著者
安本 潔 神代 龍吉 麻生 重仁 石井 邦英 村岡 晴雄 古寺 重喜 赤司 隆裕 古賀 郁利子 浜田 隆臣 鈴木 宏 上野 隆登 佐田 通夫 安倍 弘彦 谷川 久一
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:13497693)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.2590-2595, 1988
被引用文献数
4

急性肝炎および劇症肝炎例において血清亜鉛値, 尿中亜鉛排泄量を測定し, 同疾患にみられる低亜鉛血症の機序について検討した. 対照とした健常人例の血清亜鉛値は, 84.0±12.2μg/dl (M±SD) で, 劇症肝炎例では46.0±16.0μg/dlと低値を示し, 有意 (p<0.001) な差がみられた. 急性肝炎例での急性期血清亜鉛値は74.8±12.0μg/dlで, 健常人例よりも低値であつた. 1日尿中亜鉛排泄量は健常人例0.4±0.14mg/日であり, 急性肝炎例1.2±0.5mg/日, 劇症肝炎例2.4±0.6mg/日と高値を呈し, 健常人例に比べ共に有意 (p<0.001) な差がみられた. 急性肝障害での血清亜鉛の低下の原因の一つに, 同疾患にみられる低アルブミン血症および高アミノ酸血症により, 亜鉛とアミノ酸との結合が多くなり, 尿中亜鉛排泄量の増加が関わるものと推察した.
著者
今口 忠政 上野 哲郎 申 美花
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.37-59, 2010-06

論文企業の事業再構築戦略とは,肥大化した事業分野を選択して競争力のある事業に経営資源を集中させる戦略であるが,そのためには人材,IT を高度に活用して知識集約化を推し進め,組織能力を高めたシステムへと転換することが求められる。また,環境変化に合わせて組織能力をダイナミックに組み替える能力も必要である。 本研究では,事業構造,組織構造を組み替える戦略行動を「組織能力の再構築プロセス」と捉え,組織能力の形成,変換のプロセスを日本企業,中国企業,韓国企業のケース研究によって解明しようとするものである。そのために,組織能力の概念を理論的に検討し,それらの組織能力がどのように構築されたかについて日本企業のコマツ,中国企業の中国博奇,韓国企業のサムスンを事例として研究した。コマツの本社や主力工場,中国博奇の日本法人,サムスンの日本法人を訪問してインタビュー調査を行った。その結果,持続的な競争優位を確立するためには,環境の変化を迅速に認識する能力,組織学習によって変換する能力,再構築したものを制度化し,構造化する能力の3段階のプロセスを経ることが必要であるといえる。
著者
上野 栄一
出版者
福井大学
雑誌
福井大学医学部研究雑誌 (ISSN:13488562)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-18, 2008-12

Qualitative and quantitative research design models present the nurse researcher with complex issues to sort through beforeresearch can be started. Content analysis is a linguistic, systematic and replicable technique for compressing many words andsentences of text into fewer content categories based on explicit rules of coding. Content analysis is a hybrid (mixed ormulti-method) research approach which contains both qualitative and quantitative research.In contrast with qualitative methods such as grounded theory, content analysis allows inferences to be made which can then becorroborated using other methods of data collection. This method employs various state-of-the-art fields such as linguistics,information science and social science. Krippendorff, who is a professor at Pennsylvania University, notes that computer-drivencontent analysis tools such as Wincha ( morphological analysis software ) and KWIC Finder have been motivated by the search fortechniques and skills for making inferences from symbolic data that would be either too costly, no longer possible, or too obtrusive bythe use of other techniques. Therefore, content analysis appears to be promising for nurses to discover and describe the topic focusof individuals (especially patients), interest groups, institutions and societies.This methodology, which arose from the analysis of anthems, enhances research quality across a broad spectrum of professionalfields. In particular, computer utilization offers a realistic coupling of quantitative research with qualitative research in the field ofnursing. In Japan, the development of content analysis is now being conducted by nursing researchers.By introducing computer analysis into conventional and qualitative research methods, word-level analysis becomes a practical tool.Such analysis offers the power to produce objective, quantitative displays enabling the researcher to categorize the content ofinterviews. Furthermore, content analysis makes possible generalizations about critical components of the relationship betweennurses and patients within a reasonable time frame. This paper will present the method of the content analysis, its history, andspecific analytical procedures involved in computer utilization.Experience with content analysis suggests that this method has the potential to contribute greatly to nursing research in the nearfuture.
著者
新妻 宏文 石井 元康 小島 敏明 菊池 公美子 鈴木 千晶 小林 智夫 五十嵐 勇彦 真野 浩 上野 義之 小林 光樹 下瀬川 徹 豊田 隆謙
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.346-349, 1999-06-25
被引用文献数
8 6

献血時 (32歳時) にHBVキャリアではないと確認されている症例 (33歳) がHBVの急性感染後にキャリア化した. この症例のウイルスをシークエンスし分子系統樹解析したところgenotype Aであった. 最近, 成人感染後にキャリア化した本邦の1例の検討でgenotypeがAであったと報告された. さらに当科外来で唯一の夫婦ともHBVキャリアの症例では, 夫婦ともにgenotype Aが検出された. 当科外来患者 (宮城県が中心, n=222) のgenotypeの検討ではgenotype Aは3.6%しか存在しなかった. 以上より, genotype Aが急性感染すると成人でもキャリア化することがあると考えられた. 欧米では成人感染後のキャリア化が多く, 本邦では成人感染後のキャリア化は少ないとされている. Genotype Aが欧米で多く本邦で少ないことが, その原因であると考えられた.
著者
上野 行一 奥村 高明 岡田 京子 三澤 一実 一條 彰子
出版者
帝京科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究を通して、対話による意味生成的な美術鑑賞教育の地域カリキュラムおよび指導法を構築し、その成果を『北九州市美術鑑賞教育カリキュラム』ならびに『東京都府中市美術鑑賞教育カリキュラム』にまとめた。学校と美術館、地域が一体となって進める鑑賞教育の授業研究を、北九州市で31回、東京都府中市で17回それぞれ実施した。また美術鑑賞教育フォーラムを3回開催し、これらの成果を大学美術教育学会等で発表した。
著者
上野 雄一郎
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.5, pp.877-885, 2011-10-25 (Released:2012-01-17)
参考文献数
38
被引用文献数
1 1

地球上にいつ生命が誕生したのだろうか? この疑問に答えるために,世界最古の地層を探し,その痕跡を突き止める努力がなされてきた。西グリーンランドイスア地域には38-37億年前の太平洋型造山帯が見られるが,そのなかの付加体を構成する海溝堆積物中に石墨が産する。この石墨の炭素同位体組成は起源推定に有用であるのだが,この堆積岩はのちに300-600℃程度の広域的な変成作用を被っているため同位体組成は改変されている。そこで変成作用による影響を考慮すると,もとの炭素同位体組成は-25から-30‰程度であったと予測される。これらの同位体的特徴は,地球誕生後8億年時点ですでに生物は地球に出現していたことを示す。
著者
門間 英毅 上野 精一 堤 正幸 金澤 孝文
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1000, pp.590-597, 1978-12-01
被引用文献数
16 19

α-Ca<sub>3</sub>(PO<sub>4</sub>)<sub>2</sub> 粉末-H<sub>2</sub>O系分散液を種々のpHに調製し, これをそのままあるいは反応中のpHを一定保持しながら, 80℃で主に2時間の加温処理を行った. 得られた固相分の結晶相とpH条件との関係を明らかにし, 更にアパタイト生成物に関しては, 反応pH条件とCa/P比, 構成イオン種, 加熱変化及び粒子形態などとの関連を検討した.<br>反応中のpHを一定に保持してもしなくても, pHが約4.6以上であればアパタイト単一相になり, これ以下pH 4.3までは短冊状結晶のアパタイトとオクタカルシウムホスフェートとの混合相になり, pH 4.2-3.0では角板状のCaHPO<sub>4</sub>を主体としていた. アパタイト単一相の場合の結晶は, 保持pH値を変えることによって板状あるいは花片状及び柱状のおのおのの形態に成長した. pHを一定保持しない場合にはすべて花片状であった. 反応中のpHが高いほど, アパタイトへの転化は遅くなるけれども, アパタイトのCa/P比は増大しやすくなった. 高Ca/P比のアパタイトになるほど, 含水量やHPO<sub>4</sub><sup>2-</sup>含量の減少と, OH<sup>-</sup>含量及び結晶性の増大が認められた. アパタイトの含水状態, 含有HPO<sub>4</sub><sup>2-</sup>の脱水縮合温度はオクタカルシウムホスフェートのそれらと類似していた。
著者
上野 ヨウコ 桑本 千賀子 山本 郁也
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.775-781, 1991-09-15
被引用文献数
1

In order to obtain the scientific data for the effective operation of kitchen knives the movement of muscles were determined by electromyogram. Each two points in the muscles of the upper arm, the fore arm and the palm of right hand was selected as the measuring point and cucumber was used as the object of the operation of kitchen knives. As the results, (1) it was realized that the kinds of effective knives are lighten, thin back, double edged and small angle edged once respectively. (2) When the thumb is put on the back of kitchen knives, the grip of kitchen knives is the most effective for the movement of muscle. (3) It was clarified that the participation of muscle is influenced by the difference of the kinds or the grip of kitchen knives
著者
上野 陽里 青木 達 栗原 紀夫 山本 啓一
出版者
京都大学
雑誌
核融合特別研究
巻号頁・発行日
1987

核融合研究が発展し試験炉が運転を始めると大量のトリチウムが環境に放出される恐れがある. 環境中のトリチウムが増加すると種々の経路を通じて体内に侵入したトリチウムにより放射線被爆の可能性が増加する. したがって現在の日本人体内のトリチウム量を測定し, 基準値となるバックグラウンド値を明らかにしておくことは今後の増加を知り, 環境のリスク評価を行う上で重要である. 日本人の体内自由水トリチウムについては現在まで今年度の9例を加えて29例の測定を行っており, 組織結合型トリチウムについても測定を始め数例の結果を得た. 材料は法医解剖をうけた生前は健康と思われた遺体から得た. 各組織は真空凍結乾燥法により72時間かけて捕集した. 捕集して得た自由水は従来からのアロカ製低バックグラウンド液体シンチレーション計数値LSCーLB1と, 今回本科学研究費で入手したパッカード製液体シニチレーションアナライザTRIーCARB1550を用いて測定を行った. 組織結合水については, 燃焼後の水を捕集して測定した. 全試料数は86個でその平均は105pCi/lであった. 個体間のばらつきは52pCi/lから210pCi/lの間にあった. 各組織の平均は脳で71pCi/l, 肺で88pCi/l, 肝で87pCi/l, 腎で162pCi/l, 筋で69pCi/l, 脾で102pCi/lであった. 組織結合水では肝で750pCi/l, 筋で600pCi/l, 蒸溜水で320pCi/lと大きい値を示した. この理由は不明であるが, 恐らくスペクトルがトリチウムに類似した有機物質の疑計数であろうと思われる. 今後この分析を行うと共に例数も増加させていく予定である. 試料は目下蓄積中である.
著者
金田 重郎 上野 康治 高橋 一夫
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

デジタル絵本は,複数ストーリを切り替え可能である.本稿ではメインストーリに出現したキャラがサブストーリであるドリルを仲介する「絵本ドリル」を提案する.また,Webカメラによって,子どもの視線を話者にリアルタイムにフィードバックする.社会実験の結果,キャラが子どもの興味を誘因することを確認した.一方で,「話しに入りこむ」子どもはキャラに興味は示さない.これらは絵本の読み聞かせにひとつの示唆を与える.
著者
肥塚 隆 淺湫 毅 橋本 康子 深見 純生 小野 邦彦 上野 邦一 榎本 文雄 渡辺 佳成 丸井 雅子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

クメール王国の刻文に頻出する devaraja の語は、 「神のような王」を意味し、王の没後にその墓廟として寺院が造営され、神仏と一体化した王像が安置されたと考えられてきた。また東部ジャワでも、同様な信仰があったとされてきた。しかしインドではこの語は「神々の王」の意味で用いられるのが一般的で、王を神格化する信仰が盛行した形跡はない。南インドでは王像が神像と並べて寺院に安置されることは珍しくないが、むしろ王権の神聖さの明示にあったと考えられる。
著者
上野 誠也 戸田 隆慶
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
「運動と振動の制御」シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2005, no.9, pp.199-203, 2005-08-22

This paper discusses on guidance and control law for an unmanned lunar landing module. The guidance law is required to avoid obstacles on a lunar surface automatically during vertical descending. The main thruster of landing module is used not only for deceleration of descending rate but also for avoidance maneuver. Thus the avoidance guidance law is required to complete the maneuver during main thruster firing. The main purpose of this paper is to show the relation between thruster delay and the landing accuracy through numerical simulation. The results show that the delay time of main thruster affects the accuracy of vertical landing rate. The requirement of landing accuracy, however, is satisfied for the main thruster with common performance.
著者
上野
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
no.142, pp.1201-1207, 1893-12-26
著者
藤井 恵介 川本 重雄 平山 育男 溝口 正人 後藤 治 上野 勝久 大野 敏 藤川 昌樹 光井 渉 大橋 竜太 加藤 耕一 角田 真弓
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

日本建築史の分野において、従来の建築様式史を批判的に検討し、それがもはや現在においては必ずしも有効ではないことを確認した。そして、新たな研究領域が拡大しつつあることを確認して、日本・東アジアの木造建築を対象とする、新しい建築様式史を提案する必要があることを認識した。この5年間で、新しい建築様式史を構築するための基礎的検討を行ったが、具体的な作業は、建築史の全分野、建築史以外の報告者を得て開いたシンポジウムにおける討論を通じて実施した。その記録集10冊を印刷して広く配布した。