著者
浅井 幹一 佐藤 労 天野 瑞枝
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.391-394, 2008 (Released:2008-08-28)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

高齢者終末期医療の決定プロセスについては,患者の意思を最重要として,患者,家族,医療·ケアチームで最善の医療を話し合うことが必要とされる.医療·ケアチームのなかで職種により終末期医療に対する認識が異なると,合意形成に影響が出る可能性があるので,職種別に終末期医療についてのアンケート調査を行い比較検討した. 1)延命治療に関しては医師が最も否定的であるが,終末期医療における説明については医師は十分であると感じても,他職種からみると不十分と感じられることが少なくない. 2)リビングウィルの取り扱いについては,法律を制定すべきとする考えが多い. 3)看取りについては,施設での終末期の看取りに賛成するものが多いが,介護職では施設の方針や体制によるとする意見が多く見られた.在宅終末期医療については,かつて在宅で看取りを行った経験や,在宅療養支援診療所の届出をしていることが促進する因子として挙げられた. 4)介護職については,終末期医療に対する意識が他職種と少し異なっている可能性に留意する必要がある. 以上,職種間の認識の違いに留意して,終末期医療·ケアの現場では情報の共有化と他職種との連携をはかる必要があると思われた.
著者
佐藤 淳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.42, pp.33-42, 2007-05-14
参考文献数
32
被引用文献数
2

コンピュータビジョンでは、90年代に多視点幾何においてテンソル表記が用いられるようになって以来、様々な分野で用いられるようになり、今日ではグラフィックスにおける表現手段として、また認識の一手法としても用いられつつある。本稿では、テンソルの基礎となる多重線形性や多重線形性の上で成り立つ多重線形拘束について解説し、これらが今日の多視点幾何の理論においてどのように応用されているかを示す。テンソルに基づく情報表現や多重線形拘束は、多視点幾何に限らずコンピュータビジョンの多くの分野で応用可能な考え方であることから、多くの読者の参考となることを期待する。In computer vision, the tensor notation has been used for representing the multiple view geomery since 1990s, and now it is used in various fields, such as graphics representation, image recognition, etc. In this paper, I explain the basics of the tensor and its properties, such as multilinearity and tensor product, and show how the tensor is used in the multiple view geometry. Since the tensor representation is useful in various fields in computer vision, I hope this paper will be a good referece for many readers.
著者
佐藤 宏
出版者
上武大学
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.39-58, 2008-09
著者
山本 輝正 佐藤 顕義 勝田 節子
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.277-280, 2008 (Released:2009-01-06)
参考文献数
26

長野県飯田市上村北又渡の森林内において2007年8月にコウモリ類の捕獲調査を行ない,コヤマコウモリNyctalus furvusとクビワコウモリEptesicus japonensisを捕獲した.長野県において,コヤマコウモリは初記録であり,クビワコウモリは4例目の記録となる.コヤマコウモリの当歳獣が8月上旬に捕獲されたことは,本種の出産・哺育場所の存在を示唆するはじめての事例となる.また,コヤマコウモリの飛翔直前の音声(精査音)がFM型であることが明らかとなった.
著者
守屋 秀夫 栗原 嘉一郎 佐藤 仁
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.53, pp.101-106, 1956-07-30

In libraries with closed stacks the circulation process begininng with readers' asking for books and ending with the library staff's issuing the books at the circulation desk, is very important for both readers and library management. For the readers it affects the waiting time for borrowing, and for the library staff it influences the work load of page boys. In compliance with the reader's request for the material arranged in stack, the page boys begin to work, starting from the desk, seeking the location of the required material, identifying it, gathering some books and returning them to the desk. We can say, therefore, the work of page boys in the stack is largely affected by the location of the desk and by the scale and form of stack plan, and the arrangement of shelves etc. In this paper a consideration is given to the above mentioned problems, and general suggestions for the planning of closed stack building and for the method of reducing the waiting time and work load are proposed. The bigger the scale of stack area is, the longer the waiting time and the greater the work load. Various ways of mechanization would have to be considered for large libraries and, therefore, we also have made some suggestions on the application of mechanization in the library.
著者
貴志 俊彦 川島 真 陳 來幸 佐藤 卓已 佐藤 卓己 北村 由美 小林 聡明
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

この国際共同研究では、日本国内、台湾、韓国などで展開された学術交流によって、今後の関連研究に貢献できる次のような論点を明らかにできた。(1)エスニック・メディアに掲載された見解を分析することで、太平洋戦争終結による時代性の非連続的側面よりも、社会の環境および観念の連続性をより検出できた。(2)華人、金門人、日本人、コリアンとも、戦後直後においては、東アジアと東南アジアといった地域を移動する流動性が顕著であったため、時空間横断分析を進め、地域相関型の研究を推進することの重要性が確認された。(3)エスニック・メディアは、文字資料のみならず、映画、ラジオなど多様な非文字資料の役割が重要であるとともに、集団的、個人的コミュニケーション手段がコミュニティの拠点どうしを結ぶ機能を果たしていることを明らかにできた。なお、エスニック・メディア・データベースの構築は、引き続き課題として残された。
著者
竹ノ上 ケイ子 佐藤 珠美 辻 恵子
出版者
日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 = Journal of Japan Academy of Midwifery (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.8-21, 2006-10-02 (Released:2013-08-09)
被引用文献数
1

目 的 自然流産後夫婦の関係変化とその要因を明らかにし,夫婦を対象としたケアの方向性,援助方法を考案する基礎資料とする。方 法 自然流産後3か月から2年経過し,掲示やホームページによる公募に応じた夫婦を対象とし,後方視による関係変化についての記述内容をデータとして,質的,帰納的に内容分析を行った。結 果 166名(男性14名,女性152名)が,流産後の夫婦関係の変化内容を記述し,その内容177件をデータとした。夫婦関係の変化内容として【個の成長・成熟と夫婦関係のよい循環過程】,【親密な良い関係のさらなる向上】,【関係の深化と発展】という3つのポジティブな変化と【希薄な悪い関係のさらなる悪化】,【関係の断絶と破綻】という2つのネガティブな変化が得られた。 ネガティブ変化にかかわる要因として【事実誤認と相互理解の困難】,【配偶者を負の方向で評価】,【悲哀のプロセスの共有困難】,【普段の夫婦関係が希薄】,【子どもを持つことについての感情や思考のすれ違い】,【性生活の困難】,【夫婦としての存在意味喪失】の7つが得られた。 ポジティブ変化にかかわる要因として【適切な事実認識】,【配偶者の肯定的評価】,【自己開示と自己確認】,【悲哀のプロセス共有】,【関係向上への努力】,【親としての自覚と努力】の6つが得られた。結 論 流産は衝撃的な対象(胎児)喪失体験であり,危機的状況を引き起こす重大なストレス因子であること,夫婦関係創成期,家族創成期に困難を連続して体験すること,親になる意思確認や夫婦,あるいは家族であることの確認の機会であること,正しい事実認識や悲哀のプロセス共有が危機的状況を乗り越える鍵となり,個と夫婦の発達を促す契機にもなり得るが,反対に感情や思考のすれ違いが生じやすく,関係の断絶と破綻も生じやすいことが示唆された。 PurposeThe aim of this study was to explore the ways miscarriage can alter a couple's marital relationship and its related factors.MethodA qualitative, contextual analysis was conducted of 166 subjects--women who had miscarried from three months to two years earlier and their spouses. They were recruited by notices on bulletin board at women's centers, through an Internet Web Site, and through acquaintances. An open-ended question, “How did the miscarriage alter/ affect your relationship?” was asked on questionnaires. 14 males and 152 females responded, describing changes in their relationship after miscarriage. The descriptions were coded into 177 data, which were grouped and analyzed using inductive and contextual methods.ResultsThe contents were compiled into five categories: two negative changes-a worsening of a shallow relation and the aggravation and breakdown of the relation; and three positive changes-better cycle of the development and maturing of each person as an individual and as a couple; a deepening and evolving of each couple’s relation; and aimprovement of intimate relations. Eight factors were involved in the negative changes: a) mutual misunderstanding of the difficulties encountered; b) a negative judgment of one’s spouse; c) an inability to share the mourning process; d) a continued shallow marital relationship; e) a decrease in communication; f) a lack of agreement on the desirability of having a child; g) sexual difficulties; and h) a general doubting of the value of remaining as a couple. Seven factors were involved in the positive changes: a) strengthening of the couple's bond by sharing the difficulty;b) a recognition of the miscarriage and his/her spouse's reaction; c) a positive evaluation of his/her spouse; d) an open-mindedness to the partner and reconfirmation of his/her own feelings toward the partner; e) a sharing of the mourning process; f) an affirmation of and commitment to improve the marital relationship; and g) a selfawareness and striving for being a parent.ConclusionThese results reconfirmed that a miscarriage is a major stress factor which can cause a crisis in a marital relationship. They also suggest that the ways that women and men face the miscarriage and faced themselves and whether they share the mourning process relates to the development of the relationship. The data also suggeststhat a miscarriage lets the couple confirm whether they want to have a child or not. Finally, the data suggests that a miscarriage, if encountered positively, can help the couple grow from growth into an existential humanistic relationship.
著者
佐藤 晋一
出版者
青森県水産試験場
雑誌
青森県水産試験場研究報告 (ISSN:13463012)
巻号頁・発行日
no.3, pp.29-35, 2003-03

本県太平洋側の出戸沖線(北緯41度)についての観測資料を整理し,若干の考察を行った.津軽暖流域の各層最高水温は0m層では8~9月に最高,50m層では9~10月に最高,100m層では10月に最高と,下層に向かってピークが少しずつ遅く,水温値も低くなっていた.最低水温はいずれも2~3月にみられた.水塊深度は6~7月に一旦極小値をみせ,8月から12月は同程度の深さを示していた.出戸東方における津軽暖流の張り出し位置は,1~3月に最も西側に位置し,10月に最も東方に位置していた.しかし,東経142度40分までの観測線ではとらえられない事例が約5割もみられており,8~12月は観測の5割以上で張り出し位置をとらえられず,この期間は張り出し位置がより東側であることがうかがわれた.出戸東方の東経142度40分までの水深300m層を無流面とする南下流量は175回の全平均で0.56Svとなった.月平均でみると最大は6月で,7~11月の平均値は小さく,最小は11月となった.全平均は0.56Svとなったが,これは,尻屋線における500m層を無流面とする津軽暖流の南下流量の全平均2.03Svの3割弱に当たっていた.この理由としては,出戸線の観測ラインが短いことや尻屋線での無流面が500mと深く設定できたことがあげられ,出戸線のデータでは津軽暖流の流量をとらえきれていないといえた.地衡流量は,3月から6月ぐらいまで流量が増加していくが,7月以降の流量が少なくなっていた.これはこの時期,津軽暖流が沿岸モードから渦モードに移行し,東経142度40分までの短い出戸線ではとらえきれなくなるためと考えられた.季節変動の主成分分析の結果から,この海域では津軽暖流による変動が最も大きいと考えられた.第2主成分は水深150m付近を中心とする変動がみいだされ,親潮第1分枝の変動を示しているものと考えられた.塩分の第1主成分も津軽暖流の変動を示しているものと考えられた.第2主成分は沿岸側の下層に分布の中心がみられ,親潮系冷水を示しているものと考えられた.
著者
佐藤 理史
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本年度は、オンラインニュースの見出しを詳細に分析し、以下のことを明らかにした。1.日本語で、ニュース記事が伝えるような情報を短い見出しとして要約する場合、10文字台前半(12から15文字)が目安となる。この分量のテキストで、読者が記事を取捨選択できるだけの情報を伝達することができる。2.1つのコト(事態)を伝える見出しのほとんどは、見かけ上は体言で終わる場合でも、動作性を有する述語または述語相当語を持つ。また、その末尾に、モダリティを表す特殊な表現を伴うこともある。すなわち、見出しは、短くするために特殊な形式を取っているが、通常の文とほぼ同じ構造を有する。3.見出しを構成する文節数は2から4である。文節の平均文字数は、前から単調減少する。たとえば、3文節であれば、最初の文節の文字数が多く、最後の文節(述語)の文字数が少ない。これは、情報量の多い文節を前方に配置する原則が働いているものと見なすことができる。4.見出しの短さは、つぎの4つの合わせ技で達成されている。(1)単文要約:複雑な内容の情報も、その中核的内容は単文に要約できる。(2)プロトコル化:比較的よく現れる情報タイプに対しては、見出しの定型化(プロトコル化)が進む。(3)省略:重要な要素を優先して残し、それ以外は思い切って省略する。(4)縮約:述語、連用修飾語、補足語、連体修飾語のそれそれに対して、長さを短くする(縮約する)ための機構が存在する。
著者
石丸 学 佐藤 和久 内藤 宗幸
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

放射性元素は崩壊の際に多量の放射線を発生し、周囲の材料に原子レベルの欠陥を与える。このため、原子力産業に使用される材料は、照射環境下に曝されても構造変化やそれに伴う材料劣化が起こらないことが求められている。本研究では、イオンビーム技術および先端的電子顕微鏡技術を用いて、ナノ構造化を施した材料の照射挙動を調べた。その結果、多量の面欠陥を導入した炭化ケイ素において、耐照射性が向上することを見出した。
著者
正道寺 康子 原 豊二 岡部 明日香 佐藤 信一 笹生 美貴子 西口 あや 王 維坤 劉 暁峰
出版者
聖徳大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、まず『琴操』の翻刻・訓読をし語釈を附すことで、『琴操』そのものの研究を行った。次に、隋・唐時代の古琴曲を調査し、それらに纏わる音楽説話も収集し、さらには、日本古典文学への影響を明らかにした。特に、『琴操』は『うつほ物語』や『源氏物語』に大きな影響を与えていることが分かった。また、『琴操』以外の古琴曲も音楽そのものではなく、それらの音楽故事が『うつほ物語』や『源氏物語』の主題と深く関わることを指摘した。
著者
小檜山 文子 佐藤 雅子 金子 毅
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.661-665, 2009-08-05
被引用文献数
4

マイクロ抽出法の一つである分散液液マイクロ抽出(dispersive liquid liquid microextraction,DLLME)法により,ベンゾジアゼピン系薬剤であるフルニトラゼパム及びニメタゼパムの低濃度水溶液試料から抽出を行い,ガスクロマトグラフィー質量分析による測定を行った.ベンゾジアゼピン系薬剤に対する抽出溶媒,分散溶媒の種類等の最適条件を検討し,同条件で三環系抗うつ薬剤であるアミトリプチリン及びノルトリプチリン並びにフェノチアジン系薬剤であるクロルプロマジン及びプロメタジンの低濃度水溶液試料についても抽出・測定を行った.更に本手法を用い,アルコール飲料中のフルニトラゼパムの抽出を試みたところ,振とう操作を必要とせず,迅速・高効率な抽出が可能であった.このことから,DLLME法は法化学分野における有用な抽出法の一つであることが認められた.