, 40℃, 60℃の温度保持により有意に増加した(.p<0.05)。
著者
由留木 裕子 岩月 宏泰 鈴木 俊明
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.111-120, 2015-08-01 (Released:2016-09-01)
参考文献数
27
被引用文献数
3

健常者を対象にどの程度のラベンダー精油吸入で脊髄神経運動ニューロンの興奮性を抑制できるのかについて検討した。方法は濃度0%, 1%, 10%のラベンダーを2分間吸入させF波測定を行った。さらにラベンダー精油が脊髄神経運動ニューロンと自律神経にどのような影響を与えるのかについて検討した。濃度10%のラベンダーを10分間吸入, F波と同時に平均心拍数と心拍変動を測定した。これらの結果, 濃度1%と10%のラベンダー, 2分間の吸入は脊髄神経運動ニューロンの興奮性に影響を与えなかったが, 濃度10%, 5分の吸入で有意な抑制効果が認められた。また, ラベンダーが脊髄神経運動ニューロンを抑制する機序に関しては, 副交感神経が関与する可能性が示唆された。