著者
小柳津 勤 下田 満哉 松本 清 後藤 正
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.327-334, 2002-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
26
被引用文献数
4 5

茶芽の熟度が緑茶の香気成分の変化に及ぼす影響を明らかにし検討を加えた.茶葉は'やぶきた'品種園から一番茶期および二番茶期において生育初期の極若い茶芽から生育の進んだ極硬い茶芽まで数日置きに17回摘採し,速やかに荒茶製造した.官能検査スコアと中性デタージェント繊維含有率との間には-0.859の高い負の相関があり,茶芽熟度は若芽香(みる芽香)およびこわ葉臭に大きく影響することが認められた.GC分析およびGC-MS分析により128成分が検出され,75成分が同定された.主成分分析の結果,摘採時期による香気成分の特徴的な変動を明らかにすることができた.(E,E)-2, 4-heptadienal, (E,Z)-2, 4-heptadienal, (Z)-2-penten-1-ol, hexanal, (Z)-2-heptenalは,一,二番茶とも摘採初期には含有率が低く,茶芽熟度の進行に伴って含有率が高くなったことから,こわ葉臭への寄与が示唆された.linalool oxide (cis-pyranoid), coumarin, 7, 8-dihydro-β-ionone, (E)-2-hydroxycinnamic acid, heptanoic acidは,一,二番茶とも摘採前期に高い含有率を示し,茶芽熟度の進行に伴って含有率が低下したことから,若芽香や新鮮香など新茶の香りに寄与している可能性が示唆された.linalool, geraniol, linalool oxide (furanoid)は,一番茶で茶芽熟度が進むに従い含有率が高くなり,摘採後期には高い含有率を示したが,二番茶ではその傾向が小さく含有率も低かったことから,こわ葉臭や木茎臭への寄与は小さいと考えられた.(Z)-3-hexen-1-ol, methyl 3-phenyl-2-propenoate, methyl jasmonate, indoleは,摘採時期の影響を受けなかったことから,緑茶本来の香りに寄与する成分と考えられた.
著者
國政 秀太郎 瀬尾 恭一 下田 宏 石井 裕剛
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.395-410, 2015-11-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
26

In order to evaluate intellectual productivity such as the efficiency of performing mental works, several studies have been conducted where the operational logs of mental tasks were evaluated. However, it is also necessary to analyze Cognitive Load in mental workers so that the productivity can be evaluated accurately. The authors therefore have proposed a Performance-Cognitive Load model which deals with both task performance and Cognitive Load. By using the model, they have also developed the inference method of the cognitive working states which can evaluate intellectual productivity in more detail than conventional methods. The operational logs of mental tasks as well as pupil diameter and heart rate of the worker were employed as input of this method. As the result of the subject experiment, the authors found that the feasibility of this method so as to evaluate cognitive working states could be suggested and this method could well explain the detail changes of their states. This method is expected to be the novel evaluation method of intellectual productivity.

2 0 0 0 OA 家政学

著者
下田歌子 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
vol.上, 1893
著者
福井 健太 安川 邦美 田端 克俊 森下 啓太郎 植野 孝志 庄司 祐樹 長屋 有祐 下田 哲也
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.115-120, 2011-12-31 (Released:2012-12-18)
参考文献数
22

2005年11月~2010年7月までに,縦隔型リンパ腫と診断した猫10例に,犬のUniversity of Wisconsin-Madison chemotherapy protocol(UW25)に準じたプロトコールを行い,完全寛解率,生存期間ならびに抗癌剤の副作用について調査した。完全寛解率は90%と非常に高く,生存期間は1年未満が6例(現在生存中1例含む),1年以上2年未満が1例(現在生存中),2年以上3年未満が1例(現在生存中),3年以上が2例(現在生存中1例含む)と長期の生存期間が得られた。副作用の程度は軽度であり対症療法により回復した。このプロトコールでは25週の治療期間中に再発がみられなかった場合,過去のCOP療法の報告と比べ非常に長期の生存期間が得られることが証明された。
著者
安藤 大成 下田 和孝 竹内 勝巳 飯嶋 亜内 卜部 浩一 神力 義仁 中嶋 正道
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.487-493, 2019-09-15 (Released:2019-09-28)
参考文献数
36
被引用文献数
1

サクラマスの脊椎骨数を人工種苗と野生魚で比較した。また,人工種苗が放流されてきた河川のサクラマス野生魚の脊椎骨数を調べた。人工種苗の脊椎骨数は野生魚よりも少ない値を示し,この差異は,発生時の水温の違いにより生じていると考えられた。長期間,種苗放流が行われてきた河川のサクラマス野生魚の脊椎骨数は,近隣河川の野生魚に比べて少ない傾向を示した。これより,種苗放流は野生魚の脊椎骨数に遺伝的な影響を及ぼす可能性が示唆された。
著者
下田 博次
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.715-723, 1988 (Released:2012-03-23)

コンピュータ, OA機器から産業用ロボットの普及に伴ってテクノストレスと呼ばれる心身の疲労, 健康障害が問題視されるようになった。このテクノストレスは, マスコミがつくり出した心理不安であるとか, コンピュータが直接のストレス発生原因ではないという人もいる。だが一方では多くの症例報告とプログラミング作業から発生するストレス調査もすすんでいる。テクノストレスはコンピュータ関連労働の種類によってその表れと原因が違い, きめ細かい対応が必要である。しかし最終的には, 個人のライフスタイルと企業風土の問題に帰するところが大である。
著者
藤野 秀則 石井 裕剛 下田 宏 吉川 榮和
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.128, no.1, pp.11-23, 2008-01-01 (Released:2008-01-01)
参考文献数
39

For the sustainable society, organization management not based on the mass production and mass consumption but having the flexibility to meet to various social needs precisely is required. For realizing such management, the emploees' work morale is required. Recently, however, the emploees' work morale is tend to decrease. Therefore, in this study, the authors developed the model of the method for promoting and keeping employees' work morale effectively and efficiently. Especially the authors thought “work morale” of “attitude to the work”. Based on this idea, it could be considered that the theory of the persuasion psychology and various persuasion techniques. Therefore, the model of the method applying the character agent was developed based on the forced compliance which is one of persuasion techniques based on the theory of the cognitive dissonance. By the evaluation experiment using human subjects, it was confirmed that developed method could improve workers' work morle effectively.
著者
速水 将人 石山 信雄 水本 寛基 神戸 崇 下田 和孝 三坂 尚行 卜部 浩一 長坂 晶子 長坂 有 小野 理 荒木 仁志 中嶋 信美 福島 路生
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
pp.20-00043, (Released:2021-07-10)
参考文献数
47

河川上流域に多数設置された治山ダムは,渓流や森林の荒廃を防ぐ重要な役割を果たす一方で,渓流魚の河川内の自由な移動を阻害している.こうした状況に鑑み,河川生態系の保全を目的とした改良事業(魚道の設置,堤体の切り下げ)が国内の多くの治山ダムで実施されている.本研究では,北海道 3 河川に設置された治山ダムを対象に,魚道設置と切り下げによるダム改良工事が,その上下流の渓流魚類相に与える影響について,改良工事前後で行われた採捕調査によって検証した.同時に,ダム改良後の採捕結果と環境 DNA メタバーコーディングによる魚類相推定結果を比較し,治山ダム改良事業における環境 DNA メタバーコーディングを用いた魚類相推定の有効性を検討した.採捕調査の結果,治山ダムの改良事業によって,遡河回遊魚であるアメマスとサクラマスのダム上流への移動を可能にし,10 年後においても効果が確認された.環境 DNA メタバーコーディングでは,採捕された全 9 種に加え,採捕では確認されなか ったニジマスの計 10 種が検出され,治山ダム上下流に設定した各調査地点における遡河回遊魚のアメマス・サクラマスや,ハナカジカの採捕結果との一致率は 70-90 %であった.環境 DNA メタバーコーディングを治山ダム改良事業に適用する場合,評価対象魚種の特性や過去の採捕記録を考慮する必要はあるものの,改良前の治山ダムにおける魚類の遡上阻害の推定や,改良後の河川の魚類相・生息状況の推定に有効であることが示唆された.但し,治山ダムの切り下げを例にとると,遡上阻害の改善効果が維持される期間は工法によって異なる可能性もあり,正確な評価には様々な河川・工法を対象としたさらなる研究の蓄積が必要である.
著者
原 大地 山口 俊輔 下田 佳央莉 勝山 しおり 増田 樹 十枝 はるか 中沢 信明 李 範爽 外里 冨佐江
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.37-42, 2014-02-01 (Released:2014-04-04)
参考文献数
16

【序 論】 Mental rotation (以下, MR) とは, 3次元空間で自由に回転する図形が何であるのかを照合する心的活動である. リハビリテーション領域においても治療的介入手段として, MRの基礎研究・臨床応用が進められている. 身体部位を用いた回転画像を提示した時の反応時間は, 回転角度の増加に伴い遅延すると報告している. 反応時間は, 加齢やスポーツ実施などによる影響があると報告されている. このように年齢や表示角度に関するMRの関連については報告がみられているが, 視覚情報の入力に関与すると思われる眼機能 (利き目) とMRとの関係を報告した論文は少ない. したがって, 本研究では身体部位である手の回転画像を用いて, これまでに報告されてきたMR反応時間と性差, 利き手との関連に加え, 利き目の属性との関連を検討することを目的とした. 【方 法】 本研究は群馬大学倫理審査委員会により承認された. 対象は103名の健常大学生 (平均年齢20.9±2.2歳, 男性51名, 女性52名, 右利き目者59名, 左利き目者44名) であった. 課題は両手の画像が0°, 90°, 180°, 270°回転してある32枚の写真によって構成され, それらの写真がランダムにPCの画面に表示された. 被験者は画像を見て, それが右手なのか左手なのかをPCのキーを押すことで回答し, MR反応時間と回答が記録された. 統計解析は一元配置分散分析, 独立したt検定を行った . 解析には統計ソフトIBM SPSS Statistics 20を使用し, 有意水準を5%とした. 【結 果】 MR反応時間は, 回転角度の180°と0°, 90°, 270°間で有意差がみられた (p<0.05). 利き目では有意差がみられたが (p<0.05), 性別, 利き手では有意差はなかった. 【考 察】 MR反応時間は性別, 利き手ではなく利き目と関連があることが示唆された. すなわちMRに関連する情報処理過程は利き目によって異なることが示唆された.
著者
井下田 貴子
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

非母語話者は「学習言語の文脈」において、「学習言語の音素」を「母語の音素」で代用することが多々あり、このことが原因で、発音の誤りや異聴の可能性が高まることはよく知られている。中国人日本語学習者の場合、日本語の「う」「お」を後続母音とする半母音「ゆ,よ」において、「う」と「お」の識別の混同が、音声生成・知覚の両面で観察される。本研究では、半母音・拗音における母音と子音の音響特徴量に着目し、中国人日本語学習者の知覚識別境界および識別の手掛かりを探る。
著者
二尾 健太 山口 太輔 坂田 資尚 下田 良 坂田 祐之 藤本 一眞 岩切 龍一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.1939-1941, 2014-08-10 (Released:2015-08-10)
参考文献数
6

反応性amyloidosis(AMY)は慢性炎症により産生された血清amyloid Aの代謝産物が沈着し組織障害を来たす疾患であり,難治性合併症の一つである.症例は53歳,女性.反応性AMYによる急性腎不全を契機にCrohn病と診断された.消化管病変は胃・十二指腸から大腸まで広範に渡っていた.methylprednisolone(mPSL),granulocyte apheresis(GCAP),infliximab(IFX),dimethylsulfoxide(DMSO)等の集学的治療により症状は著明に改善した.通常反応性AMYは罹患期間が長期になるほど発症リスクが高くなるが,本症例の様に罹患範囲が広範な場合は早期より反応性AMYの合併に注意する必要がある.
著者
山根 康嗣 下田 一宗 黒田 浩一 梶川 翔平 久保木 孝
出版者
一般社団法人 日本塑性加工学会
雑誌
塑性と加工 (ISSN:00381586)
巻号頁・発行日
vol.62, no.720, pp.1-7, 2021 (Released:2021-01-25)
参考文献数
25

This paper discusses the effect of inclusions on internal fracture in skew rolling. The prediction of internal fractures is crucial given that internal fractures cause loss of product strength and are difficult to detect. Our previous report, published in 2019, proposed a new ductile fracture criterion that considers the effect of shear stress on void coalescence in a cylindrical coordinate system. This paper covers the following three points: (1) the evaluation of the hot workability of materials with different inclusions in tensile testing, (2) the relationship between the hot workability and the damage value determined using the proposed criterion, and (3) the effect of inclusions on void evolution in skew rolling. Given that the critical damage value decreased with decreasing hot workability, internal fractures are more likely to occur in a material that contains numerous large inclusions. The experimental results led to the hypotheses that the plastic strain nucleates the voids originating from inclusions and that shear stress allows the voids to coalesce. This study has demonstrated that decreasing the diameter and number density of inclusions is effective toward suppressing internal fractures.
著者
古郡 規雄 下田 和孝
出版者
獨協医学会
雑誌
Dokkyo Journal of Medical Sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.259-265, 2020-10-25

パーソナリティとは,個人の感情,認識,欲望,行動のパターンにおける一貫性と一貫性を説明するために使用される抽象化されたものである.近年,ビッグ・ファイブ理論の一般的普及や,行動遺伝学,神経生物学等の発展を背景にして,パーソナリティに対する関心が高まっている.次元論的人格理論のうち代表的なものとしては,Cloninger による7次元モデルやCosta & McCrae によるビッグ・ファイブ理論がある.近年の分子遺伝学の進歩によりパーソナリティに関与する遺伝子は数多く,一つ一つの効果は小さいと結論づけられている.本稿では7次元モデルとビッグ・ファイブ理論を紹介し,過去に我々が行った研究ではドパミンDRD4遺伝子多型は新規性追求と血液型ABO 遺伝子多型が固執に影響を及ぼしていた.今後は,脳画像研究や神経生理学的検証でさらなる確認試験が必要となる.
著者
齊藤 有里加 下田 彰子 梶並 純一郎 小川 義和
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.493-496, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
3

理系学芸員課程の授業教材として,モバイル端末アプリケーションiNaturalistを使った体験を実施した.演習は国立科学博物館付属自然教育園で行われ,動植物の管理,保存,活用についてレクチャーと,植生管理のための生物モニタリングの試みとしてiNaturalistのシステムを紹介し,「バイオブリッツ」を体験し,ディスカッションとアンケートを行った.本発表では,大学生がiNaturalistを操作し,博物館資料として野外生物情報を習得し,公開するまでの過程を紹介し,野外博物館の資料特性理解の効果について考察する。