著者
衣笠 泰介 児島 雄三郎
出版者
独立行政法人 日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
Journal of High Performance Sport (ISSN:24347299)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.44-52, 2020 (Released:2020-04-26)
参考文献数
35

The uniqueness of Paralympic sport or para-sport is evident in the practical tasks necessary for athletes with physical disabilities to participate in para-sport and to continue to being involved. Classification is also an unique system to promote para-sport participation by minimizing the impact of impairment on the outcome of competition. Thus, the inclusive and quality participation framework is needed, and the classification system is the integral part of the process of athlete development in para-sport. The aim of the study was to conduct an environmental scan in para-sport and discuss talent identification and development for Japanese Paralympic athletes. The National Talent Identification and Development (NTID) program in Olympic sport was strategically implemented by Japan Sport Council (JSC) in 2012 as a new national project to identify, confirm, and develop pathways of medal potential athletes. Before implementing the NTID program in para-sport, the 3C’s (Customer, Company, and Competitor) model was used as a marketing tool to analyze the current sporting environment in para-sport. Based on the current analysis, a biological and inclusive approach was taken in NTID by considering sports science testing and classification for para sports etc. Ten athletes were identified by National Federations from 56 participants over 2 years from 2017 to 2018, and they are currently aiming to become future medalists. Ultimately, NTID is an entry point to high performance sport and is a part of whole of the athlete development pathway for Japanese Paralympic athletes. In future, JSC will continue to work on talent identification and development programs with key stakeholders by integrating Olympic sport and para-sport to promote participation and increase the talent pool in para-sport.
著者
白尾 泰宏 小牧 順道
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100477, 2013

【はじめに、目的】上部体幹の不良姿勢として頭部前方位がある。この不良姿勢は頚部後方組織のメカニカルストレスの増大や、肩甲帯機能不全の主因とされており、その発生機序としてJandaが提唱する上部交差症候群といわれる筋のアンバランスが存在するといわれている。臨床上、腱板損傷やインピンジメント症候群等の肩疾患においてこの頭部前方位の不良姿勢が存在していることをよく経験する。今回の研究は、頭部中間位と前方位における肩甲帯周囲筋の筋活動を分析し肩甲帯機能への影響を調査するものである。【方法】健常成人11名(男性3名女性8名平均年齢31.5歳)を対象に、背もたれ付椅子に坐位となり利き手側肩関節中間位で90°屈曲し1kgの重錘バンドを手関節に乗せ、3秒間保持し頭部中間位、頭部前方位(5cm前方移動)での棘下筋、三角筋前部線維、前鋸筋、僧帽筋上部線維、僧帽筋下部線維の筋活動を調査した。頭部位置は椅坐位にて骨盤中間位としレッドコードを使用して矢状面での肩峰中心と外耳孔の位置を測定しそれぞれの頭部位置を決定した。筋活動分析にはキッセイコムテック社製コードレス表面筋電計MQ-AIRを使用し、測定筋の位置は、棘下筋は肩甲棘の中央下2横指、三角筋前部線維は肩峰前端と三角筋粗面を結ぶ線上の肩峰下2横指、前鋸筋は肩甲骨下角外側2横指、下1横指、僧帽筋上部線維は第7頸椎棘突起と肩峰を結ぶ中間、僧帽筋下部線維は肩甲棘内側と第8胸椎棘突起を結ぶ線上の肩甲棘内側を結ぶ上3分の2とした。測定筋はアルコール綿にて処理を行ないサンプリング周波数1000Hzにて測定した。得られたデータは同社製BIMUTAS-Videoにて解析し、1秒間の実効値(Root Mean Square RMS)を求めた。さらにKendall式徒手筋力テストにて各筋の最大筋力を測定し、1秒間のRMSを求め測定したRMSを最大筋力のRMSで除し%MVCを求め比較した。統計処理は頭部位置別筋活動測定値の級内相関係数(Intraclass Correlation Coefficient ICC)を求め、excel statcel 2を用いて二つの頭部位置間の比較にはpaired-t testを、各頭部位置における各筋の筋活動の比較は一元配置分散分析をおこない有意差を認めたのでBonferroniにて多重比較検定を行なった。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には事前に研究の趣旨を十分に説明し、同意を得た上で実施した。【結果】頭部位置別筋活動測定値のICCは棘下筋0.89、三角筋前部線維0.82、僧帽筋上部線維0.86、僧帽筋下部線維0.90で良好であった。頭部前方位では頭部中間位と比較し棘下筋、前鋸筋の筋活動低下と、僧帽筋下部線維の筋活動上昇に有意差がみられた(P<0.05)。また、頭部中間位では前鋸筋と僧帽筋下部線維間に有意差を認めた(P<0.05)が、頭部前方位では各筋活動に有意差は認められなかった。【考察】頭部前方位での前鋸筋の筋活動低下と、僧帽筋下部線維の筋活動上昇に有意差がみられたが、これはWeonら先行研究と同様の結果となった。その要因としてMcleanは頭部前方位では肩甲挙筋が過活動し、その拮抗筋である前鋸筋は相反神経抑制されるとしている。また、頭部中間位では前鋸筋が僧帽筋下部線維に比較し筋活動量が大きく有意差があり前鋸筋による肩甲骨安定化作用がみられるが、頭部前方位では僧帽筋下部の活動が増加し頭部中間位とは異なる肩甲骨安定化作用がみられた。したがって、僧帽筋下部線維の筋活動の増大は前鋸筋の代償作用と推察される。頭部前方位での棘下筋の活動性低下は肩甲上腕関節の求心位の低下を惹起し、さらに前鋸筋の活動低下による肩甲帯不安定性からouter muscle優位になり、肩甲上腕関節の回旋中心軸の変化が起こりImpingement症候群の一要因となる可能性が推察される。しかし、肩甲上腕関節の回旋中心軸の変化については筋活動からの推測であり、実際の上腕骨頭偏位の確認にはレントゲン等による比較検討が必要である。また今回の研究では肩関節挙上角度が90°のみであり、その他様々な角度や肩甲面での挙上による筋活動の検討が必要であると思われる。【理学療法学研究としての意義】肩甲上腕関節の障害では肩甲帯の位置異常が臨床場面での問題点としてフォーカスされるが、頭部位置異常も肩甲帯機能に影響を及ぼす要因となること、そして頭部前方位の肩甲帯筋活動を明確にしていくことでImpingement症候群や腱板損傷の発生メカニズムの解明、治療、予防に応用できると思われる。
著者
竹林 純 高坂 典子 鈴木 一平 中阪 聡亮 平林 尚之 石見 佳子 梅垣 敬三 千葉 剛 渡辺 卓穂
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.63-71, 2020-04-25 (Released:2020-04-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,2017および2018年に実施した食品の栄養成分検査の技能試験について報告する.2017および2018年調査では,それぞれ65および73機関の参加が得られ,参加機関の70%以上は栄養成分表示に関する収去試験を担当しうる公的機関であった.調査試料の食品形態は畜肉ソーセージであり,調査項目はタンパク質,脂質,灰分,水分,炭水化物,熱量,ナトリウム,食塩相当量,カルシウム(2018年のみ),鉄(2018年のみ)であった.義務表示項目である熱量,タンパク質,脂質,炭水化物,食塩相当量の1つ以上について報告結果が不適正と考えられた機関は,2017年調査では全機関の11%および公的機関の9%であり,2018年調査では全機関の15%および公的機関の13%であった.機関間の報告値のばらつきを示す指標であるRSDrは,タンパク質=2%,脂質=3%,灰分=2%,水分=0.5%,炭水化物=9%,熱量=1%,ナトリウム(食塩相当量)=4%,カルシウム=7%,鉄=7%程度であった.特に,炭水化物のRSDrが大きく,炭水化物の表示値が数g/100 g以下の食品の収去試験においては,無視できない機関間差が生じる可能性を考慮する必要がある.
著者
片岡 洋平 竹内 温教 小林 尚 菊川 浩史 佐藤 恭子 穐山 浩
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.72-76, 2020-04-25 (Released:2020-04-27)
参考文献数
11

2018年にわが国の市場から購入したミネラルウォーター類(MW) 155製品中の六価クロム濃度をポストカラム誘導体化法を用いたイオンクロマトグラフィーにより実態調査した.実態調査の分析と併行して行った155製品の添加試料の分析から95~106%の範囲で回収率が得られ,規格値への適合判定を行うための分析が適正に実施されたと評価した.調査した155製品のうち54製品から六価クロムが定量下限値(0.0001 mg/L)を上回る濃度で検出され,検出率は35%となった.また,検出された濃度の最小値は0.0001 mg/L,最大値は0.045 mg/L,中央値は0.0003 mg/Lであった.0.0001~0.0002 mg/Lの範囲で六価クロムが検出される製品数が最も多かった.現状の食品衛生法により設定されているMW中の規格値(0.05 mg/L)を超過する濃度で検出された製品はなかった.
著者
鈴木 一平 熊井 康人 多田 敦子 佐藤 恭子 梅垣 敬三 千葉 剛 竹林 純
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.53-57, 2020-04-25 (Released:2020-04-27)
参考文献数
7
被引用文献数
1

加工食品にはビタミンDとして食品添加物のエルゴカルシフェロール(D2)およびコレカルシフェロール(D3)が使用されており,加工食品中の含有量把握のため検証された分析法が必要とされる.本研究ではD2とD3を分離定量する方法として,栄養成分分析に用いられる日本食品標準成分表2015年版〈七訂〉分析マニュアルのビタミンD分析法(マニュアル法)の加工食品中のビタミンD分析への適用性について検討を行った.検討の結果,マニュアル法にいくつかの課題が認められたため,マニュアル法に改良を加えて加工食品への適用性を検討した.野菜ジュース,豆乳,コーンフレークを用いた添加回収実験の結果,改良マニュアル法は推定方法定量下限(EMLOQ)相当量での回収率(相対標準偏差)がD2で103~112%(4.7~12.6%),D3で102~109%(2.4~21.8%),EMLOQの10倍量添加ではD2で100~110%(4.0~7.4%),D3では102~105%(3.8~4.8%)であった.この結果から,改良マニュアル法は加工食品中のD2,D3分析に適用可能な真度および精度を有すると推察された.
著者
新矢 将尚 紀 雅美 山口 之彦
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.58-62, 2020-04-25 (Released:2020-04-27)
参考文献数
16
被引用文献数
1

指定外着色料の一つであるパテントブルーVによる,輸入食品の食品衛生法違反は後を絶たない.パテントブルー色素の名称で市販されているものには,化合物名が異なるものがある一方,複数の異なる化合物がパテントブルーの名称で市販されている場合もあるため,注意が必要である.パテントブルー色素と推察される市販色素9品について,TLC,HPLC,LC-MS/MSで分析したところ,いずれの方法でもパテントブルーV,アズールブルーVX,イソスルファンブルー,アルファズリンAの4種に識別され,製品情報が不明瞭な試薬も同定された.パテントブルー群については,命名法を統一することで誤認の可能性を軽減できると考えられる.
著者
阿部 正隆 西村 幸夫 窪田 亜矢
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.727-732, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

1910年代にイギリスで誕生し、アメリカへと普及したRegional Planningは、1920年代前半に内務事務官飯沼一省により日本へ「地方計画」として紹介された。地方計画はその後日本において海外事例の影響を受けながら展開し、内務省及び企画院において検討された。本論文は戦前における内務省地方計画構想のひとつの終着点として、内務省に1940~41年にかけて設置され、地方計画法案を策定した都市計画及地方計画に関する調査委員会、1941~42年にかけて設置され、関東地方計画要綱案を策定した都市計画連絡協議会に着目した。前述の委員会、協議会の一次資料を解析し、地方計画法案、関東地方計画要綱案の策定過程を明らかにし、戦前における内務省地方計画構想の一終着点を明らかにした。
著者
小川 拡 片野 修
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.128-130, 2016 (Released:2016-04-04)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

オイカワとウグイが互いの成長に及ぼす影響について,ポンプで流れをつくった 12 面の実験池を用いて調べた。5 匹のオイカワと 0-10 匹のウグイをそれぞれの池に放流し 20 日後の成長率を算出した。また,オイカワとウグイの個体数を逆にして同様の実験を次の年の同じ時期に行った。オイカワの個体数,またはウグイの個体数が増加するにしたがい,もう一方の魚類の成長率は減少し,また両種の食性が類似していることから,両種間に取り合い型競争が生じることが示された。
著者
今井 智弘 今村 裕之 平 勝秀 浜下 彩
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101923, 2013

【はじめに、目的】 我々は日常の臨床の中で早期離床や廃用症候群予防等を目的にギャッジアップ座位を実施する機会が多い。ギャッジアップによる身体とマット間の圧・剪断力が褥瘡の発生原因となりやすいことは良く知られており、その予防法としてギャッジアップ後に背部をベッドから離し背部の圧・剪断力を開放する背抜きがよく行われる。 しかし、ギャッジアップ時の圧・剪断力に対する背抜きが呼吸機能に及ぼす影響についての報告は少ない。そこで、ギャッジアップ後の背抜きが呼吸機能に与える効果の有無について調査を行った。【方法】 被検者は呼吸器疾患を有さない健常男性10例(年齢26.5±5.1歳、身長174.0±6.8cm、体重67.8±11.1Kg、BMI22.3±3.2)とした。 方法は、まず測定に対する慣れの要因を除くため、あらかじめ練習として坐位にてスパイロメータ(日本光電製、MICROSPIRO HI-205)による呼吸機能検査を数回実施した。次にベッド上背臥位となり、ベッド屈曲基部が被検者の大転子と一致するように被検者のベッド上の位置を設定した。ベッドはアウラ21(パラマウントベッド製)、マットレスはPARACARE(パラマウントベッド製)を使用した。頚部中間位および下肢伸展位にてギャッジアップを60度まで実施し、直後に呼吸機能検査を実施した。その際、体幹をベッドに押し付けるなどの代償動作の有無を目視にて確認した。検査項目は肺活量(VC)、%肺活量(%VC)、1回換気量(TV)、予備呼気量(ERV)、予備吸気量(IRV)、努力性肺活量(FVC)、1秒量(FEV)、1秒率(FEV1.0%)、ピークフロー(PEF)とした。次に背抜きを行った後、呼吸機能検査を実施した。背抜きは下肢・骨盤帯の位置が変わらないように検者が固定した上で介助にて被検者の体幹屈曲を行った。検査間の休憩時間を1分とし、以上の検査を3回測定し平均値を算出した。 背抜き前後における呼吸機能検査の各項目の比較には対応のあるT検定を用いた。有意水準を5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 被検者には本研究の主旨・測定方法を説明し研究への同意を得た。【結果】 VC(ギャッジアップ直後3.93±0.39L、背抜き後4.13±0.46L、P<0.05)、%VC(ギャッジアップ直後91.38±7.29%、背抜き後96.00±8.35%、P<0.05)、PEF(ギャッジアップ直後8.38±1.58L/S、背抜き後9.01±1.66L/S、P<0.05)においてギャッジアップ後に背抜きを行う事により有意な改善を認めた。他の項目に関しては有意な差は認められなかった。【考察】 ギャッジアップ後に背抜きを行うことで、ギャッジアップ直後と比べ肺活量およびピークフローが改善することが示された。ギャッジアップによる呼吸機能低下の原因として、ベッドから上部胸郭背面に向けて圧が高まり上部胸郭背面が固定された上で骨盤帯が前方へずり下がることにより、上部胸郭背面に対して上方への機械的ストレスが加わった結果、吸気時の肋骨の後方回旋運動が制限され、胸郭の拡張が阻害されたこと。また、肩甲骨も同様に上方への機械的ストレスにより拳上位となることから、吸気補助筋である胸鎖乳突筋や僧帽筋、肩甲挙筋が短縮位となり収縮機能が低下したことが考えられる。しかし、ギャッジアップ後の背抜きの実施によりこれらの影響を取り除くことで呼吸機能が改善したと考えられる。【理学療法学研究としての意義】 今回はギャッジアップ直後の呼吸機能を測定したが、背抜きを行なわない状態が長く続くと時間経過と共に剪断力の増加が予想され、さらに呼吸機能の低下が引き起こされることが推測される。特に胸郭可動性や咳嗽力が低下しやすい高齢者や呼吸器疾患患者においてはさらに影響を受けることが推測され、褥瘡予防という観点も含めてギャッジアップ後には必ず背抜きを行う必要性があると考える。加えて、理学療法士として看護師や家族といった患者のケアに関わる人々へこれらの点を踏まえてギャッジアップ後の背抜きを啓蒙していくべきであると考える。
著者
井上 眞理子
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.1-19,123, 1982-09-30 (Released:2017-02-18)

The concept of identity nowadays seems "unfashionable" in academic circles. But, for sociologists as well as psychologists, its meaning is yet ambiguous. The process in which the concept of identity has been formed by E.H. Erikson is explored in this paper in order to clarify what he means by "identity". Erikson's first concern was "How is the mutuality between ego and alter possible?" This question may be differently phrased as, "How can the self-expressions of ego and alter be compatible?"; or, "How is the adjustment between self-expression and self-control in an individual in society possible?" This question has been the main subject of modern western social philosophers, for example, Hobbes, Locke, Roussau, Adam Smith and, though it may sound strange to call him a philosopher, Freud. Erikson's concept of "mutuality" means functional mutuality, resembling the sociological concept of "complementarity of role-expectations". But the next problem for Erikson was that an individual is divided among various roles. In other words, "inter-role conflict " which is experienced by that individual as "intra-role conflict" occurs. A clue to a solution was given by William James' concept of "personal identity in The Principles of Psychology (1890). William James insisted that the personal identity is verified in "the stream of consciousness" But Erickson's "psycho-social identity" must in addition be verified in individual's actions. Thus the way in which an individual can achieve "role integration" becomes the main concern for Erikson at this stage. In this paper, we have decided to explore this concept of "role integration!' paying special consideration to the "adaptation" theory of H.Hartmann and its influence on Erickson's thought.
著者
美舩 美舩 乾 淳幸 坂田 亮介 原田 義文 高瀬 史明 植田 安洋 片岡 武史 国分 毅
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.476-480, 2016

加齢に伴う腱板組織へのadvanced glycation end products(AGEs)沈着量の変化と力学的強度の変化を,SDラットを用いて検討した.3,6,12,24か月齢のSDラットの棘上筋腱を用いて組織学的検討を行い,力学的評価として棘下筋-上腕骨複合体の最大破断強度を引っ張り試験にて評価した.HE染色では12,24か月齢のラット腱板において細胞浸潤,コラーゲン線維配列の乱れを認めた.免疫染色では加齢に伴ってAGEs沈着の増加を認め,またAGE受容体の発現増加も認めた.TUNEL染色でも同様に加齢に伴うアポトーシスの増加を認め,力学的試験では12,24か月齢において破断強度の低下を認めた.我々はこれまでにin vitro実験において,AGEsが腱板由来細胞のReactive Oxygen Species発現を増加させ,アポトーシスを増加させることを明らかにしてきた.本研究より,肩腱板においてもAGEsの沈着が細胞障害性を持つ一方で,力学的な脆弱性と相関しており,AGEsの増加が加齢に伴う腱板断裂の一因になっていることが考えられた.
著者
土田 孝 森脇 武夫 熊本 直樹 一井 康二 加納 誠二 中井 真司
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.33-52, 2016 (Released:2016-03-31)
参考文献数
20
被引用文献数
8

2014年8月20日に発生した広島土砂災害では,午前3時から午前4時にかけて107箇所の土石流と59箇所のがけ崩れが同時多発的に発生し死者74名,負傷者44名,全壊家屋133棟,半壊家屋122棟という甚大な被害が発生した。本報告では土石流が発生した渓流とその下流の被害状況を中心に調査結果をまとめた。また,土砂災害警戒区域,特別警戒区域の指定を行うための基礎調査で想定されていた被害の規模と実際の被災状況を比較して考察し,基礎調査と区域指定の課題について検討を行った。
著者
Hideo Shiogama Rui Ito Yukiko Imada Toshiyuki Nakaegawa Nagio Hirota Noriko N. Ishizaki Kiyoshi Takahashi Izuru Takayabu Seita Emori
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
pp.2020-013, (Released:2020-03-30)
被引用文献数
7

The ensemble average projections of the Coupled Model Inter-comparison Project Phase 5 (CMIP5) ensemble show future increases in shortwave radiation at the surface (SW) in Japan. We reveal that the Arctic Oscillation-like atmospheric circulation trends cause cloud cover decreases around Japan, leading to increases in the SW. In many cases, impact assessment studies use the outputs of only a few models due to limited research resources. We find that the four climate models used in the Japanese multisector impact assessment project, S-8, do not sufficiently capture the uncertainty ranges of the CMIP5 ensemble regarding the SW projections. Therefore, the impact assessments using the SW of these four models can be biased. We develop a novel method to select a better subset of models that are more widely distributed and are not biased, unlike the S-8 models.
著者
永田 達 新貝 和也 田中 直 牧野 佳朗
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0254, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】林は,膝関節周囲組織の硬さは膝蓋下脂肪体(IPFP)の機能変形を阻害し,膝前面部痛と関連している可能性があると報告している。IPFPの機能変形の阻害が膝前面部痛を招くという報告はみられるが,IPFPの機能変形についてIPFPの厚みに関する報告はない。本研究の目的は,変形性膝関節症(OA)患者におけるIPFP厚を,健常者と比較することを目的とした。また,疼痛の有無による違いも検討した。【方法】対象は健常者5例8膝(N群,平均年齢60±9.5歳),OAと診断されIPFPに疼痛が無い者6例7膝(OAN群,平均年齢71.1±7.2),OAと診断されIPFPに疼痛を有する者7例7膝(OAP群,平均年齢71±8.9歳)とした。方法は,測定肢位を背臥位とし,超音波エコー(Xario™ 100,東芝製)を用いてIPFP厚を測定した。IPFPは,膝蓋骨内側縁から大腿骨内顆を描出した長軸走査にてIPFPを同定し,内蔵デジタルメジャーにて厚さを計測した。測定角度は,膝関節屈曲0度,60度,130度とし,各3回測定してその平均値を算出した。解析方法は,IPFPの各角度における群間の比較をTukeyの多重比較検定を用いて解析した。【結果】IPFP厚は0度において,N群(2.3±0.2mm),OAN群(2.7±0.3mm),OAP群(3.4±0.3mm)の順に有意に高値を示した(P<0.05)。60度においては,N群(1.7±0.3mm),OAN群(2.1±0.3mm),OAP群(2.7±0.2mm)と,N群とOAP群,OAN群とOAP群において有意な差がみられた(P<0.05)。130度においては,N群(1.9±0.4mm),OAN群(2.1±0.3mm),OAP群(3.2±0.7mm)となり,N群とOAP群,OAN群とOAP群において有意な差がみられた(P<0.05)。【結論】IPFPは,健常者よりもOA患者の方が厚く,さらに疼痛を有する者で有意に厚かった。IPFP厚の増大は,膝前面部痛および変形と関与していることが明らかとなった。IPFPの機能変形の阻害には,IPFP厚が関係し,その結果として疼痛が生じている可能性がある。
著者
Tsuyoshi Goto Toshinori Sakai Kosuke Sugiura Hiroaki Manabe Masatoshi Morimoto Fumitake Tezuka Kazuta Yamashita Yoichiro Takata Takashi Chikawa Shinsuke Katoh Koichi Sairyo
出版者
The Japanese Society for Spine Surgery and Related Research
雑誌
Spine Surgery and Related Research (ISSN:2432261X)
巻号頁・発行日
pp.2018-0020, (Released:2018-08-25)
被引用文献数
4

Purpose: In past biomechanical studies, repetitive motion of lumbar extension, rotation, or a combination of both, frequently seen in batting or pitching practice in baseball, shooting practice in soccer, and spiking practice in volleyball, have been considered important risk factors of lumbar spondylolysis. However, clinically, these have been identified in many athletes performing on a running track or on the field, which requires none of the practices described above. The purpose of this study was to verify how much impact running has on the pathologic mechanism of lumbar spondylolysis.Methods: In study 1, 89 consecutive pediatric patients diagnosed with lumbar spondylolysis at a single outpatient clinic between January 2012 and February 2017 were retrospectively analyzed. In study 2, motion analysis was performed on 17 male volunteers who had played on a soccer team without experiencing low back pain or any type of musculoskeletal injury. A Vicon motion capture system was used to evaluate four movements: maximal effort sprint (Dash), comfortable running (Jog), instep kick (Shoot), and inside kick (Pass).Results: In study 1, 13 of the 89 patients with lumbar spondylolysis were track and field athletes. In study 2, motion analysis revealed that the hip extension angle, spine rotation angle, and hip flexion moment were similar in Dash and Shoot during the maximum hip extension phase. The pelvic rotation angle was significantly greater in the kicking conditions than in the running conditions.Conclusions: Kinematically and kinetically, the spinopelvic angles in Dash were considered similar to those in Shoot. Dash could cause mechanical stress at the pars interarticularis of the lumbar spine, similar to that caused by Shoot, thus leading to spondylolysis.