著者
山下 哲郎 佐藤 豪
出版者
工学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、首都直下地震が発生した際に,被災者の医療を受け持つフロントライン医療サービス拠点の規模を検討するための、新宿駅周辺の非住宅の死傷者数の推定である。調査は新宿駅の東西口周辺の歩行者数を把握するものである。その結果,西口側には4-6,000人,東口側には2-10,000人の歩行者数が確認された。これを元に負傷者数を推計すると、西口側の負傷者数は一日のどの時間帯でも80人程度と安定しているが、東口の場合,午前中は35人、午後は85人,夕方は100人と変動が大きい。同様に,建物内の負傷者数も推計した。更に, 2011年3月11日東日本地震当日の行動について,アンケート調査を実施した。それらの結果から、新宿西口周辺に13箇所のフロントライン災害医療拠点を設ける場合,各所で67人程度の負傷者の治療を行うことが推定され,負傷者の分布に基づいて、東に8箇所,西に5箇所を配置することになる。
著者
松田 皎 萬 栄 劉 群 陳 大剛 侯 恩淮 高 清廉 東海 正 兼広 春之 佐藤 要 小野 征一郎 WAN Rong HOU Enhuai CHEN Dagang GAO Qing-lian 候 恩淮
出版者
東京水産大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

世界でも有数の漁場である東シナ海・黄海は、日本・中国・韓国・北朝鮮などが国際漁場として戦前・戦後を通して利用してきたが、永年にわたる漁獲圧のため、現在は極めて厳しい資源状態になっている魚種は多い。これを元の豊かな漁場に戻すには、国際的な管理組織を築くことが緊急の課題である。その第一歩として、この海域を利用している主要国である日本と中国とが漁業の実態に関する情報交換・技術交流を進めることにより、その実態を認識することが必要である。本研究の3年間の集大成として、1996年11月青島海洋大学において開催した日中共同セミナーは、貴重な情報交換の場であった。まず、佐藤は「日本の以西底びき網漁船の歴史的変遷」と題して、戦後において東シナ海域における日本・中国・韓国3国の底びき網漁業の変遷を述べ、1975年以降、中韓2国と異なり日本の漁獲は急激に減少の一途を辿っている。これは日本漁船の賃金の高騰と円高による水産物輸入の増大によるものと考えられた。松田は「日本の以西底びき網漁業における主要魚種の資源状態と漁業管理における諸問題」について、イカ類、タチウオその他わずかな魚種以外は、ほとんど壊滅的な状態であること、早急に国際的管理体制にすべきとした。高は「日中両国漁船の発展趨勢」について、船形から日中の各種漁船の性能の比較を行った。陳は日中両国の海洋魚類の分布の比較研究」において、日中両国近海に出現する魚種は4351種329科に属し、その中3048種が中国近海に、3254種が日本近海に、両国共通種は1951種であることを明らかにした。陳はさらに付表として4351種の学名、中国名、日本名及び分布海域を記す表を作成した。侯は「中国漁政管理の特徴」において、これまで20年間の漁業の変遷をみると、漁船の増加、養殖業の発展が水質の汚染と伝統魚種の減少をもたらしたとしている。劉は「中国漁業40年の回顧」において、この40年間に何が中国の漁業の発展をもたらしたかを示した。小野は「日本の漁業管理-TACを中心として-」において、日本が昨年国連海洋法条約を批准したことにより、TAC制など今後両国の取るべき政策について論じた。東海は「多魚種漁業と投棄魚問題」で、底びき網漁業など、多魚種を同時に漁獲し、不要魚種その他を投棄する場合の生態系への影響を論じた。兼広は「日本の漁業資材の現状と動向」で、漁業行為によって廃棄された漁網類がゴ-ストフィッシング等資源に及ぼす影響について論じ、これを解決する方法として微生物により分解するバイオプラスチックを紹介した。資本主義体制下の日本と、解放政策が進展中とはいえ社会主義体制下の中国では漁業管理の方式が異なる。開放政策により、中国では従来からの国営漁業の他に大衆漁業が急激に増大した。それらは主として、小船によるもので、主として張網漁業を行っている。張網は比較的沿岸域に設置しておいて、潮流によって流れてくる魚を濾して獲る趣向の漁具である。問題は網目が非常に小さいため、小さな幼魚まで一網打尽にしてしまうことである。このような稚仔魚は普通商品にはならないのであるが、たまたまエビの養殖の餌として高価がつく。エビの方はもちろん日本市場へ輸出されることになる。このような情報があったため、今回の研究では、この事実を確認すべく努力したが、確証は得られなかった。一方、中国農業部水産局は、1995年からタチウオ資源の回復のため、一つの資源管理策を打ち出した。それは5月頃産卵したタチウオの幼魚を保護するため、7、8月の2ヶ月間、底曳網漁業を全国的に禁止し、さらに張網(定置網)も6〜9月のうち2ヶ月間を禁漁にするというものである。このことは、底曳網、張網でタチウオの幼魚が大量に捕獲されていることを政府も認めていることを示している。この政策が永年続くと、タチウオばかりでなく、他の資源にもよい結果が表われると思われる。今後の資源の動向を注意深く観察する必要がある。
著者
中野 雅之 佐藤 敏雄 新井 宏之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.1554-1564, 2000-11-25
被引用文献数
6

携帯・自動車電話システム用基地局のダイバーシチ受信特性について, ランダムフィールド法により実験を行った.その結果, 移動局が自動車電話の形態では効果がないとされてきた偏波ダイバーシチ受信方式は, 携帯電話の場合は移動局アンテナが一般的に水平に近く傾けて使用されること, 並びに人体と携帯機の筐体の影響により水平偏波成分が増加することによりダイバーシチ効果が現れ, 空間ダイバーシチ受信方式より効果が大きいことがわかった.また, 偏波ダイバーシチ受信の垂直偏波・水平偏波受信方式と±45度偏波受信方式について比較の実験を行い, 見通し内においては±45度偏波方式がやや優れているが見通し外においてはほぼ同等の効果をもつことがわかった.
著者
佐藤 紀章 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.622-629, 2002-04-01
被引用文献数
1

本論文では視覚システムに基づく動物体認識ニューラルネットワークを提案する.提案ネットワークは,視覚情報処理の並列階層性に着目した構造となっており,動物体を認識することができる.提案ネットワークは運動認識モジュール,動物体推定モジュール,動物体認識モジュールから構成される.運動認識モジュールでは視覚において運動認識を行う部分をモデル化したニューラルネットワークを用いて運動の認識を行う.動物体推定モジュールではバックプロパゲーション(Back Propagation:BP)アルゴリズムによる階層型ニューラルネットワークを用いて運動の特徴から動物体の推定を行う.動物体認識モジュールでは抑制方法を改良した多重構造ニューラルネットワークを用いて動物体を形の特徴から認識する.運動認識モジュールから動物体推定モジュールを通して動物体認識モジュールへ情報を伝達することによって運動認識,パターン認識の統合を行い,動物体を認識することができる.歩行人物認識の計算機シミュレーションにより提案ネットワークの有効性が示されている.
著者
越村 三幸 佐藤 裕幸 近山 隆 藤瀬 哲朗 松尾 正浩
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.249-250, 1988-09-12

PIMOSは並列推論マシン用OSであり、ユーザ.プログラムを監視・制御しユーザの過ちからシステム全体、ひいてはユーザ自身を守ることを主な仕事としている。PIMOSはFlat GHC(FGHC)を基本とするKL1で記述され、ユーザ・プログラム自身もKL1で記述される。FGHCでは全てのゴールが論理積関係にあり、一つのゴールの失敗は全体の失敗を引き起こす。このことは、ユーザの異常状態がシステム全体に伝播することを意味している。また全てのゴールは同一レベルにあり、あるゴールが他のゴールを安全に監視・制御するのが難しい。そこでゴール間に何らかの階層を導入する機能が必要となる。このためにKL1に導入した機能が荘園機能である。荘園機能によって、監視・制御するプログラム(メタレベルプログラム)と監視・制御されるプログラム(オブジェクトレベルプログラム)を分離し階層化することができる。PIMOSはこの機能を利用してユーザレベルとOSレベルを分離し、ユーザプログラムを監視・制御している。荘園機能を用いることにより、ユーザレベルの失敗をOSレベルに侵出させないようにできる。また、異常状態からの復帰等も可能となる。本稿では、荘園機能を用いたPIMOSの例外処理方式について述べる。
著者
向川 均 佐藤 均
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

熱帯大気には活発な対流活動を伴う循環変動が存在するが、これまで熱帯大気循環の予測可能性は正しく評価されていなかった。このため、本研究では、熱帯大気循環の予測可能性評価に必要な熱帯域有限振幅不安定モードについて気象庁アンサンブル予報システムを用いて詳しい解析を行い、その力学特性を明らかにした。また、熱帯域大気循環偏差が、中高緯度域の大気循環の予測可能性に及ぼす影響についても評価した。
著者
岡本 高幸 朴 泰祐 佐藤三久 建部修見
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87, pp.121-126, 2006-07-31

家庭やオフィスの遊休PCは潜在的に大きな計算能力を有しており,これらを接続して効率的に利用することができれば非常に大きな計算資源となる.しかし,NATやファイアウォールの中にあるこれらのPCを相互に接続するには,物理的なIPアドレスに依存しないノード識別子によるルーティング処理やUPnP,hole punchingなどのNAT越えの技術が必要である.これらをアプリケーションごとに実装していくことは煩雑であり,P2Pアプリケーションの開発における問題となっている.そこで本稿では,アプリケーションをネットワークの物理構成から独立させ,物理ネットワークに依存せず参加するすべてのノードを等しく接続可能とするオーバーレイネットワークを提案する.そして,その実現に必要なNAT越え技術の一つであるUDP hole punchingについてのテストシステムを作成し,市販の家庭用ルータを用いて性能評価を行った.UDP hole punchingと独自のライブラリを使うことによってTCPと比べて2 割程度のスループットの低下でNATを越えて直接通信が実現できることを確認した.An enormous number of PCs at home or office potentially implies a great amount of computation power when they are out of the work, and there is an opportunity to utilize their power for a large scale computation. However, these machines usually exist behind the NAT or firewall and it requires various techniques to access and connect them, such as logical naming independent from the original IP addresses, efficient routing, or NAT traversing with UPnP or UDP hole punching. It is troublesome to apply these techniques adequately to each application, and this is a hazard in the development of P2P application. In this paper, we propose an overlay network to connect all attending nodes in logically flat layer independently from their physical network in order to encourage the easy development of various P2P applications. In our system, we implement a generic communication library based on UDP hole punching which is one of the most common NAT traversal techniques, and evaluated the communication performance on commodity personal broadband router widely used at home. We developed an original communication layer only with UDP protocol which is basically compatible with TCP. By the direct communication through NAT box without intermediate relay server, we confirmed that our method provides a communication performance with only about 20% of performance degradation compared with TCP communication.
著者
佐藤 成 貝羽 義浩 橋爪 英二
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

血管吻合における自動吻合器開発を目指し、ステント型形状記憶合金と微小突起ステンレス板を用いた血管端々吻合法を考案し、動物実験にてその開存性、有用性を検討した。高さ70μm、直径30μmの微小円錐(300μm間隔)を有する厚さ60μmステンレス板を作成し梯子状の形態にした。Z字ステント型の形状記憶合金を人工血管に縫い付けておき、冷却し軟化させた後にシースに装填、吻合部に挿入後プッシヤーにて誘導し、加温復元させた。外周よりステンレス板を密着させて、微小突起で摩擦力を生じ長軸方向に十分な固定力を得られるようにした。ブタ大動脈(5頭)へ、中枢側吻合は当吻合法で、末梢側は手縫いで人工血管を移植した。吻合時間、4週例の開存性を検討した。遮断解除直後の吻合部からの出血は中枢側ではほとんど観察されず、末梢側の針穴からのものが多く、軽く圧迫することにより止血が得られた。平均吻合時間は、我々の考案した吻合法188.8±50.8秒、手縫い法848±77.8秒で、全例4週開存が得られ、吻合部に仮性動脈瘤などの異常所見は認めなかった。内腔は平滑で形状記憶合金はneointimaにて覆われ、ステンレス板は周囲組織に強固に密着していた。抗張力試験では、吻合直後で350g、350g、650g、吻合後4週例では2300g、2950gで、耐圧試験では、吻合直後、吻合後4週とも500mmHgの加圧で吻合部に異常をきたしたものはなかった。我々が考案した血管端端吻合法は、3分程度と短時間で施行でき、かつ、開存性、安全性も問題なく十分に有用と考えられた。
著者
佐藤 康宏 板倉 聖哲 三浦 篤 河野 元昭 大久保 純一 山下 裕二 馬渕 美帆
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

人間が都市をどのようにイメージしてきたかを解明するために、日本・中国・ヨーロッパの典型的な都市図を取り上げ、作品を調査し、考察した。研究発表の総目録は、研究成果報告書に載る。以下、報告書所載の論文についてのみ述べる。佐藤康宏「都の事件--『年中行事絵巻』・『伴大納言絵巻』・『病草紙』」は、3件の絵巻が、後白河法皇とその近臣ら高位の貴族が抱いていた恐れや不安を当時の京都の描写に投影し、イメージの中でそれらを治癒するような姿に形作っていることを明らかにした。同「『一遍聖絵』、洛中洛外図の周辺」は、「一遍聖絵」の群像構成が、平安時代の絵巻の手法を踏襲しつつ本筋と無関係な人物を多数描くことで臨場感を生み出していることを指摘し、その特徴が宋代の説話画に由来することを示唆する。また、室町時代の都市図を概観しながらいくつかの再考すべき問題を論じる。同「虚実の街--与謝蕪村筆『夜色楼台図』と小林清親画『海運橋』」は、京都を描く蕪村晩年の水墨画について雅俗の構造を分析するとともに、明治の東京を描く清親の版画に対して通説と異なる解釈を示す。ほかの3篇の論文、馬渕美帆「歴博乙本<洛中洛外図>の筆者・制作年代再考」、板倉聖哲「『清明上河図』史の一断章--明・清時代を中心に」、三浦篤「近代絵画における都市と鉄道」も、各主題に関して新見解を打ち出している。
著者
斎藤 隆雄 五町 善雄 中原 信生 蜂須賀 舜治 佐藤 浩 井内 松三郎
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.13, pp.67-76, 1980-06-25

無風時における自然通風冷却塔の塔内気流について模型実験を行った.模型の高さは800mm,底部と頂部での直径は,それぞれ672mmと424mmである.熱交換部は電気ヒータによって模擬し,気流への通風抵抗はグラスウールフィルタによって与えた.煙による塔内気流の観察と,頂部吐出し口における速度と温度の分布の測定を行い,発熱量・通風抵抗・空気取入れ口の大きさなどが,塔内気流に及ぼす影響について調べた.
著者
片桐 麦 佐藤 良太 大池 正信 鈴木 芳人 鹿野 満 内田 龍男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.146, pp.1-4, 2009-07-16

スクリーン下側からのプロジェクタ光のみを観察者の存在する正面方向に拡散させるスクリーンを考案した。これにより明るい環境下における高いコントラスト比を有するフロントプロジェクションディスプレイを実現した。
著者
福田 昌子 . 佐藤 寛子 Choochote Wej 高岡 宏行
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.121-123, 2004

Gynandromorphism was found in one adult black fly of Simulium asakoae collected while attracted to a human in Thailand. This is the first record of sexual mosaicism of Simuliidae in Thailand.