著者
高橋 良和 日比 雅一 家村 浩和
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
応用力学論文集 (ISSN:13459139)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.701-708, 2005-08-22 (Released:2010-06-04)
参考文献数
27
被引用文献数
2 7

From the results of the past experiments, it is reported that the friction force and coefficient of frictional isolators are strongly dependent on the sliding velocity and pressure.In addition to them, the temperature is also the important factor for the property of materials.In this study, based on the tribology theory, a numerical model for frictional isolators, which consist of PTFE and SUS, is proposed. Compared with the experimental results of the shaking table tests, it is found that the model can simulate well the behavior of frictional isolators under variational normal pressure, sliding velocity and displacement.
著者
上田 錠 永井 梓 稲垣 麻優 藤村 高史 平田 陽祐 辺 奈理 三宅 健太郎 竹内 直子 水落 雄一朗 有馬 一
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【はじめに】ニセクロハツは北米、台湾、中国、日本に発生するが、発生環境や色、形が食用のクロハツと類似しているため、誤って摂取後、中毒症状を呈する。ニセクロハツのもつ毒性分である2-シクロプロペンカルボン酸により、摂取後嘔吐や下痢などの消化器症状を生じ、その後に中枢神経症状、呼吸不全、横紋筋融解症、急性循環不全、急性腎不全などの症状を呈し、重症例では多臓器不全となり死亡例も報告されている。【症例】75歳の男性、自分で採取したニセクロハツを摂取した後に嘔吐・下痢の消化器症状を認め、深夜に前医に救急搬送された。入院時は意識清明、歩行可能であったが、摂取後2日目より意識レベル低下、呼吸・循環不全となり、人工呼吸管理、カテコラミン持続投与開始された。その後乏尿、代謝性アシドーシスの進行あり、全身管理目的で同日当院転院搬送された。当院搬送後の採血にてCK38100と高値で赤褐色尿を認めており、横紋筋融解症による急性腎障害と判断して輸液療法、血液浄化療法を開始した。摂取後3日目に意思疎通がとれるまで意識レベルの改善を認めたが、CKは上昇し続け摂取後6日目に203800IU/Lまで上昇した。大量輸液、高容量の昇圧剤投与にても循環維持困難となり、再度意識レベルも低下した。摂取後7日目に家人同意のもと積極的な治療を継続しない方針となり血液浄化療法を中止、その後数時間で多臓器不全のため永眠された。【考察・結語】ニセクロハツ摂取後全身管理を要し、重篤な経過をたどった症例を経験した。ニセクロハツ中毒の報告は過去に数例と少なく、現状では確立した治療法はない。極めて希な中毒症例であり、文献的考察を加え報告する。
著者
岩佐 光啓 中村 絵理 丸山 真澄 山下 伸夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第55回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.15, 2003 (Released:2003-08-01)

駆虫剤イベルメクチンは,牛の内部寄生線虫の駆虫とノサシバエなどの外部寄生虫の駆除に効果があるとされているが,牛糞に残留するため,放牧地において糞虫や糞食性ハエ類などの糞分解性昆虫の発育や繁殖を抑制して糞の分解消失を遅らせることが海外で報告されている.日本で広く使用されているイベルメクチンをポアオン法で5頭の牛に処理し,それらの糞を用いて糞食性ハエ類と糞虫類の発育,発生,羽化等に及ぼす影響及び牛糞の有機物消失に及ぼす影響を調べた.マエカドコエンマコガネは,野外で処理区の糞に誘引されやすく,育児球をより多く形成したが,羽化率は低下した.キタミドリイエバエとノサシバエの幼虫は,処理区では投与後1,3,7,14日目の糞ですべて死亡し,21日目まで影響が現れた.野外に7日間放置した牛糞から発生したツヤホソバエ科,ハヤトビバエ科などの糞食性ハエ類の個体数は,処理区で著しく減少した.野外に7日間放置した牛糞の有機物残存率は,対照区より処理区で高くなった.
著者
松葉 満江 石井 紀明 中原 元和 中村 良一 渡部 輝久 平野 茂樹
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.346-353, 2000-07-15 (Released:2011-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
5 6

誘導結合プラズマ質量分析法を用いて61種の海洋生物中のウラン濃度を定量するとともに沿岸水も分析して被曝線量推定に重要なパラメータである濃縮係数を算定した。海洋動物の軟組織中においてウラン濃度は, 湿重量当たり0.077から5040ng/g生の範囲にあり, 生物種の違いや部位でウラン濃度が大きく異なった。頭足類のエラ心臓には高濃度のウランが含まれていた。特にマダコのエラ心臓が最も高い値を示したが, 沿岸水のウラン濃度の平均値は3.1ng/mlであったので濃縮係数は1.6×103と計算された。海産魚の硬組織中のウラン濃度は軟組織よりも高く, 硬組織の存在割合が個体中のウラン濃度を支配していると考えられた。海藻中のウラン濃度は湿重量当たり2.0-310ng/g生の範囲にあったが, ワカメが最も高い値を示し濃縮係数は102と計算された。
著者
大和 英理加 後藤 春彦 吉江 俊 林 書嫻
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.88, no.810, pp.2336-2347, 2023-08-01 (Released:2023-08-01)
参考文献数
20

This research focuses on the Defensive Architecture(DA), which prevents people from staying in public spaces, and collects and categorizes them through workshops. The first WS revealed the presence of 21 different DAs. The second WS defined the “depth of nonrecognition” and the 21 DAs were divided into 6 stages. Furthermore, the field survey revealed that there are three types of Defensive Environments with spatial extents in which multiple DAs act to alienate squatters. The study of “Defensive Architecture” is a good clue for us to think about how to use public space.
著者
百島 則幸
出版者
富山大学水素同位体科学研究センター
雑誌
富山大学水素同位体科学研究センター研究報告 = Annual Report of Hydrogen Isotope Research Center, Toyama University (ISSN:09168486)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-10, 2000

Environmental tritium was first observed in a helium fraction at a liquid air production facility in Germany in 1949. During the 1950s and early 1960s, huge amounts of artificial tritium were released into the atmosphere by nuclear testing. The environmental tritium level increased to more than 200 times the natural tritium level. Since the signing of a test ban treaty in 1963, the environmental tritium level has decreased, and analysis of recent Japanese rain samples has shown that the environmental tritium level is close to that before the nuclear testing. Tritium released from nuclear bombs into the atmosphere has been used as a global-scale tracer in studies on water mass movement in the ocean, groundwater flow and atmospheric air mass movement. Useful and valuable results have been obtained in those studies. In the atmosphere, tritium exists in three different chemical forms: hydrogen (HT), water vapor (HTO) and hydrocarbons (CH3T). The concentration of HT the highest, followed by those of CH3T and HTO. The most interesting feature of these chemical species is their significantly different specific activities. HT has 106 TU, CH3T has 104 TU and HTO has 10 TU, suggesting that HT and CH3T have been released from nuclear facilities. Vegetation is sensitively responds to a change in environmental HTO level by rapid exchange of water molecules between leaf water and atmospheric water vapor. HTO vapor released into the air slowly contaminates soil water. A nuclear fusion facility is planed to use a large quantity of tritium that is comparable to natural tritium on the earth, indicating the necessity to maintain tritium in a nuclear fusion facility and the necessity to carefully monitor the environmental tritium level.

17 0 0 0 OA 旅みやげ

著者
川瀬巴水 画
出版者
[渡辺版画店]
巻号頁・発行日
vol.第1集, 1919
著者
三浦 耕吉郎
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究 (ISSN:24340618)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.54-76, 2014-12-10 (Released:2018-10-30)

日本の原子力政策の渦中で産声をあげ,東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故以降も,その多義性と曖昧性を武器に「原発の安全神話」や「放射線安全論」を人びとの心のなかに浸透させていく役割を担ってきた「風評被害」という言葉。本稿では,「風評被害」という名づけの行為に着目しつつ,現代日本社会におけるこの語にまつわる複数の異なる用法を批判的に分析し,その政治的社会的効果を明らかにする。第1には,「風評被害」という用語が,①生産者側の被害のみに焦点をあて,消費者側の被害や理性的なリスク回避行動をみえなくさせている点,及び②安全基準をめぐるポリティクスの存在やそのプロセスをみえなくさせている点である。第2には,「放射能より風評被害の方が怖い」という表現に象徴される,健康被害よりも経済的被害を重視する転倒が原子力損害賠償紛争審査会の方針にも見出され,本来の「(原発事故による)直接的な被害」が「風評被害」と名づけられることによって,放射線被曝による健康被害の過小評価や,事故による加害責任の他者への転嫁がなされている点。第3には,「汚染や被害の強調は福島県への差別を助長する」という風評被害による差別への批判が,反対に,甲状腺がんの多発という事実を隠蔽することによって甲状腺がんの患者への差別を引き起こしている,という構造的差別の存在を指摘する。
著者
池田 孝則
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.6, pp.527-538, 2003 (Released:2003-11-20)
参考文献数
35
被引用文献数
33 39

イベルメクチン(ストロメクトール)は放線菌Streptomyces avermitilisの発酵産物アベルメクチン類から誘導された半合成の環状ラクトン経口駆虫薬である.イベルメクチンは線虫Caenorhabditis elegans(C. elegans)の運動性を濃度依存的に阻害した.C. elegansの膜標本には,イベルメクチンに高親和性の特異的結合部位が存在し,イベルメクチン類縁体のこの結合部位に対する親和性とC. elegansの運動抑制作用の間には,強い正の相関が認められたことから,イベルメクチンの抗線虫活性には,本部位に対する結合が重要であることが示唆された.C. elegansのpoly(A)+RNAをアフリカツメガエルの卵母細胞に注入すると,イベルメクチンにより不可逆的に活性化されるクロライドチャネルの発現が確認された.本チャネルの薬理学的性質から,イベルメクチン感受性のチャネルはグルタミン酸作動性クロライドチャネルであることが示された.このグルタミン酸作動性クロライドチャネルについては,2つのサブタイプ(GluCl-αおよびGluCl-β)がクローニングされ,それらがグルタミン酸作動性クロライドチャネルを構成していることが示唆された.以上の結果からイベルメクチンは,線虫の神経又は筋細胞に存在するグルタミン酸作動性クロライドチャネルに特異的かつ高い親和性を持って結合し,クロライドに対する細胞膜の透過性が上昇して神経又は筋細胞の過分極を引き起こし,その結果,線虫が麻痺を起こし死に至るものと考えられた.ヒツジおよびウシの感染実験において,イベルメクチンは,Haemonchus,Ostertagia,Trichostrongylus,Cooperia,Oesphagostomum,あるいはDictyocaulus属に対し,投与量に依存した強い駆虫効果を示した.糞線虫属Strongyloidesに感染したイヌ,ウマおよびヒトに対しても,駆虫活性が報告されている.本邦における第III相試験では,糞線虫陽性患者50例を対象に本剤約200 µg/kgが2週間間隔で2回経口投与された.投与4週間後に実施された2回の追跡糞便検査による駆虫率は98.0%(49/50例)であった.
著者
田中 喜秀 脇田 慎一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.137, no.4, pp.185-188, 2011 (Released:2011-04-11)
参考文献数
13
被引用文献数
21 16

ストレス適応障害,うつ病,慢性疲労症候群など,精神的ストレスに起因する疾病が社会問題化している.ストレス診断やメンタルヘルス対策では,問診や質問表という心理面からのストレス評価が中心であり,ストレスや疲労の定量化・指標化が強く求められている.ストレス研究の歴史は古いが,ヒトを対象とした被験者実験の多くは,急性の精神的ストレスを対象に実施されてきた.慢性ストレスや精神的疲労の研究が精力的に行われるようになったのは最近のことであり,ストレスと疲労のバイオマーカーとして確証が得られたものはまだ存在しない.そこで,ストレス評価法の現状を紹介するとともに,指標として期待されるバイオマーカー候補を紹介する.
著者
角田 忠信
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.486-491, 1978-06-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
3

ひとの左脳は知的, 言語的な情報処理を担当するが, 右脳は非言語活動を担当している. 日本人では母音の音韻構造が特殊であることから感情音や自然音が左脳に偏より, これによって左脳が情動に関与するようになる. 西欧人や他のアジア人では情動は右脳が主役を演じている. 日本人では母音や自然音に含まれる僅かのFM音に対して鋭敏に左脳で応じるが, 他の国民は子音の音形に対応した形にのみ左脳で応じる. 日本の文化の特徴は脳の働きからも説明できると結論した.