著者
三倉 健吾 佐藤 慎一
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.17-25, 2021-09-30 (Released:2021-10-15)

In order to extract information about predators from the drillhole characteristics, predatory behavior, drillhole-site selectivity, and preference of prey size and species were examined in Rapana venosa and Glossaulax didyma. Laboratory experiments used predators and the prey bivalves collected from Lake Hamanako in Shizuoka Prefecture, central Japan. Glossaulax didyma always drilled around umbo of bivalve shell, and it preferred similar prey size to its shell size. In contrast, observation of predatory behavior of R. venosa revealed that this species usually killed prey bivalve without drillhole but left slit-shaped scratches or nomarks using probably poisoning or suffocation. Rapana venosa preferred the largest individuals among the different sizes of Ruditapes philippinarum, and it consumed first Cyclina sinensis rather than R. philippinarum and Scapharca kagoshimensis. Our results made clear the differences of the drillhole characteristics and preference of prey size between R. venosa and G. didyma, and enabled to suggest the predator species from the dead and fossil shell.
著者
瀬﨑 美貴 飯島 良江 佐々木 貴子 染谷 まゆみ 豊田 夕子 佐藤 瑞穂 鈴木 敬久 野﨑 礼史 菊池 浩子 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.843-848, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

【目的】栄養管理において体重は栄養投与量を算出する最も基本となる指標である。しかし、起立困難な高齢者では体重測定に難渋する。そこで、ベッドサイドで容易に計測できる項目から体重の推定を試みた。【対象及び方法】65歳以上で起立困難な、当院の入院患者及び高齢者施設入所者で、本研究に同意の得られた121名を対象とし、体重、6点法身長、脛骨長、膝高、腹囲を計測した。実測体重を目的変数とし、年齢・性別・腹囲に加え脛骨長、身長、膝高のいずれかを用い、重回帰分析により体重推定式を求めた。【結果】脛骨長から求めると、体重(kg)=-15.8-3.53×性別(男1or女2)-0.106×年齢+0.743×腹囲(cm)+0.530×脛骨長(cm) (R=0.905)となった。身長や膝高からも同様に高い相関が得られた。【結論】起立不能な高齢者でも、容易に測定可能な腹囲と脛骨長や膝高から実用的な推定体重が求められた。
著者
佐藤 裕
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.1250-1251, 2006-09-20

わが国で創縁切除と訳されている「Débridement(フランス語の発音表記でデブリードマン,英語表記ではデブリドメント)」は「debrider」に由来しており,本来はフランス語起源の医学用語である.その語源を英々辞典で繙くと,「de」は否定を表す接頭語の「un」と同じであり,「bride」は本来は「bridle(拘束する,轡をかませる)」であることから,「débridement」はすなわち「unbridle」のことで,その意味するところは「to remove a bridle」ないし「to remove a constraint」である.ゆえに日本語では「拘束を解く,手綱を緩める,解放する」ことを表す.つまるところ,その名詞形である「débridement」が意味するのは,外科的見地からすると単に「創を開放すること」である.現在でもフランス(語圏)の外科医は「デブリードマン:débridement」という言葉の由来に忠実に「切開して締めつけを解くこと(removal of constriction by incision)」という意味で使っているようである.このことは現在においても「膿瘍を切開する」ことを「debrider un abces」すなわち「incise an abscess」と言うことからも窺える. その後,特に英語圏では「創を切除すること=wound excision」や「挫滅して活力のない組織を切除すること=removal of all obviously devitalized tissue, removal of nonviable tissue」という意味に変化してきて,今日一般的に理解されているような「デブリードマン」の概念が定着してきた.また今日,化学薬剤や酵素剤を用いたデブリードマンも行われるようになってきているが,最近になって,糖尿病性壊疽患者の難治性潰瘍にウジを這わせることで壊死組織を蚕食させて,創傷治癒を促進しようとする「医療用無菌ウジ療法(maggot débridement therapy:以下,MDT)」が脚光を浴びつつある.このMDTは「biodebridement」ないし「biosurgery」とも呼ばれて,その有用性から欧米諸国において「世界最小の外科医」と評価されるようになっている.
著者
佐藤 髙司
出版者
共愛学園前橋国際大学
雑誌
共愛学園前橋国際大学論集 (ISSN:2187333X)
巻号頁・発行日
no.23, pp.1-12, 2023-03-31

本論文は、大学における方言の保存・継承活動の1つのあり方を具体的に提示した実践報告及び考察である。方言の保存・継承活動は、方言が各地で異なるようにその地域や教育機関によって異なる様々な課題を有する。本実践における方言かるた制作の過程・手法では、群馬県という地域であることを考慮し小規模私立大学という研究機関に応じた工夫を施すことで課題の解決を試み実践が可能になったと考えられる。本論文では「ぐんま方言かるた」制作の過程を示したうえで、環境(言語・文化)、資金、連携・共同の面から制作の課題を示しその課題解決について方言研究や大学教育との関係から考察を行った。環境(言語・文化)面では、読み札の制作において方言辞典が存在しないことを群馬県方言研究の今後の課題としてとらえる一方で、かるたが盛んな群馬県特有の県民文化や志向が本企画・制作に優位に作用したと考察した。資金面では、その工面が最大の課題であるとし、本制作においてはその目的に地域教育への貢献と学生主体の活動への支援を掲げることで、地域共生と学生主体をモットーに掲げる私立大学において支援が得られやすくなり企画の実施・完成にまで至ったと評価した。連携・共同面では、方言かるたの商品化において異なる研究分野間の連携・共同は欠かすことはできないものであり、それゆえ研究者間の教育観の相違などが課題ではあるものの、小規模大学ならではの密な教員関係を生かした研究者間の連携・共同により課題解決に至ったと考察した。方言の保存・継承を目的とし、方言かるたを制作して商品化する学生プロジェクトを教育界や社会が受容するかということ自体が、方言教育や方言研究にとっては課題である。その意味で本実践は地方の小規模大学からの小さな挑戦とも言えるが、方言を楽しんだり方言に価値を認めたりする現代社会や多様化の時代が、本実践を根底で力強く支えてくれたと考える。
著者
河野 健一 矢部 広樹 森山 善文 森 敏彦 田岡 正宏 佐藤 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.635-641, 2015 (Released:2015-11-27)
参考文献数
28
被引用文献数
5 2

血液透析患者の転倒リスクを予測するうえで有用な指標を明らかにする. 歩行可能な血液透析患者123例を対象に転倒の発生を主要アウトカムとする1年間の前向きコホートを実施した. 身体パフォーマンスに関する指標であるshort physical performance battery (SPPB), 筋力, 筋肉量に加え, 栄養状態の指標や透析に関連する指標の転倒に対するハザード比を算出した. 観察期間内に38名 (31%) が転倒し, 透析関連低血圧 (intra-dialytic hypotension : IDH) が独立した危険因子として抽出された (HR=2.66, p=0.01, Log rank test p=0.002). また, SPPB 7点以下は11点以上と比較して有意に転倒のリスクが高かった (HR=2.41, p=0.02, Log rank test p=0.021). IDHやSPPBの低下は透析患者の転倒リスクを予測するうえで有用な指標となることが明らかとなった.
著者
佐藤 顕広 古屋 聖兒
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.142-150, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
8

【目的】表計算ソフトを用いてCT(computed tomography)検査における照射線量管理ツールを作成し,実用化への可能性を検証する.【方法】2020年4月から2022年4月までの期間において,当院で実施したCT検査2,128人のうち,体重が50–70 kgの患者1,212人を対象にデータを解析した.データは,CT装置から出力される操作卓画面情報を利用した.データの入力は手動で行った.照射線量の評価は,Japan DRLs 2020(National Diagnostic Reference Levels in Japan 2020)を参考に,箱ひげ図や散布図を用いて行った.【結果】Japan DRLs 2020と比較して,当院における照射線量が高すぎたり低すぎたりすることはなかった.また,外れ値として照射線量の検証を行った件数が7例存在したが,そのうち,データの入力ミスが3例であった.したがって,その他4例について外れ値となった原因を追求した.【結語】本ツールを利用することで,CTDIvolとDLPの分析をすることができたと考える.更に,外れ値として原因追求を行った4例については,放射線診療の正当性と最適化の概念を逸脱するものではなかった.
著者
栗田 卓 千年 俊一 佐藤 公則 坂崎 友 深堀 光緒子 末吉 慎太郎 梅野 博仁 中島 格
出版者
THE JAPAN LARYNGOLOGICAL ASSOCIATION
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.69-74, 2014-12-01 (Released:2015-07-22)
参考文献数
13
被引用文献数
3

Human papilloma virus (HPV) types 6 and 11 are thought to infect the basal cells of the squamous epithelium. These infections cause laryngeal papillomatosis and condyloma acuminatum in the uterine cervix, which manifest the same pathological phenotype. The site of predilection is the junction of the stratified squamous epithelium and simple columnar epithelium (SCJ), however, the morphological characteristics of the epithelial junction in the larynx differ from that in the uterine cervix. Therefore, these observations suggest that the developmental mechanism of underlying the onset of laryngeal papilloma differs from that of condyloma acuminatum. The newborn larynx, which is infected by HPV in case of juvenile-onset laryngeal papillomatosis, has no SCJ in the supraglottic regions. This suggests that HPV infects the laryngeal epithelium with or without SCJ. Moreover, the immaturity of the epithelia in the newborn larynx allows HPV to easily infect the tissue.In investigations of adult larynges, the basal cells of the squamous epithelium and stratified ciliated epithelium in the larynx express p63, an epithelial stem cell marker. Integrin-α6 is, the receptor for HPV, is positive in the stratified ciliated epithelium and lower half of the squamous epithelium. These findings indicate that HPV is able to infect the squamous epithelium and stratified ciliated epithelium and that both infection with HPV in epithelial stem cells and stratification of epithelial cell layer are necessary for the development of laryngeal papilloma.
著者
篠田 謙一 佐藤 丈寛 安達 登 角田 恒雄 神澤 秀明
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2018-06-29

昨年度行った縄文人のゲノム解析の成果の一部を本年に論文発表した。また同時に、得られたSNPデータからこの人物の形質の特徴を抽出して復顔像を作成し、プレス発表を行った。このニュースは多くのマスコミの取り上げられ、大きな反響があった。北部九州と南西諸島の縄文時代相当期の人骨の持つミトコンドリアDNAの分析を進め,両者が1万年ほど前に分離した集団である可能性があることを明らかにし、沖縄で行われた学会で発表を行った。更に、初年度の分析で縄文人のゲノム解析に関してある程度の成果を得たので,本年は日本人の成立を考える上で重要な,弥生時代人骨を中心にゲノム解析を進めた。縄文人の末裔と考えられている西北九州の弥生人のゲノム解析によって,彼らが既に渡来系集団と混血した集団であることを明らかにし,論文発表した。また,渡来系集団の起源地と考えられる韓国の6千年前の貝塚人骨である加徳島の新石器時代の遺跡から出土人骨のゲノム解析を行い,彼らが現代の韓国人よりも縄文的な要素を多く持っていることを見いだし報告した。更に渡来人の遺伝的な特徴を更に詳しく知るために,弥生相当期に当たる韓国の人骨の分析を進めている。日本国内でも渡来系とされる弥生人集団のゲノム解析を進めた。特に大量の人骨が出土した弥生時代後期の鳥取県青谷上寺地遺跡から出土した人骨について,網羅的な解析を行った。その結果,彼らの遺伝的な特徴は現代日本人の範疇に入るものの,多様性は大きいことが判明した。このほか,全国の大学研究機関や埋蔵文化財センターに所蔵されている縄文~古墳時代人骨を収集し,ミトコンドリアDNAの分析を進めた。更にその中でDNAの保存状態の良い個体については核ゲノムの解析も実施している。
著者
佐藤 駿吾
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学雑誌 (ISSN:00480444)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.28-38, 1980-02-15 (Released:2010-10-14)
参考文献数
32

Suppression of the micturition desire causes strain on the whole body. The cerebral apoplexy and the so-colled micturition syncope often occur during urination.These facts indicate that the whole body can be influenced by the impulses arising in and/or around the urinary bladder. The present study was attempted to elucidate the mechanism underlying this, and the following results were obtainedon the human subjects.1) Artificial distension of the bladder by physiological saline solution induced the following changes. Namely, the R-R interval of ECG became shorter; the blood pressure extremely higher; the plethysmographic fluctuation less; the activities of the plasma renin and plasma angiotensin I &II higher. But no changes were observed in the activities of the plasma aldosterone and the plasma cortisol.2) The changes mentioned above were not observedif the wall of the bladder was anestetized with lidocaine hydrochloride.3) Based on these results, it was considered that the distension of the bladder influences the whole body through autonomic reflexes.
著者
佐藤 隆
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.8-11, 2016-03-31 (Released:2017-05-12)
参考文献数
30

Sebum production and secretion in sebaceous glands play important roles in the formation of a thin lipid layer as a physiological barrier on the skin's surface. The secretion of sebum is considered to be controlled in concert with the regulation of sebum production, in which insulin/insulin-like growth factor 1, 5α-dihydrotestosterone, corticotrophin-releasing hormone, and eicosanoids are involved under physiological and pathological conditions. In addition, environmental stimuli such as ultraviolet (UV) irradiation and temperature change have been reported to influence sebum secretion as well as its production. Furthermore, the abnormalities of sebum production and secretion are likely to disrupt the skin barrier functions and to cause sebaceous gland disorders such as acne, seborrhea, and xerosis. On the other hand, the regulation of sebum secretion has been generally defined to be due to a holocrine mechanism, which may contain apoptosis of sebaceous gland cells (sebocytes). In contrast, the apoptosis-independent sebum secretion by polymethoxy flavonoids and UVB has been reported in differentiated hamster sebocytes. Therefore, in addition to sebocyte-specific lipogenetic mechanisms, another unique sebum secretion pathway distinct from the holocrine mechanism is likely to exist in sebaceous glands.
著者
神戸 満 佐藤 理 角田 弘和
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2007年春の年会
巻号頁・発行日
pp.200, 2007 (Released:2007-04-18)

電気出力200 kWのリチウム冷却月面用高速炉:RAPID-Lは、新概念のLi-6を用いる自己作動型反応度制御装置 LEM, LIMおよびLRMを備える。今回の設計見直しでは、打ち上げ失敗にともなう火災でも誤起動できないようポイズンロッドを追加した。さらに起動に要する外部エネルギーを低減するため、200℃温態待機温度まで外部エネルギーで加熱した後は、核加熱で昇温する方式とした。このような制御系の構成を示す。
著者
宮島 佐輔 佐藤 弘喜
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.78, 2014 (Released:2014-07-04)

現在「かわいい」という言葉は日本のみならず、世界各国で「kawaii」として使われている。しかし、「kawaii」とは英語で言う「cute」、「beautiful」、あるいは「pritty」とはまた違った意味で使われている。さらに日本での「かわいい」という言葉は元々容姿などに用いられていたのだが、外見だけでなく、行動や雰囲気、物に対して以外にも使われるようになってきている。現代の女子高生やOLが普段使っている「かわいい」というのはどのような感覚なのか、概念なのか、明確な記述もなければ詳細な定義も存在しない。 本研究では、現在日本で使われている「かわいい」とは何なのかをを明らかにすることが目的である。製品やファッション、いろいろなものを「かわいい」という女子高生や、クールジャパンとして、海外に「かわいい」を輸出している現代で、何がかわいいか明らかにすることができれば、プロダクトデザインの分野でかわいいものを作為的に作れるのではないかと考える。また、「かわいい」の中心である原宿、渋谷などがある日本発という「made in japan」ブランドの確立にも役立つのではないかと考えた。