著者
王 建青
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,人体内部と人体外部問の医療支援のためのインプラントボディエリアネットワーク(BAN)に適する通信方式の解明を目的として, 400MHz帯とUWB帯を対象に,解剖学的人体数値モデルに対して伝送路モデルを構築し,それに適する通信方式の検討及び送受信機の試作を行った.また,通信性能(BER)と人体安全性(SAR)の二つの視点から総合的考察を行い,インプラントBANに適する400MHz帯FSKやUWB-IR方式における最大伝送速度,最大送信電力を解明し,ダイバーシチ受信によるBERとSARの同時向上策も提案し,その有効性を示した
著者
谷池 雅子 毛利 育子 大野 ゆう子
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

日本の睡眠習慣に即した子どもの睡眠評価のための「子どもの眠りの質問表」を開発した。また、睡眠時のビデオグラフィの解析により、子どもの体動量と睡眠疾患の関係を明らかにした。
著者
小笠原 憲四郎 本山 功
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本年度は昨年度に続き本邦新生代の浅海性動物群を産する地層の層序年代や古環境が未だ確定できていないものについて形成年代や古環境を検討するため、北海道岩見沢市から門別町地域の朝日層とされている下部中新統につて現地調査を実施した。特に朝日層の模式地とされている岩見沢市の旧朝日炭鉱地域において大型化石だけでなく統合微化石層序の検討のため、系統的資料を採集した。また夕張地域から門別地域にいたる朝日層に対比される可能性の高い滝ノ上層とされている下部中新統についても同様の系統的料採集を行った。これらの現地調査と料採集には代表者の小笠原と分担者の本山が、それぞれ分担して別個に行い、特に、これまで未検討であった渦鞭毛藻層序の検討を新たにすすめている。また既存の浅海性化石資料の層序学的・分類学的再検討のため、東北大学総合研究博物館に所蔵の北海道の渡島半島と夕張-日高地域の下部中新統の化石資料について再検討し、それらの産出地点と層序的位置づけを確認し、さらに分類学的再評価を行った。筑波大学生命環境科学研究科に所蔵保管の関連する化石資料についても、昨年度と同様に継続して通年で系統的に層序と分類学的再検討を行うため、週1回の割合で非常勤の専門家を雇用してデータ整理を行った。また雇用者には、平成22年度国内雑誌等公表論文の新生代年代層序に関するデータも整理し、従来のデータ更新や再検討の基礎資料とした。これらの研究結果は、昨年度の実績を踏まえ、2編の論文として学会誌に公表し、さらに長年の課題であった北海道北東部、歌登町の中新統タチカラウシナイ層の貝類化石群集の分類学的検討を論文として公表することが出来た。この研究では若干の消耗品と破損していたデジタルカメラの更新に経費を使用した。
著者
藤平 育子
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

2001年〜2003年にかけて、全国規模の学会シンポジウム3回、招待特別講演4回において、フォークナーとトニ・モリスン、ルイーズ・アードリックらマイノリティ作家における女性表象、記憶/忘却、境界の問題を論じた。2001年度は、マイノリティ作家が形作る<アメリカ>性、およびフォークナーの白人女性人物と黒人女性人物のセクシュアリティの重なり合いについてシンポジウムなどで議論を展開した。2002年度は、歴史と記憶/忘却を主たるテーマとして、フォークナーの女性表象を、マイノリティさらにユダヤ系作家などの民族的記憶の問題と絡めて論じた。2003年度は、トニ・モリスン、ルイーズ・アードリックなどマイノリティの作家たちの女性表象を考察しつつ、フォークナーの女性人物で極めてユニークな存在感を誇るLight in AugustのJoanna BurdenとLena Groveの重なり合いについて論証した。また、ハーヴァード大学図書館およびニューヨーク市立図書館、ハーレムのショーンバーグ図書館において、フォークナー関係、アフリカ系作家関係の資料調査を行い、論文のテーマに発展させた。その間、フェミニズム批評、ポスト・コロニアル批評、多文化主義批評などから大きな刺激を受けたが、その成果は、合計8本の論文として内外の学術雑誌、研究誌、大学紀要などに発表された。現在、「フォークナーの女性表象---マイノリティの<アメリカ>」と題する著書を準備中であり、すでに、250ページほどの分量がすでに完成し論文のかたちで出版されている。
著者
河西 栄二
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、日本の具象木彫表現において独特な表現様式を作り上げた6作家(内藤堯雄、橋本平八、新海竹蔵、桜井祐一、円空、木喰)に焦点を当て、作品実見研究や資料収集に取り組み造形的検証を行った。樹種・木取りなど材料について、一木・寄木・道具・彫り方など技法について、モデル・形態・プロポーション・テーマ・精神性などの表現について分析し、それらの作品に潜む「日本のかたち」、土着的、原始的な独自の美のありようについて研究を行った。そして、その成果を基に自身での木彫制作研究にも取り組んだ。
著者
田中 優子 小林 ふみ子 横山 泰子 小秋元 段 大木 康 王 敏
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、次のことが明らかになった。第一に、江戸庶民が日本の領域を意識してきた、その経過と変遷である。第二に、歴史上の日本意識の高揚の理由や、国家と地域の齟齬という問題に気付くことになった。第三に東アジアにおける華夷意識が、日本においても国家と地域の関係に大きな影響を与えていることが認識できた。総じて、近世では近代とは異なる日本意識が様々な形で表現されていたことがわかった。また大学院博士課程の学生たちが、自らの研究の中で日本意識を考え、研究に取り入れるようになった。
著者
平野 久 川崎 博史
出版者
横浜市立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は、遺伝子組換え食品の安全性を評価するため、遺伝子組換え生物におけるタンパク質の変動を漏れなく解析することができるプロテオーム解析技術を確立することを目的とする。本年度は、質量分析装置によって定量的にディファレンシャルディスプレイ分析ができるiTRAQ法を用いて形質転換体で特異的に発現するタンパク質を効率的に検出できるかどうかを調べた。まず、ベニザケのI型成長ホルモン(GH)遺伝子をマイクロインジェクション法によってアマゴに導入し、体長が非形質転換体の約10倍になった形質転換体を得た。このGH遺伝子組換えアマゴのF1及びF2個体を作出し、外来GH遺伝子が生殖細胞に取り込まれた個体を育成した。このGH遺伝子組換えアマゴとその兄弟にあたる非組換え体のタンパク質組成の違いをiTRAQ法で調べた。iTRAQ法は、質量の異なるタグを含む試薬を異なる個体から抽出したタンパク質のプロテアーゼ消化物に別々に標識した後、各個体からの標識ペプチドを混合し、MS/MSモードの質量分析装置で分析する方法である。タグの質量スペクトルから異なる個体の特定のタンパク質の量比を、また、ペプチド部分のMS/MS解析によってアミノ酸配列を明らかにすることができる。そして、アミノ酸配列からデータベース検索によってタンパク質を同定することができる。iTRAQ法による分析の結果、形質転換体において転写・翻訳などのタンパク質合成に関わるタンパク質複合体やペントースリン酸経路の酵素群の発現が上昇していること、また、解糖系酵素群の発現が低下していることを確認することができた。iTRAQ法は、形質転換体におけるタンパク質発現の質的及び量的変動を容易に捉えることができる優れた方法であると考えられた。
著者
田上 正範 山本 敏幸 奥貫 麻紀
出版者
追手門学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

学生が大学卒業後も社会で活躍するために、学生と社会人とのコミュニケーション・ギャップを乗り越える、より実践的な育成モデルが必要である。本研究は、ギャップを乗り越える方法論として、「交渉学」に着目し、学生の現実的側面の向上を図るための動画教材の開発と、学生及び社会人のコミュニティ形成に取り組み、両者が学び合う実践モデルを研究した。これらの研究プロセスから得た知見を報告するものである。
著者
白井 哲哉 中野 泰 綿拔 豊昭 高江洲 昌哉
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、中心研究領域「公文書アーカイブズ構造分析研究」と副次的研究領域「公文書アーカイブズ情報分析研究」及び「公文書リテラシー分析研究」を設定して研究活動を展開した。その成果について、前者では旧町村役場文書群の構造及び作成(編綴)過程に関する新たな知見が得られた。後者では旧町村役場文書群が有する学術的情報の学術的価値が大いに解明されるとともに、今後の公文書リテラシー研究にとっての基礎的な知見を得ることができた。
著者
笹山 智仁
出版者
奈良工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では、治具を必要とする旋盤加工をおこなう場合でも、新たに専用の治具を製作することなく製品加工がおこなえる、汎用性に優れた旋盤用「システム治具」の開発と実用化を目的とした。製作する治具は、ベース(チャッキング)部に工作物を取付けるアタッチメント(軸やプレート)を取付けることで使用が可能となる構造とし、様々な形状の工作物に対応できるようアタッチメントは形状の異なるもの数種類を製作することとした。はじめに、外周加工用治具を、組立て式とすることを検討、本校実習工場で過去に製作した外周加工用治具の詳細を調査すると同時に、治具に関する文献等を参考としながらパーツ構成(部品形状や寸法、材質等)を決定した。その結果、ベース部品3種類(直径がφ30mm/φ40mm/φ50mm)アタッチメント(軸)部品5種類(取付け軸径がφ5mm/φ6mm/φ8mm/φ10mm/φ12mm)と取付け軸径を調整するカラー数種類でシステムを構成することとし、パーツを組み合わせることで、軸径はφ5mm~φ12mmの間で1mm毎に8段階、軸長は0~60mmまで無断階に調整が可能な構造とした。また、ベースとアタッチメントの嵌合部形状については、耐久性や組立て精度などを考慮した最適形状を決めるため、六角形とスプライン形の2種類を製作し検証をおこなった。製作した外周加工用治具は、軸径・軸長の変更や調整ならびに六角形状、スプライン形状の組合せなど「システム治具」としての働きに問題ないことが確認された。また、実際に平板から円盤状の部品を製作し「旋盤による加工に耐えうること」や「従来使用していた治具と同等の働きをすること」など実用性についても確認された。
著者
畑 秀明 玉田 春昭 角田 雅照
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,ソフトウェア開発者の様々な特性や行動原理を理解するを目的とし次の課題に取り組んだ.1)リスクに対する開発者の特性を明らかにするための行動経済学に基づくアンケート調査,2)オープンソースソフトウェアプロジェクトの開発履歴データに基づく開発者の特性分析,3)クローズドな開発環境のデータ分析による開発者の特性分析,ゲーム理論に基づく開発者の行動原理や動向の分析.
著者
五野井 郁夫
出版者
立教大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果は、グローバル・ジャスティス運動が世界政治に与えている影響を明らかしたことである。本研究は、グローバル市民社会からなるグローバル・ジャスティス運動による国際規範形成の影響力と性質を明らかにすべく、NGO、宗教組織、類縁集団ベースの市民運動から分析し、それらが国際規範形成に与えている影響について「社会運動のクラウド化」という概念を提示することで、今日のグローバル・ジャスティス運動研究で最先端の知見を見出した。
著者
作野 誠一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、外部指導者の効果的活用に向けた条件整備の方策について、実証データに基づく具体的・実践的な提言を行うことであった。自治体への調査からは、現状のままでは外部指導者の地域差が露呈する可能性があること、外部指導者をめぐる各種制度については全体として「重要だと思うが実施していない」傾向があること、部活指導員の導入について「反対」の自治体はほとんどみられないことなどが明らかになった。また教員調査からは、外部指導者の導入を支持する割合は高いものの、部の状況によって判断すべきであるという意見もあること、複数種目部や地域クラブへの移行については慎重であることなどが明らかになった。
著者
高橋 政代 JIN Zi-Bing
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

網膜色素変性(RP)は網膜視細胞の機能が障害される遺伝性の疾患群であり、遺伝性失明、また、60歳以下視覚障害者の最大の原因である。原因となる遺伝子変異は多数解明されているものの遺伝子診断を一般的な臨床検査とするまでにはまだまだ多くの課題が残っている。まず、全身疾患を伴わないRPについてこれまでに原因遺伝子が判明しているのは少なくとも40個と多数ある。RP患者の半分以上は弧発や遺伝形式不明であり、遺伝子診断や遺伝カウンセリングはほぼできないのが現状であり、多数の患者が遺伝子診断及び遺伝カウンセリングを受けられないのである。そこで、我々は効率とコストの面を考えながらdHPLCを用いた方法で遺伝形式を問わず全てのRP患者における網羅的な変異解析を試みた。約15%の弧発例や遺伝形式不明の患者で原因と思われる遺伝子変異を検出。結果はその内、18個が新規変異であった(Journal of Medical Genetics,2008)。効果的な治療法が現れない現状では、世界の研究者はES細胞やiPS細胞からin vitro分化してきた視細胞あるいは前駆細胞などを網膜細胞移植の重要なソースと期待しており、我々は世界初マウス、サル及びヒトES細胞から網膜視細胞への分化を効率よくできた(小坂田、高橋らNat Biotech 2008)。この成果により、視細胞分化誘導法及び移植細胞源に関する問題を解決できた。しかし、胚性幹細胞の生命倫理学的な配慮と移植における免疫拒否などの問題は残っている。そこで最近、皮膚などの組織体細胞から再生医療の大きな武器である「多能性幹細胞」を人工的に作ることに成功した(山中)。我々はこのips細胞を用いて視細胞の前駆細胞及び視細胞への分化に取り組み、ヒトips細胞から視細胞の分化に成功した(Hirami et al.,unpublished)。更に小分子を用いて新たな分化方法を効率よくできた(OsaRada F,Jin ZB et al.,unpublished)。これらの研究結果から、網膜色素変性症患者に対して遺伝子診断の臨床応用をでき、また、網膜再生の移植ソースとして視細胞分化を効率よくできた。
著者
北 泰行 藤岡 弘道 赤井 周司 当麻 博文
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2001

1)超原子価ヨウ素反応剤を用いて、スピロジエノン骨格の高効率的合成法を確立し、ガランタミンの全合成を行い、その誘導体からアルツハイマー病治療候補薬として優れた化合物を見出した。次いで抗腫瘍活性海洋天然物ディスコハブディンA, E, F, OとプリアノシンBの合成に成功し、不安定なディスコハブディンAと同等の抗癌活性を示す安定なオキサアナログを見出した。またグリーンケミストリーを志向する、水中でKBr存在下での種々の変換反応を開発した。さらに反応終了後純粋に回収できる環境調和型超原子価ヨウ素反応剤を開発した。2)水溶性ラジカル開始剤と界面活性剤とを組み合わせ、水中でのラジカル環化やアルデヒド化合物からチオエステルおよびアミド類への効率的合成法を開発した。またSn化合物を用いない毒性の少ないラジカル反応を見出した。3)新規アシル化剤とリパーゼ触媒を用いて不斉四級炭素の汎用的合成法を確立し、制癌活性抗生物質フレデリカマイシンAの全合成を達成した。また生物活性インドールアルカロイドの合成鍵中間体の簡便合成法を開発した。光学分割と続く分子内Diels-Alder反応による類例の無い高効率的ドミノ反応を見出した。さらに酵素反応を阻害しないルテニウム触媒を開発し、本ドミノ型反応に動的光学分割法を組み込むことに成功した。4)芳香族Pummerer型反応を用いて,種々の2,3-置換インドール類の簡便合成法を開発した.また,チオフェン,フラン類の位置選択的求核的炭素-炭素結合形成反応を見出した.立体特異的新規転位反応を開発し、(-)-ヘルベルテンジオールや(-)-α-ヘルベルテノールを合成した。神経変性、自己免疫疾患等の治療薬開発のリード化合物として期待されるスキホスタチンの短工程合成に成功した。従来法では達成できないアセタールの新規脱保護法を見出し、全合成における保護基の選択幅を大きく拡大した。
著者
近藤 悟 平井 伸博 菅谷 純子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

リンゴ樹を供試し、光量条件が花芽形成に及ぼす影響を検討した。リンゴの花芽形成に関連する遺伝子として、幼若性に関連するMdTFL1および花形成に関連するMdFT1の発現について検討した。MdTFL1の発現は光量制限下で高くなった。この結果は、リンゴの花芽形成に及ぼす光量制限の影響はMdTFL1との関わりが強いことを示唆する。ブドウ樹を供試し、夜間における青色光あるいは赤色光LEDの照射が果実のアブシシン酸(ABA)代謝およびアントシアニン合成に及ぼす影響を検討した。夜間の赤色LED照射は内生ABA濃度に影響するが、必ずしもアントシアニン濃度とは一致しないこと、青色LED照射は内生ABAに及ぼす影響は大きくないものの、mybA1などアントシアニン合成に関連する遺伝子に影響することが示唆された。
著者
大西 利幸
出版者
静岡大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究ではイリドイド化合物の一つであるオレウロペインを化学防御物質前駆体と考え、環境ストレスに対する樹木の化学防御機構の解明を目的として防御活性化酵素の機能解析を行った。その結果、オリーブ実からオレウロペイン糖加水分解酵素(β-グルコシダーゼ)の精製し、そのペプチド配列から設計したジェネレートプライマーを用いて、オリーブから全長cDNA配列の取得に成功した。
著者
白 迎玖 三上 岳彦
出版者
東北公益文科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、日本で蓄積された研究成果を有効利用し、途上国の実情に鑑み、観測およびシステム保守のコストを抑えながら、中国・上海において高密度自動観測システムを初めて構築し、長期間にわたって37箇所で気象観測を実施して得られたデータに基づいて、上海におけるUHI(Urban Heat Island)の実態を解明することを目的としている。観測によると、上海の月平均気温が上昇し、特に2005年の最高気温38℃を超える日数が10日以上、最高気温の最大値は39.8℃であり、世界的に見ても異常な高温化が顕著化していることが確認された。また、季節別の気温上昇については、春季(3-5月)と夏季(6-8月)の気温の上昇率が大きかった。1985-2005年の20年間に上海の気温上昇は、春季の気温の上昇が約2.53℃/20年でもっとも大きく、冬季(12月〜3月)の気温上昇は1.43℃/20年でもっとも小さかった。上海では風の弱い晴天夜間にUHIが年間を通してはっきり存在している。7月のUHI強度の最大値(月平均値)は4.3℃で、8月の場合には3.4℃であった。UHI強度は日没後急速に増加し、その後は同じような状態が日の出頃まで続くことが明らかになった。また、UHI強度の時間変化と風向とは密接な関連があり、各地域のUHI強度のピーク値の出現は風速と関連があることも確認された。さらに、UHI強度のピーク値は、20-22時と0-3時に現れると同時に、公園緑地のUHI緩和効果も同一時間帯に最大になることが判明した。7月には、夜間は市中心部にある公園緑地のUHI強度の最大値は旧密集型住宅地よりも約1.3℃低かった。8月には、夜間は市中心部にある旧密集型住宅地のUHI強度の最大値の方が約1.4℃高かった。
著者
小沢 浩
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は, ライン生産からセル生産への移行過程に関する概念モデルを精緻化するために, 製造作業に要する動作時間を測定すること, および, 既にライン生産からセル生産へ移行した工場における以降のプロセスに関する事例を整理することを目的として行われた。まず, 動作時間の測定については, これを行ったものの, 実験できる範囲の製造工程では, 簡単な作業の再現しかできないこと被験者となる作業者が限られていることなどから, 常にセル生産が有利であるという結果しか得られていない。しかしながら, 作業時間の平均ではなく, 作業者ごとの作業時間のバラツキをコントロールする方法がセル生産とライン生産では全く異なることに気がついた。そしてこれにもとづいて, 生産形態と業績評価法・行動規範が適合していなければならないという事実に気がついた。具体的には, 「産出/投入」として計算される能率概念は, セル生産では適用可能であるが, ライン生産でこの概念を適用すると工程が混乱することが論証できた。つまり, 一般的な感覚における「能率向上」が適合するのは, セル生産においてであり, ライン生産においてこれを目指すことは悪い効果をもたらしかねないということである。この知見は, 私がこれまで行ってきたJust-In-Time生産の解釈にも新たな光を投じるものである。この成果は, 標準原価計算と関連づけて, 第67回日本会計研究学会において報告した。セル生産と関連づけた研究は, 2009年6月に, 組織学会でも報告し, 論文にまとめる予定である。また, もう一つの課題である事例の収集・整理については, 十分な成果を得られていない。
著者
佐々田 槙子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

ランダムなノイズのある一次元調和振動子鎖に対する平衡揺動の研究を行い、時空間変数に対する拡散型のスケール極限としてマクロなエネルギー揺動の従う確率微分方程式を導出した。また、様々な確率モデルに対するSpectral gapの詳細な評価の新しい手法を得た。