著者
釜野 さおり 小山 泰代 千年 よしみ 布施 香奈 石田 仁 岩本 健良 藤井 ひろみ 山内 昌和
出版者
国立社会保障・人口問題研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

性的指向と性自認に関しての学術的に信頼性のある情報が必要だが、日本では量的データに基づく知見の蓄積が乏しい。本研究では調査で性的指向と性自認のあり方(シスジェンダーかトランスジェンダーか)を捉える設問をフォーカス・グループ等を経て考案し、SOGI設問と、働き方、経済状況、心身の健康、自殺念慮、ジェンダー、家族、SOGI施策についての意識、いじめ被害や見聞き経験等を含む調査票を用いて、2019年に大阪市の住基台帳から無作為抽出した15000人を対象に郵送調査を実施し、4285人から回答を得た。学歴、収入、心身の健康等のSOGI別分析の結果を発表し、無作為抽出調査にSOGIを含める意義を示した。
著者
村上 恵 吹山 遥香 岩井 律子 酒井 真奈未 吉良 ひとみ MURAKAMI Megumi HUKIYAMA Haruka IWAI Ritsuko SAKAI Manami KIRA Hitomi
出版者
京都
雑誌
同志社女子大学生活科学 = DWCLA human life and science (ISSN:13451391)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.30-35, 2020-02-20

The purpose of this study was to investigate the effects of water hardness on the physical properties of boiled beef and to clarify whether hard water is suitable for stewed dishes. Using sensory evaluation, we found that beef boiled in hard water(Ca : 300 mg/L)was evaluated more highly than beef boiled in soft water(Ca : 50 mg/L); this was true of both the odor and taste of the beef.When beef was boiled in hard water, the protein on the surface of the beef rapidly solidified, preventing the release of components from the inside even when heated for a long time.These results suggest that hard water is more suitable for beef stew than soft water.
著者
熊谷 淳 足立 厚子 永濱 陽 山田 はるひ 増田 泰之 北村 弘子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.479-484, 2023 (Released:2023-07-15)
参考文献数
13

20代,女性.下部消化管感染症に対し,抗生剤点滴に加え点滴用複合ビタミン剤を投与したところ,アナフィラキシーを発症した.原因精査のため当科紹介.点滴用複合ビタミン剤1%皮内テストが陽性となり,成分別検査ではビタミンB1誘導体のリン酸チアミンジスルフィドのプリックテストが陽性.点滴用複合ビタミン剤中のリン酸チアミンジスルフィドによるアナフィラキシーと診断した.既報告ではビタミンB1誘導体間の交差反応はないとされていたが,自験例ではフルスルチアミン塩酸塩で陽性を示し,交差反応が示唆された.点滴用複合ビタミン製剤は日常臨床で使用されており,発症頻度は少ないがアナフィラキシーに至る可能性があり注意が必要である.
著者
松尾 加代子 上津 ひろな 高島 康弘 阿部 仁一郎
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.35-40, 2016-06-30 (Released:2016-08-20)
参考文献数
20
被引用文献数
2 13

岐阜県内で捕獲されたホンシュウジカ63頭およびニホンイノシシ30頭の筋肉について住肉胞子虫の調査を行ったところ,シスト保有率はそれぞれ95.2%および50.0%であった。ホンシュウジカおよびニホンイノシシから得られた住肉胞子虫のブラディゾイトは,いずれも馬肉の生食による住肉胞子虫性食中毒の原因とされる毒性タンパク質に対する免疫染色で陽性を示した。ニホンイノシシの筋肉からはHepatozoon sp.も検出された。分離株の18S rDNAの系統樹解析により,ホンシュウジカ由来住肉胞子虫株は遺伝的に多様で主に5つのグループに分類され,ニホンイノシシ由来のHepatozoon sp.はタイの野生イノシシ寄生マダニ由来のHepatozoon sp.と最も近縁であった。
著者
舘 知也 野口 義紘 寺町 ひとみ
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-11, 2018 (Released:2018-06-16)
参考文献数
68

Objective: A medication notebook is developed in order to unitedly manage medication information of patients and is used by writing medication information such as history of ethical drugs, over-the-counter drugs and health foods, anamnesis, history of adverse events and allergy.  Adverse events, interaction and duplication of drugs can be prevented by showing a medication notebook to doctors and pharmacists.Data Sources·Study Selection·Data Extraction: In this article, we reviewed literatures regarding preceding studies on the utilization of medication notebooks comprehensively.Results·Conclusion: In our review, we could comprehend literature on medication notebooks systematically and could summarize a lot of evidences that confirm the usefulness of medication notebooks.  We need to produce further evidences on medication notebooks to spread medication notebooks.
著者
小山 ちひろ 石川 由羽 高田 雅美 城 和貴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-110, no.10, pp.1-6, 2016-09-09

本稿では,ルールや攻略法を与えず自動的にルールを構築し,上達することができる成長型ゲーム AI の開発を行う.専用の学習エミュレータが存在しないゲームを学習させることは困難である.そこで,プレイ画面情報のみでゲームを学習することができるシステムを開発する.画面情報より得られたスコアのみを学習に用い,遺伝的アルゴリズムを適用して Flash ゲーム “QWOP” の運動学習を行う.ランダムな行動パターンを持つ個体群に対し,遺伝子操作を行うことでスコアが徐々に向上し,歩行運動を学習していくことを確認する.
著者
横井 賀津志 藤井 有里 酒井 ひとみ
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.109-117, 2020-02-15 (Released:2020-02-15)
参考文献数
19

レビー小体型認知症の発症により,作業ができなくなり自分らしさを獲得できなくなったクライエントに対し,Person-Environment-Occupation Model of occupational performance(PEOモデル)を用い介入した.クライエントと作業療法士は作業ニーズを特定し,作業歴を紐解き作業分析を行い,人-環境-作業の適合を見極めるため,それぞれを個別に評価した上で作業遂行場面を観察したところ,作業形態と意味が満たされた.クライエントを主語に作業を基盤とした介入を実施した結果,人-環境-作業が最大限に適合し,クライエントは日記に「自分が生まれた感じがした」と表現する作業的存在を確認できた.さらに作業の力は,傾眠回数の減少にも寄与した.
著者
石川 ひろの
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.77-90, 2020-06-16 (Released:2020-08-26)
参考文献数
43

この数十年,医療を取り巻く社会的な変化は,患者-医療者関係を大きく転換させてきた。慢性疾患の増加に伴い,患者と医療者との長期的な治療関係や治療過程における患者の主体的な参加が求められる中で,いわゆる伝統的な父権主義的患者-医師関係から,相互参加型の患者-医師関係が模索されてきた。そこにおいて,目指されてきたのが患者と医療者による意思決定の共有(Shared decision making:SDM)である。生命へのリスクが高く,しばしば複数の治療法の選択肢が存在するがん診療場面は,早くからSDMの重要性が注目されてきた領域である。マスメディア,インターネットなど,保健医療に関する情報が増大し,情報源が多様化する中で,患者自身が適切な情報を収集・活用し,主体的に治療や意思決定に参加していく力の重要性は増している。SDMの実践は,参加に消極的になりがちな人々,不利な立場にある人々も含め,治療のプロセスへの参加を促し,納得のいく決定ができるように支援することで,健康の不平等の解消にもつながる可能性がある。
著者
中島 耕一 今田 康夫 奈良坂 ひろ子 毛利 尚武 斉藤 満
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.28-34, 1984-03-01 (Released:2009-11-11)
参考文献数
5
被引用文献数
2 3

The morphology and friction coefficient associated with water content and lipid on the skin of the inner part of the forearm, were investigated in 250 healthy subjects. It was found by electron microscopy that skin surface exhibited a pattern formed by two types of stripes, main stripes and fine stripes and these differ in length and depth from the superficial surface of the skin. Total length of the stripes on the skin surface per unit area decreases gradually with age of subject, and the pattern of the skin surface in advanced age is mainly formed by the main stripes. Friction coefficient of the surface depends largely on the total length of the stripes per unit area. It increases monotonically with the decrease of the total length.The relationship was investigated between water content and friction coefficient on skin surface, and it was found that there was an optimum water content to minimize friction coefficient of the skin surface.
著者
大隅 良典 安楽 泰宏 北本 勝ひこ
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.11-16, 1985-01-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
23
被引用文献数
1

液胞は酵母を始め植物細胞に存在し, 古くから細胞内の古くなった蛋白の再処理工場として, またアミノ酸などの貯蔵庫としての役割に関与していると言われながら, その単離が困難であったため不明な点が多かった。著者らの研究室では, 世界で初めて酵母液胞膜小胞の調製に成功し, それを用いて液胞膜ATPaseの精製, アミノ酸輸送系の解析等の液胞機能の解明が進んでいる。 本稿では, 最近の液胞に関する研究の現状と, それらと清酒醸造との関わりについて解説していただいた。
著者
山下 ひろ子 小山田 玲子 奥 直子 西村 正治 石黒 信久
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.210-214, 2011 (Released:2011-10-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1

当院職員を対象に,麻疹,風疹の感染防御に十分な抗体価を有していない者(麻疹PA抗体価128倍未満,風疹HI抗体価16倍未満)に麻疹,風疹ワクチン接種を行った.麻疹ワクチン接種後に128倍以上の抗体価を獲得したのは123名中92名(74.8%)で,256倍以上の抗体価を獲得したのは123名中70名(56.9%)であった.風疹ワクチン接種後に16倍以上の抗体価を獲得したのは130名中118名(90.8%)で,32倍以上の抗体価を獲得したのは130名中101名(77.7%)であった.幼児に麻疹,風疹ワクチンを接種した場合の抗体陽転率は95%以上とされているが,医療従事者に麻疹,風疹ワクチンを接種して(単に抗体陽転ではなく)感染防御に有効とされるレベルの抗体獲得を期待する場合,接種後の抗体獲得率は95%よりも低いことに留意するべきである.
著者
若松 由佳子 川原 瑞代 渡辺 久美 島内 千恵子 菅沼 ひろ子 串間 秀子
出版者
宮崎県立看護大学
雑誌
宮崎県立看護大学研究紀要 (ISSN:1345692X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.92-97, 2000-12

近年の児の栄養方法の推移をみると母乳栄養の割合が上昇してきているが, 半数以上は哺乳びんを用いる育児が行われている。そこで, 今回哺乳びんの消毒方法がどのように行われているかを明らかにすることを目的に調査を行った。すなわち, 乳児を養育している母親108名を対象として, 哺乳びんの消毒方法の実施の実態とそれらに対する認識について調査した。その結果, 生後1ヶ月の時点での哺乳びん使用者は55名で, 哺乳びんの消毒方法は, 「次亜塩素酸ナトリウムでの消毒」が25名, 「煮沸消毒」が22名, 次いで「電子レンジでの消毒」が9名であった。消毒方法を選択するのに影響を受けた情報源では「テレビ・新聞等の広告」と「出産した施設での専門家の指導」が同数の14名, 次いで「家族」が13名でほぼ同数程度と多く, その他には「育児書」や「雑誌」などが情報源になっていた。消毒方法別にみると, 次亜塩素酸ナトリウム消毒実施者は, 「テレビ・新聞などの広告」が多く, 煮沸消毒実施者は, 「出産した施設での指導」が多かった。消毒方法についての認識は, 「清潔なものを使いたい」という人が多い一方で, 「手間がかかる」「いつまで必要か」「このような消毒や洗浄で子どもに安全か疑問」などの疑問も同時にみられた。更に, 哺乳びんの消毒を必要と考える期間についても, 6ヶ月から12ヶ月と答えた人が約60%を占めたが, 6ヶ月以下もみられ一定していなかった。これらの結果から, 哺乳びんの消毒については, 方法の選択や実施法やその時期に戸惑いがみられることがわかった。従って, 乳児の免疫学的及び, 細菌学的特徴も考慮に入れた消毒方法についての検討と情報提供が必要であり, 母親と指導する側の認識についても考慮しながら, 有効な保健指導を行う必要があることが示唆された。
著者
川上 ちひろ 西城 卓也 丹羽 雅之 鈴木 康之 藤崎 和彦
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.301-306, 2016-10-25 (Released:2017-08-10)
参考文献数
9

医療系専門職養成機関において教務事務職員が学生対応で難しいと感じる事例について調査した. 公私立大学医学部・歯学部教務事務職員研修に2013年度から2015年度に参加した教務事務職員143名から得た185事例を分析した.事例は, 学生に問題があるものが多くを占め136事例 (73.5%) であった一方で, システムや教員に問題があるものも含まれた. 医療系専門職養成機関において適切に難しい場面に対応するために, 教員, 事務職員の協働は欠かせないものである.
著者
河西 ひとみ 辻内 琢也 藤井 靖 野村 忍
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.59-68, 2017 (Released:2017-01-01)
参考文献数
14

本研究は, 過敏性腸症候群 (IBS) の軽快・治癒プロセスを明らかにすることを目的とし, 主観的に軽快・治癒に至った7名のIBS患者にインタビューを行った. 分析には質的研究法の複線径路等至性モデル (Trajectory Equifinality Model : TEM) を使用した. 結果, プロセスは3型に分けられ, すべての型が 「IBS症状の発現」 から 「とらわれ」, 次に 「対処行動」 と 「IBS症状の一部軽快」 に至るまでは同じ径路をたどったが, 以降の径路は 「環境調整」 と 「心理的葛藤に直面」 に分岐した. 分岐後は, いずれの径路を選択した型も, サポート資源を受け取ることによって, すべての型において 「受容的諦め」, 「人生観の変化」, 「IBS体験への肯定的意味づけ」 という認知的変容体験を経て, 主観的な軽快・治癒に至った. また, 7例中3例において, 他者からの受容・共感と, 変化への圧力の相補的な働きがプロセスを推し進めた可能性が示唆された.