著者
森川 健志 佐藤 俊介 荒井 健男 関澤 佳太 鈴木 登美子
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.286-290, 2017-06-10 (Released:2017-06-20)
参考文献数
12

Developing a system for the production of organic chemicals via carbon dioxide (CO2) reduction is an important area of research that has the potential to address global warming and fossil fuel consumption. The present study demonstrates artificial photosynthesis for the direct production of organic substances under sunlight using a hybrid photocatalyst composed of a semiconductor and a metal complex catalyst. A solar to chemical energy conversion efficiency of 4.6%, calculated from the change in Gibbs free energy per mole of formic acid formation from CO2 and water (H2O), was demonstrated for CO2 photoreduction utilizing H2O as an electron donor under simulated solar light irradiation to a monolithic tablet-shaped device. These results which store solar photon energy in CO2 molecules could show promise for future progress in this field.
著者
西村 勇人 橋本 桂奈 水野 舞 佐藤 充咲
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.217-224, 2022-05-31 (Released:2022-07-28)
参考文献数
16

本研究では自閉スペクトラム症・注意欠如多動症のいずれか、もしくは両方の診断を受けた子どもの親グループに対する短縮版のペアレントトレーニングの有効性について検討した。プログラムは全5回で(1)ターゲット行動の選定と観察の方法、(2)適切な強化の仕方、(3)課題分析と環境の工夫、(4)トークンエコノミー、(5)消去とまとめ、で構成された。参加した22名の親の子育てストレスと抑うつ症状の変化を測定し、目標行動がどの程度達成されたか評定してもらった。分析の結果、子育てストレスは有意に低下したが、抑うつの低下については有意傾向であった。親の報告によるターゲット行動の達成度は74.29%であり、子どもの行動にも一定程度の変化が見られたと親は評価していた。これらの結果より、対象を特定の疾患に限定せず短期間で終了するという、親がより参加しやすいペアレントトレーニングの可能性が示された。
著者
内田 立身 西村 拓史 瀧本 宏美 佐藤 美津子 西尾 由美子 福家 洋子 野崎 正範
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血学会雑誌 (ISSN:05461448)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.33-34, 1998-02-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
6

We evaluated the effect of repeated apheresis on storage iron status in 82 males and 138 females. Storage iron was calculated according to the formula proposed by the National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) as previously described. Calculated storage iron after repeated apheresis was 362±282mg in male donors and 128±176mg in females. These values were significantly lower than those in normal subjects and 400-ml repeated whole blood donors. A total of 12.2% of males and 45.7% of females were in negative iron balance before donation. The high prevalence of storage iron deficiencfy may be due to residual blood in the circuit or other factors.
著者
佐藤 尚弘
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.613-622, 2012-11-25 (Released:2012-11-23)
参考文献数
34
被引用文献数
3 5

高分子溶液の粘度は,高分子の分子量や濃度,および鎖の剛直性に強く依存することが知られている.本報では,5種類の剛直性の異なる高分子溶液に対する広い分子量・濃度範囲にわたるゼロずり粘度を,みみず鎖円筒およびファジー円筒モデルに基づいて定式化された粘度式と比較した.この粘度式には,ファジー円筒の縦方向の並進拡散を支配する臨界空孔サイズを特徴づけるパラメータと分子間流体力学的相互作用の強さを表すパラメータが分子論的に決められない調節パラメータとして含まれている.前者については高分子溶液の種類や分子量によらない一定値を,また後者には溶液の種類と高分子の分子量ごとに適当な値を代入すると,粘度式は調べた5種類の高分子溶液系とも広い分子量・濃度範囲にわたって実験結果とよく一致した.
著者
佐藤 道生 柏柳 正之 佐藤 泰明
出版者
一般社団法人 ダム工学会
雑誌
ダム工学 (ISSN:09173145)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.109-119, 2006-06-15 (Released:2008-05-30)
参考文献数
6

沖縄やんばる海水揚水発電所は,海水揚水発電技術の信頼性を確認することを目的に建設された世界初の海水揚水発電所である。本発電所の上部調整池は遮水シートによる表面遮水方式が採用され,平成11年3月から5年間にわたって実施された実証試験において,海洋環境に暴露された遮水シートの物性変化が観察されたほか,耐久性についても検討がなされた。本報告は,実証試験結果のうち上部調整池に適用した遮水シートの耐久性について述べるものである。
著者
三波 俊郎 宇多 高明 石川 仁憲 大井戸 志朗 遠藤 和正 佐藤 純一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_646-I_650, 2013 (Released:2013-11-12)
参考文献数
3
被引用文献数
1 2

On the Hamamatsu-goto coast located west of the Tenryu River mouth, beach has been eroded severely in recent years, resulting in the exposure of the seawall protecting the sewage facility. Now urgent measures are required to prevent the damage to the seawall. In particular, large-scale offshore troughs have developed in this area, resulting in strong wave action to the seawall. Erosion around the Tenryu River mouth was investigated using aerial photographs, NMB and bottom sounding data along with the grain size analysis of seabed materials.
著者
高津梓 佐藤知洋# 田上幸太# 柘植雅義 米田宏樹#
雑誌
日本教育心理学会第61回総会
巻号頁・発行日
2019-08-29

目 的 特別支援学校では,児童生徒一人一人に対して個別の教育支援計画および個別の指導計画が作成されている(文部科学省, 2009)。しかしながら,個別の指導計画の書式は自治体や学校によって異なっており,目標や手立ての設定も各教員にゆだねられている部分が大きい。実態から目標,手立てへの記述やつながりが適切ではないことが指摘されたり,評価の視点が定まりにくく次年度の担任へ継続されにくかったり,また,家庭との共有の困難さなどの課題も生じている。 本研究では,知的障害特別支援学校小学部において,児童の育ちについて段階的に目標を設定し,PDCAサイクルを繰り返すことのできる個別の指導計画の書式作りに取り組んだ。方 法対象: A知的障害特別支援学校小学部(1~6学年)の個別の指導計画方法: (1)目標の縦断的な分析および見直し 小学部6年児童の事例について,これまでの個別の指導計画計画の目標とその変化を縦断的に分析し整理した。従来の書式では,個別の指導計画で「目標」と「手だて」の欄,通知表で「目標」と「評価」の欄を設け,それぞれ並列して記述していた。その際,目標欄に長期的な目標を設け,手だて欄に細分化した目標と段階的な方略を挙げており,目標欄における目標の達成や変化が短期間では見え辛いという課題が挙げられた。また,包括的な目標に対しエピソードを交えた文章表記の評価を行っており,評価の視点が定まりにくく,教師と家庭で認識を共有することに困難が生じる場合もあった。このことから,個別教育計画の目標と手だての設定および記載方法を再検討した。(2)目標設定の方法及び評価の在り方の再検討 上記課題を踏まえ,目標設定および評価の方法や基準を検討した。個別の指導計画の書式については,「目標」「手だて」「授業」「評価(4期)」「備考」の欄を設け,目標から評価までが一枚で見えるようにした。通知表の書式は別途作成し,授業内容と活動の様子を記述するようにした。また,記述方法等の改善を行った(Table 1)。(3)新書式運用後の目標の変化の検討 新書式運用後の評価として,児童の目標量の変化について検討した。対象: X-1年度(前書式)およびX年度(新書式)の1~6学年在籍児童,各23名の個別の指導計画。方法: 各児童の前期評価時の目標欄から,「達成した目標」「新しく設定された目標」「修正した目標」の数を算出し,合算した。達成した目標については,「達成した」「できるようになった」という評価が記述されているものを対象とした。(4)保護者アンケートに基づく妥当性の検討改善した個別の指導計画について,X年度末に保護者アンケートを実施し妥当性を検討した。結 果 児童の目標の変化を,Figure 1に示した。達成したと明確に示された目標が20件から175件と大幅に増加し,新規に設定された目標についても増加した。さらに,修正された目標が31件あった。 保護者アンケートでは,新書式について96%が「満足」,目標の授業内容への反映について89%が「あてはまる」と回答があった。さらに,自由記述や連絡帳,面談において,「新しい書式は今できることや課題がわかりやすい。家庭でもがんばりたい」などのポジティブなコメントが寄せられた。考 察 個別の指導計画において,段階的な目標と手だて,短期間での評価機会を設定することで,児童一人一人の目標の達成と新規目標の設定が活性化された。また,児童に関する評価だけでなく目標や手だてに対する評価を行うことにより,実態に合わなかった目標や手だてについての振り返りが行われ,より実態に合った教育活動を提供できるようになった。達成した目標に加えて,修正した目標や手だては,児童の学びの過程の詳細な記録となると考えられる。付 記 本研究は筑波大学附属大塚特別支援学校小学部研究の成果であり,初村多津子氏,田中翔大氏,北村洋次郎氏,杉田葉子氏,菅野佳江氏,當眞正太氏,飯島徹氏,小家千津子氏,仲野みこ氏,新城理奈氏,との共同研究である。また,JSPS科研費18H1037による研究の一部である。
著者
佐藤 裕 森 浩一 小泉 敏三 皆川 泰代 田中 章浩 小澤 恵美
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.181-186, 2004-07-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
24
被引用文献数
3 2

吃音者の聴覚言語処理における大脳左右機能の分化異常について, 多チャネル近赤外分光法を用いて測定した.音刺激には音韻もしくは抑揚の異なる対立を用い, 左右それぞれの聴覚野付近にて得られた総ヘモグロビン量の反応ピーク値を基に側化指数を算出し左右差を検討した.その結果, 吃音者群では音韻・抑揚対比セッション間で側化指数に有意差がなく, 言語処理の半球優位性が見られないことが確認された.また, 個人内の検定では, 健常右利き成人の85%で音韻処理が左優位と判定できるのに対し, 右利き成人吃音者の80%は左優位を示さず, 逆に右優位となる被験者も存在した.これらのことから, 吃音と言語処理の大脳半球優位性の異常との関連が示唆され, この手法により吃音者の聴覚性言語処理の機能異常を個人ごとに捉えられることが判明した.
著者
佐藤 公則 松島 康二 一色 信彦 田辺 正博 渡邊 雄介 枝松 秀雄
出版者
THE JAPAN LARYNGOLOGICAL ASSOCIATION
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-5, 2014-06-01 (Released:2014-12-17)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

When Type II thyroplasty is performed, surgical management of the dihedral angle of the midline of the thyroid cartilage is very important. Clinical histoanatomy around the anterior commissure was investigated using whole organ serial sections of the human larynx to make Type II thyroplasty successful. An inner perichondrium did not exist at the dihedral angle in the upper three-forths of the midline of the thyroid cartilage. On the other hand, the inner perichondrium was present at the lower one-forth of the midline of the posterior surface of the thyroid cartilage. The attachment of the collagenous fiber (anterior commissure tendon, Broyles, 1943) extends from the upper portion of the thyroid notch caudalward for approximately upper three-forths of the midline of posterior surface of the thyroid cartilage. The midline of the posterior surface of the thyroid cartilage is only covered with thin mucosa at the laryngeal ventricle level. It is important not to perforate the mucosa when the laryngofissure is performed. In order to make the anterior commissure the proper width, it is important to split the anterior commissure tendon at the mid-line and to spread the glottis while making sure the tendons remain attached to the bilateral thyroid cartilage.
著者
佐藤 まゆみ
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
no.60, pp.97-108, 2019-03-31

本研究は、市町村を中心とする子ども家庭福祉の実施体制構築の必要性について、特に子どものレジリ エンスとそれを支える環境の1つとして社会的親に着目し、子ども家庭福祉を取り巻く現状を踏まえ、文 献研究に基づいて子どもの立場から理論的に検討することを目的とした。 その結果、現状からは、単相的育児の中で育つ子どもにとって、大人たちとの関わりの少なさはモデル の獲得や多様な人間関係、社会性の発達等の機会を乏しくさせていることが明らかになった。逆境にさら されても良好に適応する力であるレジリエンスは、「生涯を通して必要なもの」 であり、個人の生得的な 心の特性にのみよるものでなく、外的特性もあいまって 「支えられる」 ものである。そのため地域の中に 大人とのつながりを作ることが、子どものレジリエンスを支える環境となると考えられた。また、要保護 児童に限らず、地域で生活する子どもの中にも、親の離婚をはじめとするあいまいな喪失を体験する子ど もがおり、一生にわたり向き合う可能性があることから、レジリエンスは特に必要であることが明らかに なり、その力となるものの中には新しい関係性によるものが含まれていた。レジリエンスの防御推進要因 には、養育にかかわる大人がいることがあり、この点でも社会的親の必要性が指摘できる。 以上のことから、子どもの支援はある特定の時期に、特定の領域だけが関わるのではなく、子ども期全体、 必要があればその先まで見通し、支援チームを形成して支援の連続性を担保することが必要である。その ためには、虐待から子どもの命を救う対応等とは別の観点で、子どものレジリエンスに着目し、社会的親 と出会い、関わり生きていくための環境として、市町村を中心とする子ども家庭福祉行政実施体制を構築 する必要があると考えられた。
著者
荒浪 利昌 佐藤 和貴郎 山村 隆
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第37回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.13, 2009 (Released:2009-10-21)

熱ショック蛋白(HSP)は、温熱のみならず、生体に対する様々なストレスの際に誘導され、ストレス蛋白とも呼ばれる。その役割はストレスにより障害された蛋白を修復し、蛋白、細胞の恒常性を保つことにある。多発性硬化症(MS)は原因不明の中枢神経系慢性炎症性疾患であるが、Th1やTh17細胞が病態成立に重要な役割を果たす自己免疫疾患であると考えられている。近年MS病巣のマイクロアレイ解析において最も高発現する遺伝子としてaB-crystallin (CRYAB)が報告された。CRYABは、HSPファミリー蛋白であるが、通常は中枢神経系に発現は認められず、MS、アルツハイマー病、パーキンソン病などでその発現が誘導されると報告されていたが、詳細な機能は不明であった。今回我々はMS患者末梢血に認められるCD28陰性T細胞がCRYAB反応性T細胞を多く含むことを見出した。HSPの中にはToll-like receptors (TLR)に結合し、抗原提示細胞(APC)を活性化させる機能を有するものが報告されていたが、CRYABもAPCを刺激し、IL-6、TNF-a、IL-10、IL-12といった種々のサイトカイン産生を、MYD88非依存性に誘導することが判明した。CRYABはまた、T細胞からのIFN-γ産生を増加させた。CRYABによるIFN-γ産生促進機能に関与するサイトカインを解析したところ、IL-12ではなく、IL-27であることが判明した。IL-27はTh17細胞反応や過剰な慢性炎症を抑制する働きが報告されている。しかし、CD28陰性T細胞がCRYAB反応性にIFN-γを産生した場合、CRYABの免疫修飾作用が障害され、慢性炎症に繋がる可能性が考えられる。このようなCRYABの免疫修飾作用とCRYAB自己免疫が、MS病態形成に重要な役割を果たしていると考えられる。
著者
渡部 英 佐藤 雅彦 根上 直樹 石戸 保典 齋藤 徹也 山田 正樹 佐藤 英章 伴 慎一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.890-895, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
16

症例は47歳の女性,急性腹症で来院.腹部全体の筋性防御と圧痛の所見があり,CTで多量の腹水を認めた.汎発性腹膜炎を疑い,緊急開腹手術を施行した.開腹の結果,消化管穿孔の部位はなく,黄色清の腹水を認め,腹腔内全体に白色の硬い小結節が散在していた.手術は試験開腹術に終わった.手術時に摘出した結節と腹水から低分化型腺癌を認め,原発部位不明の癌性腹膜炎と診断した.腹膜播種結節を免疫染色した結果,病理学的に乳癌由来の組織像と診断した.両側乳房に腫瘤は触知しなかったが,CTで左乳腺に淡い陰影像があり,同部位を穿刺した結果,病理学的に腹膜播種と同様の低分化型腺癌を認め,原発部位は乳癌であることが判明した.
著者
小倉 光明 佐藤 和紀 森下 孟 村松 浩幸
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46043, (Released:2022-10-17)
参考文献数
6

GIGA スクールプロジェクトに基づく情報端末の運用および活用に対する課題意識(以下,GIGAスクールP における課題意識)について,初期・中期・後期段階の質的変遷を把握した.その結果,小・中学校では初期,中期で運用と活用に関する課題意識が5割程度であり,後期から活用に関する課題意識が6〜7割程度に高まっていた.教育委員会では,中期から活用に関する課題意識が7割程度に高まっていた.運用に関する課題はネットワーク環境やセキュリティに関する内容も多く,教員での解決は難しい.このような内容を踏まえて,主体的・対話的で深い学びの実現に向けてGIGA スクールP における課題意識に合わせた支援が必要であると考えられる.
著者
藤塚 真希 廣瀬 幸美 佐藤 朝美
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.51-58, 2019 (Released:2019-03-31)
参考文献数
21

NICU・GCU看護師による急性期を脱した子どもの家族へのファミリーセンタードケア (Family-Centered Care、以下FCC) の実践の特徴と関連要因を明らかにすることを目的に、関東圏内26施設の看護師626名を対象に無記名自記式質問紙調査を行った。215名から回答が得られ、そのうち有効回答の213名 (有効回答率34.0%) を分析した結果、FCCの実践には臨床経験年数、小児科経験、産科経験、助産師資格、新生児集中ケア認定資格、カンファレンスの実施、研修会の受講、臨床心理士の病棟配属が関連し、FCC実践に対する自己効力およびコミュニケーションスキルの情報収集、積極的傾聴、パーソナルスペース・視線交差とは正の中等度の相関が認められた。特に看護師のコミュニケーションスキルがFCCの実践に影響しており、家族との関係性を構築し、思いやニーズを引き出すスキルを向上させる必要性が示唆された。