著者
コーエンズ 久美子
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

振替制度の法律構成については、有体物に対する証券の「占有」を基礎に組み立てられているが、これは口座管理機関を制度のインフラ機関として捉える発想であり、近時問題となっている口座管理機関の口座名義人に対する貸付金の優先的回収権について整合的な説明ができなくなっている。振替制度はその仕組みから、口座管理機関の行為がなければ口座の振替、制度の運用ができないものであり、その法的地位、機能を踏まえた法律構成が求められる。またこれを前提に、口座管理機関の合意を基礎とする「支配契約」による担保権の設定が、合理的であり今後の金融取引に極めて有用な制度であると思われ、今後どの導入に向けてさらなる検討が望まれる。
著者
鹿野 清宏 川波 弘道 李 晃伸 猿渡 洋 陸 金林 中村 哲
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

話者適応、環境雑音適応、タスク向き話し言葉言語モデル構築の研究が大いに進展し、当初の目的を十分に達成した。以下、簡単に項目ごとにまとめる。1 教師なし話者適応アルゴリズムの考案と評価話者選択と十分統計量に基づく教師なし話者適応アルゴリズムを考案した。発声者が任意の1文を発声するだけで、その発声者に近い話者のHMM十分統計量から発声者に適応した高精度な音韻モデルが構築できた。2 教師なし環境雑音適応アルゴリズムの考案と評価十分統計量を用いた教師なし話者適応アルゴリズムを、環境雑音適応と同時に実行できるアルゴリズムに拡張した。さらに、スペクトルサブトラクション法の導入により、話者・環境同時適応の性能を向上させた。3 タスク向き話し言葉言語モデルと音声対話システムの構築Webの検索エンジンと、言語識別として文字トライグラムを用いたコーパス自動収集システムを構築して、言語モデルの自動作成アルゴリズムを開発した。さらに、受付案内ロボットによる音声認識応答による学内案内システムを構築して、開発してきたアルゴリズムの実環境下における有効性の確認およびデータ収集を開始した。4 開発アルゴリズムの普及開発してきた話者適応、環境適応、タスクアルゴリズムを、研究代表者が代表をつとめている情報処理学会の「連続音声認識コンソーシアム」を通して、企業、大学への普及の努力を行ってきた。本科学研究補助金の関連発表は、平成10年から13年までで、学術論文15件、著書1件、解説3件、国際会議19件、研究会22件、大会講演33件である。
著者
土居 信英 柳川 弘志 森 浩禎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

申請者らが独自に開発した「タンパク質C末端ラベル化法」を用いて、大腸菌の全タンパク質約4400を1枚のチップに固定化したプロテオームチップによる大規模なタンパク質問相互作用解析を行うために、(1)プローブとする大腸菌タンパク質のC末端蛍光ラベル化、(2)大腸菌全タンパク質約4400種類を固定化したプロテオームチップの作製、(3)タンパク質問相互作用の検出および解析の各ステップにおいてハイスループットに実験操作を行うための手順を確立した。具体的には、まず、相互作用既知の複数の大腸菌由来タンパク質のペアをモデルとして、スライドガラスへの固定化方法、ブロッキング剤、バッファー組成、蛍光標識タンパク質の濃度などの条件の最適化を行った。さらに、実験データの精度を維持したまま、実験操作をどこまで自動化・簡略化できるかについて検討した結果、高い検出感度と多数スライドの同時処理を可能とする系を構築することができた。そこで実際に、162種類のタンパク質について、96穴マイクロプレート・フォーマットでCy3-dC-ピューロマイシンを含む大腸菌抽出液由来の無細胞翻訳系における蛍光ラベル化を行った結果、145種類(90%)において全長タンパク質のラベル化が確認できた。このうち96種類についてFLAGタグを用いて精製し、DNAマイクロアレイのスポッティング技術を利用して大腸菌全タンパク質4400を高密度に固定化したスライド96枚とそれぞれ反応させたところ、1014の相互作用が得られた。得られた相互作用ネットワークはスケールフリーであったことから、生物学的に有意であることが示唆された。偽陽性の割合を調べるために、いくつかの候補タンパク質を選んでプルダウンアッセイによる検証を行った結果、約50%の相互作用について再現性が得られた。今後、タンパク質C末端ラベル化法とプロテオームチップの組み合わせにより、さまざまな生物種について大規模なタンパク質問相互作用解析を行うことが期待できる。
著者
遠藤 泰弘
出版者
松山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、フーゴ・プロイスの主権なき国家論の理論上および実践上の有効性を究明しようとするものである。プロイスは、主権に代えて、「領域高権」概念を導入し、政治主体が重層的に併存する当時のドイツの政治状況において、あえて権力主体を特定するために強引な擬制を行うことを回避しえたという点で、その優位性が認められることを明らかにした。しかし同時に彼は、「責任の拡散」という有機的国家論に特有の難問に直面し、ワイマール憲法48条の大統領の非常権限の評価をめぐり、逡巡する結果ともなった。
著者
颯田 葉子 西岡 輔 安河内 彦輝
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

チトクロームP450(CYP)は生体内外に由来する物質の代謝に関わる酵素である。この酵素の種類は生物によって異なることが知られており、生息環境や食性の違いを反映していると考えられる。本研究では、特に、薬物の代謝に関わるCYPサブファミリーの分子進化や肝臓での発現解析を行い、CYPの多様化の生物学的機構を明らかにすることを目的とした。その結果、サブファミリーの起源は、羊膜類と両生類との共通祖先にまで遡ること、またその酵素の基質特異性を決める領域での特異的な進化の様相を明らかにした。
著者
岩間 一弘
出版者
千葉商科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、(1)日本人の上海観光と上海の観光都市化、(2)上海におけるクリスマス消費のユニークな大衆化過程、(3)上海における日本式食文化の現地化に関して、それぞれ具体的な研究成果を得た。 日本での中国趣味は 1920~30 年代に盛んとなり、当時の日本人旅行者が抱いた西洋的な上海の幻想は 1980 年代に継承された。1920 年代から上海でクリスマスディナーやクリスマスプレゼントが普及したが、それに対する消費者の認識や位置づけは欧米や日本と異なった。また、現在の上海の和食チェーンレストランでは日本と異なるメニューが提供され、日本と異なる食べ方によって受け入れられている場合が多い。
著者
村山 康男
出版者
多摩美術大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

写真の発明(1839年)から1870年代に至るフランスの美学、写真理論、美術批判、文科史関連文献資料の収集と整理、研究を中心として進めて来た。ドラクロワの美術論、日記、ボードレールの美術批評、クールベ、シャンフルーリらの美術論、テーヌの美学等の読解を進め、それと平行して、当時の代表的な写真家の写真美学との比較を行なった。その結果、ロマン派から写実主義にいたる美術理論は、「犠牲の理論」(無用な細部を犠牲(省略、選択)にし、全体的効果を高めるという主張)として捉えられるが、この理論が当時の写真美学にとっても基本的な骨格となっていることが明らかになった。この理論は伝統的な美学(選択的模倣の理論)の枠の中にある。それに制約されていたためにこそ、当時の画家、写真家、美術批評家等は、写真の新しいメディアとしての特性(新しい構図法、偶然性の強調等)を積極的に認めることができなかったことを我々の研究は明らかにした。我々が画家の個別研究では、ドラクロワやモネが写真の新しい特性に対して否定的であったことを明らかにしたが、このことは上記の制約からして当然といえる。画家の個別研究では、特にモネに関して研究を進めた。我々はテーヌ著『知性について』の研究によって、彼の知覚心理学が、モネの筆致の使用法を理論的に裏づけていることを明らかにした。モネの画業が、当時の写真よりもテーヌに多くを負っていることは、19世紀中葉のフランス美術における写真の位置を象徴的に示しており、我々の研究にとって大きな成果と言える。
著者
日下 卓也
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

電子透かしの透かし情報として二元線形符号のReed-Muller符号と拡大BCH符号の最小重み符号語だけを透かし情報として用い,かつ復号法の復号失敗を積極的に用いることで,透かし情報の取り出しにおける誤判定の確率を低減する手法を提案し,コンピュータシミュレーションにより有効性を確認した。また,近年応用が進んでいる軟値入出力復号法において,浮動小数点数の加減算における量子化誤差の透かしの検出率への影響が実用上無視できることを確認した。これらの符号と復号法を用いることで,電子透かしにおける冤罪の発生の抑制に効果があることを確認した。
著者
岡田 至崇 FARRELL Daniel FARRELL Daniel
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

量子ドット超格子や高歪み化合物半導体中に形成される中間バンドを利用したナノ構造太陽電池の高効率化のアプローチでは、中間バンド内のエネルギーレベルに光キャリアが安定に存在し、またこれらが近赤外域の太陽光を吸収して伝導帯へと効率良く励起され、電流として取り出せることを室温で実証することが重要である。このような光吸収によるアップコンバージョン過程と同様に、熱的アップコンバージョン効果を取り入れたのがホットキャリア太陽電池である。本年度は、太陽光により励起されたされた中でも高エネルギーのキャリアのエネルギー緩和ダイナミクスを解明し、これらの高エネルギーの電子を効率良く電極から取り出すための方法に関する研究を進めた。量子井戸から成るホットキャリア生成層を想定し、熱的アップコンバージョンにより生成されたホットキャリアが、発光再結合する際に放出されるフォトンを太陽電池(上部)に照射して戻すことにより、セルの出力電流を増大させることが本研究で考案した素子の動作原理となる。このとき、太陽光の集光により熱的アップコンバージョンによるホットキャリアの生成がより高効率で生じることが期待され、理論値として、1000倍集光時に5O%前後の変換効率が可能となることを見出した。次に、量子井戸セル構造の最適化を行うため、k. p法を用いたバンド計算の数値計算プログラムを開発した。InGaAs/GaAs系歪み量子井戸を想定し、量子準位の形成位置及び各エネルギー準位における波動関数を数値計算により求められるようになり、格子歪みが量子準位や波動関数に及ぼす効果を定量的に求めることを可能にした。
著者
小松 貴
出版者
信州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

日本国内では、九州・南西諸島にてアリヅカコオロギ属のサンプリングを行い、トータル200個体以上のサンプルを分子系統解析及び飼育観察用に採集した。海外では、マレー半島にてサンプリングを行い、トータル100個体のサンプルを分子系統解析用に採集した。分子系統解析は、得られたサンプル中20形態種500サンプルによりDNA抽出および分子系統解析を行い、得られた系統樹上に野外での生態情報を反映させた。その結果、内群は大きく19系統に分岐し、全北区グループと東洋区グループに2分された。そして、寄主特異性に関する形質復元を行ったところ、どちらのグループも共に単一アリ種に寄生するスペシャリスト系統が最も祖先的となり、特に全北区グループにて頻繁に形質状態の逆転が認められた。これにより、従来のモデル系である植食性昆虫などで認められてきた、ジェネラリストの系統からスペシャリストの系統が派生するというパターンとは異なる傾向が示され、本属が従来のモデル系とは異なる進化的性質を持ちながら多様化してきた可能性が示唆された。以上の結果はMolecular Phylogenetic and Evolution誌に投稿予定である。飼育観察では、日本本土に生息する寄主特異性が比較的緩い2種のアリヅカコオロギを用いて、アリコロニー内での行動を記録し、種間での比較を行った。その結果、アリから攻撃を受ける頻度や自力でアリ巣内の餌を摂食する頻度にて種間での統計的有意性が検出された一方、アリ体表をグルーミングする頻度や口移し給餌を受ける頻度に有意性は検出されなかった。これより、中程度の寄主特異性をもつ種は、行動生態的にも中程度の特殊化を示す可能性が示された。以上の結果はJournal of Entomological Science誌にて掲載予定である。
著者
石田 章
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,中高生の食行動を規定する要因を解明することを目的とした。主な結論は以下のとおりである。1)性別や学年などの「個人属性」,「生活習慣・自立性」,「食卓環境・雰囲気」,「家族関係(親との関係)」,「居住地」が中高生の欠食・偏食頻度に影響を及ぼしている。また学年進行に伴って,欠食頻度は増加する一方で偏食傾向は是正される。2)女子高校生の食行動の乱れを助長している背景要因として,生活習慣の乱れ,友人関係の不安定性,親子関係の不安定性,食卓の雰囲気の悪さが指摘できる。これら4要因の中でも,とくに生活習慣の乱れと友人関係の不安定性が女子高校生の食行動に及ぼす負の影響は大きい。
著者
秋谷 裕幸
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

四年間の研究期間中、中国福建省浦城県南部のびん語びん北区方言群に属する、山下方言、臨江方言、観前方言、水北街方言、楓溪方言、および浦城県北部の呉語仙陽方言の調査を行った。調査項目は私がこれまでに公刊してきた『びん北区三県市方言研究』等と同一である。当初調査を予定していた小溪方言に代えて楓溪方言を調査するなどの変更はあったが、現地調査はほぼ当初の計画通りに進行した。調査データの入力作業も進めたが、平成二十六年六月一日現在、楓溪方言のデータ入力は未完成である。本研究課題の最終目標であった調査報告書『浦城県境内びん北区方言研究』(中国語)の初稿完成が研究期間内に達成できなかったことを遺憾とする。
著者
佐治 斉 田村 裕之 市川 朗
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、地震をはじめとする大規模災害時において、被災地状況とその周辺の広域道路状況などを一括把握でき、円滑・迅速な救助活動に供することを目的とするものである。そのため、画像情報や地図情報を統合活用し、被災地周辺の個別特徴情報をそれぞれ抽出し、さらにそれらを連携して解析をすることで、大規模災害時での救助活動に必要な被災地周辺情報を自動生成できる画像解析手法を検討し、試作システムを構築した。
著者
黒沢 文貴
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は両大戦間期における日本陸軍の政治・軍事・社会認識を検討することによって、日本陸軍がなぜ激動の昭和史の推進主体となったのかを明らかにしようとするものである。研究手法としては、陸軍将校の認識や思想に主たる焦点をあてるため、広く軍人の認識や思想を表明している文書を収集整理した。第1章では、陸軍の第一次大戦研究の実態を明らかにした。第2章では、田中軍政との関係に言及した。第3章では、1920年代の陸軍の総力戦構想の全体像を考察した。第4章では、当該期の陸軍にとってのもうひとつの重大事項である「大正デモクラシー」に対する認識に焦点をあて、その柔軟な対応を明らかにした。第5章では、陸軍の軍学校教育制度の改革を、幼年学校の改廃問題を中心にして検討し、その「大正デモクラシー」との関係を考察した。最後の第6章では、1920年代の陸軍のアメリカ認識が、国内の「大正デモクラシー」認識と表裏一体の関係にあったことを明らかにした。以上により両大戦間期の陸軍の思想と行動の原型を提示しえたが、今後は引続き、そうした前提をもとに、昭和期の陸軍の実態に迫っていきたい。
著者
仲田 光樹
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の最重要課題であった「非平衡グリーン関数に基づく微視的なスピンポンピング理論の構築」については初年度に達成することができた。そこで最終年度はその発展研究「準平衡マグノン凝縮中の超スピン流の電磁力学的制御方法の確立:幾何学的位相を活用して」についてバーゼル大学(スイス)に長期滞在し、Daniel Loss教授、 Pascal Simon教授(パリ11大学)、 Kevin A. van Hoogdalem博士と共同で研究を発展させた。強磁性絶縁体中の巨視的量子効果である「マグノン凝縮」はある種の「スピン波の超伝導体」と位置づけることができる。さらに従来の超伝導体にはない、磁気双極子であるマグノンに特有の特徴としてAharonov-Casher位相と呼ばれる一種のBerry位相が挙げられる。この種の幾何学的位相は電場を通じて制御可能であることに着目し、マグノン凝縮流、特に超スピン流の一種である永久マグノン凝縮流の電磁気的制御方法および直接検出方法を理論的に提案した。この研究は近年発展目覚ましいスピントロニクス(マグノニクス)分野で注目されている超スピン流の一種である`Magnon-Supercurrent'のさきがけとなるものである。現在はドイツのグループによって2015年に世界で初めて観測されたMagnon-Supercurrentの実験結果を踏まえ、「熱的Magnon-Supercurrent」の理論を構築している。マグノン凝縮状態は巨視的量子状態であり、情報の損失に対して安定であることが期待されるため、量子スピントロニクスデバイス開発へ向けての基礎研究にも大きく貢献することが期待される。現在はこれらの研究成果を糧に、更なる発展研究として「マグノン超流のac/dc変換機構」および「熱的マグノン流の熱磁気的性質」の微視的解明にも取り組んでおり、着実な成果を得ている。
著者
橋本 佳
出版者
名古屋工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

HMMに基づく音声合成において,パラメータ共有のための決定木構造の選択基準として様々な基準が提案されているが,これらの基準は一般に学習データに対する評価値が最も高くなる決定木構造を最適なパラメータ共有構造として選択する.このため,あらゆるテキストに対して平均的に高い品質の音声を合成することが可能となる.しかし,学習データに対する最適なパラメータ共有構造が合成するテキストにとって最適ではなく,生成するテキストごとに最適なパラメータ共有構造は異なると考えられる.そのため,合成テキストに対して最適なパラメータ共有構造をテキストごとに動的に選択し,高品質な音声合成手法を確立することを目指す.これまでの成果から,事前分布がパラメータ共有構造の選択に大きく影響を与えることが示されたため,適切な事前分布選択方法について検討を行った.複数の話者の学習データを用いることにより,他の話者の学習データを有効に利用することが可能になり,話者に非依存な音声の平均的な特徴を捉えた事前分布を推定することが可能になった.この事前分布を用いることによって,より適切なモデル構造を選択することが可能になり,合成音声の品質を大きく改善することを実験結果から示した.
著者
内藤 紀代子 岡山 久代 遠藤 善裕 森川 茂廣 高橋 里亥
出版者
びわこ学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年、女性の2~5割が腹圧性尿失禁を経験しており、生活の質を低下させている。その要因として妊娠・分娩による骨盤底の損傷等が指摘されている。そこで、本研究に置いて育児中の女性にとって簡便で負担が少なく、腹圧性尿失禁予防・改善効果の高いセルフケアを検証し、さらには、有効性の検証されたセルフケアの指導を行い普及の効果を調査した。結果、腹圧性尿失禁予防に重要な骨盤底筋力を高めるセルフケアは、サポートパンツであり、次いで骨盤底筋体操が有効であることが検証された。また、産後早期にセルフケア指導を行うことにより、指導を受けた対象の7割が長期的にも情報を活用していることが明らかになった。
著者
寺重 隆視 田邊 喜一
出版者
広島国際大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1.小型飛行船を誘導するための顔位置推定法の提案飛行船型ロボットによる非接触、無拘束型のバイタルサインセンシング方式では,室内画像から推定された顔位置に飛行船を誘導する方式を想定している。このとき,就寝者、飛行船間距離による顔さいず変化や,飛行船の姿勢等による顔の回転に頑健な顔位置推定法が必要とされる。これまでの手法は前髪が眉部にかかっている場合には適用できないなど,いくつかの制約条件がある。そこで,両目の中点から外側回から放射状の周辺分布を特徴量として用い,顔の大きなスケール変化や,顔の回転に頑健な顔位置推定法が必要とされる。これまでの手法では前髪が眉部にかかっている場合には適用できないなど,いくつかの制約条件がある。そこで、両目の中点から外側に向かう放射状の周辺分布を特徴量として用い,顔の多きなスケール変化や,顔の回転に頑健な顔位置推定法を提案した。予備的実験の結果,周辺歩布の半径比で〜1程度の小さい顔画像の位置を推定できることが確認された。今後は,より多数の被験者による就寝状態での検証を重ね,本手法の有効性を実証する予定である。(日本人間工学第48回大会にて発表,2007年6月)2.小型飛行船の自律充電小型飛行船は機動性を確保するため自律的に3次元空間を移動する必要がある。動力源としてモータ及び電池を用いる場合,電池内に残存する電気量を自ら感知し,残存電気量が少なくなった場合には充電場所に自動的に移動することが求められる。さらに充電は無線方式によることが望ましい。本研究成果では,小型飛行船の上面にフィルム型太陽電池を貼り付け,残存電気量の低下を検知すると飛行船が自律的に照明器具の直下に移動し,その照明光のエネルギによって充電する方法を考案した。さらにその動作が可能であることを実証した。(一部を電気学会情報システム研究 IS-07-28にて発表,2007年9月)
著者
渡辺 元
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本年度は主として中枢の性分化に関する以下の研究を行った。(1)視床下部-下垂体-性腺軸における雄性機能の正常な発現には、新生子期のLHRHが重要な役割を果たしている。内分泌かく乱物質の多くはエストロジェン用作用を有し、LHRH分泌を抑制することから、本研究ではLHRHの分泌を抗血清で免疫学的に中和するモデルを用いて、新生時期の内分泌かく乱物質の暴露が雄ラットの生殖能力に与えると予想される変化について解析した。その結果、出生後6日間LHRH抗血清を投与した雄ラットでは、成熟後精巣に精子形成は正常と判断されたが、成熟雌に対して交尾行動をほとんど示さず、射精に至らなかった。視床下部の内側視索前野にの存在する性的二型核の断面積を比較したところ、抗血清投与群では雄より小さい、雌に近い傾向を示した。以上のことから、中枢の性分化期に、LHRHの分泌が抑制された場合は、成熟後の生殖能力に重大な欠陥をもたらす危険性が示された。(2)新生時期の中枢の性分化時期の雌に、エストロジェン作用を有する内分泌かく乱物質としてオクチルフェーノールを投与した。成熟後、中枢の周期性を調べるため、卵巣を除去しエストラジオールを投与して、LHサージの出現を検討したところ、実験群ではLHサージが欠如していた。次に、雌の交尾行動を調べるために正常な雄ラットと同居したところ、雌の交尾行動の発現頻度および強度は正常に比べ有意に低値であった。視床下部の内側視索前野にの存在する性的二型核の断面積を比較したところ、オクチルフェノール投与群では雌より大きく、雄に近い傾向を示した。
著者
大野 誠
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ニュートンの錬金術研究の痕跡は彼の『光学』(1704 年)に残されている。それはこの著作の付録「疑問 31」に留まらず、本論の第2篇第3章命題7と命題 10などに見いだせる。ニュートンは物体の色彩から粒子の大きさを見積もろうとしており、彼の中で光学研究と錬金術・化学研究は密接な関係にあった。 『光学』の本論は 1670 年代の「光学講義」などに基づいているので、ニュートンにおける光学と錬金術の関係は 1660 年代末には始まっていた。ニュートンの手稿史料 Add.MS. 3975 を検討した結果、この頃、ニュートンの錬金術・化学実験に圧倒的な影響を及ぼしていたのはロバート・ボイルであることが分かった。