著者
友野 隆成 橋本 宰
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.220-230, 2005-03-31
被引用文献数
4

本研究では, 改訂版対人場面におけるあいまいさへの非寛容尺度(Revised Interpersonal Intolerance of Ambiguity Scale; IIAS-R)を作成し, その信頼性および妥当性の検討を行った.研究1では, 自由記述調査の結果をもとに項目を作成し, 確認的因子分析により初対面の関係におけるあいまいさへの非寛容, 半見知りの関係におけるあいまいさへの非寛容, 友人関係におけるあいまいさへの非寛容の3つの下位尺度を構成した.また, 得点分布や記述統計量の確認を行った.そして, 内的整合性を検討し, ほぼ十分な信頼性(α=.65∿.77)を得ることができた.研究2では, IIAS-Rの各下位尺度と対人不安尺度, 独断主義尺度との相関を検討し, ある程度の構成概念妥当性(r=.22∿.52)を確認することができた.研究3では, IIAS-Rの3ヶ月間の再検査信頼性を検討し, ほぼ十分な安定性(r=.66∿.73)を確認することができた.以上より, IIAS-Rは信頼性および妥当性を兼ね備えた尺度であることが示唆された.
著者
小谷 真理
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.24-34, 2008-04-10

飛浩隆「ラギッド・ガール」(<SFマガジン>二〇〇四年二月号に掲載)は、ある事情で放置されている仮想現実世界を扱った<廃園の天使シリーズ>の中編である。仮想現実世界は、<数値海岸(コスタ・デル・ヌメロ)>といい、<廃園の天使シリーズ>は、その創造と放棄と内部変化を描いている。もちろん仮想現実世界といっても、現実世界はあまりにも膨大なデータであるために、現実をそっくり写しとれるわけではなく、いわば仮設の情報集積所となっており、人間の似姿と人工知能が混在する世界として想定されており、インターネットに近い感触を持つ。「ラギッド・ガール」の「ラギッド」とは「ざらざらの」という意味。主要登場人物である安形渓の身体の異形を指している。物語は、体験や記憶がすべて体内に蓄えられながら生きる情報集積体たる渓の身体論を中心に、アガサとキャリバン、安奈と渓の関係を読み解きながら、現実世界、仮想現実世界、さらに仮想現実世界に内蔵されたサイバースペースという三つの空間にまたがって、性差とセクシュアリティの諸問題を投げかけ、人と人とのコミュニケーションについての問題を探求していく。この作品における女性の身体と性差の設定は、アメリカのSF作家ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの「接続された女」を彷彿とさせ、共通点が多い。特筆すべき要素は、女性身体をめぐる話題、「身体の醜さ」、「暴力」、「レズビアン・セクシュアリティ」である。そこで、本稿では、電脳空間を素材にしたサイバーパンク小説の先駆けと評される「接続された女」と、ポスト・サイバーパンク小説「ラギッド・ガール」を比較検討し、女性性、身体性、情報集積体としての性差について再考する。
著者
竹山 恵美子
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.794, pp.56-59, 2006-12-01
被引用文献数
1

マンゴーはポリフェノールを豊富に含むことから褐変しやすく加工上問題になることが多い。そこでカットマンゴーの褐変防止を目標に短時間で加熱ができる電子レンジを用い,より安全なポリフェノールオキシダーゼの離抑制艦みた。その結果200W40,50秒,600W15秒,900W15秒間電子レンジで加熱すると褐変の抑制が可能であることが認められた。
著者
入交 昭一郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.928, pp.118-120, 1998-02-16

問 自動車産業からゲームの世界に転じて5年、今回は社長を引き受けたわけですが、そもそもなぜ、この産業に身を投じたのですか。 答 ゲーム産業の持つポテンシャル(潜在力)が高いと思ったからです。例えば普通の男性であれば、F1(レース用の自動車)やジェット戦闘機に乗りたいと思っている人は多いと思うんですよ。でも、その99.99%は一生チャンスがない。
著者
根本 裕史
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1168-1172, 2008-03-25

本稿は,ツォンカパ・ロサンタクパが中観帰謬派の時間論をどのように再解釈し,そこにいかなる独自性を見出そうとしたかを考察するものである.彼によると,帰謬派は未来,現在,過去の三つの時間をいずれも実在と見なしている.つまり,彼の理解する帰謬派説では,現在のみならず未来(事物の未生起状態)と過去(事物の消滅状態)もまた,原因によって生み出され,かつ,自身の結果を生み出しつつ消滅するというのである.こうした考えは毘婆沙師の三世実有説を連想させるものであるが,ツォンカパによると帰謬派の時間論は三世実有説とは相容れないものである.なぜなら,毘婆沙師は事物が三つの時間を通じて同一性を保ちつつ存続することを主張するのに対し,帰謬派は経量部等と同じ過未無体の立場を取っており,事物は現在にのみ存在すると主張するからである.さらにまた,未来と過去を実在と見なす帰謬派説は,それらを非実在と見なす経量部,唯識派,自立派の説と対照をなすものである.ツォンカパによれば後者の三学派は,事物が未だ生起していない時と既に消滅した時にいかなる実在も見出されないことを根拠に,未来と過去は非実在であると結論する.一方,「自性によって成立した物」を全く認めない帰謬派の立場においては,未来や過去として特徴づけられる実在が探し求められなくとも,それらを実在であると見なすことができる.すなわち,事物の未生起状態と消滅状態はいずれも原因によってもたらされるものであるゆえに,それらは実在に他ならないと結論されるのである.こうしたツォンカパの説明が如実に示すのは,一切法無自性の立場に立つ帰謬派だからこそ,未来と過去を実在と捉えることができるのだという事柄である.
著者
三宅(志柿) 禎子
出版者
岩手県立大学
雑誌
岩手県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:13448528)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.81-88, 2004-03-30

In Puerto Rico, the women started to keep their distance from the divisive political issue of the island's status as a US territory when they united to address women's issues. This has caused the established parties to rethink their politics and also has accelerated the argument objectively about the island's political status. Meanwhile, in the US, the influence of Puerto Rican women is felt in grass roots movements and in women of color movements. They have added their Latina perspective to the mainly white middle class American feminist movement. Also, with their different circumstances and concerns, they are a new addition to the Puerto Rican national identity. Both on the island and in the mainland US, Puerto Ricans are creating a new paradigm in politics. Their movement is growing rapidly in the group of minorities in sovereign nations and in feminism on the outskirts of a sovereign nation. We can recognize the case of Puerto Rican women as one of post colonial feminism.
著者
田邊 稔
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.230-237, 2014-06-01

今まさにシステムライブラリアンというポジションを目指している人や現在図書館のシステムを担当している人,現状スキルはないが将来システムに携わってみたい人が,これから何を学び,どのように行動し,次のステージに向けて準備すればよいのか。筆者の26年のシステム屋としてのキャリアと,そのうち13年のシステムライブラリアン経験を踏まえて,勝ち残れるスキルおよびキャリアとは何か?を掘り下げ,徹底的に自分と向き合い,成功を引き寄せる方法を模索する。
著者
中澤 高志
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.59-81, 2010
参考文献数
46

大分市では,新産業都市への指定を機に人口が増加し,その受け皿として多くの郊外住宅地が形成された。本稿では,大分市の郊外化の過程を跡付けるとともに,ある郊外住宅地の住民像とそこにおける世代交代の現状を把握し,子世代の動向や親世代の意向に基づいて今後の変容について展望した。大都市圏の郊外住宅地と同様に,対象世帯のほとんどはホワイトカラーの夫と専業主婦からなる核家族世帯であったが,夫に関しては,転勤を契機として大分市に住み始めた者が多い点が特徴的である。対象世帯のほとんどは現住居への住み続けを希望しているが,住民の高齢化に伴って日常生活に不便をきたすことが懸念される。大分市内に居住する既婚の子世代の大半は親と別居しており,半数以上はすでに自分で持家を取得している。したがって,子世代が親世代の住居を継承して住むことはそれほど期待できず,長期的には空き家の発生などが懸念される。一方で,世代間の社会階層の再生産はなされており,大分市内に居住する子世代には,ホワイトカラー層が多く居住する大分市の西部に居住地を選択する傾向がみられた。このことは,都市内部の居住地域構造が,子世代の居住地選択を通じて世代を超えて引き継がれていく可能性を示唆している。
著者
小林 元気
出版者
留学生教育学会
雑誌
留学生教育 (ISSN:13452398)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.59-68, 2017-12

2000 年代の後半から,「内向き」という言葉が,若者の海外志向の低下という文脈において,特に,海外留学者数の減少の原因として語られるようになり,政府の海外留学政策の基本認識としても定着している。本論は,そのような「内向き」イメージが社会的に構成されたものであるとの前提に立ち,新聞・雑誌記事の言説を分析した。結果,「内向き」イメージは,2009 年の政府資料をきっかけとして社会的に構成され,社会に定着したことが明らかになった。また,「内向き」言説の根拠として言及される日本人の海外留学に関する各種統計について,多様な留学の定義を整理しながら検討した結果,エリート層が中心となる長期留学が減少する一方,非エリート層中心の短期留学が増加していると考えられる点が示唆された。最後に,長期留学の減少について若者の「内向き」志向と一般化してしまうことの誤謬と,教育格差の視座から短期留学に着目する必要性について指摘した。
著者
上田 智也 江南 和幸 藤原 学
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.505-513, 2020
被引用文献数
1

<p>For the four paintings in the first volume of the Nara-ehon "Taketori Monogatari", made in the early Edo period (1661-1681), point and two-dimensional analyses were carried out with an X-ray analytical microscope at room temperature under atmospheric conditions. The fluorescent X-ray spectrum of the washi used confirmed the presence of small amounts of Si, P, S and K, and it was very similar to that of a Torinoko-gami that was quite expensive but common in Japan of the Edo era. By point analyses of the four paintings, various pigments, such as vermillion (HgS), minium (Pb<sub>3</sub>O<sub>4</sub>), marachite (Cu<sub>2</sub>CO<sub>3</sub>(OH)<sub>2</sub>), azurite (Cu<sub>3</sub>(CO<sub>3</sub>)<sub>2</sub>(OH)<sub>2</sub>), chalk (CaCO<sub>3</sub>), gold and silver, were found to be used. The point analyses were performed on the eight gray-blue areas in the four paintings. In all parts Co was detected together with Si, Fe and As. These results suggest that a cobalt ore with a high probability of smalt was selected for coloring gray-blue. There are three types of blue colorants in the fourth painting: azurite, indigo as a dye and the cobalt ore. It was confirmed that the production period of the Nara-ehon "Taketori Monogatari" was in the early Edo period consistent with its appraisal.</p>
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 佐々木 弘子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.178-185, 1996-08-20
参考文献数
13
被引用文献数
3

昆布だしの抽出法の迅速化・合理化・実用化を目的に、食品の新しい処理方法として加熱過程に超音波照射を併用した加熱抽出法を試み、昆布だしの溶出成分と嗜好の関係を調べ、好適な調製条件を検討した。1)超音波照射を併用した加熱法は対照の照射無しの加熱法に比べ成分溶出量がやや多く、良好なだしが得られた。2)超音波照射有りのだしは対照の照射無しのだしに比べ明度の低下が進行し、色差の値に差が見られ、照射の影響が認められた。3)だしの好適調製条件では、加熱時間は照射有りの場合8分間と対照の照射無しの場合15分間であった。これらだしは総窒素量・5'-ヌクレオチド・無機質の含量は近似値を示したが、照射8分間のだしは遊離アミノ酸が顕著に多く、嗜好的にも優れていた。その上、加熱時の消費電力量を28%低下させ有利であった。従って超音波を併用した加熱法は、従来の加熱法や浸水法よりも嗜好性に優れた昆布だしが得られ、抽出時間も短縮及び消費電力量も低減できることが示唆された。