著者
細田 耕 鈴木 昭二 浅田 稔
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

本研究では、視覚情報に基づいて生成される脚式移動ロボットの行動に基づく環境表現手法を提案し,実機によってそれを検証することを目的とする.具体的には視覚誘導により基本的な行動を生成する段階と,それを用いて環境表現を構築する段階に分かれる.使用する脚式移動ロボットに,まず「転ばない」,「脚が接地したまま揺れ動く」,「遊脚を利用して移動する」などの基本サーボ系を埋め込む.これを利用して,断続的に提示される視覚目標に対し,これに追従するよう行動し,この間に,環境中の適当な視覚情報を獲得,これとロボットの行動の相関をとることにより,環境表現を獲得する.さらにこの環境表現に基づき行動し,環境表現の更新及び修正を繰り返す.以下のような項目について,理論の整備,及び実験による検証を行った.(a)脚式ロボットにカメラを装着し,視覚・運動系を構築した.(b)環境に対する先験的な知識がない場合にも,「脚が接地したまま揺れ動く」ために,視覚目標に追従するための制御系と,脚間距離を保つための制御系を組み合わせたサーボ系を開発した.(c)ZMPを観測し,バランスを崩しそうになると,それを回復するための方策を検討し,遊脚を決定するアルゴリズムを開発した.(d)「遊脚を利用して移動する」ためのサーボ系を開発した.(e)以上の方法を実機を用いて,その有効性を検証した.
著者
細田 耕
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

平成14年度は,昨年度整備した実験装置により実験を行い,提案手法の有効性を確認した,また,センサに自由度がある場合についても検討を行い,実験を進め,その有効性を調べた.実験装置の整備提案する手法を実験的に示すための実験装置の整備を行い,自由度発見機構,および自由度の凍結,解放のためのプログラムを作成した.製作した実験装置は,7自由度のロボットアームに視覚センサを備えたものである.実験による検証視覚センサに与えられた作業に必要な自由度を自律的に発見することができることを製作した実験システムにより検証した.多数のセンサを備えたロボットの作成ロボットの持つアクチュエータの自由度だけではなく,センサが複数つくことによるセンサの自由度をどのようにうまく利用できるかについても,モータの場合と同様に考察するために,多数のセンサを備えたロボットを作成し,基礎的な実験を行うことによって,多数のセンサがある場合についての,その自由度間の拘束を自律的に発見できる枠組みを示した.
著者
細田 耕 池本 周平
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

空気圧人工筋によって駆動されるヒューマノイドによって,局所的反射の機能を解明するために,人工筋の状態を計測する人工筋紡錘を開発した.人工筋紡錘は,筋の状態を計測する局所的な受容器と,その信号から生体の細胞の応答をエミュレートし,出力を計算するための局所的な計算機からなる.この人工筋紡錘によって,実際のロボットに局所的なフィードバックを実現できることを示し,たとえば,跳躍の際に,このような伸張反射の側抑制が,運動の安定性に寄与することを実験的に示した.
著者
細田 耕 浅田 稔 高橋 泰岳
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,多数の未分化なモダリティの受容器を持つロボット指を開発し,把持,操りなどの技能を発達的に獲得する方法を検証することである.得られた主な成果を以下に示す.1.多数の受容器をランダムに内蔵した柔らかい指の作成シリコンゴムの内部にひずみゲージとフッ化ポリビニリデンフィルムを検出素子としてランダムに埋め込んだ指先センサを構成した.この指先センサをロボットハンドに搭載し,ハンドシステムを構成した.2.試作したセンサの性能評価試作したセンサの性能を,さまざまな対象をこすった際の弁別能力によって評価した.その結果,押し付け,こすることにより数種類のテクスチャを弁別できることがわかった.3.視覚・すべり覚連合学習法の提案視覚によってすべりを観測する初期状態から,経験を通してすべりに関する情報を獲得するニューラルネットワークを構成し,視触覚統合によってロボットを動作させる学習則を提案した.この学習則を用いると,学習初期にはすべりを視覚で捉えているのに対し,学習が進むことによって,視覚・すべり覚による冗長かつ頑健な表現を獲得することができた.4.はめあい作業の学習実験対象物を持ち,クリアランスの少ない穴にはめ込むはめあい作業を対象として,学習初期には視覚に頼って作業を実現し,その作業を通してすべり感覚を学習,作業後半では,視覚を用いなくてもすべり感覚のみで作業の遂行確率を上げられることを実験的に示した.5.持ち上げ動作の学習実験持ち上げ動作を学習することによって提案するネットワークの有効性を検証した.その結果,視覚のみを用いるよりもすべり覚を組み合わせたほうが,すべりの発生を迅速に検出することができ,すべりを防ぐ動作をさせることができることを確認した.また,持ち上げる対象の質量を変化させた場合にも,すべり検出によって把持を継続できることができた.
著者
細田 耕
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

昨年度試作した空気圧二足歩行ロボットを用い,床面の変化に伴う行動の変化についての検討,股関節の剛性変化による行動変化の検討を行った.さらに空気圧駆動の肩関節ひじ関節などの試作を行い,弾道学的運動のための制御則を考案した.(1)試作した二足歩行ロボットによる歩行の確認試作したロボットによって,弾道学的な歩行が実現できることを確認し,さらにさまざまな床面でロバストに歩行可能であることを実験的に確認した.(2)床面の変化に伴う行動の変化の観測床面の変化に伴い,二足歩行の歩行周期が変化することがわかったので,床面変化を歩行周期から推定する方法について提案し,床面変化に対応できる制御則を考案した.(3)股関節の剛性変化に伴う行動変化の検討股関節の空気圧を調整することにより関節剛性を変化可能であることを示し,剛性変化によって歩行行動がどのように変化するか,特に歩行周期がどのように変化するかについての調査を行った.この知見は,人間の二足歩行において股関節がどのような寄与をしているかについての重要な知見になると考えられる.(4)空気圧駆動の肩関節・ひじ関節の試作と弾道学的制御則の検討二足歩行ロボットの作成に関する知見を踏まえ,2自由度肩関節および1自由度のひじ関節を試作した.また,肩関節のみのロボットについて,運動開始時と終了時のみに空気圧弁の操作を行い,それ以外ではロボットの動特性に従って弾道学的な運動をする制御則を提案し,この制御則によって終点まわりに大きなオーバーシュートを発生することなく,短時間でスムーズな運動が実現できることを示した.
著者
細田 耕 木村 浩 辻田 勝吉 井上 康介 田熊 隆史
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

生物のさまざまな適応的行動の中から特にロコモーションに注目し,反射やCPGなどによってもたらされるリズミックな制御系と,振る舞い全体を修飾する調整制御系の相互作用によって適応性の実現を試みた.これらの実現には生物のような筋骨格系が大きな役割を果たしているとの仮説のもとに,二足,四足,ヘビ型とさまざまなロコモーションについて筋骨格からなる新しいロボットを多数試作し,リズミック制御系と調整制御系の役割を実験的に検証した.
著者
細田 耕 浅田 稔
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では,筋肉によって駆動される骨とそれを覆う柔らかい皮膚,そして皮膚に埋め込まれた多種の受容器を持つヒトの手に酷似した構造を持つバイオニックハンドを開発した.このハンドを使った実験によって,ハンドの優れたセンサ特性や柔軟性を利用した観測の安定性が示され,また人工筋によって実現されるやわらかい動作によって経験を通した適応的なマニピュレーションが学習できることが示された.
著者
細田 耕 古川 英光 吉田 一也 池本 周平
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,イオン液体・イオンゲルを媒体としたネットワーク構造を持つ生物模倣ソフトセンサを開発し,多感覚モダリティ間の学習を行うことで,人間と同等の適応性を持つロボットハンドの実現を目的とする.イオン液体・イオンゲルを用いたネットワークは,近年の3次元プリンタ技術を駆使することで実現可能であり,進展に強く壊れにくく,回路が破損した際も,ネットワークに圧力をかけることで自律的に再構成し,治癒する.このような生物型ネットワークセンサを開発し,構造がもたらす多感覚モダリティを学習する方法を提案,人間と同等の適応性を持つロボットハンドを実現する.
著者
細田 耕 池本 周平
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

柔軟な皮膚を持ち,ヒトと類似した構造を持つロボットハンドを開発し,ひずみ振動を連関学習することにより,滑りを未然に防ぐような把握制御を実現した.ヒータを備えたハンドシステムを開発し,ひずみセンサと温度センサによって,さまざまな対象物を識別できることを実験により示した.センサの信号強度がノイズ強度に比較して小さいような環境で安定なセンシングを実現するための,確率共鳴現象を基にしたひずみ測定の方法を提案した.
著者
細田 耕
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-04-01

(1)人工筋によって駆動される筋骨格ロボットアームの試作身体像を学習するロボットシステムに使用する,人工筋によって駆動される筋骨格ロボットアームを,これまで積み重ねてきた要素技術を統合して完成した.人間との筋構造がより似通っているため,人間の表面筋電位の情報をそのまま利用して,ロボットを動かすことにより人間の動作を簡単に模倣することができる.また,筋骨格構造が人間のそれと似通っているために,人間に与えられたタスクを容易に実現できることが期待される.試作したシステムの概要と,それを用いた初期的な実験結果を,2016 International Symposium on Micro-Nano Mechatronics and Human Science (MHS 2016)などで報告した.(2)使用するネットワークに関する検討連携研究者,津田一郎教授(北海道大学)とともに,使用するネットワークについての検討を行った.その結果を踏まえ,連想記憶の能力を有するμモデルを用いたネットワークについて,簡単なシミュレーションを行った.また,津田教授の提案する自己組織化第二原理について検討し,身体像の学習への適応可能性について検討している.(3)筋骨格構造を持つロボットについての著作筋骨格構造を持つヒューマノイドロボットについて,社会への情報公開をするために,著作「柔らかヒューマノイド」を著した.著作内では,人間の筋骨格と同構造を持つロボットが持つ研究的優位性と,その意味,柔軟性を持つ筋骨格を利用したロボットの性能向上などについて論じている.
著者
細田 耕
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-04-01

(1)人間と相同の筋骨格構造を持つヒューマノイド,実験装置の整備空気圧人工筋を用いて,人間と同じような筋骨格構造を持つ上半身のヒューマノイドロボットを開発した.ロボットは,人間のような肩甲骨,肩関節,上腕構造などを持ち,人間の筋と同じような位置に,空気圧駆動人工筋を装備している.各人工筋には,張力センサと空気圧センサが装備されており,これらから各筋の長さを求めることができる.各筋は空気圧弁から送られる空気によって駆動され,人工筋が持つ柔らかさにより,全体的に柔らかい構造を持っている.各筋の空気圧は,個別に空気圧制御弁によって制御することができる.ROSを用いたシステムによって,これらを制御するコントローラを製作した.ROSを用いているため,たとえばカメラなどほかのセンサを使いすることが容易になっている.(2)学習に基づく運動制御法の開発操作の不変項として身体を見つけ出すためには,与えられたタスクに対し,その操作を実現する方法を学習する必要がある.人間の場合にも,操作を学習することを通して,フォワードモデルを学習し,それによって身体の表現を獲得していると考えられる.筋骨格ロボットは,非常に非線形性が強く,とても複雑な機構を持つ.そのため,力学的なモデルを形式的に作ることは難しい.これまで,このようなロボットを制御するために,制御入力のパターンを設計者が試行錯誤することによって作り出していた.本年度は,このような問題を解決し,ロボットが自身の順動力学特性を学習し,それを利用することによって,ロボットを制御する手法を開発した.
著者
新妻 実保子
出版者
中央大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究課題では、人とロボットの長期的なコミュニケーションを目指して、人と犬の関係に着目し、ロボットの行動モデルを構築した。特に、犬の人への愛着行動は人と犬の社会的関係を築く上で基礎的な振る舞いであると考え、犬の愛着行動をモデル化し、ロボットへ適用した。また、犬の行動特性の要因となるパラメータ(人へのなつき度と不安への感受性)を導入し、異なる行動特性を示すロボットの愛着行動モデルを構築した。また、人とロボットの直接的なインタラクションとしてボール遊びや誘導行動の実現に取り組んだ。人はロボットの振る舞いを適切に解釈できるか、インタラクションの頻度がどのように変化するか、という点から評価を行った。
著者
白鳥 英
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

半導体デバイス、MEMS、ディスプレイのカラーフィルタ等の製法では機能性の液膜を基板に塗布する工程があるが、様々な物理要因によって種々の膜厚ムラが発生し、最終製品の寸法精度が低下してしまう課題がある。この膜厚ムラの発生を回避・抑制できるような最適塗布条件を数値シミュレーションによって探索したいが、従来の方法では①時間発展計算に時間を要すること、②計算に必要な塗膜の物性値の測定・入手が困難なこと、が障壁となっていた。本研究では①支配方程式を教師とした機械学習を導入して高速に膜厚ムラを予測する枠組みを構築し、②塗膜の物性値をデータ同化の方法によって推定できるようにすることで上記の課題の解決を目指す。
著者
福森 良
出版者
長崎国際大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

Δ9-THCを親マウスに反復投与して、この親マウスより産まれたΔ9-THCを直接摂取していない仔マウス(第二世代マウス)における影響を明らかにする。行動生物学的手法を用いて、特に大麻の使用者で多く認められる精神病様症状と認知機能障害に着目して第二世代マウスの行動評価を行う。また、分子生物学的手法を用いて、脳組織における内因性カンナビノイド関連因子の発現変動を解析する。さらに、CB1受容体ノックアウトマウスを用いることで、大麻の第二世代マウスにおける影響について、CB1受容体の関与を検討する。
著者
長尾 昭彦 JASWIR Irwandi
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

食品由来の抗酸化性物質の摂取は各種の生活習慣病のリスクを低減するものと考えられている。しかし,1990年代に発表されたβ-カロテンの介入試験での否定的な結果及びその後の多くの研究から,抗酸化性物質の過剰投与はプロオキシダント作用により生体に障害を及ぼす危険性があることを示唆している。したがって,食品由来抗酸化性物質を効率的で安全に利用するためには,特に,摂取量あるいは生体内濃度に依存した生物活性の発現を解析する必要がある。本年度は培養細胞に高濃度のカロテノイドを蓄積させるためのカロテノイド可溶化法を開発し,細胞に蓄積されたカロテノイドの抗酸化性を高濃度領域まで範囲広げて解析した。液中乾燥法によりDMEM培地(10%牛胎児血清を含む)に80μMまでの高濃度のカロテノイドを可溶化する方法を構築した。テトラヒドロフラン(THF)に溶解させたカロテノイドをDMEM培地に分散した後,減圧下で細胞毒性を示すTHFを0.001%以下までに留去した。本法により高濃度のβ-カロテン,ルテイン,α-トゴフェロールのDMEM培地への再現性の良い可溶化が可能になった。得られた高濃度カロテノイド培地をヒト肝癌由来HepG2細胞とインキュベーションすると,カロテノイドが高濃度に集積し,ヒト肝臓カロテノイド濃度の約5倍以上のレベルに達することが分かった。このようにカロテノイドを集積させた細胞をtert-ブチルヒドロペルオキシドで酸化ストレスを負荷し脂質過酸化に対するカロテノイドの抗酸化性を調べた。β-カロテンは濃度依存的に抗酸化性を示し,調べた濃度範囲及び酸化ストレス負荷条件ではプロオキシダント作用は認められなかった。しかし,高濃度のカロテノイドは細胞障害を引き起こすことを見出した。その原因及びプロオキシダント作用との関連は不明であり,今後この点をさらに解析することによって,高濃度領域での生体影響を明らかにする必要がある。
著者
小川 佳宏
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

申請者らは既に、肥満マウスにSodium-glucose cotransporter 2(SGLT2)阻害薬を投与することにより、代償性の摂餌量増加により体重は減少しないが、脂肪細胞の肥大化を伴う精巣周囲脂肪組織重量の増加とともに肝重量の低下と脂肪肝の改善が認められることを報告し、脂肪細胞のエネルギー貯蔵力の増加が肝臓における異所性脂肪蓄積を抑制に関連する可能性を提案した。本研究では、ヒトの病態を再現する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)マウスにSGLT2阻害薬カナグリフロジンを投与すると代償性に摂餌量が増加し、むしろ体重増加の傾向が認められるが、血糖値は低下してインスリン抵抗性は改善すること、精巣周囲脂肪組織重量の増加と脂肪細胞の肥大化が認められるが、炎症所見の増悪はなく、肝臓では新規脂肪合成酵素あるいは炎症関連遺伝子や線維化関連遺伝子の発現の減少とともに肝臓の炎症所見と線維化が抑制されることを見出した。このNASHマウスでは長期間の飼育によりほぼ全例が肝細胞癌を発症するが、1年間のSGLT2阻害薬投与により肝腫瘍数の減少と腫瘍の最大径は低下傾向が認められた。以上により、脂肪組織のHealthy Expansionに伴って肝臓異所性脂肪蓄積が抑制され、脂肪肝と炎症所見・線維化に伴うNASH肝癌の発症の遅延することが示唆された。又、SGLT2阻害薬を投与したNASHマウスより得られる精巣周囲脂肪組織では、還元型グルタチオン(GSH)の増加と酸化型グルタチオン(GSSG)の減少が認められ、脂肪組織のHealthy Expansionには脂肪組織における還元力の増加が関連する可能性が示唆された(Sci. Rep. 8: e2362, 2018)。
著者
戸津 健太郎 江刺 正喜
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

極薄のL字形カンチレバーをアクチュエータに用いて光で駆動することで超小形の2次元光スキャナを実現することを目的とした。直径125μmの光ファイバ先端にアクチュエータを搭載させるため、カンチレバーの長さは100μmとした。カンチレバーを構成するバイメタルの材料として、これまで厚さ100nmのポリイミドおよび厚さ100nmの金を用いていた。カンチレバーにレーザ光を周期的に照射したとき、カンチレバーが駆動することを確認した。本年度は、測定装置、およびカンチレバーの改良を主に行った。効率よくレーザ光を照射するため、ファイバ先端に光ファイバ融着器を用いて球形のレンズを形成し、ファイバ端から出射するレーザ光を絞ることができるようにした。ポリイミドを再現性よく薄くすることが困難であること、材料がやわらかいため、共振周波数が比較的低い問題があり、カンチレバーを構成するバイメタルの材料として、厚さ100nmのシリコンと厚さ100nmの金を用いた。埋め込み酸化膜構造(SOI)のシリコンウェハを用いることで、極薄のシリコン構造体を実現した。ウェハ上に接着層となる厚さ30nmクロム薄膜および厚さ100nmの金薄膜を真空蒸着で形成後、パターニングした。このとき、ミラー面においてレーザ光を吸収させるため、クロム薄膜をミラー面に形成した。その後、シリコンをエッチングによりカンチレバーの形にパターニングし、最後にカンチレバー構造体をウェハからリリースした。膜の残留応力によりカンチレバーが立ち上がり、ミラーが傾いた構造を得ることができた。
著者
辻本 拓司 和南城 伸也 石垣 美歩 西村 信也 戸次 賢治 Gerhard Hensler
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

金やプラチナに代表される中性子を素早く捕獲して形成されるr過程元素の天体物理学的起源については、未だ同定できていない。2017年の夏、連星系にある2つの中性子星の合体がその起源であるという極めて有力な手掛かりを我々は掴むこととなったが、まだ断定できる状況には程遠い。さらに、中性子星合体が唯一の起源であることに対し、複数の観測事実が疑問を呈している。本研究は星の化学組成という独自の視点からr過程元素の起源に迫ろうとするものであり、我々は中性子星合体が支持されること、しかし一方で銀河形成初期では特殊な超新星(磁気駆動型超新星)が出現していたことを突き止めた。