著者
高野 修治 佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.123, 2013 (Released:2013-06-20)

本研究では,新しい人工物の創出手法として提案されている多空間デザイン法(Mメソッド)を用いて,プロのデザイナにビークルデザインをテーマとした事例適用を行った.Mメソッドは,デザインに用いる要素を整理する枠組みである多空間デザインモデルの視点に基づき,発想法と分析法を組み合わせるデザイン法である.この事例適用の結果を通じてMメソッドの有用性が確認された.
著者
川野 陽慈 佐藤 季久恵 高屋 英知 須賀 聖 山内 和樹 栗原 聡
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

場の雰囲気は,人と人との間に流れる「空気」や視覚情報,聴覚情報などが複雑に絡み合うことによって形成されている.これを人為的にデザインする場合,特に視覚情報と聴覚情報(BGM)をコントロールすることが重要である.BGMには感情誘導効果やイメージ誘導効果があるとされており,小さな労力で場の雰囲気に合わせることができる.本研究では,店舗の雰囲気に適したBGMを推薦するシステムの構築を目指す.従来研究では,場の雰囲気から想起する人間の喜びや悲しみ,怒り (ストレス),落ち着きなどの感性評価はアンケートやインタビューなどの測定方法が用いられていた.しかし,この評価方法では被験者の顕在意識に影響を受ける可能性がある.また,従来研究では,没入感のない画像を見て評価を行っており,現場にいる感覚での推薦に至らない可能性がある.そこで,本研究では人手による音楽の印象抽出ではなく,脳波を読み取ることで人が潜在的に抱く印象を抽出した.また,Virtual Reality(VR) を用いることで,あたかも現実空間にいるような環境で,あらゆる空間での実験を行った.
著者
小林 沙織 佐々木 淳 御領 政信 内田 直宏 井口 愛子 山﨑 真大 佐藤 れえ子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.215-221, 2019-04-20 (Released:2019-05-20)
参考文献数
17

常染色体優性猫多発性囊胞腎(feline autosomal dominant polycystic kidney disease:fADPKD)は,人ADPKDと類似した病態をとる.肝囊胞を有するfADPKDの猫3例の臨床病理学的検討を行った.肝臓の病理組織学的検査及び肝囊胞液の分析を実施した.3例は,すべてペルシャ種の雄であった.2例の肝臓に限局性で多房状の肝囊胞を認め,1例に大きな単胞性肝囊胞を認めた.大部分の肝囊胞は肝葉辺縁部に位置していたが,組織学的に,微小な肝囊胞が肝実質内にも認められた.肝囊胞は,一層の低立方状細胞で内張りされていた.肝囊胞液は,血清と比べ,K+及びBUN濃度は高く,Na+,Cl-,Cre濃度は類似していた.いずれの症例とも,肝機能低下を示唆する血液検査所見は認められなかった.
著者
田中 真奈実 入江 勇治 安羅岡 一男 佐藤 章仁 松本 繁 白田 保夫 中村 尚志 河合 美枝子 海老原 誠
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.156-163, 1988

関東地方利根川流域で感染した慢性日本住血吸虫症について, 茨城県内診断例12例を中心に, その診断法・病態・治療適応について検討した. 患者は, すべて海外渡航歴・利根川以外の本症流行地への旅行歴はなく, 取手市戸頭, 稲敷郡河内村, 筑波郡谷和原村等かつて本症の流行が報じられた地域の在住者である. 血中抗住血吸虫抗体及び糞便中の虫卵は検査したすべての症例で陰性であった. 8例の患者の確定診断は, 本症とは異なる基礎疾患で摘出された臓器 (胃・十二指腸等上部消化管及び肝・胆道系) 中の日本住血吸虫虫卵の病理学的検索によってなされた. しかし, 茨城県取手市戸頭の3症例と筑波郡伊奈町の1症例は, 人間ドックで画像診断学的に診断されており, 流行地における本症患者のスクリーニングには, 肝エコーにおける魚鱗状パターン, 肝CT像における被膜石灰化像・隔壁様石灰化像等特徴的所見も有用であることが示された. また, その病態は, 基礎疾患によって異なっており, 胃癌・肝癌等悪性腫瘍との合併例は4例であった. プラジカンテルによる治療適応の判定には, 虫卵排出の有無及び虫卵の孵化能の検索が必要であるが, 疑わしい症例には生検材料による孵化試験をすることが必要である. 病理組織学的検索だけでは, 感染時期及び孵化能の判定は困難である.
著者
佐藤徳助 著
出版者
佐藤徳助
巻号頁・発行日
1902
著者
佐藤 典宏
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.128-134, 2016-04-25 (Released:2016-04-29)
参考文献数
50

細胞外マトリックスの中心的コンポーネントであるヒアルロン酸は多くの癌で重要な役割を果たしている.大部分の膵癌はデスモプラジアと呼ばれる豊富な線維性間質を有し,ヒアルロン酸の著明な蓄積を伴っている.したがって,ヒアルロン酸は膵癌の治療標的として注目されている.これまでにヒアルロン酸を標的にした膵癌の治療戦略として,①ヒアルロン酸産生の阻害,②ヒアルロン酸シグナル伝達経路の阻害,および③間質のヒアルロン酸除去といったアプローチ法が報告されている.中でも,ヒアルロン酸を分解する酵素製剤であるPEGPH20は,ゲムシタビンをはじめとした化学療法の効果を高めることが証明され,米国での臨床試験においても有望な結果が報告されつつある.本論文では膵癌の進展におけるヒアルロン酸の役割に関する最新の知見およびヒアルロン酸をターゲットにした治療戦略について概説する.
著者
江崎 治 佐藤 眞一 窄野 昌信 三宅 吉博 三戸 夏子 梅澤 光政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.123-158, 2006-04-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
209
被引用文献数
2 5

日本人のn-3系多価不飽和脂肪酸 (以下n-3系脂肪酸と略す) の摂取基準策定 (2005年版) に用いた論文をエビデンステーブル (表) として提示し, 策定の基本的な考え方を詳しく述べた。n-3系脂肪酸は一定量以下のある摂取量で皮膚炎, 成長障害が認められる必須脂肪酸であるので, 下限の設定 (最低必要量) が必要である。しかし, 報告症例が少なく, 一定量以下のある摂取量を求めることができないため, 摂取量の中央値で表される目安量を用いた。すなわち, 大部分の日本人では皮膚炎は認められていないので, 日本人の各年齢階層における男女別にみたn-3系脂肪酸摂取量の中央値を日本人の大多数で欠乏症状が認められない十分な量と考え, 目安量とした。このように安全幅が広めに設定されているため, 実際の摂取量が目安量より少なくても欠乏症状はあらわれないと思われる。n-3系脂肪酸を多く摂取すると, 虚血性心疾患罹患が少なくなることを示す欧米の報告は多い。しかし, 現在の日本人のn-3系脂肪酸摂取量の中央値は, 欧米人の検討成績の中で, 虚血性心疾患罹患率の最も低い, 最高分位のn-3系脂肪酸摂取量のグループの中央値よりも多い。このため, 日本人のn-3系脂肪酸摂取量の中央値程度を摂取していれば, 虚血性心疾患罹患率を十分低くできると考えられる。そこで, 18歳以上に対し, n-3系脂肪酸摂取量の中央値を, 目標量 (生活習慣病予防を目的とした食事摂取基準の一つ) の下限と設定した。設定された18歳以上の目標量は2.0-2.9g/day以上となる。この値は必須脂肪酸としての目安量と一致するため, 18歳以上については目標量のみの設定となっている。n-3系脂肪酸を多く摂取した場合の弊害についても検討した。出血時間の延長, LDL-コレステロール値の増加が多く報告されているが, 臨床的に問題となる出血例の増加は報告されていないし, 虚血性心疾患罹患率が増加したことを示す報告もない。このため, 今回の策定では, 目標量の上限値設定は行わなかった。しかしながら, 日本人のおもなn-3系脂肪酸摂取源である魚介類には, 水銀, カドニウムなどの重金属, ダイオキシン, PCBなどの環境汚染物質が微量ながら含まれる。食事摂取基準では, 有害物質の摂取量について取り扱っていないため, これらの影響については考慮されていない。この点を補完するために, 本稿では水銀摂取の影響についてエビデンスの収集を行い, 妊婦が魚を摂取する場合の注意点についても言及した。
著者
佐藤 知久
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.16, 2008

本発表は、ドラァグ・クイーンという現象についてアメリカ合衆国と日本での状況を比較検討しつつ論じるものである。特に本発表では1990年代初頭の合衆国から日本へのドラァグ・クイーン文化導入の経緯とその後の展開について考察し、日本ではドラァグの「転覆」「脱臼」的な効果がゲイ男性による批判的実践のみならず、ヘテロセクシュアル女性による美や女性身体をめぐる規範の批判としても用いられていることを指摘する。
著者
伊藤 敏雄 安部 聡一郎 川合 安 窪添 慶文 佐川 英治 佐藤 智水 關尾 史郎 中村 圭爾 福原 啓郎 葭森 健介
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

魏晋南北朝史に関する石刻史料の主要な出土地である洛陽・南京・西安・太原・大同・安陽などで現地調査を実施し、基本的石刻史料のデータ・ベースを作成した。基本問題のうち、貴族制については、貴族制形成期の史料が後世の貴族制の影響を受けていることを強調し、北朝・南朝の貴族制の実態を明らかにした。官僚制については、北魏後期の官僚の昇進がシステム的であったことなどを明らかにした。民族問題については、民族問題に関連する新出石刻史料を紹介するとともに、六鎮の乱の民族的背景などを明らかにした。
著者
森本 雅之 押谷 克己 佐藤 進司 角藤 清隆
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.110, no.12, pp.1266-1272, 1990-12-20 (Released:2008-12-19)
参考文献数
16

The voltage modulation factor of the magnetic flux control PWM method is discussed. The fundamental component of the inverter output voltage is proportional to the radius of the flux locus. The modulation factor is derived by the theoretical study on the length of the flux locus produced from inverter output voltage.As a result, the modulation factor of the magnetic flux control PWM method is calculated by the portion of zero vectors in the PWM pattern. The modulation factor is proportional to the output voltage from zero to 12/π2. By using proposed modulation factor, the magnetic flux control PWM method can control output voltage from zero to over-modulation.Simulation results and experimental results are also shown.
著者
竹之下 美穂 吉川 達也 加藤 雄一 佐藤 智子 豊福 明
出版者
Japanese Society of Psychosomatic Dentistry
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1-2, pp.46-50, 2008-12-25 (Released:2011-09-20)
参考文献数
11

Atypical Odontalgia (AO) is a condition characterized by tooth pain with no apparent cause and hypersensitivity to stimuli in radiographically normal teeth. Patients complain of continuous pain even after extended endodontic treatment. This report presents two cases of AO in patients who visited our clinic in 2007 from the psychosomatic perspective. We examined their medical histories, treatment procedures and prescriptions as described in their medical records.(Case 1)Female, 39 years old. Chief complaint: Pain on the right maxillary second premolar. The patient felt pain on the right maxillary first molar and the crown of the tooth was removed. She subsequently changed clinics and the tooth was extracted. Laser therapy and a pulpectomy were provided on account of the pain but she again changed clinics because of the constant toothache. She visited our clinic while receiving treatment at a pain clinic. SAIDs and milnacipran were ineffective. The pain was alleviated by amitriptyline.(Case 2)Female, 38 years old. Chief complaint: Post extraction pain on the right maxillary molar and right orbital pain. The right maxillary molar was extracted after repeated root canal treatment (RCT) but the pain remained following tooth extraction and she next visited oral surgery. She was diagnosed as normal by the oral surgeon, and then visited our clinic. She refused to take antidepressants at first in spite of repeated counseling to do so, but did agree to take the medicines after three months. The pain was relieved by amitriptyline.It is very difficult to diagnose AO due to the very nature of dental treatment. Despite the reports that some antidepressants are effective against AO, dentists often have difficulty in treating AO patients due to individual variations in the response to medicines. Further, as the patients themselves believe that their pain is caused by dental problems, they sometimes refuse antidepressants. Patients are inclined to become angry or distrustful because of their prolonged pain and repeated dental treatment, so it is important both to prescribe appropriate medications and to be receptive and listen attentively to what they say.
著者
佐藤 岩夫
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.81-108, 2005-03-30

日本の違憲審査制の現実の運用の特徴として違憲判決が極めて少ないことはよく知られている.その原因についてはさまざまな指摘があるが,その1つとして,内閣法制局による厳格な事前審査の存在があげられることがある.それによれば,内閣法制局による法律の厳格な事前審査の存在が裁判所の事後的な司法審査の機能領域を小さなものにしている.本稿は,この説明の妥当性を比較法社会学的な手法を用いて検証し,厳格な事前審査の存在が直ちに事後的な司法審査の機能領域を縮小させるのではなく,裁判所が自らの役割について一定の選択をしているという媒介要因(司法の役割観judicial role conception)が重要であることを主張する.
著者
芳賀 高洋 大谷 卓史 佐藤 匡 高木 秀明 豊福 晋平
雑誌
情報教育シンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.149-156, 2015-08-10

我々は,大学におけるソーシャルネットワークキングサービス(SNS)の利用ガイドラインに関して情報倫理学的観点か ら検討してきた.本稿では,この観点に加えて,教育学的観点から大学の SNS 利用ガイドラインを考察する.具体的には, まず 2015 年 4 月時点で国内の大学が公式に規定する SNS 利用ガイドラインを 93 大学(98 例)ほど収集し,質的・量的 に分析する.この分析から国内の大学が SNS に対してどのようなスタンスをとっているかを明らかにした上で,教育学 的観点から考察し, 学術研究機関であり高等教育機関でもある大学として適切なSNS利用ガイドラインとはどのよう なものかについて検討する.
著者
佐藤 常雄 溝井 理子 木村 凡 藤井 建夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.490-494_1, 1995-08-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
8
被引用文献数
3 3

新島, 大島及び父島のくさや汁を用い, これらくさや汁中のヒスタミン (Hm) 量, Hm生成菌及びHm分解菌の存在並びにその菌種を調べた. その結果, 各くさや汁ともHm生成菌はほとんど検出されなかったこと, Hm分解菌が104~106cells/ml程度存在したこと, 更にpHがHm分解活性至適域であったことから, くさや汁中ではHmが蓄積されにくい環境であることが分かった. 各くさや汁のHm分解菌として Alcaligenes がいずれの試料からも多数認められた. しかし, くさや汁中のHm分解菌のほとんどは, くさや汁の優勢菌種ではなかった.
著者
佐久間 夕美子 友藤 裕美 宮内 清子 佐藤 千史
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.13-19, 2008-04-30

本研究の目的は,コンピュータ操作演習開始時のチョコレートの摂取による演習終了時の疲労の影響を明らかにすることである。調査は3時間のパソコンを用いた情報処理演習で実施した。対象者は看護学生45名とし,演習開始時,無作為にチョコレート群・黒砂糖菓子群・コントロール群に分けられた。全ての対象者は,演習開始時に現在の疲労の自覚症状を尋ねる調査用紙に回答した。その後,対象者はチョコレート,または黒砂糖菓子を摂取し,コントロール群は何も摂取せずに演習を開始した。演習終了時,全ての対象者が演習開始時と同じ内容の調査用紙に回答した。演習開始時の疲労感は,チョコレート群で有意に低かった(p<0.05)。コンピュータ演習開始時・終了時の疲労を比較した結果,チョコレート群は集中力が有意に維持されていた(p<0.05)。さらに,演習的8時間以内に甘いものを摂取しなかった者でも,チョコレート群ではイライラ,精神的な疲労が抑制されていた(p<0.05)。以上の結果から,作業前のチョコレート摂取は集中力の維持や精神を安定させる効果をもつ可能性が示唆された。