著者
長塚 隆
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.155-162, 2020
被引用文献数
2

<p>近年,地域・自治体資料のデジタル化が進展しているが,どの程度デジタル化・オープン化されているかの把握は難しい.神奈川県の政令指定都市(横浜・川崎・相模原)を対象に,国立国会図書館デジタルコレクションやインターネット資料収集保存事業,および各市ホームページや図書館蔵書検索システムを使用してメタデータおよびデジタル資料を調査し,デジタル化とオープン化の進展を推測し,国立国会図書館と公共図書館との連携のあり方など今後の課題について考察した.</p>
著者
中井 三留 足立 俊明 岩下 弘一 上野 一男 山本 和広 戸田 暢茂
出版者
名古屋工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

理想境界の一般理論の構成を目指す本研究の第一段階として,本年度の研究目的とした,固有境界と空間及びその上の諸種の調和構造が特定の理想境界とどの様に係わるかを明らかにする間題に於て,特に理想境界をロイデン境界に取った場合に以下のような成果を得た.n次元ユークリッド空間R^n内の単位球B^nのpロイデン調和境界Δ_p(B^n)(1<p≦n)の連結性が,B^n上非定数のpディリクレ積分有限なp調和測度,或は更に一般の指数をpとするA調和測度,が存在しないと言うコンデンサー問題の否定的解決と同等となることを示した.ついでΔ_p(B^n)が連結となる必要十分条件は2≦p≦nであると言う決定的な結論を得た.1くp〈2の時Δ_p(B^n)の非連結の度合を,B^n上に常にpディリクレ積分無限なA調和測度が存在すると言う形で,最初はn=2に対し,ついで一般のn≧2について明らかにした.B^nを一般化してリーマン多様体Mをとるとき,その上の(n-1)次のドラムコホモロジーが0で,更にMがビルタネン性を持つならば、2≦p≦nのときΔ_pp(M)が連結となると言う形の一般化も行った.特にビルタネン性を詳しく調べ,B^nnの幾何学的形状の一般化を考察した、その結果,B^nを特別な場合として含むものとして,R^nの部分領域Gで,星型であるか,又はGの境界∂Gが連結で局所的にみてグラフ状曲面からなる場台にも,2≦p≦nであるならば,Δ_p(G)がまた連結となることが分かった.更に別の見地からの進展として,MをC^∞級の完閉境界∂Mを持つC^∞級のり-マン多様体とするとき,2≦p≦nの時かつその時に限り,M上の全ての指数pのA調和測度はMの閉包==MU∂M迄連続に拡張できて,∂Mの各連結成分の上で1又は0となると言う結果も得た.
著者
森川 高行 田中 小百合 荻野 成康
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.569, pp.53-63, 1997-07-20
参考文献数
6
被引用文献数
7 12

非集計行動モデルに代表される合理的選択モデルは, 社会の中における他者の影響を無視した狭義の合理性に基づいたものであるが, 今後の公共計画や政策の評価には社会的相互作用下の行動や評価の分析が不可欠と考えられる. 本研究は, 社会的相互作用のもとでの人間の合理性に着目した個人選択理論の再構築を試み, 他者の効用レベルを考慮した離散型選択モデルの一手法を提案することを目的とする. また, 提案したモデルを都市における自動車利用自粛行動の意識分析に適用している.
著者
梅村 坦
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho
巻号頁・発行日
vol.59, no.1・2, pp.01-031(226~256), 1977-10

The process of the penetration by the Mongols into the Turfan basin, territory under the control of .the Uighur Iduq-qut, has been studied by several scholars. However, since previously unstudied Uighur documents with Forfeiture Clauses have recently been brought to light (by the author in The Toyo Gakuho, 58-3/4, 1977.) and because certain other indispensable but previously neglected Chinese sources require examination, it seems appropriate to reopen the subject.Each of these nine Uighur documents (doc. I-IX) [see Table (1)] contains many titles. For example, the Blessing Clause of doc. VIII, dated 1280 A. D., mentions a number of official ranks in the following order [see Chart (1)]: uluγ suu—the Mongol Emperor; aqa-ini-oγul-lar—the Emperor’s brothers and Emperor’s sons; bägädlär—begs; ančašï-lar (按察使 An-ch’a-shih and his men)—a kind of official and his entourage dispatched from the Emperor’s court; and šaz-ïn (沙津 Sha-chin, skr. Śāsana) ayγučï—a kind of religious leader. This order is not that decided by political authorities, and therefore seems to indicate that a native of the Turfan basin originally arranged it and published this document by himself.Šaz-ïn ayγučï seems to originally have referred to a native Turfan religious leader. However, according to the Forfeiture Clause of the same document and to an Imperial ordinance issued by Shih-tsu 世祖 in 1276 A. D. which is recorded in the T’ung-chih t’iao-ko 通制条格, the šaz-ïn ayγučï were under the direct control of the Mongol Emperor in the latter half of the 13th century.Some Forfeiture Clauses include other titles not listed in the Blessing Clause of doc. VIII [see Tables (2), (3)]. There are two features common to all the Forfeiture Clauses: the higher ranking officials receive higher forfeits than lower ranking ones, and the total sum of the forfeits is too high to be paid by a person wanting to cancel a contract. Thus, the Forfeiture Clause may have been only a general formulation.It should be noted that the title bäg, which ranks rather high in the Blessing Clause of doc. VIII, ranks low in all the Forfeiture Clauses. Concurrent investigation of many Uighur documents and the Chinese sources leads one to the conclusion that the term bäg had two meanings. The high ranking bäg in the document probably referred to the official bäg, and the appearance of low ranking bägs in the Forfeiture Clauses can be explained by reference to influential persons within the native society.The highest political authority changed hands—from the Uighur Iduq-qut to the Mongol Emperor—at about the middle of the 13th century. The person of the Iduq-qut, however, seems to have continued to be respected as a descendant of the fifth son of Chinggis Khan until the latter half of the 13th century. Doc. VIII is especially interesting in that its Forfeiture Clause includes the title of the Iduq-qut, but its Blessing Clause does not. This fact suggests that the Iduq-qut maintained nominal authority as late as 1280 A. D., but that he had lost any actual power to control the Uighur society.Finally, the author presents a diagram which shows the mutual relations of every official title appearing in the documents [see Chart (3)].
著者
豊田 堅二
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.41-45, 2017 (Released:2018-03-02)

カメラの主要な構成要素であるシャッターは,デジタルカメラの時代になってもその役割に変化はないが,技術的な側面はさまざまに変化してきている.本稿ではその解説の第1部としてシャッターの機能の基礎的な事項とシャッター効率について論じる.
著者
猿橋 裕子 長崎 信浩 木平 孝高 広瀬 雅一 佐藤 英治
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
pp.2020-053, (Released:2020-11-27)
参考文献数
2

臨床の現場で活躍する薬剤師を育成するにあたり,薬物療法の実践能力を修得することは非常に重要である.福山大学では,実務実習セミナーを通し,実習期間中に様々な施設で実習をしている学生及び,教員がともに集まり,討議をすることで,学生間の情報共有を可能とし,また発表内容を「薬物療法の実践」に焦点化することで,学生の薬物療法に係る能力を醸成してきた.しかし,COVID-19パンデミック下で,対面による実務実習セミナーが困難となり,ビデオ会議システムを用いた実務実習セミナーを実施した.ビデオ会議システムを用いることの利点,デバイスの問題への対応,自宅からの参加ならではの副次的効果,さらに,今後の可能性について紹介する.
著者
植田 仁 鳥邊 泰久 桑江 優子 竹内 真 中山 雅弘 位田 忍 岡本 伸彦 鈴木 保宏
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.499-504, 2003-11-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
17
被引用文献数
1

我々は嘔吐, 意識障害で発症し亜急性の経過で死亡したクリプトコッカス髄膜脳炎の11歳女児の剖検例を経験した.入院時髄液検査にて軽度の細胞増多, 糖の低下および蛋白の上昇がみられ, 検鏡では厚い黄膜に包まれた球形の菌体 (Cryptococcus neoformans) を認めた。頭部MRIでは大脳基底核部にT2強調画像で高信号域を示す点状一結節状の多巣性病変と脳表面における点状線状の造影効果を示した.クリプトコッカス髄膜脳炎と診断し抗真菌剤の治療を開始したが, 入院数時間後に死亡した.剖検所見では大脳基底核を中心に集簇した血管周囲腔の拡大像と血流のうっ滞を伴う強い髄膜炎像を認めた。頭部MRI所見はクリプトコッカス髄膜脳炎の病理学的変化をよく反映していた.
著者
福森 信隆 安藤 弘 久保 喜一 湯澤 勝廣 長澤 明道 高橋 博 矢野 範男 不破 達 大橋 則雄 小縣 昭夫
出版者
特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会
雑誌
化学生物総合管理 (ISSN:13499041)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.58-65, 2010 (Released:2010-05-28)
参考文献数
9

東京都によるいわゆる脱法ドラッグ条例の制定と国による追随の結果、未規制薬物市場においては化学系違法ドラッグが減少する代わりに、植物系ドラッグが増加している。今回、リゼルグ酸アルカロイドの含有が疑われる市販品のハワイアンウッドローズ種子からの抽出液をマウスに経口投与して、行動及び神経症状に対する影響について我々が開発したスクリーニング試験法を用いて調べた。高用量群で、首振り運動や鎮静作用、音に対する外界反応の亢進、痛反応及び払いのけ反射の増強等がみられた。これらの変化には、脳内セロトニンの消長が関与するものと示唆された。
著者
中川 幹子
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

心臓の冠動脈の太い血管には狭窄がなく、微小な血管の循環障害により起こると考えられている微小血管性狭心症は、中年女性の胸痛の原因として注目されているが、確立された診断法や治療法はない。若年健常男女を対象に、心エコー法を用いた冠血流予備能の測定を行い、漢方薬の桂枝茯苓丸の効果を検討した。桂枝茯苓丸の内服後に冠血流および冠血流予備能は有意に増加した。桂枝茯苓丸は冠血流予備能を増加する可能性があることより、微小血管性狭心症の治療薬としての有用性が期待される。
著者
佐々木 津 福島 淳 奥田 研爾
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.407-424, 1998-05-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
83
被引用文献数
1

この数年の間にワクチン研究の分野で新しいアプローチが確立された。微生物の抗原遺伝子を動物に接種すると生体内で抗原タンパクが合成され, 抗原特異的な液性・細胞性免疫を誘導することができ, かつ接種を受けた動物は微生物に対する防御的免疫を獲得するというものである。この新しいワクチンの手法はDNA vaccination, genetic immunization などと呼ばれ, 従来のワクチンにはない様々な特徴を備えていることから多くの研究者の関心を集め, 急速に知見が蓄積されつつある。この免疫法の邦語訳はまだ定まっていないようであるが, この総説ではDNAワクチンと呼ぶ。DNAワクチンの特徴としては強力な細胞性免疫の誘導能という生ワクチンの長所と, 生きた病原体を使用しないため安全性が確保されるというペプチドワクチンの長所を具備している点があげられる。合成が容易で保存性に優れ, 経済性, 長期にわたる免疫反応が持続するなどの面で従来のワクチンより優れており, 次世代のワクチンとして脚光を浴びている。本総説ではこの新しい免疫法に関する研究の最近の動向を総括し, われわれが進めているヒト免疫不全ウィルス (HIV) を対象としたDNAワクチンの研究にも触れながら今後の課題と展望について述べる。
著者
森 昭暢
出版者
日本有機農業学会
雑誌
有機農業研究 (ISSN:18845665)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.40-50, 2020-07-31 (Released:2020-11-30)
参考文献数
3
著者
森川 暢 松本 真一 本橋 伊織 竹本 文美
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.77-79, 2020-06-20 (Released:2020-06-23)
参考文献数
6
被引用文献数
1

東京城東病院に平成27年から総合診療科が設立された.総合診療科は全ての領域の内科病棟診療,内科初診外来,内科救急を担い院内の中心的存在となった.さらに,慢性疾患の管理,地域包括ケア病棟でのリハビリテーションや緩和ケア,退院支援など多種多様な役割を果たし同院にとって欠かせない存在となった.東京城東病院における総合診療科の歴史と活動の変遷を報告し小規模病院における総合診療科の有用性について論じる.
著者
金 基淑 藤木 澄子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.172-177, 1984-03-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

1) 梨果汁はこれに肉を浸漬することにより肉の軟化効果をあらわすことが認められた.2) 肉軟化の要因はプロテアーゼの存在のためと推測し, その抽出を試み, 抽出した粗酵素について若干の性質を調べた。i) 粗酵素活性の至適pHは5.5で, 梨汁のpHとほぼ一致している.ii) 粗酵素の至適温度は50~55℃で55℃を越すと活性が急速に低下するから, 加熱調理の初期の段階で強く働くものと思われる.iii) 本酵素はHg2+, Ag+, Cu2+等の重金属イオンによって活性が強く阻害された.また, 活性の発現にはD.T.T.システイン, あるいはメルカプトエタノール等のSH基保護試薬を必要とすることから, パパイン, ファイシン, プロメリソ等の植物起源プロテアーゼと同様にSH酵素であろうと思われる.3) 肉軟化効果は梨汁の場合よりも梨抽出粗酵素溶液を用いた場合のほうがよりいっそう顕著であった.4) 粗酵素の筋原繊維タンパク質への影響を調べたところ, ミオシンが反応時間の経過とともに分解されていくことが認められた.これは肉軟化の大きな要因であると考えられる.5) 肉組織の観察の結果から, 粗酵素溶液の肉基質タンパク質への影響もみられた.6) 筋漿タンパク質についても粗酵素によるプロテオリシスがみられた.
著者
黄 當時
出版者
佛教大学文学部
雑誌
文学部論集 = Journal of the Faculty of Letters (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
no.102, pp.1-26, 2018-03

古代日本語の船舶の名称やそれに由来する語彙には、日本語一視点のみでは正確に理解できないものがある。これらの単語には、適切な海の民の視点、具体的には、彼らが用いたであろう言語や文化についての知識を持てば正確に理解できるものがある。茂在寅男氏は、『記』『紀』の中に古代ポリネシア語が多く混じっている、と述べ、井上夢間氏は、「枯野」等の言葉とカヌーとの関係について、ハワイ語を用いて簡潔に説明したが、その知見は、言語面からの研究に突破口を開くものであった。小論では、「天照(あまてる)」は「天(アマ)-照(テル)」の意味構造であること、「天(アマ)」「照(テル)」はそれぞれポリネシア語の「ama」 outrigger、「taurua」 double canoeを漢字で書き記したものであり、両者を合わせた「天(アマ)-照(テル)」(ama-taurua)は「アウトリガー・フロート付き双胴船」を意味すること、などを解明することができた。古代の日本語の問題を考えたり、古典を読み解くのに、中国語やポリネシア語等の外国語の知識や、船舶・航海の知識が役に立つという認識は、やがて常識となるのではないか。天照天鳥船/天鴿船/天磐船天岩戸天照大神坐舟天足
著者
伊藤 孝一 Koichi Ito
出版者
淑徳大学人文学部紀要委員会
雑誌
研究論集 (ISSN:21895791)
巻号頁・発行日
no.3, pp.85-96, 2018

日本のテレビ放送が始まって64年が経ち、テレビはメディア・コミュニケーションの中心的な役割を担い、人々に大きな影響を与えてきた。テレビ番組のなかで、報道やスポーツとならぶ大きな存在であり、大衆文化を先導してきたのがドラマである。今日、インターネットやスマートフォンの普及によるデジタルネットワーク社会の進展やオーディエンスの視聴環境がドラマの企画や表現の創造性="クリエイティビティ"に大きな影響を及ぼしていると思われる。ドラマは「時代を映す鏡」といわれて久しいが、時代とドラマの創造性="クリエイティビティ"との関係に視点をおき、現在のテレビドラマにおけるクリエイティビティを考察する。