著者
吉原 博夢 佐野 恭章 天田 拓麻 朝倉 俊成 北川 幸己 浅田 真一
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.179-187, 2016-04-30 (Released:2016-04-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

インスリン製剤やGLP-1受容体作動薬をはじめとする自己注射製剤は,患者自身が注射を行うため,製剤内への血液混入が起きることがある.しかし,自己注射製剤への血液混入による影響については詳しく報告されていない.そこで代表的な自己注射製剤に血液を加え,製剤中の有効成分に対する影響を検討した.その結果GLP-1受容体作動薬では大きな変化が見られなかった一方で,多くのインスリン製剤では沈殿形成と時間依存的な濁度上昇が見られ,特に超速効型の製剤では短時間で生じる傾向にあった.さらに,沈殿物はインスリンとヘモグロビンを含有しており,沈殿が生じたインスリン製剤ではインスリン濃度が有意に減少していた.以上の結果,血液を混入させないように血管を避けることや,血液が逆流しないよう適切な注射手技を患者に指導する必要があることが示された.また,血液を逆流させない製剤上の工夫も求められる.
著者
小倉 亜紗美 隈元 美穂子 東 大作 片柳 真理 宇田川 悟 山下 真理
出版者
広島大学平和科学研究センター
雑誌
IPSHU研究報告シリーズ (ISSN:13425935)
巻号頁・発行日
no.54, 2017-03

要旨... 2開会の挨拶...5巻頭言 ...6第Ⅰ部:アジアにおける平和構築の経験 能力強化を通じての平和構築...隈元 美穂子... 10 平和構築における正統性樹立の課題~アジアの経験から~...東 大作 ... 16 カンボジアの経験、そしてミンダナオの明日...片柳 真理 ... 26基調講演 フランスの外交と社交...宇田川 悟 ... 33第Ⅱ部 アジアにおける平和構築の課題と展望 平和創造のためのハードワークの実行...Lt. Gen. Daniel Leaf ... 44 無秩序への対処:アジアの平和と安定に関する国家的、地域的、および超国家的な課題の管理...Anthony Bubalo ... 48 アジアにおける平和構築の課題:グローバルな視点から...山下 真理 ... 53巻末言 ...60資料1:シンポジウム・ポスター 61資料2:アンケート 632016年度第1回広島大学平和科学研究センター主催国際シンポジウム
著者
石川 博敏 鈴木 孝典 倉内 麻美 鶴見 英次 中山 正一
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.805-810, 2015

高齢者講習受講者191人の過去3回分の受講結果を用いて,加齢による身体機能や運転行動の変化を分析したところ,視力が良い人ほど,運転適性診断で良い結果が得られていた.また,高齢運転者の車に運転技能自動評価システムを搭載して運転行動データを取得し,同乗教官による運転評価や自己評価と比較・分析した.
著者
湯田 厚司 鵜飼 幸太郎 坂倉 康夫 谷 秀司 松田 ふき子 楊 天群 間島 雄一
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.577-582, 2002
参考文献数
7
被引用文献数
6

基準木のスギ雄花着生状況から津市のスギ花粉飛散予想を行った.方法は三重県津市郊外の三重県科学技術振興センター敷地内に1964年に植樹された23種のクローンからなる69本を基準木に選定した.この69本の東西南北4面(合計276面)の雄花着生状況を目視法で0から3点に点数化した.その平均点数とスギ花粉飛散数を1988年より2000年まで検討した.その結果,1995年と2000年の大量飛散年以外は基準木雄花着生平均点数とスギ花粉飛散数の実数は一次関数で高い正の相関(r=0.914)を認めた.大量飛散年は前年の飛散状況に影響をうけていたため,前年より飛散の多い年を検討すると,基準木雄花着生平均点数から前年の平均点数を減算した値と,スギ花粉飛散数は極めて高く正に相関した(r=0.994).以上の結果より,基準木雄花着生状況から花粉予想が可能と考えた.
著者
倉田 繁雄
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.188-191, 2005-06-20 (Released:2018-08-25)
被引用文献数
1

「滑らかな運動や安定した姿勢を再獲得する。」このことは理学療法を実施する重要な目的の一つである。関節可動域制限(以下ROM制限)は, この目的を達成する過程において強力な阻害因子となっている。本稿では整形外科領域での理学療法経験から得たROM制限治療に対する私見を述べる。ROM制限の諸因子 ROM制限因子を「固さ」と「痛み」に大別する。前者を「ROM制限の直接的因子」(以下直接的因子), 後者を「ROM制限の間接的因子」(以下間接的因子)と呼ぶ(図1)。1. 直接的因子(固さ) 直接的因子をさらに「骨性因子」「関節構成体性因子」「筋性因子」「関節周囲軟部組織性因子」に分ける。1)骨性因子 (1)骨の変形 骨同士のぶつかりによるROM制限を指す。(2)副運動の消失 正常関節運動には必ず副運動(accessory movement)を伴う。例えば, 足関節背屈運動ではその最終域で「腓骨〜脛骨間が広がる」という副運動を伴う。この副運動が内固定により消失した場合, この固定が解除されない限り正常な背屈運動は出現しない。(3)異所性仮骨 例えば, 筋性仮骨が出現するとその筋の伸展性が極端に制限される。そのため当該筋が伸長される関節運動は制限を受ける。
著者
大倉 朋子
出版者
学習院大学
雑誌
哲学会誌 (ISSN:03886247)
巻号頁・発行日
no.22, pp.25-48, 1998-07
著者
松本 真実 石橋 あや 高田 千夏 朝倉 富子 伊藤 圭祐 阿部 啓子 舟木 淳子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.34, 2006

<BR>【目的】ミラクルフルーツの果実に含まれるタンパク質ミラクリンは、そのもの自身は無味であるが、これを味わった後に口に入れた酸を甘く感じさせるという性質を持つ。この効果は数時間持続し、その間、酸はショ糖のように甘く感じられる。このように一時的に味覚を変える物質を味覚修飾物質という。糖尿病や肥満が社会問題になっている先進諸国において、非グリセミック(低カロリー)甘味料は健康面でのベネフィットから注目され、また酸味の強い食品の摂取を容易にするという利点もある。本研究ではミラクルフルーツの甘味誘導効果の基礎的性質を得ることを目的とした。<BR><BR>【方法】ミラクルフルーツの果肉を100mM酢酸緩衝液で十分洗った後、0.5 M塩化ナトリウム溶液で抽出した後、70%飽和硫安沈殿画分を得、10mM酢酸緩衝液(pH5.5)で透析し、凍結乾燥して粗精製ミラクリンを得た。1mg/mlのミラクリン水溶液1mlを口に含んだ後、各種酸溶液、苦味溶液、塩化ナトリウム溶液について官能評価をおこなった。また、甘味誘導効果を消失させるものについても検討した。<BR><BR>【結果】粗精製ミラクリンによって、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸等、各種酸溶液に甘味が誘導された。特にクエン酸溶液やアスコルビン酸溶液は強い甘みを感じ、その味はスクロース溶液の味と類似していた。しかし、苦味溶液や塩化ナトリウム溶液の味の変化はみられなかった。また、塩化ナトリウム溶液で口をゆすいだ時は、蒸留水で口をゆすいだ時よりも甘味誘導効果が減少した。<BR>
著者
青木 裕志 浅見 志帆 飯野 瑞貴 小倉 加奈子 坂口 亜寿美 松本 俊治
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1266-1270, 2016-12-01

はじめに ホルマリンは,1890年Blumにより固定液への応用が試みられてから今日に至るまで,病理標本作製においては欠くことのできない固定液となり,病理組織学の発展に多大な貢献をもたらしてきた.その理由として,取り扱いが容易なうえ,細胞形態を良好に保持し,さまざまな検索目的に対する汎用性に優れる点が挙げられる. 当初,ホルマリンは単に水で希釈しただけの固定液として使用されていたが,免疫組織化学など新しい検査技術が導入されるに従い,より精度の高い染色結果が要求されることとなり,固定液の組成にさまざまな研究が加えられてきた.Lillieによって報告された中性緩衝ホルマリンは,現在使用されている固定液の主流となっている. ホルマリンは優れた固定液である反面,人体に対しては強い毒性を示す化学物質でもある.法規上“医薬用外劇物”や“特定化学物質第二類”に指定され,その取り扱いや作業環境の管理には,法的な厳しい規制が課せられている1,2).このように,医療従事者へのホルマリン曝露が問題視され,作業環境の改善が求められるなかで,調整済ホルマリン固定液(市販品)が普及してきた背景がある. 調整済ホルマリン固定液(市販品)は,メーカーにより若干異なるが,約3年の使用期限が設けられている(図1).これは,ホルマリンが永久的に不変のものではないことを意味している.つまり,保管の過程で徐々に性状が変化し,劣化が進み,十分な固定効果が期待できない時期がいずれやってくるということである.使用期限切れのホルマリンを使用することは,程度の差はあれ,組織標本の質を落とし,病理診断の精度に影響を及ぼす可能性をもっている. 本稿では,期限を過ぎたホルマリンの使用により起こり得るリスクや,必要以上の劣化を進めないために保管に際してどのような注意を払えばよいのかを,ホルマリンの性質を踏まえながら解説したい.
著者
高木 智久 吉川 敏一 内藤 裕二 吉田 憲正 古倉 聡
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ヒト炎症性腸疾患患者(潰瘍性大腸炎・クローン病)をはじめとした炎症性疾患に対する革新的な新規治療法の開発の試みとして一酸化炭素ガス(Carbon monoxide:CO)吸入曝露装置の開発、ならびに同装置を用いたCOガス吸入療法の効果の検討をマウス実験腸炎モデルに対して行った。1,CO曝露装置は研究協力者の森田亨(東京高圧株式会社)とともに行った。その概ねの構造は1000ppmのCOガスを純空気により分割希釈することによる濃度調節法を選択し、マウスゲージを収納できるアクリル製の大型の閉鎖飼育容器に曝露する方法をとった。ガスの排気は安全性を高めるため開放系の外気に希釈廃棄することとした。この装置を用いて検討したところ持続的に安定した一定濃度のCOガス曝露が可能になり、以降の検討に耐えうるものが完成した。2,マウス実験腸炎モデルとしてTrinitrobenzesulfonic acid(TNBS)腸炎モデルを用いた。その結果、COガス曝露群では非曝露群に対して有意に病変の形成が抑制されていた。また、大腸粘膜内の好中球浸潤や炎症性サイトカイン産生もCOガス曝露群にて有意に改善を認めており、COガス曝露による抗炎症効果が確認された。3,他部位の炎症病態におけるCOガスの効果を検証するために、代表的な関節炎症モデルであるマウス関節炎モデルを用いてCOガス吸入の効果を検証した。その結果、COガスの吸入により有意に関節炎の発症が抑制された。このことより、COは腸管炎症だけでなく関節炎においても充分に抗炎症効果を発揮するものと考えられた。以上の検討から、COガスによる腸管炎症を含めた炎症病態における炎症性御効果が明らかとなった。
著者
中江 雄亮 池田 隼 安木 剛 田中 博 山下 太郎 坪倉 誠 中島 卓司
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1471-1476, 2013 (Released:2018-01-25)
参考文献数
5
被引用文献数
4

車両運動時の非定常空気力は操縦安定性向上に有用である.しかし,風洞におけるこれら空気力の計測や実走行における車両周り流れ場の詳細な計測は困難であり未解明な部分が多い.本報では,CFDを用いて空力パーツ追加による車両運動時の非定常空気力の差異に着目し,その発生メカニズムを解明したので報告する.
著者
増田 游 上田 節夫 西崎 和則 木口 真樹 岡本 宏司 小倉 義郎 永井 廣 鈴木 一憲
出版者
THE JAPAN OTOLOGICAL SOCIETY
雑誌
Ear Research Japan (ISSN:02889781)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.478-481, 1986 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5

Authors showed the inhibitory effect of Cepharanthin, a kind of Alkaloid, on the teratogenicity of maternal hypervitaminosis A in the rat in the previous report. At the present study, besides, the effect to the internal malformations induced by maternal hypervitaminosis A were investigated using the same materials of the previous study. Twenty-four fetuses from 2 mothers treated with excessive vitamin A and 31 from 3 mothers treated with both of excessive vitamin A and Cepharanthin were stained with Inouye's bone and cartilage staining method and the findings of their middle ear region were observed under the light stereoscopic microscope. Difference of middle ear findings between 2 groups suggested that the inhibitory effect of Cepharanthin to the teratogenic activity of excessive vitamin A acts even on the internal malformations of middle ear region by the membrane stabilizing effect of Cepharanthin.
著者
新倉 貴士
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.43-56, 2014-03-31 (Released:2020-06-23)
参考文献数
17

本稿では,消費者視点から捉えた業態認識に関する概念モデルを提唱する。消費者情報処理研究に基づき,消費者のもつ認知表象として業態を捉えたうえで,その認知表象を構成するメカニズムとして,既存研究で言及されてきた業態の「原型なるもの」に焦点を当て,業態認識に関する抽象的な概念と具体的な実像という抽象関係の構図に着目する。次に,消費者による業態認識の情報処理をトップダウン型とボトムアップ型に識別したうえで,カテゴリー化研究における典型性に基づくカテゴリー構造に示される典型事例としてのプロトタイプとエグゼンプラーの役割の重要性を踏まえ,新たな概念としてエグゼタイプを導入する。そして,これらの典型事例を基にした業態の認知分布を仮定することにより,業態間の連続性と業態間変動,業態における中心性,そして業態内変動と業態間変動についての説明が可能になるのである。