著者
湯川 淳一 緒方 一夫 多田内 修 矢田 脩 上野 高敏 紙谷 聡志 加藤 内蔵進 鈴木 英治 鎌田 直人 秋元 信一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

現在、地球上では、人間が行う様々な営みによる複合的な要因によって、急激な温暖化やオゾン層の破壊、酸性雨、海洋汚染など深刻な問題が生じており、それらに伴う野生生物種の絶滅や森林面積の減少、砂漠化などが危倶されている。とくに温暖化については、人間が排出する二酸化炭素やメタンなどを含む温室効果ガスの濃度が急激に上昇しており、そのため地球上の平均気温は年々上昇し、今後もそれが長く続くことが予想されている。昆虫類に対する気候温暖化の影響を整理するために、本報告では、最初に、地球温暖化と日本の気侯変動に関する背景について概観し、エルニーニョ現象や華南付近の下層南風域の拡大過程などを勘案しながら、日本付近の暖冬や梅雨、降雪など、地球温暖化にも関連した日本の夏や冬の異常気象、とくに、季節進行の異常について言及した。昆虫に及ぼす温暖化の影響については、発育ゼロ点や1世代に必要な発育有効積算温量に基づく年間世代数の増加と、チョウなどに見られる北方への分布域の拡大という二つの観点から取り上げられることが多かったが、本研究では、上記の2つに加えて、昆虫と寄主植物とのシンクロナイゼイションという観点からも、温暖化の影響について論じることの必要性を強調した。さらに、地球温暖化は農業生態系の構成種、とくに、捕食寄生性昆虫の行動や生存率などにも様々な影響を及ぼすことが懸念されることについても考察を行った。そして、これらの影響が昆虫類の局地的な絶滅、ひいては生物多様性の低下をもたらすことについても言及した。
著者
佐谷戸 安好 中室 克彦 上野 仁 丈達 泰史 後藤 里花 長谷川 達也 早津 彦哉 坂本 博
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.197-204, 1991-06-30
被引用文献数
13

Several preconcentration methods for the detection of organic mutagens in water, including blue rayon and XAD-2 resin column methods, were compared. The mutagenicity test of the extracts from blue rayons hung at the six points of the Yodo river revealed similar frame-shift type mutagenicity to our previous report with the XAD-2 resin column method. For the quantitative concentration of polycyclic aromatic hydrocarbons in water, it was shown that the blue rayon column method was more efficient than the blue rayon hanging method or XAD-2 resin column method. Extracts from the Yodo river water and sewage treatment plant effluent obtained by the XAD-2 resin column and blue rayon hanging methods may contain nitroarenes and aminoarenes.
著者
上野 智子 相川 清明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.211-216, 2008-02-09
被引用文献数
1

楽しい、悲しい、落ち着いたなどの感性表現で効果音を検索する Sound Advisor システムについてすでに報告している。本研究ではこれらデータベースの楽曲ごとの感性ベクトルを楽曲から自動生成するために音響特徴量と感性ベクトルとの関係の分析をおこなった。効果音楽のパワー、ピッチなどの響特徴と現在ある感性ベクトルとの回帰分析を行うことで、効果音楽の音響パラメータから感情パラメータへの変換行列を導く方法を提案する。Emotional representations are more effective than conventional keywords such as genres and artist names in retrieving music. A vector-based Sound Advisor system has been reported for retrieving background music in emotional phrases such as "happy", "sad", "calm" or "angry". This report analyzed the relation between emotional representation vectors and acoustic features for automatically generating emotional representation vector table of the sound retrieval system. This report proposes a method for deriving a transformation matrix from acoustic feature parameters to emotional parameters based on regression analysis.
著者
上野 智史 橋本 真幸 米山 暁夫 川田 亮一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.306, pp.127-132, 2009-11-19
被引用文献数
1

本論文では,ユーザの現在位置・方向情報の精度の改善を目的とした,ユーザ撮影画像と街並画像データベースの画像マッチング手法を提案する.GPSによる位置データを利用してユーザを道案内するナビゲーションサービスが普及しているが,高層ビル街などGPSによる位置精度が悪い場所においても精度の高い位置情報の提供が求められていた.これに対して,対象エリアの街並画像を事前に撮影しておき,ユーザの撮影画像とマッチングすることでユーザ位置・方向を推定する手法が考えられる.しかし,街並画像データベースの撮影間隔が離散的であることと高圧縮の画像であることにより画像マッチングの精度が低い場合があった.そこで本研究では,これらの街並画像データベースでも特徴点の対応関係を精度よく抽出する方式を提案する.本手法は,局所特徴量の対応点の検出時に複数の対応点候補を選択し,その後建物の幾何拘束を考慮して対応点を選択することで,従来の最近傍探索手法より精度よく正解対応領域を検出する.本手法により,従来のSIFTによる最近傍探索に比較して位置精度誤差が7%縮小し,方向推定精度が10%改善する.
著者
小幡 明彦 佐々木 和雄 佐藤義治 上野 英雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.69, pp.1-6, 1996-07-25
被引用文献数
6

ビデオ画像通信を用いて遠隔のオフィスの状況を見せることで、近接感を提供するビデオアウェアネスの研究が注目されている。オフィスが近接していることにより、思い立った時、廊下で偶然出会った時等、偶発的に会話が行われ、共同作業者との人間関係の維持や、新しいプロジェクトの生成に重要な役割を果たしていることが知られている。本稿では、近接者間で偶発的に発生するコミュニケーションのモデルを示し、モデルに基づく設計により、過去の実験システムで明らかにされた問題点が解決できることを示す。また、オフィスでのコミュニケーション観察結果、簡易なプロトタイプによる予備実験の結果を報告し、ビデオアウェアネスシステムの利用効果について考察する。A great interest has developed in providing awareness via video to support a sense of proximity. Proximity permits unplanned contact and provides mechanism for bringing together potential partners as well as for maintaining existing collaborative relationships. In this paper, we propose an unplanned communication support method based on a group interaction model and show how this method solve problems addressed in previous researches. Effects of video awareness system is also discussed based on observations of office communication and our experiment using a preliminary prototype system.
著者
西澤 聡 船木 良輔 塚林 功 森田 登 上野 貴博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.466, pp.61-64, 2009-02-27

現代の学習において,電気磁気学を苦手とする学生が多く目立ち,それぞれが理解できずに卒業していく状況である.しかし,電気磁気学は,電気を学ぶ学生にとって基礎科目として大きな役割を担っている.磁気学が苦手な理由として,「言っていることが頭に浮かばない」,「現像をイメージすることが出来ない」,「数式が難しい」などが主な理由として挙げられる.本実験では,地球の磁場を用いたモータを,FEMを用いた磁界解析及び実物を製作することによって,解析と実物の双方を利用し,教育の現場で使用するための教材開発を目的として研究を行った.
著者
上野 玲
出版者
金曜日
雑誌
金曜日
巻号頁・発行日
vol.17, no.46, pp.56-58, 2009-12-04
著者
斎藤 勲 上野 英二 大島 晴美 松本 浩 佐々木 久美子 米谷 民雄
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.173-177, 2006-08-25
被引用文献数
2

GC-FIDを用いるメトプレン試験法を見直すための検討を行った.試料からアセトニトリル抽出し,塩析により水層分離後,アセトニトリル層を少量のヘキサンで洗浄,次いでフロリジルカラムで精製してHPLC-UVで測定した.小麦など7種類の試料からの平均回収率は 74.6~82.8% と良好であった.さらに本法を6機関で評価したところ,5種類の試料からの平均回収率は79.4~84.6%,併行再現性および室間再現性の相対標準偏差はそれぞれ 2.3~8.8%,8.8~23.6% であった.1機関でらっかせいからの回収率が高かったために室間再現性が高くなったのを除いて良好な結果が得られた.検出限界は0.001~0.02 μg/gであった.
著者
杉本 安寛 平田 昌彦 上野 昌彦
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.8-14, 0000
被引用文献数
5

バヒアグラス(Paspalum notatum)放牧草地におけるホルスタイン育成牛群の排泄行動を物質循環との関係から調査した。調査地は,宮崎県畜産試験場(西諸県郡高原町)内の草地約17.6aで,これに隣接して庇陰樹を囲んだ約60m^2の休息場を設けた。5月下旬より10月下旬まで8回,各回21-24頭の牛群を48時間あるいは72時間昼夜連続放牧し,5回次(7月26-29日),7回次(9月23-25日)および8回次(10月26-28日)について排糞,排尿,および採食行動を観察した。結果は以下の通りであった。1)5回次の気温は7時より18時まで27℃を越え,7回次も10-15時は27℃を越えたが,8回次は最高気温が約23℃であった。2)排糞回数(回/頭/日)は6.5-8.3回の範囲にあり,そのうち草地で排糞された比率は5,7および8回次が,それぞれ,73.9%,70.7%および88.6%であった。排尿回数(回/頭/日)は10.7-18.3回で,5回次が最も高く,次いで7回次が高かった。草地で排尿された比率は5回次と7回次が50%前後と低く,他方,8回次は87.9%と,高かった。3)糞は68-76%が日中に排泄され,尿は約80%が日中に排泄された。4)日中の温度が高い時期には,糞尿の草地への排泄比率が低下し,養分の再循環が妨げられることが示唆された。
著者
登張 絵夢 竹宮 健司 上野 淳
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.540, pp.125-132, 2001
被引用文献数
18 6

The purpose of this study is to know how the elderlys rccognize the community and human relations in the context of their daily life. We define such relations between the elderly and the community as a term 'CHIEN'. For this purpose, a questionnaire survey and an interview survey were conducted in an area in Tohoku region. Qualitative analysis of the elderly' s life conditions from viewpoint of 'CHIKN' showed the structure of the elderly's life in the community. That is relationships amang the elderly's life need, behavior and their living environment which supports their daily life.