著者
木村 祐哉 金井 一享 伊藤 直之 近澤 征史朗 堀 泰智 星 史雄 川畑 秀伸 前沢 政次
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.59-65, 2016

<p>ペット喪失に伴う深刻な心身の症状が2カ月を超えて持続する場合には,医師による対応が必要である可能性が高いと考えられる。東京および愛知の動物火葬施設で利用者に対して精神健康調査票(GHQ28)による追跡調査を実施したところ,死別直後で22/37名(59.5%),2カ月後で17/30名(56.7%),4カ月後で11/27名(40.7%)の遺族がリスク群と判定された。また,心身の症状に影響のある要因として,遺族の年齢,動物との関わり方,家族機能が挙げられた。ペット喪失後の問題を減らすためには,こうした要因をもつ飼育者に獣医療従事者が事前に気づき,予防的な対応をとることが重要と考えられる。</p>
著者
安藤 孝敏
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学教育人間科学部紀要. III, 社会科学 (ISSN:13444638)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-10, 2008-02

急速な人口の高齢化にともない、わが国においても高齢者とペットとの関係が注目され、ペットが高齢者の心身の健康に良い影響を及ぼすという報告を目にするようになってきた。しかし、これらの多くは事例報告であり、規模の大きな調査研究はごくわずかしかない。他方、欧米では、20年ほど前から社会老年学の新しい研究テーマとしてペットに関する調査研究が行われ、高齢者のペット飼育状況とペット飼育に関連する要因、ペットが高齢者の対人関係に及ぼす影響、ペットが高齢者の心身の健康に及ぼす影響などについて、その成果が蓄積されてきている。ペットが人の心身の健康に及ぼす影響を検討する研究では、人とペットとの関係性をどのように評価するかが結果を左右する重要な要因であるといわれている。これまでの研究をみると、ペットを飼っているかどうかという単純な質問で評価している研究から、多面的に関係性を把握する尺度を開発して評価している研究まである。安藤・児玉は、この問題を検討するために、都市部に居住する50〜79歳の中高年1,098人を対象に調査を実施し、ペットの有無と抑うつ状態との間には有意な関連が認められなかったが、ペットとの情緒的交流と抑うつ状態との間には有意な関連が認められたと報告している。この結果は、人とペットとの関係性を適切に評価する必要があることを示唆するものであったが、この研究で試作された尺度は十分に検討されたものではなかった。そこで本研究では、ペットを飼っている都市部の高齢者を対象とした調査データに基づいて、人とペットとの間で取り交わされる情緒的な交流を量的に把握する尺度を新たに作成し、これらの結果をふまえて、ペットとの情緒的交流が高齢者の精神的健康に及ぼす影響について検討することを目的とした。
著者
岩見 和彦 山本 雄二 関口 理久子 松原 一郎
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.133-184, 2007-03

発展や進歩の概念はつねにアンビバレントな意味を含んでいる。というのは、それらは未来によりよい状態を想定し、人や社会に希望を与える一方で、今われわれが生きている現在を未来への単なる途上として位置づけ、未来の幸福に資する限りで有意義であるような位置に押しとどめるからである。「成熟した社会」であると言われる現代にあって、「現在」がこのような貧しい意義しか持っていないとしたら、その「成熟」はことばのまやかしである。経済の成長に希望を託すことができない時代である今こそ「社会の成熟」を考える好機である。この論文では第2章から第5章まで、4人の研究者が「成熟」に関して考察している。第2章は、現代社会と個人における「成熟」概念の困難と希望を、理論的な側面から考察している。第3章は、戦後教育思想の浸透に伴って忘れられてきたもの、すなわち「暴力」の問題を事例に基づいて考察した。第4章は自伝的エピソード記憶の再生にかかわる性差と抑うつ気分の影響を実験によって調べ、検証した。第5章は、震災復興支援の経験から、物よりも社会関係資本の構築が支援策としては重要であることを論じている。
著者
尹 大栄
出版者
法政大学地域研究センター
雑誌
地域イノベーション (ISSN:18833934)
巻号頁・発行日
no.4, pp.13-21, 2011

静岡は、国内はもとより、世界的にも「プラモデルの街」として知られている。大半のメーカーが静岡市内に集積し、一大産地を形成している。毎年 5月には、昨年 (2011年)で第 50 回目となる世界最大の見本市(「静岡ホビーショー」)が開催され、国内外から大勢の業界関係者が静岡に集まってくる。特定地域(静岡)に産地が形成され、日本が世界的な競争力をもつ産業であるが、いままでプラモデル産業に関する体系的な研究調査はほとんど行われてこなかった。 この小論では、関連文献・資料のレビューと聞き取り調査で得られたデータをもとにプラモデル産業の歴史と現状について概観し、主に、なぜ静岡という地域が世界的なプラモデル産業の中心地となったのか、どのような産業構造の特徴があるのか、どのような課題に直面し、その課題解決のカギとは何か、について考察する。Shizuoka is known as "a town of the plastic model" in the world as well as in the country. Most manufacturers are accumulated in Shizuoka city and form a major producing center of the plastic model. In May of every year, the world's largest trade fair ("Shizuoka Hobby Show") is held in Shizuoka. In last year (2011), the 50th show is held and a large number of industry people flocked from home and abroad. The major producing center was formed in specific area (Shizuoka) and it is the global competitiveness of Japan, but the systematic research about the plastic model industry has not been done until now. In this paper, the history and the present conditions of the plastic model industry was surveyed based on data provided by the review of related documents and interview. Mainly, the following questions were surveyed. Why did an area called Shizuoka become the center of global plastic model industry? Are there any features of the industrial structure? What challenges have the industry faced and what is the key to solve the problem?
著者
井原 奉明 Ihara Tomoaki
出版者
光葉会
雑誌
学苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.858, pp.86-98, 2012-04

AbstractThis thesis aims at clarifying the concept of Mono in Japanese, following the previous studies conducted by the same author. He takes up the newly publicized idea of Mono by NAKANISHI Susumu, that Mono is considered equivalent with mana, a proto-religious concept widely prevalent in the indigenous faith system around the South Pacific region. He expounds NAKANISHI's idea with the additional comments on the concept of mana and the related studies, and makes clear the explanatory inadequacy of the Mono=mana theory. He then introduces the phenomenological conception on space with the notion of omote(front)and ura(back)to make up for the defect of the former studies and constitute a totally consistent theory.
著者
橋本 朝生
出版者
法政大学
雑誌
能楽研究 (ISSN:03899616)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.109-141, 1985-03-31
著者
串崎 正輝 李 強
出版者
大阪物療大学
雑誌
大阪物療大学紀要 (ISSN:21876517)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.45-51, 2014

本研究は、示指環指比(Digit Ratio(2D:4D))が生理人類学における性差調査の際に表した簡便さに注目し、身体体表指標(Biomarker)として多用されているBMI(Body Mass Index,体格指数)との関連性を検証することを目的とした。被検者は、心身(指に外傷歴や障害歴がない)ともに健康な医療系専門学校学生95名(男子75名、21.87±3.32yrs;女子20名、21.50±5.22yrs)とした。測定方法は、被検者全員の右手の示指と環指の長さに対して、ファイバーノギスを用い、それぞれの中手指節間関節の横紋から指端までの距離を計測した。また、被検者の身長と体重からBMIを求め、Digit Ratio=2D/4Dという計算式から2D:4Dを算出した。得た結果に対して統計処理を行い、2D:4DとBMIとの相関関係を解析した。2D:4Dについて、男性群には有意差がみられた(p<0.01)が、女性群には認められなかった。男性群も女性群も2D:4Dの平均値とBMI平均値との相関関係は見られなかったものの、BMIの値が20以下のグループには2D:4DとBMIとの間にやや強い負相関がみられ、両者間に顕著な有意差が認められた(r=-0.5076,p=0.0005406(Two-tailed))。示指環指比とBMIとの関連性に関する研究を行う際に、BMI値の多寡を軸に被検者を細分すべきことが示唆された。
著者
谷沢 智史 中川 晋吾 金指 文明 西村 一彦 長久 勝 横山 重俊 吉岡 信和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.492, pp.161-165, 2014-03-13

国立情報学研究所では仮想マシン貸し出し型のプライベートクラウドedubase Cloudや,物理マシン貸し出し型のプラィベートクラウドの開発,運用を行なっており,さらに,新たにインタークラウド基盤プロトタイプの開発を行い,試験運用を開始している.我々はクラウド運用を効率化するため,編集可能な広大な「マップ」アプローチを提案し,実運用に適用した.この適用事例について報告し,よりよいマップを作るための支援機構について提案する.
著者
佐久間 秀範
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1112-1120, 2007

<b>ねらい (目的)</b>: 五姓格別というと唯識教学の旗印のように日本では考えられてきたが, 吉村誠氏, 橘川智昭氏などの研究から法相宗の事実上の創始者窺基に由来することが判った. 窺基はそれ以前の中国唯識思想が如来蔵思想に歪められていたことへの猛反発から玄奘がもたらした正統インド唯識思想を宣揚しようとし, 一乗思想の対局の五姓格別を持ち出したと考えられる. それならば五姓格別思想も, その起源をインドに辿れるはずである. これまでインドの文献資料の中にその起源を位置づける研究が見あたらなかったので, これを明らかにすることを目的としたのが当論文である.<br><b>方法 (資料):</b> 全体を導く指標として遁倫の『瑜伽論記』の記述を用い, 法相宗が五姓格別のインド起源の根拠と位置づける『瑜伽論』『仏地経論』『楞伽経』『大乗荘厳経論』(偈文, 世親釈, 無性釈, 安慧釈) と補足的資料として『勝鬘経』『般若経』に登場する当思想に関連するテキスト部分を逐一分析し, その歴史的道筋を辿った.<br><b>本論の成果等</b>: 諸文献のテキスト部分を分析した結果, 五姓格別思想は三乗思想と無因子の無種姓とが合成されたものであることが判った. その過程を辿れるのが『大乗荘厳経論』第三章種性品であり, 無種姓という項目が声聞, 独覚, 菩薩, 不定種性と並列された第五番目に位置づけられるようになったのは, 最終的には安慧釈になってからであることが歴史的な発展過程とともに明らかになった. その場合玄奘のもたらした瑜伽行派文献の中国語訳に基づく五姓格別思想は, 玄奘が主として学んだナーランダーの戒賢等の思想と云うよりも, ヴァラヴィーの安慧系の思想を受け継ぐものと考えられる. これは智と識の対応関係などにもいえることであるが, 法相宗の思想の基盤が従来考えられたようなナーランダーにあると云うよりも, ヴァラヴィーなど他の地域に依拠しているケースが認められたと云うことであり, これまでの常識とされていた中国法相教学の思想の位置づけを含めて, 教理の内容を吟味してゆくことを要求する内容となった.
著者
渡辺 豊子 大喜多 祥子 福本 タミ子 石村 哲代 大島 英子 加藤 佐千子 阪上 愛子 佐々木 廣子 殿畑 操子 中山 伊紗子 樋上 純子 安田 直子 山口 美代子 山本 悦子 米田 泰子 山田 光江 堀越 フサエ 木村 弘
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.288-295, 1999
参考文献数
15
被引用文献数
5

腸管出血性大腸菌O157食中毒を予防するためには,牛ひき肉を用いたハンバーグの焼成においては、内部全体が75℃に到達する必要がある。しかしその到達を判断する方法は明確ではない。そこで,焼成中のハンバーグ内部の最低温度と,流出する肉汁の状態との関係を明らかにすることによって,一般家庭の調理において,食品衛生上安全なハンバーグを焼くことが出来るよう,ハンバーグの焼き終わりを検討した。1個100gのハンバーグ3個をガスオーブン230℃で焼成し,焼成中にハンバーグ内部6点の温度を測定した。また6分・9分・12分・15分・18分間の焼成後,直ちに一定の厚さ圧縮して肉汁を採取し,その色や濁りを観察して以下の結果を得た。1) ハンバーグの最低温度は6分間の焼成では44℃,9分間の焼成では55℃と低く,両者の汁液は赤みが強く濁りもあった。2)12分間焼成したハンバーグの最低温度は66℃であり,その汁液は茶褐色を呈したが,透明な油脂と混じって流出するため濁りを見定め難く,透明と判断される可能性があった。しかし注意深く観察すると濁りが確認された。なお,内部には余熱によっても75℃に達しない部分があり,食品衛生上安全であるとは言えなかった。3) 15分間焼成したハンバーグは食品衛生上安全(最低温度は75℃)であると判断された。その汁液は黄色みを帯びて透明であった。従って透明な肉汁の流出は75℃到達の指標になることが確認できた。4) ハンバーグを軽くおしたときに流出する肉汁の量・ハンバーグ表面の焼き色・断面の色・硬さで75℃到達を判断するのは難しいと思われる。5) 官能検査において,15分間焼成したハンバーグの焼き加減は適切であるとされた。以上より,おいしさと安全性の両面からみて,ハンバーグの焼き終わりは「肉汁の赤みが完全に消失して,透明になったことを確認した直後」が適切である。オーブンの種類やハンバーグの大きさなど焼成条件が異なると,焼成時間と内部温度の関係も変化する。しかし、内部温度と肉汁の色や濁りとの関係は変わらないので,「肉汁の色や濁りを見て焼き終わりを判断する」と言われることは,牛ひき肉ハンバーグに対しては有効であると思われる。