著者
船木 沙織 城丸 瑞恵
出版者
日本放射線看護学会
雑誌
日本放射線看護学会誌 (ISSN:21876460)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.43-51, 2018-03-31 (Released:2018-10-24)
参考文献数
17

本研究は原爆傷害調査委員会(以下:ABCC)に勤務していた看護婦および医師の証言から、広島ABCC設立草創期の健康調査および健康診査における看護活動を明らかにすることを目的とした。研究方法は広島ABCCで勤務していた元ABCC日本人医師1名、看護婦3名を対象に半構造化面接を実施し、オーラルヒストリー法を用いて証言を分析した。結果、健康調査、健康診査における主な看護は診療の介助であったが、各診療科では健康調査の目的や調査概要によって重要とされる視点に基づき、看護を実施していたことが示唆された。また、調査研究機関として精密なデータを収集するという役割があり、被爆者に対する言動や調査方法に配慮した看護が行われていたことが明らかとなった。ABCCの活動に対して被爆者から否定的な言動もみられたが、被爆者の感情に配慮した看護活動は、健康調査および健康診査に対する緊張を緩和する重要な役割があったと考える。
著者
村上 祥子
出版者
拓殖大学言語文化研究所
雑誌
拓殖大学語学研究 = Takushoku language studies (ISSN:13488384)
巻号頁・発行日
no.140, pp.193-217, 2019-03-29

法師の呪術は共同研究テーマの中で,呪いあるいは迷信の範疇としてとらえることができる。法師が実際の現場で行う呪術とは経文と設経であり,どのように祭祀を行うのか,経文にはどのようなものがあり,どのような効果を持つのか,どのように唱えられているのか,また祭場を飾る設経とは,具体的にどのようなものかを現場の調査を踏まえて考察した。法師の出現は古く高麗時代の盲僧に連なる存在であるといわれ,現在は目がみえる法師により継承されている。韓国で一般的に行われる巫堂による祭祀は,歌と舞により 請神 ⇒ 娯神 ⇒ 送神の構造で行われ,現世の招福を願うものである。それに対し,法師の祭祀は,経文を唱えることと,設経という祭場に取り付ける紙を切った造形により 請神 ⇒ 脅神 ⇒ 送神を行うことで,厄災を払い招福を願うことである。その構造に大きな違いがある。また巫堂は降神巫と世襲巫に分けることができるが,法師は学習によりその技術を修得することから学習巫として理解されている。法師の経文や設経は口承が主であり,師匠によりそれぞれの特徴を有しており,一貫性はない。法師の祭祀は現在では座経といわれるが,実際に行われる経文についてその性質を概観した。また設経は三か所に天禁・内禁・外禁と称され取り付けられる。各設経の意味と,目的をその造形を通して考察した。目には見えない法師の呪術は,耳を通して経文として,目を通して設経としてその効果を発揮するものである。
出版者
毎日新聞社
巻号頁・発行日
1946
著者
境野 眞善 山下 貴稔 土倉 則子 佐野 貴士 渡辺 健市 葉桐 宏厚 桜間 勇樹 廣島 理樹 眞鍋 陽一郎 鈴木 美樹 今義 潤
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.346-352, 2014-08-15 (Released:2014-09-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

ドーナツの美味しさと泣きに重要な因子を特定し,ドーナツに適したフライ油の開発方法を示すために,様々な油脂の物性やドーナツの特性を評価した.その結果,フライ用油脂の上昇融点がドーナツの油染み量と,30°CにおけるSFCが官能評価での油っぽさやパサついた食感と関連することを見出した.また,上昇融点は高いほど望ましいが,概ね40°C以上,かつ30°CにおけるSFCが20%程度の油脂が物性,官能的に最もドーナツに適していた.これらの指標を基にして開発したドーナツオイルDは,上昇融点が46.3°Cと高いものの,30°CにおけるSFCが21.8%と低く,ドーナツのフライ用油脂として優れた特性を有することを確認した.また,ラットおよびヒトで吸収性を評価したところ,ドーナツオイルDは液体油よりも体に吸収されにくいことが分かり,ドーナツオイルDは物性,官能,および摂取カロリーの面でもドーナツに適した油脂であることを明らかにした.
著者
石堂 正美
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.90-93, 2004-04-20
被引用文献数
1

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
小湊 卓夫 嶌田 敏行 淺野 茂 大野 賢一 佐藤 仁 関 隆宏
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

大学における教育では目標設定型の教育が求められている。そこにおいて重要なのは設定された目標に基づいて、どのように評価を行うのかである。そして教学マネジメントにおいては、それを全学的にどのように進めていくのかが課題であるが、米国でのInstitutional Effectivenessを参考に、定期的なプログラムレヴューとそれに基づいた改善計画を提出させる仕組みの構築が重要であることが分かった。
著者
内藤 景 苅山 靖 宮代 賢治 山元 康平 尾縣 貢 谷川 聡
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.523-538, 2013 (Released:2013-12-07)
参考文献数
32
被引用文献数
1

The purpose of this study was to clarify the step characteristics during the acceleration phase (0—30 m) of a 100-m sprint with reference to the step-type of sprinters. 59 male collegiate sprinters (season best time: 10.68±0.22 s) were recorded running in 100-m races using 10 high-speed video cameras (300 fps). The step variables, such as step-frequency (SF), step-length (SL), contact time, and flight time of each step in the acceleration phase (0—30 m) and maximum speed phase (30—60 m) were calculated. Cluster analysis was used to classify the subjects according to step-type as indicators for the ratio of SF and SL in the 30—60 m section. In addition, each of the step-type groups was divided into two sub-groups (good and poor sprinters) according to the mean speed in the 30—60 m section. The main results were as follows: (1) Sprinters were classifiable into 3 step-type groups; SL-type (n=22), SF-type (n=24), and Mid-type (n=13). (2) Among these groups, there were no differences in the 100-m race times and mean speeds during the 0—30, 30—60, and 60—100 m sections, although SL-type sprinters were taller and had a higher SLindex than SF-type sprinters. SF-type sprinters took a larger numbers of steps over the 100-m distance and showed a higher SFindex than SL-type and Mid-type sprinters. (3) In the 0—30 m and 30—60 m sections, the contact and flight times of SL-type sprinters were longer than those of SF-type sprinters. (4) In SL-type sprinters, the SF of good sprinters was higher than that of poor sprinters at the 5th step, and the SL of good sprinters was longer than that of poor sprinters from the 7th to 15th steps, and in the 30—60 m section. (5) SF-type sprinters showed no significant differences in the SL, but the SF of good sprinters was higher than that of poor sprinters from the 7th to 16th steps and in the 30—60 m section. These results indicate that there are differences in step characteristics during the acceleration phase according to step-type, and that the step characteristics during the acceleration phase may affect the acceleration ability needed to develop a maximum sprint speed. These findings could be useful for devising training methods for improvement of 100-m sprint performance according to step-type.