著者
倉盛 美穂子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.121-130, 1999-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
18
被引用文献数
5 3

本研究は, 異なるレベルのペアが共同で課題に取り組む場合, 被験児の話し合いへの取り組みによって, 成績の伸びや話し合い中の内容に違いがみられるのかについて検討を行った。その際に, 下位のレベルの被験児の話し合いへの取り組み (主張性・認知的共感性) が, 成績の伸びや話し合い中の内容に及ぼす影響を検討した。本研究では, 共同で話し合う課題として道徳判断課題を使用した。また, 道徳レベルが下位の被験児を, 主張性, 認知的共感性の高低によって4つのグループに分けた後に, 上位レベルの被験児とのペアリングを行った。被験児は3回の話し合いセッションに参加した後, 再び道徳レベルを測定された。この話し合いセッション後の被験児の道徳レベルの変化と, 話し合いセッション中の発話内容について分析を行った。その結果, 下位レベルの被験児の発話は, 主張性が高いと課題に記述された内容をそのまま述べる発話が多く, 認知的共感性が高いと記述内容だけでなく記述内容を発展した内容の発話が多かった。また, 下位レベルの被験児の主張性と認知的共感性は, 上位レベルの被験児の発話数にも影響していた。このような主張性・認知的共感性の違いが発話に及ぼした影響は, 下位レベルの被験児の課題成績の伸びに反映されることが明らかになった。
著者
新井 優 小倉 秀樹 井土 正也
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-15, 2010 (Released:2010-04-28)
参考文献数
31
被引用文献数
5 2

1990年代後半から、熱電対による1550 ℃までの温度計測のための国家計量標準を整備し、それに基づく標準体系を構築して、高温域の温度計測の信頼性を向上させた。温度の国家計量標準が何段階かの校正の連鎖を経て、実際の計測に使われる熱電対に移転される仕組み(トレーサビリティ体系)を、標準器の利用の容易さ、校正事業者と産総研との役割分担など、多くの要素を考慮に入れて設計した。新しく開発した標準技術と、現在までに民間企業が培ってきた技術とを適切に融合させて、新しい技術の普及を見定めながら、全体として我が国にとって最も望ましいトレーサビリティ体系を構築した。
著者
國本 あゆみ 菊永 茂司 岡崎 勘造 天野 勝弘 佐川 和則 新宅 幸憲 積山 敬経 井上 裕美子 成山 公一 山崎 先也 岡本 啓 石井 信子 田子 孝仁 土岡 大介 福田 隆 林 恭輔 小倉 俊郎 東條 光彦 三村 由香里 松枝 睦美 上村 弘子 津島 愛子 加賀 勝 酒向 治子 土井 真由 鈴木 久雄
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.74-84, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
35

目的:本研究は大学生男女個々および交互,相互におけるBMIと体型不満の関連について検討することを目的とした.方法:対象は全国14大学に在籍する18-22歳の男性学生4,118名,女性学生2,677名であり,体組成測定およびボディーイメージに関する質問紙調査を用いた横断研究を行った.体組成は健康診断の結果もしくは実測した.結果:対象の平均(SD)BMIは男性21.7(3.3)kg/m2,女性は20.9(2.7)kg/m2であった.BMIが18.5未満の者の割合は男性11.1%,女性14.6%であり,BMIが18.5-24.9の範囲の者の割合は男性76.1%,女性78.9%であった.BMIに対する理想不満度(理想のシルエット-現在のシルエット)と健康不満度(健康的なシルエット-現在のシルエット)の間に男性は交互作用が認められなかったけれども,女性では有意な差が認められた(p<0.001).魅力的な男性のシルエット値は,男女間に有意な差はみられなかった(t=1.231,p=0.218,d=0.04).一方,男性からみた魅力的な女性のシルエット値は平均4.65,女性が思う男性からみた魅力的な女性のシルエット値は平均3.97であり,女性は男性に比べ有意に低い値を示した(t=25.08,p<0.001,d=0.70).結論:女性大学生の考える健康的な体型は理想体型より太い体型であった.魅力的な男性のシルエットは男女間に差がみられなかった.しかしながら,魅力的な女性のシルエットは男性より女性においてより細い体型と考えていることが示唆された.
著者
板倉 和治 中村 勝洋
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.474-480, 1983-07-15

Rivestらが発表した公開鍵暗号方式は 公開鍵機能と署名磯能を備えたすぐれた方式である.しかし 査閲署名 承認署名のように一つの文書に多重に署名をする際に 異なる法(modulo)による演算を多重に実行すると演算のたびにメッセージ長が増加し 演算単位であるブロックの数が増えていくという好ましくない点がある.本論文ではオフィス内の下の地位の人間から順に署名をする限り 多重に署名を行ってもメッセージ長やブロック数が増えることなく かつ地位の変動があったとしても公開されている公開鍵には影響を与えないで 変動のあった個人のもっている非公開鍵のみの容易な変更で済むシステムを検討し 提案している.このシステムではRivestらの方法を直接的に拡張し オフィスシステムに適合した多重署名機能を有する形で用いているが パラメータの大きさ等を考慮に入れれば実際のシステムに適用しても十分実用可能であると考えられる.
著者
岩倉 成志 屋井 鉄雄
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.109-114, 1990
被引用文献数
2

<p>A new station in the existing line has been provided variously because of a lack of the appropriate institution. Petitioned stations were widely known before the privatization of JNR. Now, development of residential districts or improvement of public transports are still required in metropolitan areas. From the view point of urban and transport planning, it is important to establish new process for a new station and to appreciate it and the effect. The purpose of this study is to state a new direction for station provision ment ioned above. Information from a few examples were collected in detail and the process was summarized. After land price models were calibrated, capital gain from a new station and area development were assessed.</p>
著者
小倉 圭
出版者
京都滋賀体育学会
雑誌
京都滋賀体育学研究 (ISSN:21877866)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-12, 2020 (Released:2020-12-28)
参考文献数
26

本研究の目的は, 内野手のゴロ処理において, 捕球時におけるステップ位置のばらつきと捕送球パフォーマンスとの関係を明らかにし, ステップ位置のばらつきがゴロ処理のパフォーマンスの客観的な評価指標になり得るか検討することであった. 大学野球選手および社会人野球選手24名を対象に, ゴロ処理の際の, 捕球位置を原点としたステップ位置のばらつきと捕送球パフォーマンスとの関係について分析した. その結果, 次のような結果が得られた. 1) 上位群は, ハーフバウンドの割合が有意に低く, 捕球成功率が有意に高かった. 2) 上位群は, 捕球位置の標準偏差が前後方向, 左右方向ともに有意に小さかった. また, ステップのばらつきと捕球位置の標準偏差(左右方向) との間に有意な正の相関がみられた. 3) 右足接地位置の標準偏差(前後方向) と送球動作時間との間に有意な正の相関がみられた. 4) 上位群は, ステップ角度が有意に大きかった. また, ステップのばらつきとステップ角度との間に有意な負の相関がみられた. 以上のことから, 捕球時におけるステップのばらつきは, 捕球パフォーマンスおよび送球パフォーマンスに影響を与え ることが考えられた. 本研究の結果は, 捕球時におけるステップ位置のばらつきが, 内野手の捕送球パフォーマンスを 評価するための客観的指標になり得ることを示唆する.
著者
牧野 拓哉 岩倉 友哉
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.B-K46_1-8, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1

Pointer-generator, which is the one of the strong baselines in neural summarization models, generates summaries by selecting words from a set of words (output vocabulary) and words in source documents. A conventional method for constructing output vocabulary collects highly frequent words in summaries of training data. However, highly frequent words in summaries could be usually a high possibility to be frequent in source documents. Thus, an output vocabulary constructed by the conventional method is redundant for pointer-generator because pointergenerator can copy words in source documents. We propose a vocabulary construction method that selects words included in each summary but not included in its source text of each pair. Experimental results on CNN/Daily Mail corpus and NEWSROOM corpus showed that our method contributes to improved ROUGE scores while obtaining high ratios of generating novel words that do not occur in source documents.
著者
國吉 啓介 倉橋 節也
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.1004-1011, 2013 (Released:2013-11-27)
参考文献数
31
被引用文献数
3 1

It is important for teacher to design a class while grasping the state of students understanding. In order to grasp the state of students, I need an integrated approach with the state of students understanding and knowledge structure and collaborative learning. So I propose a new simulation that is built with a doubly structural network model. It has an internal network and a social network. An internal network is built from the knowledge structure and the state of students understanding. A social network is built from cooperative relationship in the class. I address two problems. The first is consideration of the effects of teaching strategy given to learning. The second is consideration of the effects of placement given to learning. I found these results, 1) differences in teaching strategy give a change in the learning effect, and teaching strategy that this simulation produces has a high educational effect, 2) if a teacher gives a knowledge only once, dropouts tend to occur, 3) placing the students distributed tends to have the effect of education than placing the students centralized.
著者
島田 玲子 加藤 和子 河村 美穂 名倉 秀子 木村 靖子 徳山 裕美 松田 康子 駒場 千佳子 土屋 京子 成田 亮子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究平成24~25年度『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』の調査を通して,昭和30~40年代に定着した埼玉県の家庭料理について検証し,主菜の特徴を明らかにすることを目的とした。<br>【方法】埼玉県の東部低地:加須市,北足立台地:さいたま市,比企:東松山市,大里・児玉:熊谷市,入間台地:日高市,入間山間部:飯能市,秩父山地:秩父市,川越商家:川越市の8地域9か所における対象者は,家庭の食事作りに携わってきた19名で,居住年数は平均72.3年である。当時の地域環境と共に,食料の入手法,調理・加工・保存方法,日常食や行事食,食に関連する思い出や,次世代に伝え継ぎたいと考える料理について,聞き書き法で調査を行った。<br>【結果】埼玉県は内陸県(海なし県)である一方,荒川や利根川などの一級河川が流れ,川魚を入手するには恵まれた環境であった。そのため,動物性の食材にはコイやフナ,カジカ,ハヤなどの川魚のほか,ウナギ,タニシなど,川で獲れる魚介類を利用している地域が多かった。ウナギは現在でも名物であるが,昭和30~40年頃には,家庭で調理するよりも,中食・外食としての利用が多かった。その他の魚は,家庭で甘露煮や焼き魚,天ぷらなどにしていた。一方,海産魚は缶詰や干物,塩蔵品が利用され,昭和40年頃から家庭で作られるようになったカレーライスには,畜肉ではなく,サバの水煮缶やちくわが用いられていた。日常的な畜肉の利用は少なく,卵を得るために鶏やアヒルを飼育し,特別なときにつぶして食べることが行われていた。昭和40年代になると流通網の発達や冷蔵庫の普及などによりとんかつやハンバーグなどの洋食として畜肉も食べるようになった。