著者
作野 理恵
出版者
プール学院大学
雑誌
プール学院大学研究紀要 (ISSN:13426028)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.11-26, 2014-12

In the 19th century, dance music in Vienna prospered since people enjoyed dancing regardless of their social status. During the time of the Viennese Classic period from 1750 to 1830, the music of Haydn(1732-1809), Mozart(1756-91), and Beethoven(177-1827) was followed by the music of Schubert(1797-1828), one of the first of the Romantic School. This was, in turn, followed by the music of Bruckner(1824-96), and Brahms(1833-97), and other Post-Romanticists who were active in Vienna. However, Johann Strauss II(1825-99) established a new music culture in Vienna despite working in Vienna during the same time period. Although the music of Johann Strauss II was popular music, it also had the support of many great composers. Despite being music for entertainment, his works were evaluated highly by other artistic musicians. An analysis of the works of Johann Strauss II was taken to understand the essence of his music as well as the reasons why he was so highly respected by other composers. The conclusion is that the music of Johann Strauss II had an unmatched "nobility" or "refinement." This was a result of his tenderness and intelligence, originating in his Viennese background.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア (ISSN:09154191)
巻号頁・発行日
no.131, pp.12-17, 2000-09

本誌は老健施設を対象に介護保険の経営への影響を調査した。約6割の施設で総収入が増加し、おおむね順調な滑り出しとなっている実態が明らかになった。ただし、ショートステイに力を入れるなど、本来、高い評価がなされるべきの在宅支援型の施設の中には、減収になったケースがある。
著者
松田 時彦
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.1179-1212, 1967-01
被引用文献数
4

1. 地形的にその存在が推定されていた跡津川断層は,少なくとも庄川-神通川の分水嶺から北東へ常願寺川上流までたしかに存在する.長さ60km以上,部分的にゆるくを彎曲するがほぼ直線状で,その平均走向N60°E,断層面の傾斜はほぼ垂直,断層面上の断層条線はほぼ水平である. 2. この断層線に沿って,古生代の飛騨変成岩類から第四紀の河床堆積物までの地層および隆起小起伏面や段丘面などの地形面が変位している.この断層の変位の向きは多少の垂直成分を伴った右ずれである.この断層が示す変位の水平成分は断層の主部で約3km,垂直成分は,概して北側の相対的隆起でその量は1km以下である.すなわち,この断層は右横ずれ活断層である. 3. 第四紀の地層・地形面は古い時代のものほど大きく変位しているが,それ以前に生じた岩石では,時代が古くなっても変位量はそれ以上増加しない.したがって,現在この断層が示す変位量3kmは第三紀後期以後に生じはじめたと考えられる.数万年前に生成した河岸段丘が20m以上変位しているから,最近の数万年間における平均の変位速度は1~数m/1000年位と考えられる. 4. 段丘の変位や谷の喰違い現象は,この断層が最近地質時代に数十m以下を単位とする小刻みのほゞ同方向の変位を繰返してきたことを示している。また,この断層沿いにみられる断層崖などの断層地形は大地震時に生じる地形によく似ている.これらのことから,この断層の約3000mの変位量は地震時の変位の集積と考えられる.安政5年(1857)の飛騨地震はこの断層の最近の活動の1つと思われる. 5. 断層線上での谷の屈曲・転移のむきは概して右であるが,その量はその断層線から谷頭までの距離の大きな谷ほど大きい.このことは,この断層が活発な右ずれ変位を繰返していること,谷の喰違い地形は変位のむき・量を大略反映していること,谷の古さは断層線よりも上流の部分の長さにほゞ対応していること,を示唆している.このような谷の累進的転位現象の有無・程度は,未知の断層の活動性を知る1つの目安になると思われる.The Atotsugawa fault in central Japan lies about 70 km north of the Atera fault which has recently been described by Sugimura and Matsuda (1965). Although both faults are strike-slip faults of Quaternary age in central Japan, their directions of displacement are opposite to each other. The Atera fault is NW-SE in trend and left-lateral in displacement, while the Atotsugawa fault concerned here is NE-SW in trend and right-lateral.
著者
鈴木 真
出版者
京都倫理学会
雑誌
実践哲学研究 (ISSN:02876582)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.31-69, 2013-10-31
著者
大城 宜武
出版者
沖縄キリスト教学院大学
雑誌
沖縄キリスト教学院大学論集 (ISSN:13498479)
巻号頁・発行日
no.6, pp.57-70, 2009-12

本研究の目的は、金城安太郎(1911年12月10日-1999年1月13日)の業績のうち、新聞小説の挿絵について検討することである。金城安太郎は1951年から1969年の間に18作品の小説の挿絵を描いている。総数は4369点に上る。このうち、1765点が発見されている。金城安太郎は、「挿絵は小説と表裏一体である」と述べている。これが、安太郎の挿絵観の中心思想である、と考える。This paper closely examines Kinjo Yasutaro's illustrations for newspaper novels. Among his many other artistic achievements, Kinjo began illustrating newspaper novels at the age of sixteen. From 1951 to 1961, Kinjo illustrated 18 novels. His work ranges from contemporary themes to historic ones. In all, Kinjo illustrated over 4000 pieces of which only 1765 are extant. The artist suggests that both the novel and the illustration itself represent "two sides of the same coin." We believe that this aphorism is central to the artist's approach to his work as an illustrator.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1327, pp.108-112, 2006-02-06

1月17、18両日で日経平均株価を900円以上も暴落させたライブドアショック。昨年夏以降、上昇を続けた株価はまさに冷や水を浴びせられた格好となった。だが株価の調整は短期間で終わり、再び強い上昇に転じる動きを見せ始めている。 株式相場が市場を揺るがす激震を乗り越える原動力となったのは、好調な企業業績にほかならない。
著者
遠藤 敏夫 池田 守利 猪俣 理 深野 重次郎
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.17-23, 1974
被引用文献数
2

人間特性と生産システムの適合性を評価するうえで, 種々の機能検査が応用されているが, その測定条件によって異った測定結果をうることが少なくない.<br>その一つの方法として多用されるフリッカー・テストは, 大脳活動度を指標として, 作業者がシステムの側からうける不利な影響を検出するのに適している. しかし, 従来の測定装置には, 精度や取扱いのうえで, あるいは保守の点などで, 測定条件が必ずしも均一とならない問題があった.<br>こうした問題点を解決するためにフリッカー値自動測定装置を開発した. 試作した装置は, 視標光源には発光ダイオードを用いた光源点滅方式とし, リセットボタンを押すことによって, 連続5試行のフリッカー値測定がおこなわれ, ディジタルに直示, または, 磁気記録されるよう, 安定した電子回路によって測定精度の向上をはかった. また, この装置は, 被験者自身でも単独測定できるのが大きな特徴であって, 測定条件が均一であり, 広く応用が可能である.
著者
土屋 正彦 堀井 雄二
出版者
The Mass Spectrometry Society of Japan
雑誌
Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan (ISSN:13408097)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.79-85, 1974
被引用文献数
4

Mass spectra of excess-kinetic-energy ions(KE ions)formed under electron impact have been studied by using a commercial mass spectrometer with the modified ion source. Parent ions of KE ions may be so much excited than those of thermal-energy ions that they may decompose more quickly and give much simple cleavage ions and less rearrangement ions. Therefore the mass spectrum of KE ions must be different from the ordinary mass spectrum. Several compounds of alcohols and ethers have been studied. Simple relations have been found between the mass spectra of KE ions and the structure of these compounds. Generally, fragment ions which are smaller than a half of a molecule can be observed as KE ions and the terminal groups of a compound, such as CH3CO, -CH2OH, HCO-, C2H5-and so on, give the intense peaks. It has been proved that the mass spectra of KE ions show less rearrangement and are useful for the structure determination of organic compounds
著者
中山 尚貴 尾崎 弘幸 海老名 俊明 小菅 雅美 日比 潔 塚原 健吾 奥田 純 岩橋 徳明 矢野 英人 仲地 達哉 遠藤 光明 三橋 孝之 大塚 文之 草間 郁好 小村 直弘 木村 一雄 羽柴 克孝 田原 良雄 小菅 宇之 杉山 貢
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.54-57, 2007

症例は30歳,男性.2006年6月,スポーツジムのランニングマシンで運動中に突然,心窩部不快感が出現し,運動を中止したが痙攣を伴う意識消失をきたし倒れた.スポーツジムのトレーナーがただちに心肺停止を確認し,施設内の自動体外式除細動器(AED)を装着した.AEDの音声に従い除細動ボタンを1回押し,すみやかに自己心拍が再開したが,AED使用後にリセットボタンを押したため,メモリーが消去され,心肺停止の原因として致死性不整脈の関与は確認できなかった.<BR>入院後,トレッドミル運動負荷心電図検査で広範囲の誘導でST低下を認め,冠動脈造影検査を施行し冠動脈瘤を伴う重症多枝病変を認めた.心肺停止の原因は心筋虚血による心室細動もしくは無脈性心室頻拍と推定し,冠動脈バイパス術を施行した.<BR>AEDの普及に伴い非医療従事者によるAEDを使用した救命例が本邦でも徐々に報告されており,本症例は現場にあったAEDをただちに使用したことが社会復帰に大きく貢献したと考えられる.ただし,本症例で使用したAEDのように,一部機種ではリセットボタンを押すことによりメモリーが消去され,事後検証が困難になることは注意すべき点であり改善を要する.
著者
永松 健太郎 藤井 寛之 阿部 憲孝
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.282-282, 2004

3-フェニル-8-トリフェニルホスホイミノ-1-アザアズレン(1)とイソシアナート類との反応を検討した。1とアリールイソシアナートとの反応では2-アリールイミノジアザシクロペンタ[cd]アズレン誘導体と1,8-ジヒドロ-8-アリールイミノ-1-アザアズレン誘導体が得られた。1とトシルイソシアナートとの反応では、イオウが脱離し、トリル基が転位した環化生成物が得られた。生成物の構造はX線結晶解析により決定した。得られる8-アミノ-1-アザアズレン誘導体の互変異性について、X線結晶解析と分子軌道計算により検討したので、これについても述べる。
著者
横川 文明 塩入 孝之
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.634-641, 2000-07-01
被引用文献数
4

Antillatoxin is an ichthyotoxic cyclic lipopeptide isolated by Gerwick and co-workers from the marine cyanobacterium <I>Lyngbya majuscula</I> collected in Curacao. Although we have finished the stereoselective total synthesis of antillatoxin having the proposed structure with (4<I>S</I>, 5<I>R</I>) -configuration, we have found that the synthetic sample was not identical with the natural one and the proposed structure should be revised. Further our synthetic efforts have culminated in the first total synthesis of antillatoxin in its natural form, proving that the natural one has (4<I>R</I>, 5<I>R</I>) -configuration. In this account, our total synthesis and synthetic studies by other groups will be discussed.
著者
塩澤 綾乃 清水 嘉子
出版者
Japan Academy of Midwifery
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.271-283, 2010

<B>目 的</B><br> マダガスカル共和国における伝統的産婆(Traditional Birth Attendants,以下TBAとする)の世話に対する認識,世話を受ける女性の受け止めを明らかにする。<br><B>対象と方法</B><br> マダガスカル共和国アンチラベ市郊外のA村に研究者が2ヶ月間滞在し,現在活動しているTBA4名,TBAより現在または過去に世話を受けている女性11名に対し,TBAの世話の内容と世話に対する考え,世話を受ける女性の受け止めに関する半構成的面接を行った。さらに,1名のTBAに同行し世話の場面の参加観察を行った。得られたデータは質的に分析を行い,分類し検討した。<br><B>結 果</B><br> TBAは妊娠中の世話,分娩時の世話,産後の世話を行っていた。世話に対するTBAの考えでは,子どもの位置を確認,お産を早く進める,褥婦が寒さを感じることが大切などがあった。TBAより世話を受けた女性の受け止めでは,疲れが取れる,お産についてよく知っていて頼りになった,分娩時に力を貸してくれるなどであったが,一方でTBAは何もしないと受け止めていた。TBAの世話に対する考えと女性の受け止めでは,語られた内容の半数に認識の差異があった。認識の差異には母親が分娩中の世話を記憶していないこと,TBAの指導は経験や言い伝えを基にしており,具体性に欠け内容が薄いことなどが影響していると考えられた。<br><B>結 論</B> TBAのドゥーラとしての役割は女性に評価されており世話の必要性は高い。その役割を継続することに加え,世話の課題として,女性のニーズに対応した世話ができるよう知識を補う必要があると考えられた。そのためには,地域の助産師が専門職者としてのプライドという垣根を越えて,TBAの世話や考え方を理解した上で,研修を開催するなどの具体的な行動が期待される。
著者
白石 隆義
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
no.125, pp.437-445, 1969-06

Japanese National Reilways has developed a new type berth fender for railway ferry berth, The fender is mainly composed of a box shaped steel slab whose front surface is smooth, and several water pressure shock absorbers which are made or rubber bags and attached to the back surface of the slab. The shock absorbing and damping properties of the absorber were proved excellent by half scale model tests. The results of the tests were compared with the results of approximate calculation.A trially constructed fender of this type (size=8 m×4 m) was fitted on a railway ferry berth in Uno port. Full size shock tests were carried out on this fender, and the results indicated the allowable breth touching speed might be doubled.
著者
釼 実夫 今村 州男 馬場 孝 伊良部 光男
出版者
THE SOCIRETY OF RUBBER SCIENCE AND TECHNOLOGYY, JAPAN
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.388-393, 1967

各種市販有機ゴム薬品 (酸化防止剤, 加硫促進剤等) をNR-オキシム加硫系およびNR-過酸化加硫物系に配合した加硫ゴムをCo-60r線で照射し, ブランクとの比較からその放射線劣化防止能力を検討した. その結果次のことがわかった.<br>1) 100%引張応力の空気中と窒素中との差が著しく大きかった.<br>2) 窒素中での100%引張応力の増加に対し, 空気中の100%引張応力がかなり低く, 空気中においてはそれほど網目数が増加していないことを示している.<br>3) 過酸化物加硫物においてDPG, OTBを含む試料およびブランクは空気中1×10<sup>7</sup><i>r</i>までの照射でそれぞれ測定不可能となった.<br>4) 過酸化物加硫物において特にイミダゾール系のものに関しては他のものと異なった100%引張応力の変化がみられた.<br>5) 添加したアンチラッドはイオウ加硫でもみたように全体を通じそれほど大きな効果は認められなかった.
著者
金城 尚美 Kinjo Naomi
出版者
琉球大学留学生センター
雑誌
留学生教育 (ISSN:13488368)
巻号頁・発行日
no.7, pp.33-47, 2010-03
被引用文献数
1

日本人または日本人学生と留学生に教育的な交流の場を提供し,参加者相互の異文化理解を促進する教育実践がさまざまな形で行われているが,その意義と効果を明らかにする実証的な研究の蓄積は少ないことが指摘されている(岩井2006)。そこで本研究では,小学校で行った6年生(32名)と留学生(13人)の交流活動の事前と事後に調査を行い,小学生の留学生に対するイメージの変化と,異文化を受容する態度の変化を調査し検証した。その結果,留学生に対するイメージの変化と異文化受容態度の変化に統計的に有意な差が現れ異文化理解を目的とした教育の効果が示された。また留学生との交流前に手紙の交換,ビデオ・レターの交換,質問交換などの事前のやり取りを通し,小学生が留学生と交流することについて感じている不安を軽減することができ,交流活動がより円滑に進められることがわかった。この結果から,交流会前のやり取りの重要性が示唆された。The purpose of this study is to investigate educational effects of an intercultural exchange program between Japanese elementary school students and university foreign students. Thirty two elementary school students participated in this exchange program. They were asked to answer questionnaires before and after the exchange activities with foreign students. The results show statistically significant differences between the pre-questionnaire and the post-questionnaire. It is found that their initial image toward foreign students has changed to higher levels and their acceptance level of different cultures became higher than before the exchange. These results indicate that an intercultural exchange program contributes to intercultural understanding.
著者
岡田 一義 今田 聰雄 海津 嘉蔵 川西 秀樹 菅原 剛太郎 鈴木 正司 石川 勲 佐中 孜 奈倉 勇爾 松本 紘一 高橋 進
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.1315-1326, 2003-08-28
被引用文献数
5 7

本邦では, 透析患者の終末期において, 血液透析 (HD) が安定して施行できている患者の自己決定を尊重し, HDを中止することについての生命倫理学的研究は殆どない. 今回, われわれは, 透析医 (552名) を対象として, 安定したHDを受けている悪性腫瘍終末期症例を提示し, いくつかのシナリオに対して, HDを中止するか, 継続するかの意識調査と, advance directives (AD), 尊厳死, 尊厳生についてどのように考えているかの意識調査を全国的規模で行った.<br>434名 (78.6%) から回答が得られたが, 有効回答は427名 (77.4%) であった. ADおよび尊厳死が法的に認められていない現状において, ADの有無で比較すると, (1) 家族がHD中止を申し出た場合, (2) 家族がHD継続を申し出た場合とも, ADがあるとHDを中止する回答は有意に増加した ((1) 48.0%→78.9%, (2) 0.2%→2.6%). さらに延命療法を中止しても法的責任は問われないと仮定すると, ADがあるとさらにHDを中止する回答は増加した ((1) 90.9%, (2) 11.9%). ADと尊厳死を必要であると回答した透析医はそれぞれ74.0%, 83.1%であったが, 法制化も必要と回答した透析医は56.4%, 63.7%に減少した. 尊厳死と尊厳生の比較では, 尊厳生を支持する透析医は, 尊厳死を支持する透析医よりも多かった (47.1%, 15.9%).<br>今回の結果は, 現状でも, 透析医および家族が患者の自己決定を尊重すると, ADによる尊厳死が行われる可能性があることを示唆し, 多くの透析医がADや尊厳死を必要と考えている. 一方, 尊厳生は人間にとって非常に大切なことであり, 尊厳死よりもこの言葉を支持する透析医が多かったと考える. すべての国民は個人として生きる権利を認められており, 本邦では, 終末期にも自分が考える尊厳ある生き方を貫くということから始め, 家族および社会が納得する範囲で, 先ず尊厳生によるADが自己決定のために重要であると認識させる努力をすべきである.