著者
湯川 慶子 石川 ひろの 山崎 喜比古 津谷 喜一郎 木内 貴弘
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.16-26, 2015 (Released:2015-02-27)
参考文献数
32

目的:慢性疾患患者の代替医療による副作用への対処行動や主治医とのコミュニケーションとへルスリテラシーとの関連を明らかにすることを目的とした.方法:2011年5月から7月に,全国の患者会の慢性疾患患者920名に自記式質問紙を用いた横断研究を行った.603通を回収し欠損が多いものを除いた570通のうち(有効回収率62.0%),代替医療の利用経験を持つ428名を対象とした.副作用経験の有無(副作用の経験あり群・経験なし群),副作用時の対処(利用中止群・利用継続群),主治医への副作用の症状と療法の報告(主治医への報告あり群・報告なし群)別のへルスリテラシーについて対応のないt検定を行った.さらに,属性とヘルスリテラシーを説明変数,利用中止,主治医への報告ありを目的変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った.結果:428名中88名(20.6%)が副作用を経験していた.そのうち45.9%が利用を継続し,61.6%は主治医に副作用の症状と療法を報告していなかった.利用中止群が利用継続群よりも,報告あり群が報告なし群よりもヘルスリテラシーが高かった.多変量解析でも,ヘルスリテラシーと利用中止か継続かとの関連(OR=2.75,95%CI 1.06-7.10),主治医への報告の有無との関連(OR=2.59,95%CI 1.01-6.65)が認められた.結論:へルスリテラシーは,代替医療による副作用への適切な対処,主治医への報告など,代替医療の安全な利用に重要である.
著者
坂牧 成恵 中里 光男 松本 ひろ子 萩野 賀世 平田 恵子 牛山 博文
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.326-331, 2008-08-30 (Released:2008-09-11)
参考文献数
15
被引用文献数
8 9

グレープフルーツジュース類(GFJ) 13製品,健康食品16製品および20種のかんきつ類についてフラノクマリン(FC)類の分析を行い,製品中の含有量と一日摂取量を調査した.GFJ中平均含量はベルガモチン(BG) 7.7 μg/g, 6',7'-ジヒドロキシベルガモチン(DHB) 3.7 μg/g, ベルガプトール(BT) 8.8 μg/gであり,GFJ 200 mLを飲用すると,BG 1.5 mg, DHB 0.75 mg, BT 1.8 mgが摂取されると推定された.健康食品では,5製品からFC類を検出し,一日最大0.34 mgのBTを摂取することが推定された.また,スイーティ,メローゴールド,晩白柚などのかんきつ類ではFC類を含有していた.薬剤相互作用の点からは,GFJ以外にも他のかんきつ類や健康食品の摂取についても注意が必要と考えられた.
著者
石川 ひろの
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.338-342, 2014-10-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
3
被引用文献数
3

先行研究を読むことは,研究の着想から論文執筆に至るまで研究のあらゆる過程で重要であるが,その目的や活用の仕方は,研究のどの段階にあるかによっても変わってくる.研究開始前に先行研究に当たる主な目的の一つは,先行研究で明らかにされていることとまだ明らかにされていないことを明確にすることであるだろうし,論文執筆時には先行研究と自分の研究結果を比較して考察を深めるために先行研究を読むことになる.先行研究を読むことの意味やその使い方を知り,何のために読むのか意識して先行研究に向き合うことが,より効率よく先行研究を活用して,研究の質を高めることにつながると考える.
著者
金子 ひろみ
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.7, pp.447-454, 2010 (Released:2016-01-21)
参考文献数
6

この度日本酒造組合中央会は,日本酒が常備されていない家庭にも,飲用以外の用途で日本酒をおいていただくことを目的として,「日本酒を,すべての家庭に」というキャンペーンをスタートさせた。健康や美容に良い日本酒を健康的に飲むためのおつまみなどについて研究をしてこられた管理栄養士,料理研究家そして日本酒スタイリストとしてご活躍中の筆者に,その経験を生かして,飲用以外に日本酒を使う実例やその効果・効能などをわかりやすく解説をしていただいた。このキャンペーンをとおして,日本の全世帯に日本酒が備えられ,料理などに幅広く活用されることを願っている。
著者
金子 ひろみ
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.105, no.7, pp.447-454, 2010 (Released:2011-05-27)
著者
伊野 陽子 上野 杏莉 舘 知也 大坪 愛実 勝野 隼人 杉田 郁人 兼松 勇汰 吉田 阿希 野口 義紘 堺 千紘 井口 和弘 川上 ちひろ 藤崎 和彦 寺町 ひとみ
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.533-551, 2017-10-10 (Released:2018-10-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

In recent years, multi-occupational collaboration aiming at patient-centered care is required to provide high-quality medical care. However, there are few studies on collaboration between hospitals or clinics and community pharmacies. In this study, we conducted a questionnaire survey to clarify the present conditions and awareness of hospitals or clinics in Gifu City regarding collaboration with community pharmacies. The following activities with community pharmacies were examined in the survey: “I. Participation in regional care meetings,” “II. Case discussion conferences,” “III. Workshops/study conferences,” “IV. Community service,” “V. Sharing information through medical cooperation network,” “VI. Accompanying community pharmacists at home medical care” and future plans for these items. The percentage of non-implementation was 80% or more in Items I, IV and IV in the hospital and 80% or more in items other than III in the clinics. The percentage of respondents who were not planning to implement Item VI was over 70% in the hospital, and the percentage of respondents who were not planning to implement Items I, IV, VI was over 70% in the clinic. In the comparison between the hospital and the clinic, the proportion of current collaboration is significantly higher for II and III in the hospital. For collaboration in the future, the proportion of respondents who were planning to implement these items other than VI was significantly higher in the hospital. Many hospitals and clinics currently do not collaborate with community pharmacies. And more hospitals are considering collaboration with community pharmacies than clinics.
著者
横山 ちひろ 村山 美穂 田原 強 尾上 浩隆 村山 美穂 田原 強 尾上 浩隆
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

コモンマーモセットの示す社会性における、遺伝子/環境-行動連関の分子基盤を明らかにするために、セロトニン、ドーパミン、性ステロイドおよびバソプレシン神経伝達等に係る遺伝子多型の調査および陽電子断層撮影装置(PET)による脳内生体分子イメージングを遂行した。社会性行動の定量評価しそのスコアと遺伝子多型および脳内分子局在活性との関連性を明らかにするとともに、親子分離による社会行動への影響を明らかにした。
著者
阿部ちひろ 伊藤彰則
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.3, pp.1-6, 2012-08-02

本稿では,Ngram 言語モデルをもとに歌詞候補文を生成する作詞補助システム 「patissier」 への実装を想定した,歌詞テキストの特徴分析結果を報告する.作詞においては,音韻やアクセントなど技巧的な側面の考慮とともに,楽曲のテーマや歌詞のストーリー設定も重要な要素である.より歌詞らしい候補の生成を目的として,コンテンツ投稿サイト 「ピアプロ」 に投稿された歌詞テキストを用い,一般に歌詞らしさと呼ばれる特徴の定量的検討を行った.また,CSJ (日本語話し言葉コーパス) や blog 記事との比較から,主に使用される単語の違いにより,歌詞とその他の文章は統計的に区別可能であることが示唆された.さらに,3 種類のモデルを用いた歌詞生成実験により,それぞれ異なった傾向を持つ文が生成されることが確かめられた.
著者
濵本 鴻志 葛谷 潤 荒井 ひろみ
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2C4OS9b02, 2021 (Released:2021-06-14)

人工知能(AI)の発展が目覚ましい一方で、その背景にある機械学習、特に深層学習のブラックボックス性は、信頼と責任の観点から社会実装の障害となっている。こうしたブラックボックス化の問題を解決するために、説明可能AIのコミュニティでは、透明性や説明責任を実装するための技術的な取り組みが急速に進められているだけでなく、近年では、そもそも説明とは何かといった哲学的問題に取り組む研究も始まっている。既存の研究の一つとして、Mittelstadt et al. (2019)は、Miller (2019)による説明概念の分析に基づいて、対話型の対比的説明を提供する説明可能AIの開発の必要性を訴えている。本論文では、まず、肺炎リスク予測システムの事例を用いて説明可能AIのニーズを確認し、次にMittelstadt et al.(2019)の議論を概観した上で、そこで提案されている対話型の対比的説明の有用性について議論する。
著者
中園 聡 平川 ひろみ
出版者
鹿児島国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究課題では遺跡の発掘調査を実施し,調査の細かな過程や遺物の出土状況等について徹底した3D計測するなど,実践を通じてこれまでにないレベルでの高密度記録に挑む。実例をもって,その実現と展開の可能性を広く示し,調査時から始まる情報の陳腐化という難問への対処や再現可能性,データの利用可能性等を追求する。また,取得データを活用した研究上・教育普及上の活用例の一端も示す。
著者
西原 進吉 荒木 敦子 宮下 ちひろ 山﨑 圭子 岸 玲子
出版者
北海道公衆衛生学会
雑誌
北海道公衆衛生学雑誌 (ISSN:09142630)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.27-40, 2017-03-31

我が国では神経発達障害の子どもが増加傾向にある.近年,殺虫用途等で使用される農薬への曝露がその一因であるとも考えられている.そこで,本稿では,胎児期,乳幼児期,学童期における農薬曝露と,注意欠如/多動性障害を中心とした神経発達への影響に関する近年の研究動向について検討を行うことを目的とした.医学文献データベースPubMedを用いて,有機塩素系,有機リン系,ピレスロイド系,カーバメイト系,ネオニコチノイド系農薬と,注意欠如・多動性障害,不注意,多動,神経発達,行動発達を検索用語として,文献検索を行った.得られた176編の論文から,農薬と神経発達に直接関係する疫学論文40編に焦点をあてて検討した.その結果,有機リン系農薬については,胎児期曝露の影響がみられること,生後曝露の影響は一貫しないこと,有機塩素系農薬についても,胎児期曝露の影響を示す報告が多いことが示された.一方,ピレスロイド系農薬では,胎児期よりも出生後の影響が強い可能性が示唆された.カーバメイト系農薬については,胎児期曝露の影響が示唆されたが,論文数は2編のみであった.ネオニコチノイド系農薬については報告が1編のみであった.精神発達においては,検索内容に関する評価項目が多岐にわたり,また,影響が表出する年齢も異なる可能性があることから,農薬曝露と精神発達の関連についての研究報告数は,現状では不十分であり,さらなる研究の蓄積が望まれる.
著者
宮原 ひろ子
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.3, pp.510-518, 2010-06-25 (Released:2010-08-30)
参考文献数
20
被引用文献数
4 3

The relationship between solar activity and climate change in the past can be examined using proxy records. Variations of solar activity can be reconstructed based on carbon-14 in tree rings, which are produced by galactic cosmic rays modulated by the solar wind, while climate change can be reconstructed from changes of tree-ring growth rate or content of stable isotopes in ice cores from the polar region. A comparison of solar activity and climate change at the Maunder Minimum in the 17th century and the Early Medieval Maximum Period in the 9-10th century suggests that the sun plays an important role in climate change even on a decadal time scale. The characteristic variations detected in climate change suggest the mechanism of solar influence on climate involves galactic cosmic rays. Variable features of eleven-year and twenty-two year cycles of solar activity and consequent variations of cosmic rays are possible origins of complex variations of climate change on decadal to multi-decadal time scales. We summarize variations of solar activity and cosmic rays during the past 1200 years and their possible influence on climate change.
著者
寺町 ひとみ
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.12, pp.1325-1334, 2013 (Released:2013-12-01)
参考文献数
14
被引用文献数
3 4

Under new courses of study, medicine-related content has been incorporated into health and physical education at junior high schools, and classes on the “Correct use of medicine” began as part of this content in 2012. Based on the “School Health and Safety Law” implemented in April 2009, health guidance provided by school physicians, pharmacists, and dentists has also been incorporated. This has raised expectations that educational programs concerning the “Correct use of medicine” could be effectively implemented through cooperation between school pharmacists and health and physical education teachers. In order to clarify current knowledge and awareness regarding the “Correct use of medicine” among students, as well as the guidance provided at schools, we conducted a training workshop for teachers at elementary and junior high schools in Gifu City. Based on the results, we developed a “Correct use of medicine” educational program. We then presented this program in a class with 40 third-year junior high school students on January 31, 2012. It consisted of an introduction (7 min), a development portion (35 min), and a conclusion (8 min). After the class, a question and answer session was held with observers (n=11) and a questionnaire survey, which resulted in high evaluations, was conducted on the students. Comments including concern over the large volume of educational content and the need to raise awareness were heard, but the results of the questionnaire survey showed that many students found the class content useful and interesting.
著者
森澤 ひかる
巻号頁・発行日
2018

筑波大学修士(図書館情報学)学位論文・平成30年3月23日授与(39521号)
著者
篠原 ひとみ 兒玉 英也 吉田 倫子 成田 好美
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.499-506, 2009-01
被引用文献数
1

乳児期の夜泣きに関して,母親211人に対しアンケート調査を行った。その結果,乳児の母親の18%が夜泣きに直面しており,その中の3割程度が深刻な状況にあると予測できた。夜泣きの開始時期は,生後5〜7ヵ月と生後1ヵ月以内が多かった。夜泣きの開始時期が7ヵ月以降の場合では,夜泣きの継続月数が長引く傾向が認められた。生後3ヵ月以前に開始した夜泣きは,持続時間が長く時間帯が0〜1時のものが多く,一方,4ヵ月以降に開始した夜泣きは,2時以降に多く持続時間は短い傾向がみられた。児の性別,出生体重,授乳方法やさまざまな保育環境に関するパラメーターについて,夜泣きの有無に関連するものはみいだせなかった。一度目覚めるとなかなか寝ない児の割合が夜泣きのある児で有意に高かった(<005)。今回得られた情報は,乳児期における夜泣きへの看護介入の基本情報として,重要と考えられる。
著者
長谷川 修 佐藤 ひでこ
出版者
一般社団法人 日本病院総合診療医学会
雑誌
日本病院総合診療医学会雑誌 (ISSN:21858136)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.62-67, 2023-01-31 (Released:2023-05-31)

音楽演奏家ジストニアでは,高度な演奏を行うときのみに,目的外の筋に力が入り,巧緻な 演奏動作を阻害する。不適切な筋の使い方を繰り返すと,その感覚記憶が脳に刻み込まれ,ジストニアが悪化する。原点に戻って再学習することが,改善への早道と考える。この考え方を,ジストニアで苦しむ8名のピアノ演奏家に伝え,少なくとも5名はリサイタルを開くまでに 回復した。改善した演奏家の経験を詳しく記した。上述の考え方を行動に移すとともに,脳に 違和感が走った瞬間にピアノを弾く意思を中止して脱力することを繰り返した。さらに,指伸 筋を単独で使用する鍵盤リハビリを研究して実践した。ジストニア治療には誤作動している脳 を自分自身で修正することが必須である。脳機能の特徴を理解した上で,必要に応じて他の治療法も用いながら,焦らずに正しい分離運動を積み重ねることが改善への近道と考える。