著者
桂川 光正 カツラガワ ミツマサ Mitsumasa KATSURAGAWA
雑誌
大阪産業大学人間環境論集
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-22, 2010-03

The establishment of a Japanese government ordinance on opium administration in Guandong Leased Territory, the aim of which was to implement opium administration in accordance with the Hague Opium Treaty, resulted, in fact, in virtual permission of open opium-smoking in the region. Japan had been accused of being the major agent responsible for the abuse of opium-smoking in China during the early 1920s, and the establishment of a new opium ordinance to deal properly with the issue in the region could otherwise be a good chance to soothe the accusation, and lead easily to raise Japan's prestige as "One of the Five Powers". Therefore, the result means that the Japanese government failed to take responsibility as a Great Power to make an active contribution in laying the foundation for an international co-operative system to control and extirpate the evil of opium-smoking. This proves to have been a diplomatic blunder. One of the factors in the government's failure is the weight of opium revenue. It was very obvious that the Japanese would have run into financial difficulties, if there would not be opium revenue at all, or not a sufficient amount of it. The Japanese government gave the stability of ruling Guandong precedence over taking its responsibility in the international arena at the time.
著者
池野 直人 笹谷 育郎 高瀬 俊博 藤井 敦子 石川 純
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.193-200, 1979-06-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

The important role of plaque control has been recognized recently. The goal of plaque control is based on a continuous activity by patient himself. It is a main point that dentist gives them propelling power to lead them to the activity; that is “Motivation”. And how to motivate the patient is a great subject.There are many clinical reports of motivation, however it was very hard to find corroborative studies concerning estimation of the effect of motivation for plaque control. H. M. Goldman emphasized the importance of motivation in 1940, and stated that initial preparation combined with tooth brushing is essential to the all patients with periodontal disease. We believe that motivation to all dental patients is indispensable to control plaque thoroughly.The purpose of this experiment is to make clear the effect of motivation in tooth brushing instruction. The patirnts were separated to three groups as follows; 1) Brushing instruction without motivation 2) Motivation with brushing instruction 3) Control. The amount of plaque accumulation was measured before and after the experimental period. To standardize the contents of motivation and tooth brushing instruction for individual patients, a home made cassette tape was prepared and presented on closed circuit TV. Any personal chair side instruction was not given during experimental period. Plaque was stained using liquid of Plak-Lite and was evaluated by U. S. Navy Plaque Index (Modified).
著者
村尾忠廣 疇地希美
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.51(1999-MUS-030), pp.21-26, 1999-05-29

小泉文夫は日本の伝統音楽には基本的にアウフタクトが存在しないと述べた。旋律の開始が弱拍の一部から強拍にグループされない、という意味である。これは、アウフタクトをつくる言語的要因、すなわち、冠詞や前置詞がなく、強弱アクセントをも有しないという日本語の特質に基づいている。それゆえ、日本の大衆音楽にもアウフタクトはもともと少なかった。しかし、60年代後半から70年代の日本の大衆音楽にはアウフタクトのものが急速に増えている。強弱、上下拍意識が薄く、さらに前置詞、冠詞をもたないという日本語の特徴を残したままにアウフタクト(上拍)の歌謡曲が発展を始めたのである。本論は、 3モーラ音節から始まる歌謡曲を一つの切り口としてアフタクト歌謡曲の統計的分析を行い、その年代的な特徴を質的に構造分析したものである。
著者
武井 明 鈴木 太郎 土井 朋代 土井 準 富岡 健 廣田 亜佳音 泉 将吾 目良 和彦
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.742-756, 2017-11-01 (Released:2019-08-21)
参考文献数
27

高機能の自閉症スペクトラム障害(ASD)患者が成人後に示す就労状況については十分検討されていない。そこで,今回われわれは,児童青年期から経過観察できた高機能のASD患者が示す成人後の就労状況を明らかにするための調査を行った。対象は18歳以下で当科を初診した高機能のASD患者のうちで,成人後も通院を継続している56例(男性21例,女性35例)である。調査時の平均年齢は24.1歳で,経過観察期間は平均9.3年であった。DSM-IV-TRによる診断では自閉性障害8例(14.3%),アスペルガー障害19例(33.9%),特定不能の広汎性発達障害が29例(51.8%)であった。最終学歴は高校卒業以上が39例(69.6%)を占めていた。併存症状は初診時に56例全てに認められ,最も多かったのは不登校で48例(85.7%)であった。一方,成人後の併存症状は32例(57.1%)に認められ,最も多かったのはひきこもりで15例(26.8%)であった。成人後の就労状況では,就労している者が15例(26.8%)(正規雇用は5.4%),就労支援事業所などに通所している者が17例(30.4%),無職者が24例(42.8%)であった。また,就労している者では併存症状を有している者が有意に少なかった。以上の結果から,成人後まで通院を継続しているASD患者では,知能が高くても正規雇用され自立した生活を送ることのできる者はきわめて少ないことが明らかになった。また,併存症状の有無が転帰に影響を与える可能性が示唆された。したがって,通院を継続している高機能のASD患者に対しては,青年期以降も切れ間のない継続した支援が成人期まで必要であると考えられた。
著者
玉置 幸道 宮崎 隆
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.528-539, 1998-08-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
91
被引用文献数
4 4

Although titanium has been a popular metal in dentistry, it was not actively applied in the clinic. Some of the reason were most importantly a hardened layer formed on the casting surface with a reaction between mold material and molten titanium that had different physical and chemical properties than titanium. Moreover, fit of prostheses is lost due to the removal of the reacted layer. On the other hand, internal defects are often observed by X-ray photography of titanium castings. Bubble-like defects formed by gas inclusion will lead to worse durability.In order to obtain sound titanium castings, it is important to maintain surface transcription with high quality during the casting procedure and decrease casting error. A new investment may be a key to success. A development of titanium alloy seemed to be effective as prosthetic materials.
著者
大谷 奨
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、1970年代の日本における国立医大の増設とその際の地方における誘致運動を検討することで、地方に国立医大が設立される意味と、誘致に際する地元負担の額が均質化される過程を検討しようとするものである。文部省は国立高専設置の際と同様に設置地域の財政的な協力(地元負担)を求めた。これに対し自治省は、地方財政法上問題があるとして文部省に申し入れを行ったり、県に安易に応じることのないよう注意を促す。自治体も誘致を競い合う一方で負担額について協議していた。その結果、地元負担の内容はほぼ均質化されることとなり、同時に、自治体の早期開設を望む姿勢が単科医大という新構想大学を受容させることになった。
著者
スティービー・スアン
出版者
日本アニメーション学会
雑誌
アニメーション研究 (ISSN:1347300X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.3-15, 2017 (Released:2019-10-25)
参考文献数
25

アニメーションは命を持たない「モノ」(物理的客体)を動かし、その「モノ」に行為をさせる力が注目されてきた。人間や動物、そしてモノの「体」がどのようにアニメートされるかによって、行為者としての成り立ちが変わってくる。アニメーションにおいて、動きの形式は、特定の行為者性あるいは「自己性」を伴う。ドナルド・クラフトンはアニメーションを分析するためにアニメーションのパフォーマンスを、体現的パフォーマンスと修辞的パフォーマンスに分類して概念化している。本稿では、これらの概念をより詳細に把握し日本のテレビアニメの研究に活用することを目的とする。体現的演技という概念は、キャラクターの表現は、個別化された動きによって生み出され、内部と外部をもつ個人として成り立たせる。他方、修辞的演技は様々な仕草や記号化された表現を通して演技が行われるのである。そして、記号化・コード化された表現に頼るパフォーマンスとしては既存の表現を基にしており、それを異なる文脈で繰り返し採用するのである。これら2つの形式は、それぞれの両端において、「自己」についての異なる概念を制定する。体現的演技は、動きを示す「モノ」に近代的な個人主義の概念を演じさせるのに対し、修辞的演技は「個人主義的な自己」よりも、既存のコードを引用することによる複合構成的なものとしての「自己」を中心に据えるのである。
著者
Alexander Leonidovich Aseev Valentine Ivanovich Sergienko
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2009-11 (Released:2013-07-09)

ノヴォシビルスクのロシア科学アカデミーシベリア支部は、筑波研究学園都市のモデルにもなった「アカデムゴロドク(科学都市)」を中心に、幅広い分野の多くの研究機関と研究者による活発な研究活動を展開、ソ連時代から科学研究のメッカとして、大きな役割を果たしてきた。また、ウラジオストクの同アカデミー極東支部もバイオ、海洋・地球科学、化学、情報等多くの研究機関と研究者を擁している。 両地域とも、研究開発面での大きな可能性を秘めているが、地理的な近さにも関わらず、日本との協力活動はまだ十分とは言い難い。 本講演においては、両支部の総裁より、それぞれの地域の研究ポテンシャルと、日本のみならず、中国、韓国といった近隣諸国との研究協力活動の現状と課題についてお話しいただいた。
著者
後藤 顕一 松原 憲治
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.17-32, 2015-07-18 (Released:2015-09-30)
参考文献数
46
被引用文献数
4

社会の変化に伴い, 求められる資質・能力 1)の育成が一層重視され, その育成を目指す教育改革が進められている(例えば, 文部科学省, 2014a)。そこで, 理科授業研究において, 資質・能力の育成を目指す教育改革に対応した学習指導について多面的な視点から整理を試みた。国内外の調査では資質・能力の育成の柱の一つである「子供の主体的な学びを引き出す学習を促進させていく」ことに課題があることがわかっている。その改善のためには, 子供の主体的な学びの実現に向けて, 理科を学ぶ目的を意識するとともに, 「内容と学習活動と資質・能力」を一体としてつないでいき, 自らの学びを振り返ることができるようにすることや, 子供の学習意欲を引き出せるような教師の指導に向けて, 主体的・協働的な学びを促進し, それらを含め学習評価に結び付けていくようにすることが求められる。さらに, 理科授業研究において, カリキュラムマネジメントに基づき, 授業実践や学習評価につなげ, 検証・修正を重ね, 改善を図り, 次の学びや指導につなげ続ける仕組みを構築することが求められる。そこで, 資質・能力の育成のためにカリキュラムマネジメントに基づく理科授業研究モデルの構築に向けて, 子供の学び, 教師の指導といった二つの視点を置きながら, 内容・学習指導と評価の一体化について検討した。
著者
金森 悟 甲斐 裕子 川又 華代 楠本 真理 高宮 朋子 大谷 由美子 小田切 優子 福島 教照 井上 茂
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.297-305, 2015 (Released:2015-12-18)
参考文献数
13
被引用文献数
4 4

目的:全国の企業を対象に,事業場の産業看護職の有無と健康づくり活動の実施との関連について,企業の規模や健康づくりの方針も考慮した上で明らかにすることを目的とした.方法:東京証券取引所の上場企業のうち,従業員数50名以上の3,266社を対象とした.郵送法による質問紙調査を行い,回答者には担当する事業場についての回答を求めた.目的変数を種類別健康づくり活動(栄養,運動,睡眠,メンタルヘルス,禁煙,飲酒,歯科)の実施,説明変数を産業看護職の有無,調整変数を業種,企業の従業員数,健康づくりの推進に関する会社方針の存在,産業医の有無としたロジスティック回帰分析を行った.結果:対象のうち415社から回収した(回収率12.7%).産業看護職がいる事業場は172社(41.4%)であった.健康づくり活動の実施は,メンタルヘルス295社(71.1%),禁煙133社(32.0%),運動99社(23.9%),栄養75社(18.1%),歯科49社(11.8%),睡眠39社(9.4%),飲酒26社(6.3%)の順で多かった.産業看護職がいない事業場を基準とした場合,産業看護職がいる事業場における健康づくり活動実施のオッズ比は,メンタルヘルス2.43(95%信頼区間: 1.32–4.48),禁煙3.70(2.14–6.38),運動4.98(2.65–9.35),栄養8.34(3.86–18.03),歯科4.25(1.87–9.62),飲酒8.96(2.24–35.92)で,睡眠を除きいずれも有意であった.従業員数が499名以下と500名以上の事業場で層化し,同様の解析を行った結果,いずれの事業場においても,禁煙,運動,栄養に関する健康づくり活動実施のオッズ比は有意に高かった.しかし,メンタルヘルスと歯科については,499名以下の事業場のみ実施のオッズ比が有意に高かった.結論:全国の上場企業の事業場において,企業の規模や健康づくりの方針を考慮した上でも,産業看護職がいる事業場はいない事業場と比較して栄養,運動,メンタルヘルス,禁煙,飲酒,歯科の健康づくり活動を実施していた.健康づくり活動の実施には,事業場の産業看護職の存在が関連していることが示唆された.
著者
渡辺 恵 伊藤 舜将 馬 文超 山崎 大
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.104-121, 2022-03-05 (Released:2022-03-05)
参考文献数
40

アンサンブル洪水予測は長いリードタイムを確保でき,不確実性も表現できるため,早期警報としての活用が期待される.一方,この予測方法は確率的情報を扱うなど従来型の予測とは性質が異なり,効果的な活用ノウハウが確立されていない.本研究では,運用中の海外先行システムを調査し,予報者側とユーザーとのコミュニケーションに着目して分析した.まず,予測情報の伝達手段となる可視化手法を4つに分類し,特徴と利用法を整理した.これにより,ユーザーの要望も反映しつつ,システム不確実性を考慮し流量等の絶対値からリターンピリオド等の危険度に変換する,危険度予測一貫性の確認を可能にするなど,警報発令等の判断を支援する可視化方法を利用していることが分かった.またワークショップ等を通してユーザーと意見交換することにより,空振りの可能性のある低確率大規模災害の適切な予報が行われたり,予測情報を早期警戒に活用する際の法制度の課題が顕在化したり,ユーザーフィードバックはシステム運用改善に繋がった.アンサンブル洪水予測の効果的活用には,予測技術の高度化だけでなくユーザーとの双方向コミュニケーションが重要である点が明らかとなった.