著者
石多 猛志 大石 英人 飯野 高之 佐藤 拓也 濱野 美枝 中村 努 新井田 達雄
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.102-106, 2015 (Released:2016-02-29)
参考文献数
11

症例は75歳女性.普段より便秘気味で5日間の無排便期間の後に大量の排便を認めた後に下血を生じたため当院救急外来受診となった.診察時臍周囲の軽度圧痛を認めるも,腹膜刺激症状なく腹部レントゲンにても特に所見を認めなかった.しかし腹部造影CT(computer tomography)にて直腸(Rb)背側に巨大な穿孔部認め緊急手術となった.開腹時腹腔内に汚染認めず,穿孔部も認めなかった.S状結腸にて人工肛門造設し,穿孔部が巨大なため経肛門的に直腸内ドレーン留置の方針となった.術後画像検査にても穿孔部から周囲への炎症の広がりを認めなかった,術後11日目に直腸内ドレーン抜去して術後17日目に退院となった.直腸穿孔は稀な疾患であり,緊急手術にてHartmann手術もしくは,穿孔部単純閉鎖後人工肛門造設を行うことが多い.直腸穿孔に対して人工肛門造設行い,経肛門的直腸ドレーンにて症状軽快した1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
小西 瑞穂 山田 尚登 佐藤 豪
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.29-38, 2008-09-01 (Released:2008-10-24)
参考文献数
29
被引用文献数
9 2

自己愛人格傾向がストレスに脆弱な素因であるかを検討するために,大学生174名(男性72名,女性102名)を対象として縦断的調査を行った。自己愛人格傾向の高い者は最近1ヶ月以内のストレッサー経験量が多いと精神的健康が低下するという仮説を立て,精神的健康のネガティブな側面をストレス反応,ポジティブな側面をハッピネスとして測定した。階層的重回帰分析の結果,自己愛人格傾向の高い者がストレスイベントを多く経験した場合,男性では抑うつ反応および自律神経系活動性亢進反応,女性では身体的疲労感が増加し,一方ストレスの少ない状況ではこれらのストレス反応が自己愛人格傾向の低い者や平均的な者に比べて最も少なかった。つまり,自己愛人格傾向には個人の精神的健康を部分的に支える働きがあるが,それはストレスの少ない状況に限定されたものであり,ストレスの多い状況ではストレス反応を生起しやすい,ストレスに脆弱な素因と考えられる。
著者
佐藤 勉
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.5-19, 2014-07-25 (Released:2015-08-24)
参考文献数
12
著者
佐藤 志保 佐藤 幸子 三上 千佳子
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.9-16, 2013-03-20 (Released:2017-03-27)
参考文献数
16

本研究の目的は、先行研究をもとに作成した、採血を受ける子どもの対処行動を予測するために必要な要因のパスモデルを検討することである。小児科外来で採血を受ける3-6歳の子ども(男児32名、女児20名)とその保護者52組を対象とし、保護者への質問紙調査と採血場面の子どもの対処行動を参加観察法にて行った。パス解析により採血中の子どもの対処行動への関連を検討した結果、子どもの入院経験は、保護者が採血前に予測する子どもの対処行動に関連し、さらに、保護者が採血前に予測する子どもの対処行動が、実際の子どもの対処行動に関連していたことが明らかとなった。これにより、採血を受ける子どもに対して、採血前に保護者が予測する子どもの対処行動を把握することが重要であり、こどもの個別性を把握するためのアセスメントに活用できることが示唆された。
著者
佐藤 和夫
出版者
錦正社
雑誌
軍事史学 (ISSN:03868877)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.4-22, 2003-03
著者
星 正治 坂口 綾 川野 徳幸 豊田 新 藤本 成明 井上 顕 七條 和子 遠藤 暁 佐藤 斉
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

放射線の人体への危険度(リスク)は、主に広島・長崎の被ばく者の疫学調査から求められてきた。これは主にガンマ線による外部被曝だけを考慮したものであり、内部被曝は含まれていない。特に放射性微粒子による内部被ばくは、本研究グループによる動物実験で20倍以上の放射線障害があることが分かった。そのため①動物に放射性微粒子を吸入させその影響を調べ、②核実験場内の土壌とその微粒子の飛散状況調査し、人々の被ばくの状況を調査し、③新たに被ばく線量を評価し、現地の35万人のデータベースを用いリスク解析を行う。そして放射性微粒子によるリスクを明らかにする。そのリスクが分かれば、放射線障害防止法に取り入れられる。
著者
佐藤 幸子 夛名賀 友子 四宮 陽子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.108-116, 2014-03-15 (Released:2014-04-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1 3

うどんのコシの特徴である硬さの不均一性を物理的に解明するために,圧縮によるクリープ測定をモデル化し,ゆで麺表面から中心部への粘弾性分布を測定することを試みた.結果は次の通りである.(1)測定方法のモデル化により,ゆで麺表面から中心部にかけての4点において典型的なクリープ曲線が得られ,試料A(ゆで直後麺)と試料B(ゆで後24時間麺)の各部位は,6要素と8要素に解析された.(2)粘弾性の解析結果,試料AとBの粘性率ηNは107~108Pa・sだが,η1,η2,η3は104~106 Pa・sと小さく,麺内部へかけての変化も見られないことから,ηNに対して無視できると考え,粘弾性を2要素に単純化した.(3)2要素に単純化した試料AとBの緩和時間を計算した結果,AとBともに表面付近は約1分で内部へかけて減少し,中心付近は10秒以下であり,ゆで麺の咀嚼時間1秒以下と比較するとかなり長かった.したがって,ゆで麺の咀嚼では弾性要素の影響が強いと考えられる.(4)試料Aの弾性率は表面から内部にかけて徐々に増加し,「コシが強い」状態を表していた.試料Bは歪率16%で増加して,その後やや減少傾向で,弾力の無い伸びた麺の状態を表していた.(5)官能評価で選択された麺の特徴を表す代表的な用語は,Aは「弾力がある」,「もちもちしている」,「こしが強い」,「つるつるする」,Bは「弾力がない」,「こしが弱い」,「噛み切りやすい」,「やわらかい」であり,クリープの測定結果とよく一致した.
著者
佐藤亜聖編
出版者
高志書院
巻号頁・発行日
2019
著者
水越 直子 佐藤 健二
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.1166-1171, 1985

大阪大学医学部附属病院皮膚科外来初診患者台帳と外来カルテをもとに, ステロイド皮膚炎とステロイド座瘡について昭和55年から59年まで経時的に調べた。両疾患の合計患者数は順に30, 26, 31, 30, 45人であり, 近年両疾患が減少しているとは言えず, 逆に, 昭和59年ではその前4年間の約1.5倍であった。原因薬剤として, 最近新たに発売された外用剤による発症の比率が増加傾向にあった。これらのことは副腎皮質ステロイドホルモン含有外用剤による副作用を減少させる対策を立てる必要のあることを示唆しており我々は一つの提案を行った。対照として調べた尋常性座瘡の有病年令は50才代に及んでいた。
著者
中根 俊成 池田 徳典 佐藤 伸一 田村 直人 樋口 理 鈴木 隆二 坪井 洋人 伊原 栄吉 宋 文杰 川上 純 佐藤 和貴郎
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

自己免疫性自律神経節障害は自律神経系が免疫異常の標的となる比較的新しい疾患概念である.本症では抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体は病原性自己抗体として病態の鍵となる役割を果たす.自己免疫性自律神経節障害は自律神経系外の症候や膠原病などの併存,小児症例が存在する.こういった「多様性」が本症の診断しにくさ,難治化につながっている.本研究では1)自己抗体の病原性検証,2)病態モデル開発,3)小児症例,膠原病症例における臨床的特徴の解析,を遂行する.「複雑な病態と臨床像=多様性」への多角的アプローチが自己免疫性自律神経節障害の診断基準作成,治療ストラテジーの確立に貢献すると考えられる.