著者
中村 浩也 内藤 誠二 平岡 義光 三村 寛一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.23-32, 2005-09-30

本研究では,全日本実業団選手権大会で優勝経験のある9人制バレーボール選手の主カメンバー14名を対象に,その体力的特徴を明らかにするとともに,プレシーズン期におけるレジスタンストレーニングの効果について検討した結果,以下の知見が得られた。1) 9人制バレーボール選手は,ポジションによって,形態および無酸素パワー,敏捷性が異なることが示唆された。2) 高負荷のレジスタンストレーニングにより,最大筋力が有意に向上した。3) スピードを重視した体幹筋のレジスタンストレーニングにより,腹筋群の筋持久力が有意に改善した。以上の結果から,7月の本格的なシーズンを前に,期分けを考慮した、レジスタンストレーニングプログラムの必要性が認められた。今後は本格的なシーズンの開幕に向けて,スピードを重視した爆発的なパワー系トレーニングと全身のコンディショニングが課題と考えられる。
著者
松添 弘樹 七星 雅一 角谷 誠 大西 祥男 清水 宏紀 畑澤 圭子 中村 浩彰 熊谷 寛之 辻 隆之 井上 通彦 則定 加津子 高見 薫
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.54-60, 2014

症例1 : 30歳代, 女性. アルコール依存症, 神経性食思不振症にて精神科外来加療中であったが1 年前より通院を中断していた. 2012年5 月下旬の夕食後, 突然の痙攣様発作で救急要請. 救急隊到着時, 心室細動波形で心肺蘇生を開始, 合計3 回の電気的除細動が施行され当院搬入となった. び漫性左室壁運動低下を認め, 血清カリウム2.2mEq/L, 血清リン1.1mg/dLと電解質異常を認めていた. 入院後電解質補正を行い不整脈は消失したが, 低酸素脳症のため意識レベルの改善なく経過した. 症例2 : 40歳代, 男性. 2012年5 月下旬より下肢筋力低下, 起立困難から脳梗塞を疑われ近医で頭部精査入院となったが, 明らかな脳神経疾患は認めなかった. 前医第2 病日の朝食後, 突然心室細動が出現し心肺蘇生が施行されるも, 難治性心室頻拍となり某院救急センターへ搬送. 冠動脈造影にて有意狭窄はなかったが, 薬剤的, 電気的にもコントロール困難で経皮的心肺補助装置 (percutaneous cardiopulmonary support ; PCPS) 挿入下に当院に紹介搬送となった. 当院では多形性心室頻拍 (torsades de pointes ; TdP) を認め, び漫性に左室壁運動が低下しており, 血清カリウム : 1.6mEq/L, 血清リン : 1.6mg/dLと電解質異常を認めた. 入院後電解質補正によりTdPは消失, PCPS抜去にいたるも低酸素脳症から意識障害が遷延し第10病日に死亡退院となった. 両症例ともアルコール依存症を背景に持ち, カロリー摂取後の致死的不整脈出現からrefeeding症候群の関与が疑われた. 慢性低栄養患者に発症した若年性心肺停止患者ではrefeeding症候群の可能性を常に考慮する必要があると考えられた.
著者
中村 浩志
出版者
信州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

1.最近日本でカッコウがオナガに托卵を開始した。オナガへの托卵がその後各地で急速に広がったのは、オナガが卵識別能力やカッコウへの攻撃性を十分もっていなかっためであることを、托卵歴の長さの異なる地域での比較調査から明らかにし、論文にした。2.托卵歴の長さの異なる地域での比較調査から、オナガは托卵されてから10年という短期間に、卵排斥行動や攻撃性といった対抗手段を発達させたため、オナガへの托卵は初期の頃のようにはいかなくなっていることを明にし、両者の関係は適応と対抗適応を通しダイナミックに変化することを論文として発表した。今年度の調査からは托卵が始まる前や始まった直後に比べとオナガの生息密度は著しく低下していることを過去の資料と現在の密度調査との比較から明らかにできた。3.一昨年カルフォルニア大留学中知り合ったカナダ、McMaster大学のGibbs氏との共同研究は、昨年計91個体のカッコウの成鳥と雛から血液サンプルを集めることができ、彼の研究室で現在分析中である。DNAフィンガ-プリント法などの血液分析で、カッコウの性関係、異なる宿主に托卵するカッコウどうしの遺伝的関係などの重要な問題が解明されることになった。また、京大理学部の重定氏らと2年前から共同研究の形で進めてきている、カッコウと宿主の相互進化の数理モデルによる解析を論文としてまとめることができた。4.カルフォルニア大学のRothstein教授とともに、昨年の8月京都で開かれた国際動物行動学会(IEC)で、「托卵における相互進化」をテ-マにしたラウンド・テ-ブルを開催するとともに、その後長野県の軽井沢と信大教育学部に会場を移し、3泊4日のサテライト・シンポジュウムを開いた。シンポは、世界の托卵鳥研究者のほぼ全員にあたる外国から16名、日本から6名が参加し、本格的な国際会議となった。この会議で、これまでの我々の一連の研究内容を発表し、高い評価を得た。また、日本でのカッコウとオナガの関係は、生物進化の事実を目で確認できるまたとないチャンスにあることを参加者に認識していただいた。さらに、今後ヨ-ロッパのカッコウとの比較調査などの共同研究を進めていく話しがまとまった。
著者
小林 篤 中村 浩志
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.69-86, 2018 (Released:2018-05-11)
参考文献数
37
被引用文献数
4

亜種ライチョウLagopus muta japonica(以下ニホンライチョウ)の生活史を生活環境が厳しい冬期間も含め年間を通して理解することは,世界の最南端に分布するこの亜種の日本の高山環境への適応や生活史戦略を明らかにし,温暖化がこの鳥に与える潜在的な影響を理解する上で重要である.本研究では,群れサイズやその構成,標高移動,観察性比の季節変化などを年間通して調査し,その生活史の変化や特徴が日本の高山環境の特徴とどのように対応しているかを明らかにするための調査を乗鞍岳で実施した.群れサイズおよび群れの構成,季節的な標高移動,観察された個体の性比は,繁殖地への戻り,抱卵開始,孵化,雛の独立,越冬地への移動により,それぞれ季節的に大きく変化することが示された.それらの変化は,高山環境の季節変化と密接に関係しており,ニホンライチョウの生活史は,日本の高山環境の季節変化と密接であることが示唆された.また,冬期にはすべての個体が繁殖地である高山帯から離れ,森林限界より下の亜高山帯に移動していたが,雄は森林限界近く,雌は雄よりも繁殖地から遠く,標高の低い場所にと,雌雄別々に越冬していることが明らかにされた.さらに,ニホンライチョウでは,外国の個体群や近縁種でみられる育雛期に繁殖した場所より雪解けの遅い高標高地への移動は見られないが,日本の高山特有の冬の多雪と強風がもたらす環境による積雪量の違いと雪解け時期のずれが,同じ標高の場所での育雛を可能にしていることが示唆された.年間を通して実施した今回の調査結果から,ニホンライチョウの生活史の区分は,従来の繁殖期の「なわばり確立・つがい形成期」,「抱卵期」,「育雛期」の区分に加え,非繁殖期は「秋群れ期」と「越冬期」に分けるのが適当であることが指摘された.ニホンライチョウは,行動的にも生理的にも日本の高山環境に対し高度に適応しているが,日本では高山の頂上付近にしか生息できる環境が残っていないため,この種の中で最も温暖化の影響をうける可能性の高い個体群であることが指摘された.
著者
中村 浩一 向野 義人 兒玉 隆之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.13-17, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

〔目的〕Individual Muscle Stretching(ID)が心身に及ぼす影響を検討した。〔対象〕健常男子学生60名60肢右脚とした。〔方法〕IDを施行する群(ID群),Static Stretchingを施行する群(SS群),ストレッチングを施行しない群(control群)に被験者を分け,群間及び各ストレッチング前後で,ゴニオメーター,サイベックス,アンケートを用いて比較検討した。〔結果〕柔軟性と筋出力において,ID群は介入後有意に柔軟性の向上と筋出力の低下を認めた。アンケートの結果,ID,SS群ともに,介入後,有意に身体的疲労及び気分の改善を示す結果を得た。〔結語〕IDは柔軟性向上,筋出力低下,精神心理の改善をもたらすことが示唆された。
著者
潘 小多 中村 浩之 劉 勇 郎 〓華
出版者
日本情報地質学会
雑誌
情報地質 (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-40, 2005-03-25

高速道路など大規模な建設工事するとき斜面の切盛土工の実施は不可欠である.このとき必要な要件は計画切盛土量をバランスさせることである.しかし, 従来切り盛り土量の計画は手動で行なっているため, 非常に効率が悪く, 多くの時間と費用を要し, その改善が求められてきた.近年, 大縮尺のデジタル標高モデル(DEM)の応用によって従来行なわれてきた切盛土量計算を自動的に解析することが可能になってきた.本論文ではARC/INFO GRIDに基づき, 調査地域のDEMと道路に関するパラメータ(切盛法面の勾配, 路面標高, 幅員)を利用して道路の切盛土量の計画を実施した.この解析により斜面の切盛土工を模擬し, 切盛土量をすばやく, 簡単に計算することができる.
著者
潘 小多 中村 浩之 劉 勇 郎 〓華
出版者
日本情報地質学会
雑誌
情報地質 = Geological data processing (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-40, 2005-03-25
参考文献数
4

高速道路など大規模な建設工事するとき斜面の切盛土工の実施は不可欠である.このとき必要な要件は計画切盛土量をバランスさせることである.しかし,従来切り盛り土量の計画は手動で行なっているため,非常に効率が悪く,多くの時間と費用を要し,その改善が求められてきた.近年,大縮尺のデジタル標高モデル(DEM)の応用によって従来行なわれてきた切盛土量計算を自動的に解析することが可能になってきた.本論文ではARC/INFO GRID に基づき,調査地域のDEMと道路に関するパラメータ(切盛法面の勾配,路面標高,幅員)を利用して道路の切盛土量の計画を実施した.この解析により斜面の切盛土工を模擬し,切盛土量をすばやく,簡単に計算することができる.<br>
著者
中村 浩爾
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.11-44, 2009

国家と市民社会の二元論に対して, 国家・市場・社会の三元論や国家・市場・コミュニティ・アソシエーションの四元論など, 多様な市民社会論の展開がある. マルクス主義の側も深化ないし修正を迫られていると同時に, 新しい市民社会論の側にも課題がある. 市民社会の構造, 編成, 構成員について考えた場合, 個人的構成か集団的構成かということが問題となり, 家族と階級が論点となる. また, 市民社会のメルクマールがフランス革命の理念たる自由・平等・友愛とされることが多いが, 友愛は軽視されてきた. 元来この三理念は古代に遡るものであって, マルクスらも言及しているものである. それ故, この三理念をめぐる議論も論点となる. 更に, 市民社会における社会規範の存在様式について考える場合, 法哲学的観点からは, 法律のみならず, 他の社会規範も視野に入れなければならない. とくに, 慣習が重要であるが, 本稿では, 法律, 道徳, 慣習を, 市民社会の三元構造と対応させることによって, 他の論点とも関連させながらそれを明らかにする.There are various theories on the civil society, as the three elements theory of the state, market and society or four elements theory against the dualism of the state and civil society. In considering about the structure, constitution and constituant memmber, it will come into question whether the civil society is constituted by the individual or the groups among which the family and the class are important. The liberty, equality and fraternity used to regarded as the ideas of the civil society from both camps are also the subjects of argument. From the viewpoint of legal philosophy, we cann't discuss about a mode of social rules in the civil society without counting in not only the law but also other social rules, among which the custom should be made much of. My purpose is to make it clear by corresponding the law, the morality and the custom to the three spheres.
著者
中村 浩二 荒井 賢一
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.451-461, 1996-03-12 (Released:2010-03-11)
参考文献数
6
被引用文献数
2

A tsunami was generated by the 1994 Hokkaido Toho-Oki earthquake and was observed at tidal stations on the Pacific coast of the Japanese Islands. It was observed also at several tidal stations on Hokkaido coast of the Okhotsk Sea, where the arrival of the initial wave was recorded earlier than the expected time: for example, the initial motion of the tsunami was recorded at Utoro 17 minutes after the mainshock, while that the theoretically expected tsunami arrival time from the source in the south sea region of Shikotan Island is 80 minutes after it. We tried to estimate the location of the source of the early coming waves by drawing the inverse refraction diagram from each station. We suggest two probable locations of the source; one is the area 80 kilometers north of Abashiri, and the other is the area 40 kilometers north of the tip of Shiretoko Peninsula. The seismic activity at both of those areas is poor. So, we cannot judge that the early coming waves were generated by some another events. Both of those areas are situated in the continental slope regions and with steep slopes. We suppose that a land slide at either of those areas caused the early coming waves.
著者
中村 浩之 藤本 三喜夫 宮本 勝也 中井 志郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.320-323, 2008 (Released:2008-10-02)
参考文献数
21

症例は14歳の男性.平成18年6月より腹痛,嘔気,嘔吐を主訴に近医受診.腸重積症と診断されたため,加療目的のため当院へ紹介された.腹部は平坦,軟で,右下腹部に腫瘤を触知したが,下血を認めなかった.腹部造影CT上,回盲部腸重積症の所見であった.注腸による整復を試みたが,不成功のため,緊急手術を施行した.腹腔内を検索したところ,盲腸および上行結腸は後腹膜への固定が不十分であった.回腸が約10cmの長さにわたって上行結腸に重積しており,Hutchinson手技で用手的に整復した.同部位に腫瘤,癒着,捻れなどはなく,血行障害も認めなかった.術後4日目の下部消化管内視鏡検査で回腸末端にリンパ濾胞の過形成を認めるのみであった.回盲部および上行結腸の固定不全という広義のmalrotationとintussusceptionとの合併はWaugh's syndromeといわれ,稀な病態である.
著者
荒川 浩二郎 田中 雅透 中村 浩蔵 南 峰夫 石田 了 六角 啓一 松島 憲一 根本 和洋
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.120-124, 2007
被引用文献数
2

レタスに含まれるSesquiterpene Lactones含量を測定するためのHPLC分析用試料の調製時間の短縮を目的として,Priceらの方法を改変した分析用試料調製方法の有効性を検討した.改変した方法と従来のPriceらの方法による定量値の間に,高い有意な相関関係が認められた.このため改変した試料調製法は有効であると結論し,Priceらの方法で13時間以上かかっていた試料調製時間を改変した方法で約1/7の2時間程度に短縮することができた.
著者
林 健太郎 長谷川 利拡 小野 圭介 岩崎 亘典 豊田 栄 八島 未和 堅田 元喜 須藤 重人 和穎 朗太 常田 岳志 麓 多門 須藤 重人 南川 和則 和穎 朗太 松田 和秀 片柳 薫子 矢野 翠 中村 浩史
出版者
独立行政法人農業環境技術研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

つくばみらいFACE(開放系大気二酸化炭素増加)実験水田を舞台として、大気沈着および灌漑水に由来する窒素フローの実態を把握し、大気二酸化炭素(CO_2)増加、加温、および水稲品種が一酸化二窒素(N_2O)の生成、窒素無機化、窒素固定、水稲の窒素吸収、および土壌有機物の動態などの窒素関連過程に及ぼす影響の解明を進め、大気-土壌-水稲系の詳細な物質循環モデルを開発し、広域評価モデル・データセットを構築した。