著者
中村 正志
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.2-32, 2011-09

マレーシアでは,市民的自由の制限と競争性の高い選挙が併存する競争的権威主義が40年にわたり続いてきた。なぜ民主化が果たされないのか。あるいは逆に,より強い政治的権利の抑圧と露骨な選挙不正を伴う体制へと転じないのはなぜか。この問いに答えるには,自由の制限が,統治者が権力を維持するうえで必要にして十分な効果をあげる理由と条件を示す必要がある。本稿は,コミュニケーション研究の知見と投票の空間理論を援用して次のような仮説を提示する。マレーシアでは,民族問題だけが重要争点と認識される,あるいは民族問題の相対的重要性が非常に高いと認識されるなら与党連合が選挙で優位に立てる。メディアの報道は,争点の重要性に関する人々の認識に影響を与える。したがって政府統制下のメディアは,統治者に有利な争点の顕出性を高め,不利な争点の顕出性を抑えるという操作のための道具になりうる。2008年選挙では,インターネットの影響でメディア統制の効果が薄れ,それが野党躍進の一因になったと考えられる。州を単位とするパネルデータ分析でも,プロバイダー契約者数の増加に与党得票率を引き下げる効果があったことが認められた。
著者
加來 卯子 中村 比菜子 庄山 茂子 青木 久恵 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>目的 </b>循環型社会形成推進基本法が施行され、人々のリサイクルへの意識は高まっている。衣料品は、複合度の高さや製品の多様性からリサイクルし難いと言われるが、制服は同一素材であり一度に回収が可能なことから、リサイクルに適するのではないかと考えられている。そこで、制服着用の有無が制服に対する印象やリサイクルへの意識ならびに被服の消費行動にどのような違いをもたらすか調査した。 <br> <b>方法 </b>福岡県内の制服着用者群(女子専門学校生88名、平均年齢19.90歳、SD 0.77歳)と私服着用者群(女子大学生96名、平均年齢19.81歳、SD 0.81歳)を対象に質問紙によるアンケート調査を2016年6月に行った(回収率100%)。制服・私服の着用の印象、職場での制服採用に関する賛否、衣服のリサイクルへの意識、実施状況、衣服の消費量等について回答を求めた。分析は、単純集計、t検定。<br> <b>結果 </b>制服着用者群は、制服に対する印象について「学内に一体感がでる、私服を考えなくてよい、資源の節約につながる、個人的費用が削減される」と評価した。制服着用者群は、私服着用群より将来一般職での制服の採用について賛成の割合が高かった。その理由には、「職場のイメージアップになる、組織のつながりを深める」という意見が多かった。また、衣服の消費量やリサイクル意識に関しては制服着用の有無によって差はみられなかった。制服着用者群、私服着用者群ともに衣料品の3Rに対する意識は低く、衣服を環境問題やリサイクルと結びつけて考えていなかった。
著者
兼岩 尭希 中村 剛士 加納 政芳 山田 晃嗣
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.907-911, 2020-10-15 (Released:2020-10-15)
参考文献数
5
被引用文献数
1

擬音語・擬態語の総称であるオノマトペは,音象徴性を持つとされる.音象徴とは,特定の音が特定のイメージを喚起する事象であり,類似した特定の音は類似した特定のイメージを喚起できると考えられる.浦田らは,この音象徴性に基づいて,オノマトペの意味の類似関係をオートエンコーダの中間層によって可視化するオノマトペ・シソーラス・マップを提案した.このマップ上の局所的な位置関係は,オノマトペ間の意味的な類似関係を概略的に表すことができると報告されているが,音象徴の可視化に関して評価が十分なされたとは言い難い.本研究では,音象徴に関する言語学的知見を元に仮説を設定し,マップの可視化能力について検証を行った.検証実験の結果,マップは仮説をある程度支持するものの,一部については仮説と異なる結果が得られた.
著者
中村 邦彦
雑誌
あたらしい眼科 = Journal of the eye (ISSN:09101810)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.331-332, 2008-03-30
被引用文献数
1
著者
中村 隆治 藤井 英二郎
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.139-144, 1991-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
2
被引用文献数
18 24

緑地の視覚心理的効果を明らかにするために, 本実験では生垣, ブロック塀, さらに緑量的にそれらの中間的な段階の視覚対象として樹木とブロックの比が2:5, 4:3, 5:2となる場合の5つの対象物をみたときの脳波, 特にα波β波について分析を行った。 その結果, α波とβ波の合計値に占めるα波の割合が, ブロックに対する樹木の割合が半分以上になると高くなる傾向を示した。 一般に, 安静時にはα波が増え, 緊張時にはβ波が増えると言われていることから, この傾向はブロックが緊張感をもたらし, 樹木はそれを和らげる効果があることを示唆するものであることが明らかになった。
著者
小野 守章 海津 享 真保 幸雄 樺澤 真事 佐藤 章仁 戸塚 和弘 中村 真一郎 玉田 健二
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.660-665, 1996-11-05 (Released:2009-12-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

New laser carburizing quench process using hydrocarbon gas as the assist gas was proposed to strengthen ultra low carbon steel sheet.In this paper, the effect of CH4 concentration and various laser radiation parameters on hardness and area of fusion zone was investigated. Tensile strength of laser treated specimen were measured. The results of the present work were summarized as follows, (1) By using CH4, fusion zone with vickers hardness of more than 400 was obtained.(2) Hardness and area of fusion zone were well controlled by CH4 concentration, laser power, focal position, beam scanning rate and so on.(3) Tensile strength of laser treated specimen was about 20% higher than that of base metal.(4) CO2 laser carburizing apparatus consisting of the nozzle head and the exhaust of CH4 was newly developed, which enabled to strengthen ultra low carbon steel without breaking focal lens and the combustion of CH4.
著者
川口 貴之 中村 大 畑中 将志 山崎 新太郎 山下 聡 三上 登 上野 邦行
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.187-194, 2013 (Released:2014-11-06)
参考文献数
17

侵食対策として急斜面に施工された,ある連続繊維補強土の一部が完成から半年程度で崩落した.崩落箇所 を詳細に調べたところ,背後の地山からの湧水を考慮して設置されていた裏面排水材に赤褐色のゲル状物質が 付着しており,排水能力が低下した可能性が示唆された. そこで本研究では,まず始めに湧水とゲル状物質の性質を簡易的に調査した.次に,現地で裏面排水材の試 験片に地山からの湧水を流すことで目詰まりを再現し,実験室内で垂直方向透水性能試験と面内方向通水性能 試験を実施した.その結果湧水は還元状態にあり,ゲル状物質は鉄イオンの酸化に伴う沈殿物であること,排 水材の透水・通水性能はこの物質の付着によって短期間で急激に低下することが分かった.
著者
長野 康平 中村 和彦
出版者
日本スポーツ教育学会
雑誌
スポーツ教育学研究 (ISSN:09118845)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.77-87, 2020-12-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
19

Background: Regarding the burden of teachers in school athletic club activities, it is often argued that it is a burden because time of school athletic club activities related to working hours is long. However, factors related to the perceived burden of school athletic club activities have not been considered. The purpose of this study was the following three. 1) To clarify the rate of complaints about the perceived burden of teaching school athletic club activities among junior high school teachers in Yamanashi Prefecture. 2) To examine the relationship between teaching specialized competition and perceived burden. 3) To examine the relationship between the subject and the teaching specialized competition with the perceived burden.Method: We got data from 1,068 teachers who teaching school athletic club activities at junior high school in Yamanashi prefecture. Using a logistic regression analysis, we investigated a complex relationship between subject, involvement in specialized competition, and a perceived burden for teaching of school athletic club activities.Result: The accused rate of perceived burden to the teaching of school athletic club activities was 72.3%,21.3% of which had a sense of burden of high intensity. Odds ratio which has perceived burden so much that it is not involved in own specialized competition was high. Participation in the subject and specialized competitions was combined with complaints of perceived burden.
著者
杉浦 友紀 奥平 裕 中村 剛士 伊藤 英則
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.595-602, 2009-02-28 (Released:2016-01-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

Healing music and Musicotherapy attract attentions recently. They are beginning to be used in the medical treatment. On the other hand there are little practical utilization to relax with video images compared with music. Visual information is said to occupy about the whole of 80% humans receive from five senses. Therefore it has some potential that visual information affects human's mental and physical state as well as aural information does. This paper attempts to investigate the relation between characteristics of video images and mental relaxation. The one of characteristics we focus is motion speed of video images. It is considered that it might correspond to tempo of music. This paper investigates the relaxation effect by using the index calculated by heart rate variability analysis. The experimental results and analysis confirmed that viewing video images might have higher effect of reducing stress than eyes closed state and the relaxation effect might depend on motion speed.
著者
篠島 直樹 前中 あおい 牧野 敬史 中村 英夫 黒田 順一郎 上田 郁美 松田 智子 岩崎田 鶴子 三島 裕子 猪原 淑子 山田 和慶 小林 修 斎藤 義樹 三原 洋祐 倉津 純一 矢野 茂敏 武笠 晃丈
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.235-242, 2019 (Released:2019-11-15)
参考文献数
14

【背景・目的】当院では難治性てんかんの患児に「ケトン食」を40年以上提供してきた.その経験に基づきIRB承認の下,悪性脳腫瘍患者を対象にケトン食の安全性,実行可能性,抗腫瘍効果について検討を行った. 【対象・方法】2012年11月から2018年10月までの悪性脳腫瘍患者14例(成人10例,小児4例).栄養組成はエネルギー30~40kcal/kg/日,たんぱく質1.0g/kg/日,ケトン比3:1のケトン食を後療法中ないし緩和ケア中に開始し,自宅のほか転院先でもケトン食が継続できるよう支援を行った. 【結果】ケトン食摂取期間の平均値は222.5日(5‐498日),空腹時血糖値および血中脂質値はケトン食摂取前後で著変なかった.有害事象は導入初期にgrade1の下痢が2例,脳脊髄放射線照射に起因するgrade 4の単球減少が1例でみられた他,特に重篤なものはなかった.後療法中に開始した10例中9例が中断(3例は病期進行,6例は食思不振など),緩和ケア中に開始した4例中3例は継続し,うち2例は経管投与でケトン食開始後1年以上生存した. 【考察】後療法中にケトン食を併用しても重篤な有害事象はなく安全と考えられた.長期間ケトン食を継続できれば生存期間の延長が期待できる可能性が示唆された.中断の主な理由として味の問題が大きく,抗腫瘍効果の評価には長期間継続可能な美味しいケトン食の開発が必要と考えられた.
著者
中村 克洋
出版者
広島経済大学
雑誌
広島経済大学創立五十周年記念論文集
巻号頁・発行日
pp.733-768, 2017-07-31

説得(的)コミュニケーションとは,受け手(コミュニケーションの相手)の意見を特定の方向に変化させ,それによって相手の行動を変化させることをねらった(意図的)コミュニケーションである。古来,受け手(コミュニケーションの相手)の行動を自分の都合のいい方向に変化させることを目的にした『説得行為』が,様々に工夫されて行われてきた。また,成功効率の高い「説得テクニック」が模索されてきた。しかし,相手の意見や行動を特定の方向に変化させるというコミュニケーション行為には,必然的に,ある「作為」がともなう。この「作為」が,ややもするとリアクタンス(心理的な反発)を引き起こす。いわゆる「不本意な感情」である。「だまされた」「のせられた」「してやられた」といった負の感情を引き起こしてきたのである。従来の説得コミュニケーションのテクニックは,すべてこういったリスクを伴っている。この従来型の説得テクニックを本論では『古典的説得技法』と名づけておく。その『古典的説得技法』に対して,本論の主題である『Self-Persuasion』(『自己説得』と邦語訳するケースが多いが,宗教的な意味合いを持って使われる場合が多いので,本論では『自主説得』として論述する)は,リアクタンスが全く起きないという意味で画期的であり,両者(説得者と被説得者)が,お互いウィンウィンの関係が保てるというメリットまである。この『自主説得』を効率よく使うことによって,人間関係は良好に保たれ,ビジネスの現場での様々な説得行為における説得(的)コミュニケーションを理想的な形で行うことができる。本論では,説得行為そのものの考察を行うことで,古典的説得技法における説得コミュニケーションの理論を確認し,その発展的段階として『自主説得』というリアクタンスを生まない最先端の説得技法に言及する。人生やビジネスの現場の「説得シーン」において,もっとも理想的な『自主説得』を使いこなし,より良い人間関係や目覚ましいビジネス実績を残せる「説得のエキスパート」となることに資するべく,本論を起稿する。1.〝何が〟『人を動かす』のか〝説得心理〟の分析 1.1 古典的説得法で説得の基礎を知る 1.2 説得は『二つの原理』が支配 1.2.1 『返報性の原理』と『一貫性の原理』 1.3 〝フット・イン・ザ・ドア〟『一貫性の原理』 1.3.1 【小さなイエス】から【『一貫性』の(大きな)イエス】 1.3.2 「フット・イン・ザ・マウス」 1.4 〝ドア・イン・ザ・フェイス〟『返報性の原理』 1.4.1 【大きなノー】から【『返報性』の(小さな)イエス】 2. 新原理を理解する その名は『自主説得』 2.1 これぞ究極の説得だ 2.1.1 『自主説得』は〝ウィンウィン〟 2.1.2 非常に興味深い〝ある実験〟(アメリカ国民に〝虫〟を食べさせる) 2.1.3 実験結果から見えた『自主説得』の〝心理的背景〟 2.2 最先端の説得技法『自主説得』 2.2.1 吉本さんに〝マツダ〟の車を買ってもらう 2.2.2 これまでとは〝全然ちがう〟(「心理的反発」がまるでない) 2.2.3 古典的説得では〝あまのじゃく心理〟がジャマをする(説得するほど反発をかう) 2.2.4 こんな説得〝なかった〟(〝反発〟がまるでない) 2.3 〝メリット〟を自主的に認識する『自主説得』 2.3.1 〝生命保険〟の勧誘 3.最新理論『自主説得』を〝実践〟する 3.1 『自主説得』のノウハウ 3.1.1 〝相手に言わせる〟ための「質問」がほしい 3.1.2 「言わせる」ための〝聞き出し〟 3.1.3 〝逆〟効果の〝聞き出し〟質問 3.2 〝聞き出し〟のコツ『イイとこ掘り』 3.2.1 答えの〝正しい誘導〟と〝会話の支配〟 3.2.2 「イイとこ」のバリエーション(言いかえ) 3.3 『イイとこ掘り』を繰り返しているうちに 3.3.1 『自主説得』効果は〝持続〟する 3.3.2 『自主説得』はアトからでも〝発現〟する 4.『自主説得』のバックアップ技法(『一般的会話技法』より) 4.1 火縄銃よりマシンガン 4.1.1 ねらった答えを次々に誘発するには? 4.1.2 『イイとこ掘り』は会話を支配する 4.1.3 『イイとこ掘り』の連発撃ちは〝5W1Hを聞け!〟 4.2 主語を『私(たち)』に変える 4.2.1 主語を『私』に変えると……(『返報性の原理』が使える!) 4.3 「教えてください」で〝教えたがる〟相手を利用 4.3.1 『自主説得』への〝くすぐり効果〟 4.4 相手を〝いい気分〟にさせて『自主説得』効果を上げる 4.4.1 『ラべリング』 4.4.2 〝ほめて〟『返報性の原理』『一貫性の原理』をうながす あとがきにかえて 参考文献
著者
柴田 陽介 岡田 栄作 中村 美詠子 尾島 俊之
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.180-185, 2021-03-15 (Released:2021-03-30)
参考文献数
15

目的 本邦ではロコモティブシンドローム(ロコモ)の予防としてロコモーショントレーニング(ロコトレ)が注目されてる。ロコトレの効果を検証した報告は,虚弱な高齢者を対象にした研究が多く,健康な者が多い地域在住高齢者を対象にした報告は少ない。そこで本研究の目的は,地域在住高齢者を対象に行われたロコトレの効果を報告することとした。方法 浜松市ではサロンの場でロコトレ事業(サロン型ロコトレ事業)を行っている。この事業は,一人以上のサロンメンバーがロコトレの講習会を受け,その者が各サロンの場で他のメンバーにロコトレを指導する形式の事業である。定期的な評価として,ロコトレ開始前と3か月ごとにロコモ5を用いてロコモの度合いを評価している。ロコモ5とは0~20点のスコア化ができる自記式調査票であり,高得点なほどロコモの重症度が高く,6点以上ではロコモ陽性と判定される。本研究では,2017年度に初めてサロン型ロコトレ事業に参加した地域在住高齢者2,855人のうち,欠損データがない者1,211人を解析対象とした。解析は,ロコトレ開始前の状態によってロコモ群(ロコモ5の得点:6点以上)と非ロコモ群(5点以下)に分類し,開始前,3か月後と6か月後のロコモ5の得点およびロコモ陽性者の割合を算出した。活動内容 対象者の平均年齢は77.5歳,男性は301人(24.9%),ロコモ群は237人(19.6%)であった。ロコモ5の平均得点±標準偏差は,非ロコモ群では開始前1.39±1.67点,3か月後1.62±2.35点,6か月後1.59±2.26点,ロコモ群では開始前9.47±3.50点,3か月後8.35±4.82点,6か月後8.22±4.66点であった。ロコモ陽性者の割合は,非ロコモ群では3か月後54人(5.5%),6か月後57人(5.9%),ロコモ群では3か月後165人(69.6%),6か月後167人(70.5%)であった。サロン型ロコトレ事業の特徴としては,多くのロコモ陽性者をリクルートできたこと,ロコトレ事業の運営側の労力が少なかったことが挙げられた。結論 ロコモだった者は3か月でロコモ5の得点が低下し,ロコモ陽性者の割合も減少したが,6か月後は横ばい傾向であった。一方でロコモでなかった者は,良い状態が維持されていた。
著者
森 聖治 中村 栄一
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.144-151, 2003-02-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
41
被引用文献数
1 3

Recent development in the use of high-precision quantum chemical calculations for the investigation of the mechanisms of synthetically important organometallic reaction is reviewed. The review is focused on the following issues that have be the subject of much discussion in the society of synthetic organic chemists for many years : (1) Nucleophilic addition to carbonyl compounds, (2) osmium-tetraoxide-catalyzed dihydroxylation, (3) organocopper reactions, and (4) Simmons-Smith cyclopropanation.
著者
中村 貴司
出版者
パーソナルファイナンス学会
雑誌
パーソナルファイナンス研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.53-65, 2015

本研究は、独創性のあるストーリーを通じた株式投資のケースメソッドを用いることで、投資家の行動や相場変動の特徴・特性など、心理的アプローチを用いた行動ファイナンスの視点をパーソナルファイナンスの資産運用の分野へ効率的・効果的に取り込むことに加え、実務への応用可能性の高い投資のエッセンスをケースメソッドに含有することで、個人投資家の金融リテラシーの向上に寄与することを目的としている。本研究ではパーソナルファイナンスと行動ファイナンスの概要に加え、ストーリーを用いたケースメソッドのメリットを述べた後、顧客である個人投資家と関わりながらITバブルとITバブル崩壊を証券の営業現場で経験した一営業担当者としての視点で書かれている「A君の株式投資物語」というケースメソッドの実例を示した。このケースでは、マーケットの狂喜乱舞、楽観と悲観、幸福感と絶望感など群集心理の激しい移り変わりを経験し、マーケットに揺さぶられ続けてきた個人投資家や営業担当者のイメージが湧くような具体例やマーケットの局面ごとの反応例を示した。また、このケースメソッドを通じ、代表的な株式投資の分析手法であるファンダメンタルズ分析とテクニカル分析のメリット、デメリットや投資を行う上での適切なポジション管理の必要性に加え、マーケットの変化やマーケットに伴う困難、逆境に対し、しなやかに対応できる柔軟な思考力と行動力を持つことの大事さを投資におけるエッセンスとして学べる機会を提供することで、パーソナルファイナンス教育の分野への貢献を行った。
著者
馬淵 誠士 志村 宏太郎 松本 有里 梅本 雅彦 北田 文則 木村 正 藤江 建朗 中村 英夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.281-288, 2021-03-10

▶要約 目的 : 子宮頸癌に対する広汎子宮全摘術が術者に与えるストレス・疲労を,術式別(ロボット支援下・腹腔鏡・開腹)に比較した. 方法 : 広汎子宮全摘出術の術中に,執刀医の心電図・筋電図を無線測定機器で持続モニタリングした. 結果 : ロボット支援下手術では,開腹手術や腹腔鏡手術に比して,脊柱起立筋の筋活動量が有意に軽微であった.ロボット支援下手術では心拍数が終始一定であったのに対し,開腹手術と腹腔鏡手術では心拍数は手術の進行とともに漸増し,ロボット支援下手術と比較して有意に高値となった.Tone-Entropy法による評価でも,ロボット支援下手術ではEntropyが終始一定であったのに対し,開腹手術と腹腔鏡手術では手術の進行とともにEntropyが低下し,ロボット支援下手術のストレスが少ないことを示す結果であった. 結論 : ロボット支援下広汎子宮全摘術は,開腹手術や腹腔鏡手術に比して執刀医へのストレス・疲労が少ない術式である可能性が示された.
著者
松山 博明 中村 泰介 須田 芳正
出版者
京都滋賀体育学会
雑誌
京都滋賀体育学研究 (ISSN:21877866)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-9, 2018

本研究では, サッカー試合中における当該チームの課題を定量化するために新たに開発した評価基準尺度を用いて,ブータン王国サッカー代表チームとU-19代表チームの競技力向上に関する実態調査を行うことを目的とした.2011年に開催された南アジアサッカー選手権大会とU-19アジア選手権の試合を分析した結果,以下のような内容が得られた. 技術面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,パスの成功率が低く,ボールを奪われた比率が高かった.戦術面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,ボール支配率が低く,シュートの本数が少なかった.体力面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,試合終了前15分間の筋肉疲労での退場者が多く,試合終了前15分間に失点する場面が多かった.心理面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,選手の冷静さを欠く判断ミスによる退場や試合開始後15分間の失点が多かった.また,失点後に連続失点する回数が多く,試合パターンの変化を認識し,注意喚起することが出来なくなった.これらのことから,新たに開発した評価基準尺度の技術面,戦術面,体力面,心理面の4側面すべてにおいて対戦相手と比較して劣っていたため,試合を優位に進めることが出来なかったと思われる.
著者
内山 瑛美子 高野 渉 中村 仁彦 今枝 秀二郞 孫 輔卿 松原 全宏 飯島 勝矢
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.189-192, 2021 (Released:2021-03-24)
参考文献数
5

Interview survey is one of the options for investigations with light loads on participants to study how people fall compared with measurements by many sensors. In this paper, we aimed at predicting fall patterns from interview text data. We use k-means clustering method to confirm the validity of the labels attached to the interview data, and also confirmed the validity of the summaries of the interview data by interviewer researchers by focusing on the co-occurrence word analysis. After confirming the validity of the labels and summaries, we construct a naive Bayes model classifiers to classify the fall patterns. The average classification rate was 61.1% for 3 types of falls - falls by an unexpected external force, by losing balance or supports, and by other reasons.