著者
佐藤 七瀬 新井 里依 角田 茉里恵 安藤 瑞穂 熊谷 恵子
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.126-137, 2021 (Released:2021-12-23)
参考文献数
50

アーレンシンドロームとは視知覚障害のひとつで,主に文字の歪み,光に対する過敏性,頭痛等と身体症状が挙げられる。本研究では,アーレンシンドローム者の視機能の特性を検討し,年齢による視機能への影響を検討することを目的とした。アーレンシンドローム者66名に対し,本研究では簡易検査として色覚,近見視力,立体視の3つの視機能評価を行った。その結果,アーレンシンドローム者の47.0%が視機能のいずれかに問題が見られ,対象の40.0%が立体視,27.1%が近見視力,7.6%が色覚に問題を認めた。このことから,アーレンシンドローム者はピント調節や遠近感をつかむことができない人も多いことが示唆された。また,学齢期と成人で比較した結果,色覚に有意差がみられた。アーレンシンドローム者に視機能評価を実施することの有用性が示唆された。今後,有色レンズ装用時で視機能が改善される効果検証を行う必要がある。
著者
中村 瑠香 工藤 綾乃 南條 優 若月 陸央 萩原 ほのみ 森下 孟 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.68-75, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,GIGAスクール構想下における,1人1台の情報端末のICTを活用した授業実践を把握し,小学校の授業実践に関するDXの現段階を検討することを目的として,2021年1月から2021年11月までに出版された「GIGAスクール構想」「1人1台端末」に関する書籍21冊に掲載された小学校の1人1台端末を活用した授業実践を,SAMRモデルを用いて分類した.その結果,①中学年になるとM・R(変換)の授業実践が増加すること,②教科全体ではS・A(強化)の授業実践が多いが,総合的な学習の時間ではM・R(変換)の実践が多いことが確認できた.
著者
佐藤 健二 田口 博康 吉川 邦彦
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.172-176, 1992 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

色素性乾皮症 (XP) 患者が外出する場合厳密な紫外線遮断が必要である。これまでその目的の為に試作した服は, 紫外線遮断は充分であるが少し暑いと言う欠点があった。最近セラミックス練り込みポリマーを使用したポリエステル繊維 (パコニア®) が発売された。その中の製品番号62011は, 可視域については最大0.26%, 紫外域については最大0.36%の低い透過率を有していた。可視光線に対する62011の反射率は高くまた軽いため, あまり暑さを感じさせない着心地の良い服地であることが30余名のXP患者の試着により分かった。本服地は、色素性乾皮症患者だけでなく他の光線過敏症患者も利用し得る夏用服地であることがわかった。
著者
鈴木 重將 内山 剛 明神 寛暢 渡邊 一樹 山本 大介 佐藤 慶史郎 大橋 寿彦
出版者
一般社団法人 日本神経救急学会
雑誌
Journal of Japan Society of Neurological Emergencies & Critical Care (ISSN:24330485)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.62-66, 2018-06-01 (Released:2018-11-15)
参考文献数
8

Clinically mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion (MERS) is diagnosed using imaging and is characterized by a favorable prognosis, which often improves without treatment. Here, we report three adult patients with MERS who were treated with a different course each; all of them required immunotherapy to some extent. The first case was a 67-year-old male who experienced gastrointestinal symptoms for 3 months prior to hospitalization. The second was a 38-year-old male who experienced a headache and fever, followed by urinary retention. The third was a 36-year-old male who experienced a fever and headache, followed by dysuria, impaired orientation, and upper limb tremor; he was transported to our hospital on the same day. All patients had lesions in the splenium of the corpus callosum. While two patients responded well to steroid pulse therapy, one demonstrated poor response and required immunoadsorption therapy. While some patients with adult-onset MERS require aggressive immunotherapy, this condition covers a broader range of diseases in adults with varying premonitory and clinical symptoms. Although pediatric MERS is often accompanied with a benign condition, this is not always the case for adults. Thus, considering immunotheraphy may be essential.
著者
栗林 志行 保坂 浩子 中村 文彦 中山 哲雄 中田 昂 佐藤 圭吾 關谷 真志 橋本 悠 田中 寛人 下山 康之 草野 元康 浦岡 俊夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.308-315, 2020-03-25

要旨●食道アカラシアは,EGDで拾い上げが可能であることが多いものの,治療選択に関わるサブタイプの診断は困難である.また,その他の食道運動障害では内視鏡検査時に異常所見を認めることはまれである.食道X線造影検査は食道運動障害の拾い上げに有用であるが,やはり食道アカラシアのサブタイプやその他の疾患の診断には,食道内圧検査,特にHRM(high-resolution manometry)が欠かせない.食道アカラシアをはじめとする食道運動障害の診断では,EGDや食道X線造影検査,HRMなどの検査所見を総合的に評価することが必須と考える.
著者
南 ひとみ 井上 晴洋 佐藤 裕樹 川﨑 寛子 山本 浩之 荻原 久美 中尾 一彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.327-332, 2020-03-25

要旨●食道アカラシアおよびその類縁疾患の診断および治療は,近年新たな低侵襲治療の内視鏡的食道筋層切開術(POEM)やhigh resolution manometryが登場したことによって飛躍的に進歩した.運動機能の異常である本疾患群は,形態学のみでは診断困難な場合も多く,内視鏡の典型像を知る以外にも,食道X線検査や食道内圧測定などの検査所見から総合的に病態を把握することが重要である.本稿では,食道アカラシアや遠位食道痙攣,jackhammer食道などの食道運動機能障害の内視鏡所見について概説する.
著者
佐藤 慎吾
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.23-39, 2008-03-28 (Released:2010-06-22)
参考文献数
38

本研究は, 衆議院富山県第三区を対象に, 当該議員の集票組織の分析から, 後援会の空間組織の地域的差異を導出し, その上で後援会の空間組織とその編成要因について検討した。A議員の集票組織には, 職域別の政治団体が20, 地場企業やその関連組織の自民党職域支部が7, A議員が私的に組織した後援会が44存在した。このうち, 政治団体役員の居住地と自民党職域支部の所在地, および後援会の設置地域は高岡市に偏在していた。また, A議員の事務所と秘書も同様に高岡市に設置されていた。とくに, 後援会は高岡市内に26あり, 小学校区を単位として編成され, 支持者への日常世話活動が強化されていた。この背景には, 高岡市が富山三区内最大の票田地域であるにもかかわらず, 都市的地域特有の流動層と同じ党派のライバル議員によって, A議員の相対得票率が比較的低い値で推移してきたことがある。一方, 高岡市外の18の後援会は市町村を単位に配置されていた。これは, 市町村が住民意識に強い影響を及ぼしているだけでなく, 有力な集票組織である農協の管轄地域や系列県議の選挙区地域, さらには公共事業の執行地域とその見返りとしての票の集計地域である点とも深く関係していた。
著者
稲木 健太郎 泰山 裕 三井 一希 大久保 紀一朗 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46058, (Released:2022-07-26)
参考文献数
7

本研究は,児童が学習方法を自己選択する授業の経験と学習方法のメタ認知の関係を調査し,学力の高低ごとに検討することを目的とした.調査対象の授業を週15コマ程行った学級を高頻度群,週3コマ程行った学級を低頻度群とし,学習方法のメタ認知に関する振り返りの記述数と学力との関係を分析した.結果,経験頻度と学力の二要因が,学習方法のメタ認知的活動に関係する可能性が示唆された.一方,学習方法のメタ認知的活動を適切に行うには,学習方法を自己選択する経験だけでなく,学習方法に合わせたメタ認知的活動を適切に行うための支援や,学力下位群への支援が必要となる可能性が示唆された.
著者
佐藤 文男
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.3-53, 2022-07-02 (Released:2022-07-12)
参考文献数
252

The status of 37 species of breeding seabirds in Japan has been reported by Hasegawa (1984). However, since then, no report has been made. The author was involved in the launch of seabird monitoring for the Monitoring site 1000 project by the Ministry of the Environment in 2004. In the over 15 years since then, population and habitat have been surveyed in 30 major breeding areas, including 80 islands and islets in Japan. In this paper, the previous studies including reports based on this project and the seabird colony database were reviewed. The populations of many species at various islands declined, possibly because of introduced predators and human disturbance. The nesting habitats of most of the seabird breeding areas had deteriorated. Therefore, the continuous monitoring of the change of the population and nesting habitat and quick operation of appropriate conservation measures, (eradication of introduced predators and redacation of human disturbance) are required. In this paper, 1) distribution of seabirds, 2) monitoring seabird survey, 3) current status, 4) introduced predators, and 5) conservation activities are summarized. Further 1) necessity of long-term monitoring of seabirds, 2) extermination of introduced predators, 3) reduction of anthropogenic disturbances, and 4) issues of conservation measures are discussed.
著者
佐藤 真彦 坂井 孝成 祢津 晋久 黒本 暁人 菅野 秀典 沼畑 健司 星 宣次
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.64-68, 2017-04-20 (Released:2018-04-19)
参考文献数
9

(目的)当院で後腹膜脂肪肉腫に対して手術を施行した症例についてレトロスペクティブに検討したので報告する.(対象と方法)2002年2月から2015年8月までに当院で後腹膜腫瘍脂肪肉腫に対して切除術を施行した症例について検討した.症例は全部で15症例,平均観察期間は46.7カ月(1~126カ月)であった.(結果)男性7例,女性8例であり性差は認めなかった.年齢の中央値は67歳であった(33~78歳).腫瘍長径の中央値は24cmであり(7.5~45cm),腫瘍重量の中央値は1,959gであった(545~15,400g).初回手術で腫瘍が残存した症例は1例,断端陽性であった患者は2例であった.全症例における5年生存率は67%,10年生存率は50%であった.初回手術で腫瘍が残存もしくは切除断端陽性であった場合は完全切除の場合と比べて生存率に有意差を認めた.また切除断端陽性の場合は完全切除の場合と比べて無再発生存率に有意差を認めた.臓器合併切除の有無による生存率や無再発生存率には有意差を認めなかった.(結論)脂肪肉腫は高率に再発する疾患であり初回手術での完全切除が必要である.
著者
佐藤 隼 佐藤 俊秀 仲川 祐司 林 志洋 松本 頌 城山 英明 松尾 真紀子 鎗目 雅
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.108-118, 2014 (Released:2014-10-17)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

リンの下水からのリサイクルは一部自治体で進められているが,まだ全国的に進んでいるとはいえない.本研究ではステークホルダーに聞き取り調査を行い,各ステークホルダー間の問題認識を分析し,普及を進めるための施策を検討した.下水からのリン回収が進まない理由として,大きく次の3つの問題が考えられる.現状ではリサイクルすれば赤字になるというコストの問題,生産量が十分に確保できないという問題,安定的な取引先が必要という販売のノウハウの問題である.他方,閉鎖海の環境保全や循環型社会の構築といった他の政策目的も重要である.今後の施策としては,コスト削減のための技術開発,環境政策目的との同床異夢や一定の量の確保を可能にするための自治体との連携の強化が重要である.
著者
佐藤 正夫 竹村 正男 四戸 隆基
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.121-125, 2014-06-30 (Released:2015-03-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

目的:生物学的製剤の使用で関節リウマチ(RA)患者のquality of lifeは向上した.しかし,皮下注生物学的製剤の注射時痛を強く訴える患者が存在する.今回,皮下注射製剤の注射時痛を検討した. 対象・方法:エタネルセプト(ETN),アダリムマブ(ADA),ゴリムマブ(GOL)を1剤以上使用したことのあるRA患者123例を対象とし,痛みのVASスケールを用いて注射時痛を評価した. 結果:VAS値(中央値,IQR)はETN(41,22-55),ADA(59,30-82),GOL(35,27-41)であった.対照として評価したインフルエンザワクチンのVAS値で除した値(中央値)はETN:1.140,ADA:1.627,GOL:0.949で,GOLの注射時痛が有意に低かった.約2/3の症例で注射針の刺入時よりも薬液注入時の痛みを不快に感じると回答した. 結論:“痛み”の数値化には患者個人間でのばらつきが存在するが,注射時痛は薬剤間で有意な差がみられた.
著者
梶原 朋也 佐藤 勝 武山 真弓
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.142, no.7, pp.735-736, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)
参考文献数
10

We aimed to evaluate the aging and deterioration of Japanese sake by its electrical properties. The time dependence of Japanese sake after opening the package was electrically measured. As a results, Japanese sake preserved in an environment that does not easily deteriorate tended to have little change in electrical properties.
著者
佐藤 光哉
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.7-16, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)
参考文献数
49

機械学習の発展は目覚ましく,理論と実用双方から幅広い研究が行われている.一方,機械学習のアプリケーション拡大に伴い,データプライバシーや通信コストに対する懸念も顕著になっている.本稿では,こういった問題の抜本的解決とビッグデータ解析の両立に向けた方式として近年注目されている,連合機械学習(FL: Federated Learning)をはじめとした分散的な機械学習方式について概説する.特に,集中制御サーバを設けないFLである分散連合機械学習(DFL: Decentralized FL)に着目し,無線通信路における問題とその解決に向けた方策を述べる.