著者
大木 靖衛 徐 輝竜 渡部 直喜 鈴木 幸治 佐藤 修 河内 一男
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.153-163, 1996-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
31
被引用文献数
1 2

1995年4月1日,新潟市東方18km付近で新潟県北部の地震M6.0が発生し,全壊家屋55戸,被害総額93億円の被害が出たが,幸いにも死者はなかった.この地震は深さ10kmの浅い地震であったため,被害が大きくなった.90ヵ所の墓地の石塔転倒から水平最大加速度を求め,震度分布図を描いた.震央地区に北北東-南南西方向を長軸とする5.2×1kmの地域が震度6域となり,この地震を発生させた平野深部にある伏在活断層を示唆していた.震央地区では,地球重力加速度以上の上下動があったことを示唆する建物の急激な移動があった.本地震前後に地下水・温泉の異常が観察された.新潟市付近の新潟平野は地震の空白域として指摘されていたところである.本地震は指摘されている空白域の東縁部で発生した地震であり,新潟平野の大地震に対する対策が重要になっていることを示唆している.
著者
小林 芳規 佐藤 利行 佐々木 勇 沼本 克明 月本 雅幸 鈴木 恵 原 卓志 山本 真吾 山本 秀人 青木 毅 本田 義央
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

醍醐寺蔵宋版一切経6,102帖に書き入れられた角筆情報を加えた目録出版を期し,その精査を基に,日本に伝来した宋版一切経の角筆点の発掘と東アジア言語文化の交流と影響関係を考察することを目的とする本研究は,2010~2012年に7回の現地調査を行い,書誌事項と共に角筆点の有無を再調査し,新たに521帖を加え約8割に角筆書き入れ帖を認めた。又,神奈川県称名寺蔵宋版一切経からも角筆点を認め,新羅写経の角筆仮名の解読を進めた。
著者
中尾 政之 石井 和久 佐藤 知正 畑村 洋太郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.61, no.583, pp.1021-1026, 1995-03-25
参考文献数
10
被引用文献数
7

In order to manufacture micromachines, development of micromanipulation is indispensable. This paper treats micro handling tools as end-effectors of a micromanipulation system, and introduces three prototypes of nontweezing tools : air-sucking, electrostatically charged, and surface-tensional ones. These three can handle microparts (l0 to 500 μm in length). In particular, they can perfectly release the microparts with several methods, such as ultrasonic vibration. Through theiractual usage, we confirm the validity of the tools for micromanipulation.
著者
佐藤 喜根子 片岡 千雅子 佐藤 祥子 桜井 理恵 小山田 信子 高橋 貞子
出版者
東北大学
雑誌
東北大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09174435)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.101-108, 1998-09-01
被引用文献数
1

教育体験学習妊婦疑似体験
著者
佐藤 久美 小川 友理江 長尾 慶子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.200-205, 2011-06-05
参考文献数
17
被引用文献数
1

豆腐の凝固剤である'にがり'を用いてプディングを調製し,その製品の色差測定により外観の評価,テクスチャー測定および動的粘弾性の測定により物性の評価,抗酸化性の評価,官能評価による嗜好性を評価し,総合的にプディングの品質を検討した。その結果,無添加に比べて,'にがり'添加により黄度か弱く,明度が高い製品となった。テクスチャー測定では付着性が低く,軟らかいプディングとなった。抗酸化性においても'にがり'添加で増強されることがわかった。動的粘弾性測定では'にがり'添加濃度0.5wt%の製品が高周波領域では他の試料に比べ貯蔵弾性率ならびに損失弾性率が周波数に大きく依存し,ゲル構造が柔らかくしなやかなプディングであると考えられた。嗜好意欲尺度法による官能検査では0.5wt%添加が最も嗜好意欲が大であり,プディングへの'にがり'添加の有用性が認められた。
著者
尾辻 泰一 ヴィクトール リズィー 末光 眞希 末光 哲也 佐藤 昭 佐野 栄一 マキシム リズィー 吹留 博一 渡辺 隆之 ボーバンガ-トンベット ステファン 鷹林 将 高桑 雄二 吾郷 浩樹 河原 憲治 ドゥビノフ アレクサンダー ポポフ ヴィチェスラブ スヴィンツォフ ディミトリ ミティン ウラジミール シュール マイケル
出版者
東北大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、グラフェンを利得媒質とする新規なテラヘルツ(THz)レーザーの創出に挑んだものである。第一に、光学励起したグラフェンの過渡応答におけるTHz帯誘導放出の室温観測に成功し、自ら発見したレーザー理論を実証した。第二に、グラフェン表面プラズモンポラリトンの巨大利得増強作用を理論発見し、独自の光ポンプ・近接場THzプローブ分光法により初めて実証に成功した。第三に、独自開発した高品質エピタキシャルグラフェン製膜技術とレーザー素子加工技術を用いて電流注入型グラフェンレーザー素子を試作評価し、100Kの低温下ながら、5.2THzの単一モード発振に初めて成功した。第四に、グラフェンTHzレーザー設計論を構築するとともに、より高利得化が可能な独自構造を理論実験両面から明らかにし、室温THzレーザー発振実現の見通しを得た。
著者
佐藤 一弘
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.2084-2089, 1991-12-01

1 核医学検査情報のデータ量は, 非圧縮で年間数GBと想定される.これは, 現状の光ディスクの技術により保管可能である.2 ネットワークによる核医学画像伝送は, 実効速度でみても実用可能である.3 核医学検査情報の表示では, カラー表示機能を用いるため, カラー変換情報の伝送が必要である.4 病院情報システムとの関連において必要とする情報は, 診療の現場での検討が必要と考えられる.また, 規格化が必要である.5 核医学画像と他のモダリティ画像との総合画像診断に対しては, 本論文では触れないが, 他の画像診断装置も含むシステム全体の検討が必要である.
著者
鈴木 猛 平社 俊之助 佐藤 金作
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.78-79, 1959
被引用文献数
1

ゴキブリの駆除の一方法として, 比較的高濃度の薬剤を, その潜伏場所のまわりに帯状に処理し, ゴキブリの通路を囲む事により効果を期待するやり方がある.この方法は数cmの狭い幅に薬剤を処理するので, これにゴキブリが接触する時間は, 普通数秒間であり, 特別の事情のない限り長くても1日に10分間以上触れているとは考えられない.5%ダイアジノンを用いた室内的な実験(白井, 平社, 鈴木, 1959)では, 雌の場合10分以上の接触が100%の死亡に必要であることから, はたして実際において, この様な方法で完全な効果が期待出来るかどうか疑問になる.しかし実際には我々の目にとまる所にゴキブリの潜伏場所があれば, こゝに薬剤を処理するであろう.そして, この場所のゴキブリは当然死亡ないしは逃亡する.だが, ゴキブリの様な我々の見付けにくい所に往々ひそんでいる昆虫に対し, すべての潜伏場に薬剤を残留塗布の形で処理することは不可能に近い.そして実際的には往々にして一部の潜伏場所に直接薬剤を噴霧した場合の駆除効果をみるため, 過大に評価し勝である.この様な考え方から, 著者等は出来得る限り, その潜伏場をみつけ, しかも, こゝに全く薬剤を処理することなく, そのまわりに5%ダイアジノン乳剤をはけを用いて幅約5cm位の帯状に残留塗布を行いその効果を観察した.
著者
佐藤研著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2012
著者
安村 修一 伊藤 直樹 佐藤 茂 岩淵 麗子 中村 フミエ 関 啓子
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.803-809, 1985 (Released:2006-08-04)
参考文献数
30
被引用文献数
2 3

The authors investigated 8 cases of infarction in the territory of the anterior cerebral artery (5 cases in the left hemisphere, 2 in the right and 1 bilateral) as to their language functions. Serial examinations on the language function were performed clinically and by using SLTA and Syntax Test of Aphasia from the acute stage. The lesions were confirmed by CT scan and cerebral angiography.    The characteristics of the symptoms were :    1) a striking suppression of spontaneous speech (mutism) in the acute stage,    2) intact or minimal impairment of verbal and literal comprehension and repetition,    3) good recovery of language function,    4) persistance of some difficulty in speech initiation and in syntactic ability,    5) association with a generalized decrease in voluntary movements (akinesia),    6) these dysfunctions were equally demonstrated in each hemisphere lesion,    7) when the lesion in the left hemisphere extended beyond the medial frontal region (two cases), it showed persistent classical transcortical motor aphasia.    We concluded that the language disorders due to the lesion limited to the medial frontal region might be different from the classical transcortical motor aphasia because of their occurrence also in the non-dominant hemisphere lesion and good recovery.    It is suggested that these disorders are a part of generalized akinesia caused by dysfunction of each medial frontal cortex especially that associated with the supplementary motor area.
著者
谷藤 学 佐藤 多加之 内田 豪 大橋 一徳
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

本研究は、物体像表現の空間構造の解明(課題1)、物体像表現の空間構造と時間構造の統合理解(課題2)、脳における物体像のスパース表現の意味を解明する(課題3)の3課題から成る。そのそれぞれについて以下の進展があった。(課題1)前年の実績報告にある初期視覚野の3次元機能構造の可視化について、さらに、解析に検討を加え、論文として発表した。(課題2)物体像表現の時間構造の理解に関係した課題として、注視課題でトレーニングしたサルから様々な位置に提示した視覚刺激の対する高次視覚野の応答を記録し、視野のどこに提示されるかによって、応答の潜時が異なることを発見した。同様の記録を初期視覚に関連する領域でも行った結果、このような物体像の提示位置による潜時の違いは見られなかった。これらのことから、物体像の提示位置によって、異なる神経回路メカニズムで情報が低次から高次に送られていることが示唆された。この成果は論文として公表された。(課題3)自然画像の断片の中から高次視覚野の物体像応答を説明できる図形特徴を抽出するアルゴリズムについて交差検定など様々な方向から検討を行い、妥当性を明らかにした。研究の過程で大きな問題となったのは神経細胞の応答の試行毎のゆらぎである。一般にゆらぎの影響を除くためには、多くの試行について記録する必要がある。しかし、慣れによって試行を繰り返すと応答が次第に減弱するという問題点がある。我々は試行回数を増やす代わりに、より多くの物体像の応答を計測することで問題の解決をはかることができた。
著者
阿部 匡伸 佐藤 大和
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.682-690, 1993-10-01
参考文献数
19
被引用文献数
31

音声合成における文音声の基本周波数パタン制御方式として、アクセント句の大きさの配分を設定するグローバルモデルと、音節内の基本周波数を逐次的に実現するローカルモデルからなる2階層制御方式を提案する。ローカルモデルでは、単語内の音節位置ごとに区分化されたモデルに基づき、基本周波数の平均値と変化率が求められる。本方式を連続音声の基本周波数パタンの生成に適用し、高い自然性の得られることを確認した。更に、提案方式の誤差解析を通じて得られた、強調を表現する基本周波数パタンの型に関しても議論する。
著者
佐藤 直美
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

対象者は、がんの診断や再発の診断に際し、[どこか人ごとでぴんと来ない]ながらも、[やらざるを得ない]という感覚で、外来化学療法を開始していた。そして[やるからには望みをつなぎたい][まだ生きたい]という思いを徐々に強くしていった。治療の副作用からの不快感や、症状の進行による入院治療を経験しながら、[まだ何とかやれている]感覚を維持していた。しかし一方で、治療を主軸に生活していくことに心の揺れを感じ、日常性を維持するために努力することで折り合いをつけている側面もあった。
著者
佐藤 真
出版者
立教大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本年度は前年に引き続きt-BuClの加水分解反応シミュレーションを行った。フラグメント分子軌道法(FMO)を電子状態計算に用い、水分子410個の液滴モデル中(半径約12Å)におけるt-BuClに対して、FMO2-HF/6-31G^*、FMO(3)-MP2/6-31G^*レベルによる分子動力学(MD)シミュレーションを行った。ここでFMO(3)は、HF部分にのみ3体項を考慮に入れた計算であり、従来の2体近似よりも精度が高い方法である。まずt-BuClの3級炭素-塩素間距離(RC)を1.7~3.4Åの範囲で変化させ、以前より長時間のサンプリングを行い(平衡化1.0ps、サンプリング0.4ps)、自由エネルギー変化を計算した。その結果RC=2.84にC-Cl不均一開裂の遷移状態(14.44kcal mol^<-1>)、RC=2.88に接触イオン対(14.33kcal mol^<-1>)に対応する領域が現れたが、RC=2.7~3.0の範囲での自由エネルギープロファイルは非常にフラットであり、より正確なプロファイルの記述には、電子相関を考慮した計算レベルが必要であると結論した。FMO(3)-MP2/6-31G^*レベルにて、RC=1.86および2.85に固定してシミュレーションを行ったとき、t-BuClのマリケン電荷の差が0.04(0.3ps間のシミュレーションの時間平均)と計算された。これはC-Cl不均一開裂の遷移状態付近で、t-BuClから周辺の水分子へと電子が流れ出していることに対応しており、すなわち求電子的溶媒関与が求核的溶媒関与よりも優位であることを示唆する結果である。しかしこの計算方法では、FMO2-HFと比べて~10倍程度の計算時間を要するため、十分なサンプリングを実行することができず、全体の自由エネルギープロファイルを記述するには至らなかった。