著者
木村 太郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.391-392, 2022-06-05 (Released:2022-06-05)

ラ・トッカータフランス研究教育よもやま話――地方都市の現場から
著者
鄭 宰相
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2010

博士論文
著者
村田 優樹
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.130, no.7, pp.1-39, 2021 (Released:2022-07-20)

本稿では、革命期ロシアで活動した二人の知識人、ミハイロ・フルシェフスキーとボリス・ノリデの学問的・政治的著作と実践政治の分析を通じ、当時の「ウクライナ問題」の展開を、「自治」という国制をめぐる論争という観点から分析した。特に、両者の活動のなかで、歴史研究、評論活動、実践政治が緊密に結びついていたことに注目した。 第一章では、近世にウクライナの地に存在したヘトマン領自治についての二人の研究を扱った。両者は全く異なる問題関心から近世ヘトマン領自治にアプローチしていたが、一六五四年のヘトマン領とモスクワ国家の合同のみならず、一八世紀の自治の廃止まで通時的に論じることで、その歴史学的研究の水準を大いに進展させた。 第二章では、二人による同時代の国制論議を検討した。ウクライナ民族主義者のフルシェフスキーは、ヘトマン領を民族の栄光の歴史の一部とみなし、同様の領域自治を、民族の自然権に依拠して達成することをめざした。他方、ノリデはヘトマン領自治の消滅の歴史を叙述することで、近代主権国家となったロシアの「単一と不可分」を擁護した。両者は専制についての相反する評価にもかかわらず、歴史的権利の原理への専制の非妥協的性格の認識において一致していた。 1917年の二月革命後の時期を扱う第三章では、二人の政治家としてのウクライナ自治問題への関与を考察した。フルシェフスキーは民衆の動員の成功を演出し、臨時政府から自治への譲歩を引き出そうとした。他方、法制審議会の成員としてウクライナ問題を担当したノリデは、国家の単一性を依然として維持しようとした。こうして、ウクライナ自治の問題は、権力の正当性をめぐる対立として展開した。 以上を踏まえ、本稿では、ウクライナ問題の国制論争としての側面を論証したのち、「多民族帝国」の民族問題について、それぞれの社会固有の言説空間がもつ術語や論理構造に注目することが重要であると結論した。
著者
海老沢 結 川原 晋 平田 徳恵
出版者
一般社団法人 日本観光研究学会
雑誌
観光研究 (ISSN:13420208)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.75-84, 2021 (Released:2022-06-04)
参考文献数
13

未指定文化財や文化財の周辺環境までを含む歴史文化資源を保全・活用していくためには,行政のみならず,地域全体での取り組みが必要とされる。本研究では,民間アーカイブズの担い手,かつ,未指定文化財等の所有者であり,文化財にふさわしい活用の担い手になる可能性が高い存在として偉人子孫に着目し,その全国の基礎的動向を把握した。また日野市新撰組の子孫をケーススタディとし,子孫が果たしてきた役割や特徴を行政の活動と比較しつつ明らかにした。偉人子孫は,歴史文化資源を伝承とともに継承してきた存在であり,個人史的解説をするなど,行政博物館と歴史の解説手法に違いがあることや,それが観光的魅力となっていることを示した。
著者
小井土 守敏
雑誌
大妻女子大学紀要. 文系
巻号頁・発行日
vol.48, pp.53-75, 2016-03
著者
設楽 博己
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.17-44, 2003-10-31

東日本の弥生文化は西日本からの影響のもとに形成されるという観点が,これまでの研究の主流を占めてきた。しかし,東日本における弥生文化の形成は,西日本からの一方的な影響だけで説明できず,地域相互の絡み合いの中から固有の地域文化が成立してきたという視点が重視されつつある。本稿は弥生文化圏外の北海道を中心として展開した続縄文文化である恵山文化ならびにそれに先立つ時期の文化と中部日本の弥生文化との地域を越えた相互交流を,墓制を構成する文化要素を中心に経済的側面をまじえて考察した。東日本の縄文時代から弥生時代に至る経済的,文化的な画期は,①縄文晩期後葉の大洞A式期に稲作を含む西日本の新たな文化の情報を獲得し,②縄文晩期終末の大洞A´式に続く砂沢式期,すなわち弥生Ⅰ期に水田稲作を導入し,試行錯誤を経て③弥生Ⅲ期に大規模な水田の経営を達成する,というように概括できるが,そうした諸段階と連動するかのように,北海道と中部日本の弥生文化には遠隔地間の相互交流が認められる。①,②の画期には,恵山文化およびそれに先立つ時期の墓に中部日本の再葬墓に付随する要素が認められる一方,恵山文化で発達した剥片や小型土器の副葬が中部日本に認められ,そうした交流を経て③の画期には再葬墓に特有の顔面付土器の要素が恵山文化に受容された。弥生Ⅲ期は東日本で本格的な農業集落が成立した大画期であり,弥生Ⅳ期にかけての太平洋沿岸では北海道から駿河湾に及ぶ交流を,土器の動きや回転式銛頭の南下・北上から跡づけることができる。北方系文化が南関東の農業集団の漁撈活動に影響を与えていたことと,農耕集落の組織編成が漁撈集団との関わりのなかで進行した可能性が指摘できるのも重要である。こうした稲作以外の面での相互交流が道南地方と中部日本の間に築かれていたことは,恵山文化の性格のみならず,東日本の弥生文化の性格を理解する上でも看過できない点である。
著者
宮﨑 和廣
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.47-49, 2019-02-01 (Released:2019-04-25)
参考文献数
3

今回,8 歳女児の足底疣贅にナスの皮密封貼付療法を行い,患児の母親がスマートフォン(以下スマホ)写真で経過を追い著者に提供してくれた。説得力のある画像をこのまま埋もれさせるのは惜しく,報告するのは引退前の臨床医の義務と考えた。 なお,本療法の特徴は痛くない上,治療中,治療後の再燃がないことである。また,過疎地で,遠方からの通院自体が難しい患者には今回のように「スマホでの経過観察,指導」ができるのも本療法の利点の一つである。
著者
朴 大栄
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST.ANDREW,S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.81-108, 2015-07-27

This paper discusses "the principle of dual responsibility," one of the basic principles in auditing theory. "The principle of dual responsibility" assumes that financial statements are the responsibility of the company's management and that the auditor's responsibility is to express an opinion on the fair presentation of financial statements based on his or her audit. Actually, it means the "division of responsibility." The expression "the principle of dual responsibility" seems to have taken root in auditing theory texts in Japan from the 1960s. However, it is not apparent why "dual" responsibility is refered to, instead of "division" of responsibility between management and the auditor. In addition, this expression is widely used in textbooks on auditing in Japan but it is not discussed as a principle in American texts. What's the difference between them? As complications under current accounts, there are various issues concerning accounting estimates and uncertainty of measurement. Management is required to use good judgment in the selection and application of accounting principles. Shareholders and investors require the auditor to provide much more information in the auditor's report. Whenever an auditor includes specific information on uncertainties in his report, it may be inconsistent with "the principle of dual responsibility." What is the difference between Japan and the United States in relation to "the principle of dual responsibility"? Is the provision of specific information on uncertainties in an auditor's report against "the principle of dual responsibility"? That is the theme of this paper.
著者
知念 渉
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.552-564, 2022 (Released:2023-04-25)
参考文献数
23

大学ランクや学部学科の専攻における男女差を分析した従来の研究は、大学ランクと専攻を別々に分析してきた。しかし、大学ランクや専攻、浪人という選択などの多様な変数を同時に考慮しなければ、大学進学とジェンダーの関係性はみえてこないのではないか。そこで本稿では多重対応分析を用いて、それらの変数間の「関係の網」を再構築する。その結果、人々の「合理的な選択」を促してジェンダー不平等を持続させる制度的文脈が明らかになる。