著者
内倉 敬一郎 柳田 茂寛 豊山 博信 三枝 伸二 福元 俊孝 愛甲 孝
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.1529-1533, 2004-06-25
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

症例は64歳,男性. 23年前,胃潰瘍にて幽門側胃切除(Billroth I)を受けている.平成14年4月頃より嚥下困難出現し当院受診.食道胃透視,内視鏡検査にてEG junctionから口側に約3cmの後壁中心1/4周,潰瘍,びらんを伴う隆起性病変を認めた.生検にて中分化および低分化型管状腺癌と診断され,左開胸開腹連続斜切開にてD2リンパ節郭清を伴う下部食道,残胃全摘術施行した.病理検査にて腫瘍の大半は高分化,中分化型管状腺癌(深達度ss)であり,腫瘍の口側2cmでは正常の食道扁平上皮とそれに連続する粘膜内扁平上皮癌が腺癌を被覆するように存在した.両者は相接して存在していたが,明らかな境界があり形態の移行像は認めなかった.以上より食道残胃衝突癌と診断した.
著者
高倉 祐樹
出版者
北海道大学
巻号頁・発行日
2019-03-25

【目的】失構音(anarthrie)とは,脳血管障害や神経変性疾患によって生じる発話障害のひとつであり,臨床上では,一貫性の乏しい「構音の歪み」と「音の連結不良」を主症状とする病態と定義されている(大槻,2005).失構音は,神経心理学の歴史において,20世紀初頭から今日に至るまで,常に議論の中心となってきたテーマのひとつではあるものの(大東,2009),その障害の内実はいまだ明らかではない(Maasら,2008).従来から,その病態の均質性については疑問がもたれていたが(大東,1981),体系的な症状の分類法はいまだ確立されておらず,症状の具体的記述や病態解釈も研究者間で一貫していない.その要因として,1)既報告においては,失語症を伴う失構音例が研究対象となることが多く,純粋な失構音例を対象とした研究が少ないこと,2)純粋な失構音例の発話症状と脳の損傷部位の両者を詳細に検討した研究が少ないこと,が挙げられる.近年,失構音は脳血管障害の領域のみならず,神経変性疾患の領域でも注目されており,失構音の症状のみが緩徐に進行する「原発性進行性発語失行(primaryprogressiveapraxiaofspeech;PPAOS)」(Josephsら,2012)という概念が提唱されている.失構音の症状が,神経変性疾患における背景病理を推定する指標となる可能性も指摘されており(Josephsら,2012;Harrisら,2013),疾患単位として確立しつつある.その一方で,失構音の定義が研究者間で一貫しておらず,失構音の症状自体を検出することの難しさも指摘されている(Sajjadiら,2012).本研究の目的は,失語症を伴わない純粋失構音を対象に,詳細な聴覚心理学的評価と脳の解剖学的検討を組み合わせることによって,失構音のサブタイプの存在を明らかにし,失構音の評価や分類に有益な臨床指標を提起することである.さらに,対象を脳血管障害のみならず,神経変性疾患にも拡大することで,失構音の病態機序と脳解剖学的基盤に関する,より普遍的な知見を明らかにすることを目指す.【対象と方法】対象は単一の脳血管障害により純粋失構音を呈した右利き症例8名(男性4名,女性4名),神経変性疾患により純粋失構音を呈した右利き症例3名(男性1名,女性2名)の計11名の症例群(平均年齢74.7歳)であった.実験手続きとして,単語の呼称,復唱,音読,無意味語復唱,無意味語音読を実施し,発せられた単語の「構音の歪み」,「音の途切れ」,「音の引き延ばし」,「息継ぎ」の有無を,検査者間・内の信頼性を確保したうえで,聴覚心理学的に評価した.さらに,「息継ぎ」の有無については,音響分析による評価を実施し,「音の途切れ」と「息継ぎ」の差異を明確化した.発話素材は,モーラ数や意味の関与などの単語属性を統制した.さらに,脳血管障害例においては磁気共鳴画像(MRI)によって,脳損傷部位を同定した(1例のみCTを使用した)。神経変性疾患例においては,MRIによって,脳血管障害など他疾患がないことを確認した上で,単一光子放射断層撮影(SPECT)によって,血流低下が認められる脳領域を同定した.【結果】発話の聴覚心理学的評価の結果,1)「構音の歪み」が「音の途切れ」よりも優位なタイプ(タイプI),2)「音の途切れ」が「構音の歪み」よりも優位なタイプ(タイプII),3)-4-「構音の歪み」と「音の途切れ」が同程度のタイプ(タイプIII)という,従来指摘されていた3タイプ(大槻,2005;Duffyら,2015)に分類が可能であった.さらに,タイプIの主病変は左中心前回後方部,タイプIIの主病変は左中心前回前方部,タイプIIIの主病変は左傍側脳室皮質下と,差異が認められた.さらに,進行性失構音を有する症例は全例,「構音の歪み」が「音の途切れ」よりも優位ではあったが,以下の3つの特異性を有していた.1)「音の途切れ」よりも「音の引き延ばし」が前景に立つ,2)単語発話であっても「息継ぎ」が生じる,3)左運動前野の上部および両側の補足運動野に脳機能低下を認める.【考察】失構音の発話症状と病巣との関連について,大槻(2005)は,「構音の歪み」優位のタイプはブロードマン4野の損傷で出現し,「音の途切れ」優位のタイプは4野と前方の6野にも侵襲が及んだ場合に出現し,両者が同程度のタイプは,4野・6野からの連絡線維が存在する傍側脳室皮質下の損傷で出現することを報告している.本検討におけるI~IIIのタイプの発話特徴と損傷部位の対応についても,既報告(2005)と同様の結果が得られており,「構音」と「音のわたり」に関わる発話運動プログラムの解剖学的基盤は,それぞれ異なる可能性を支持した.進行性失構音を有する症例の病巣について,既報告では,運動前野の上部や補足運動野の変性が,症状発現に関与していることが示唆されている(Josephsら,2012;Josephsら,2013;Whitwellら,2013;Utianskiら,2018).本検討においても同部位の血流低下が確認されており,既報告を支持した.なお,運動前野や補足運動野といった高次運動野は,時間構造の制御や運動プランの形成に関与するとされる(丹治,2013).この視点に基づくと,進行性失構音を有する3症例に特異的であった「音の引き延ばし」は,発話運動を適切なタイミングで「終了」させるための,時間構造の制御の問題を反映しており,「息継ぎ」は,発話遂行に必要となる吸気量や呼気量を調整するための,運動プラン形成の問題を反映していると仮定すると,進行性失構音における特異的な発話症状と病変部位との関連性が説明できると考えた.【結論】本研究の結果から,失構音は単一次元の障害ではなく,多様性を有することが明らかとなった.また,発話症状と脳の解剖学的基盤を検証することで,それぞれの失構音のタイプにおいて,異なる病態機序が関与している可能性が示唆された.さらに,進行性失構音を有する症例における特異的な発話症状として,「音の途切れ」よりも「構音の歪み」と「音の引き延ばし」が前景に立ち,単語発話中の「息継ぎ」が生じるという現象が同定可能であった.本症状に着目することは,失構音を呈する神経変性疾患の早期発見と,適切なリハビリテーション介入において,重要な意味を持つと考えた.今後は,それぞれの病態に応じた具体的なリハビリテーションプログラムの構築が必要であるが,本検討で得られた知見はその第一歩に繋がるものと考える.
著者
菊池 聡 吉田 剛 佐藤 隆二 根岸 直人 半田 有広 麦倉 秀明 木野本 真沙江
出版者
栃木県農業試験場
雑誌
栃木県農業試験場研究報告 (ISSN:03889270)
巻号頁・発行日
no.78, pp.53-58, 2018-03

ホウレンソウ,ブロッコリー栽培で放射性セシウムの吸収移行抑制を図るため,圃場に加里,ゼオライトや大谷石を投入してその効果を検討した。しかし対照の加里慣行施用区を含め,全ての処理区で植物体の放射性セシウムは不検出またはごく微量が検出されたのみであり、効果は判然としなかった。自家製堆肥や腐葉土を使用せずトマトの2次育苗を行うため,50穴セルトレイによる2次育苗を試みたところ,培養土は市販の「げんきくんセル100」を使用し,塩化カルシウム,第1燐酸カリおよび硝酸カリウムを配合した底面給水養液を使用することで,伸長を抑制することができた。放射性セシウム汚染堆肥を圃場へ投入した場合の吸収移行を検討したが,ニラおよびトマトへの吸収移行は認められなかった。
著者
坂部 知平 坂部 貴和子 田之倉 優 江橋 節郎 三井 幸雄 山根 隆 大沢 文夫 京極 好正 芦田 玉一
出版者
(財)国際科学振興財団
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1993

本重点領域ではこれまで4年間放射光を利用して蛋白質結晶構造のダイナミックスの研究を、蛋白質が関与する反応及び調節などの機構を3次元構造を基礎にして理解するために必要な研究を勢力的に進めてきた。本年度の目的はこれまでの研究成果報告を行い評価することと、これまでの成果をまとめて報告書を出版することであった。この目的を達成するため、平成5年度〜平成8年度研究生果報告会を東京大学山上会館て7月16日から18日まで開催した。会議では実行班の計画研究代表者、分担者、公募研究代表者全員が成果を報告を行い、総括班の評価委員が座長を受け持った。出席者は142名と盛況で盛んな議論が展開された。そしてこの時点で研究グループが解散するのは大変残念であるとの声が多くの参加者から出た。これまでのすべての報告をもとに作られた小冊子が10月16日に文部省で行われた最終ヒアリングで提出された。ヒアリングの席でこのような研究をさらに広範な分野に広げることは出来ないかとの質問が出された。また、会議に先だってアブストラクト等を収録したNewsLetter5-1(108頁)を発行した。各研究者の会議報告うは4年間の研究成果報告書(630頁)に収録された。総括班会議は2回行った。初回は成果報告会中の7月17日、2回目は平成10年1月24日であった。会議の中心議題はこれまで盛り上げてきた学際的な研究態勢を今後どのようにして維持し、研究の活性を維持し、さらに広い領域に発展させるかということであった。最終的には今後発展が期待される時間分割ラウエ法利用研究において最高の成果を上げられた京大化研の小田順一教授が世話役になり広範な領域の研究者が参加した『動的構造研究会』を母体にして特定Aの申請がなされた。以前から懸案になっていた英文のモノグラフ発行については次期特定が認められた場合その成果も交えて出版することが認められた。
著者
生方 秀紀 倉内 洋平
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.131-144, 2007
被引用文献数
4

北海道釧路湿原,達古武沼の岸沿いの11調査区でトンボ目の成熟成虫のセンサスを行い,6科18種2,572個体のトンボ目を記録した。環境要因として,ヨシ原の奥行き,水草の被度,水深および底質(細礫以上とシルト以下)を分析に用いた。各調査区のトンボ群集によるDCAの散布図上の配置パターン(平面上の相対的位置関係)は地図上の調査区の配置パターンとほぼ一致したが,環境要因によるDCAでは調査区の配置パターンは地図上のそれとほとんど一致しなかった。CCAの結果,沼の水辺は,水草が多くヨシ原が広くやや深い場所(沼の南岸),水草が少なく深い場所(北岸),ヨシ原が狭く水草が少なく浅い場所(東岸キャンプ場付近,西岸の護岸沿い)および水草が多くやや浅い場所(東岸)の4類型に分かれた。水草の被度と相関するクロイトトンボなど8種,ヨシ原の奥行きと水深に対して相関するルリイトトンボなど7種,水草と負の相関するコサナエなど3種,ヨシ原の奥行きおよび水深と負の相関を示すシオカラトンボ,深い場所を好むキトンボなど2種を列挙し,これらの種が環境変化の指標として有効性を持つことを指摘した。また,DCAとCCAの結果の比較を元に,沼におけるトンボ成虫の局所分布に影響しうる上記以外の環境要因について考察した。
著者
吉村 正 米倉 猛
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.17, no.9, pp.597-603, 1963

The samples of this paper are selected and not representating all the patients.<br>Moreover, these activities of leisure are made by memory, ability, and good will by our patients. I am sorry that there is no other group of patients to compare. As leisure is vague and can not catch, it is difficult to investigate strictly by scientific measure.<br>If we presumed to both wheels of a car as to work and to play, we were inclined to work extremely until tody. By the rationalization of industry and automation in future, a human being will be able to amuse a lot of leisures, and then it must be important to study for us how to play. The ages from 25 to 44 and unmarried patients are majority in this paper. They are unemploying in order to be hospitalized for long times. A great number of patients are schizophrenics. More than half of these patients answered that they had amusement and recreation before admitting mental hospital. Almost all of their religion is Buddhism. As only 7% of patients is attending regularly to temple, we may talk over trifling of religious idea for psychiatric patients. A considerable member of patients like viewing the television, but dislike reading the book. A lot of patients are loving their dogs and cats at their homes.<br>While 90% of all the patients answered they had no drinking habit, and no social drinking, but the index of smoking habit were higher. We discovered some defects of fostering in jevenile days for 700 of patients. How to pass one's leisure depends upon one's own intelligence, economic status and enviroment. It is irrational to put in force to amuse one's own work for the all people although it is desirable. Great number of people are influenced by the surrounding. Especially females can be influenced by marriage, pregnancy, and child care.<br>We must emphasize the device and investigation of leisure so that our mind may flow to easy direction.
著者
木原 資裕 皆川 直凡 立岡 裕士 藪下 克彦 内藤 隆 田村 隆宏 南 隆尚 町田 哲 久米 禎子 眞野 美穂 畠山 輝雄 小倉 正義 Motohiro KIHARA Naohiro MINAGAWA Yuuzi TATUOKA Katsuhiko YABUSHITA Takashi NAITO Takahiro TAMURA Takahisa MINAMI Tetsu MACHIDA Teiko KUME Miho MANO Teruo HATAKEYAMA Masayoshi OGURA
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 = Research bulletin of Naruto University of Education (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.334-348, 2021-03-10

Naruto University of Education offers an undergraduate class called "Awa (Tokushima) Studies", which is taught by twelve instructors whose specialties span history, geography, psychology, art, physical education, and linguistics. In this class, after studying the background and history of Ohenro, a pilgrimage route in Shikoku, in classroom lectures, the students and the instructors walk a part of the pilgrimage route on a one-night-two-day trip, in which interdisciplinary studies are practiced. This class is an ideal opportunity for teacher training and therefore can serve to strategically promote Naruto University of Education as a unique university in offering such a class.
著者
嘉悦 博 清水 正章 板倉 和資 山上 剛
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.317-320, 1978 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

To know some problem after meniscectomy, we undertake long-term study. There were 13 male and 6 female, age range at operation was from 10 to 49 years. The range of post-operative follow-up was from 10 to 15 years and average was 12.7 years.1) Thirteen patients had excellent or good results. Five patients undergone discoid meniscectomy in their youth had all good results.2) Roentogenographic changes noted in all cases, but no related with clinical results.3) Severe OA changes was seen in 10 patients. (53%)4) Degree of ligamentous instability was related with OA changes.5) Two patients of poor result was seen retained posterior horn.
著者
藤崎 亜由子 倉田 直美 麻生 武
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.67-77, 2007-04-20 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
1

近年登場したロボットという新たな存在と我々はどのようにつきあっていくのだろうか。本研究では,子どもたちがロボットをどう理解しているかを調べるために,5〜6歳児(106名)を対象に,2人1組で5分間ロボット犬と遊ぶ課題を行った。あわせて,ロボット犬に対する生命認識と心的機能の付与を調べるためにインタビュー調査を行った。ロボット犬は2種類用意した(AIBOとDOG.COM)。DOG.COMは人間語を話し,AIBOは電子音となめらかな動きを特徴とするロボットである。その結果,幼児は言葉をかけたりなでたりと極めてコミュニカティブにロボット犬に働きかけることが明らかになった。年齢群で比較した結果,6歳児のほうが頻繁にロボット犬に話しかけた。また,AIBOの心的状態に言及した人数も6歳児で多かった。ロボット犬の種類で比較した結果,子どもたちはDOG.COMに対しては言葉で,AIBOに対しては動きのレベルで働きかけるというように,ロボット犬の特性に合わせてコミュニケーションを行っていた。その一方で,ロボット犬の種類によってインタビュー調査の結果に違いは見られなかった。インタビュー調査では5割の子どもたちがロボット犬を「生きている」と答え,質問によっては9割を超える子どもたちがロボット犬に心的機能を付与していた。以上の結果から,動物とも無生物とも異なる新たな存在としてのロボットの可能性を議論した。
著者
梶田 秀幸 中田 善久 桝田 佳寛 笹倉 博行
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.84, no.761, pp.905-915, 2019 (Released:2019-07-30)
参考文献数
19

In this study, with high strength concrete ranging from slump 21 cm up to slump flow 60 cm as the applicable range; in order to shed light on the steady-state flow of fresh concrete in inclined flow test apparatus, we compared and examined the velocity at the tip of the flow determined the vicinity of the gate and the velocity at the tip of the flow of the inclined portion determined from near the end of the test apparatus. Then, based on the relationship between the apparent shear strain rate and the apparent shear stress determined from the velocity at the tip of the flow of near the end of the test apparatus in the inclined portion, we calculated the apparent yield value and the apparent plastic viscosity, and we examined it appropriateness by comparing with the yield value and the plastic viscosity calculated by Terada et al. In addition, we carried out a pumping experiment with an actual pipe length of about 35m, and in addition to confirming the appropriateness of the apparent yield value and the apparent plastic viscosity from the change in the quality of concrete before and after pumping, with regard to evaluation of pumpability of concrete from the relation of pressure loss inside the pipe, we compared and examined with the outcome of the studies conducted by Wami et al. and Terauchi et al. As a result, the following findings were obtained. (1) By measuring the velocity at the tip of the flow of near the end of the test apparatus in the flow portion of the inclined flow test apparatus, we measure the velocity at the tip of the flow where deformation and flow due to the weight of the concrete is close to the steady-state flow, and we could obtain appropriate apparent yield value and apparent plastic viscosity. (2) We proposed the test method of apparent rheological constants determined from the velocity at the tip of the flow of near the end of the test apparatus in the flow part of the inclined flow test apparatus. (3) As a result of investigating the changes in the quality of concrete before and after pumping, values of the apparent yield value and the apparent plastic viscosity obtained from the inclined flow test were appropriate, and the apparent plastic viscosity may evaluate the viscosity of the concrete. (4) As a result of investigating the relationship with pressure loss inside the pipe, it was found that the apparent plastic viscosity obtained from the inclined flow test shows the plastic viscosity of concrete, and it suggested that it may be possible to evaluate the pressure loss inside the pipe from the product of apparent plastic viscosity and actual discharge amount.
著者
中田 友明 菊山 榮 豊田 ふみよ 山岸 公子 横須賀 誠 蓮沼 至 中倉 敬 中西 功樹
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

脊椎動物の性フェロモンの繁殖制御機序を解明するために、イモリの性フェロモンであるソデフリンの受容機序について分子・細胞・組織レベル、さらに個体群間において調べた。その結果、ソデフリンは繁殖期にプロラクチンとエストロジェンの影響で増加する鋤鼻器の感覚細胞で受容され、受容体は受容細胞に発現するGタンパク質から2型鋤鼻受容体であること、2つのシグナル伝達系を経て発生した性フェロモンの感覚信号は脳の副嗅球を一次感覚中枢として処理されることを見出した。また、フェロモンの構造と活性の発現には地域差があることが明らかになり、性フェロモンによる繁殖制御機序の一端が解明できた。
著者
小川 拓也 倉持 元陽 山本 昇志
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.8, pp.139-142, 2011-02-12

本稿では,光学的整合を必要とする複合現実において,既知物体が作る影の情報から光源位置を推定する手法を提案する.正確な光学的整合の実現には,鏡面球に映り込む画像を取得することにより周囲環境の光源位置を推定する手法が多く行われている.しかし,鏡面球には様々な物体が映り込むため,光源位置のみを正確に推定することは難しい.そこで提案手法では,正方形マーカを固定する4隅の押しピンが作る影を利用し,その重心座標と影の形状から光源位置を正確に推定する手法を検討した.再現実験の結果,推定した光源位置情報を元に生成した仮想物体の影が実際の影とほぼ一致することが確認できた.
著者
小倉 加奈代 田中 唯太 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.20, pp.1-8, 2012-05-25
被引用文献数
2

本稿では,大皿料理のように,共食者が料理を共有する共食場面において,しばしば見られる「遠慮のかたまり」という状況がどのような状況かを明らかにすべく,大皿上の料理の残量が最後の一個,最後の一口に近づくにつれ,食事をしている人々の取り分け行動にどのような特徴,変化がみられるのかに着目した分析,考察を行った.その結果,食事開始中盤から終了前にかけて,取り分け行動の停滞,停止が起こり,その停滞,停止直後に起こった取り分け行動が短い間隔で 2,3 度連続して起こることがわかった.この,停滞→取り分け行動の活発化という流れが「遠慮のかたまり」につながる最後の一個に向けての準備行動である可能性があることがわかった.In this paper, we try to analyze serving food to reveal a situation of "the last on piece of food". When we analyzed video data of table talks with some platters, we focused on serving food for each platter and for dining table. As a result, we confirmed situations of suspending serving foods from middle stage to end often occurred. In addition, we found after suspending serving food, serving food occurred continuously for short time span. A series of suspending and activating serving food is important for us to handle a situation of "the last one piece of food".
著者
吉川 泰弘 長谷川 寿一 赤見 理恵 落合 知美 倉島 治 斎藤 成也 数藤 由美子 高見 一利
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.20, pp.vi, 2004

「大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)」は、その前身である「チンパンジー研究利用に関するフィージビリティースタディ(ナショナルバイオリソースプロジェクトの一環)」が培ってきた大型類人猿由来の研究リソース配分ネットワークとその理念を引き継ぎ、動物園などの飼育施設や研究者とのネットワークの拡大、大型類人猿死亡時のリソース分配をおこなってきた。本集会では、GAINがおこなってきた調査(研究リソースのニーズ調査、国内飼育下大型類人猿の飼育状況調査など)の結果や、リソース配分の具体例などについて報告したい。またGAINをとりまく様々な立場(資源の利用者側、飼育施設側など)からの話題提供も予定している。そのうえで、大型類人猿研究の現状と将来展望、資源配布を中心とする研究支援システムの問題点やこれからの展開について検討したい。
著者
戸倉 毅 鈴木 隆子 中村 浩子 牧野 優子 高倉 穂
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.20-28, 1988-01-15
被引用文献数
5

本論文では ワードプロセッサ等のOA機器に個性的で美しい日本語出力を実現することを目的とした 毛筆体文字の計算機による生成方式について論じる.毛筆体文字は ストロークごとに生成する.各ストロークは骨格線上の3?7点のx y座標と太さ情報をパラメータとし それらを3次スプライン補間し輪郭情報を得る.ストロークの起筆・収筆部は 12角形の筆触形をあてはめることにより筆らしさを表現する.文字をストローク単位に生成しているため 文字の変形が可能であり ひらがなに対してつづけ字を実現している.また 各ストロークのパラメータを半自動的に抽出し文字データを容易に作成できるエディタ 外字を簡単に作成できるエディタも同時に実現した.JIS第1水準の漢字およびひらがな 片仮名計3148字の行書体文字を作成し 実用レベルの出力品質が得られていることを確認した.データ量は 平均的な11画の漢字について約150バイト 作成した3148文字に対し432kバイトであり 実用上妥当な量である.
著者
倉治 竜太郎 橋本 修一 伊藤 弘 沼部 幸博
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.148-154, 2016-09-30 (Released:2016-11-03)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

歯周病学をはじめ口腔内の研究では,齧歯類を対象として実験を行うことが多い。こうした動物の口腔内に種々の処置を行う場合は,開口状態の保持や視野確保が実験手技を安定させる上で極めて重要な要素となる。しかし,マウスの開口を保持する専用器具は提案されていない。そこで我々は,既存のラット開口器を応用し,幅広い週齢のマウスに適合する規格化された開口器の作製を目的として,開発を行った。本考案は,1.5 mmステンレス線を用いた長方形の切歯係止フレームと,フレーム内側に対向して取り付けた左右口角鈎,フレーム基端部に取り付けた開口調節体から構成される開口器である。各週齢マウスへの本器の適合性を評価するため,4週齢,6週齢,10週齢BALB/cマウスを対象に,本器各部による開口保持状態を観察した。本器の開口調節体により,体重の異なる全週齢マウスの開口を安定して保持することができ,口腔内観察を良好に実施できた。また本器装着時の口腔内実験への応用例として,口蓋歯肉への薬液注射,および上顎臼歯への絹糸結紮による実験的歯周炎作成を行い,本器を用いた場合の処置時の視野確保と器具の到達性などを検討した。本器を用いた開口保持により,各種器具を挿入した口腔内実験を良好に実施できた。なお,総ステンレス製の本器は,オートクレーブ,乾熱滅菌も可能となっている。本器は実用新案登録済みである(公開番号2014-004789)。
著者
小林 智紀 高木 通俊 高倉 葉子
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.202, 2012 (Released:2012-03-28)

本研究は高揚力装置の一種であるGurney Flapの空力特性を,NACA4412形状翼を用いて実験的に求めたものである.Gurney Flapは高速走行する自動車に装着されることの多い高揚力装置であり,1970年代にDan Gurney氏によって考案された装置である. 実験条件はRe=6.5×105であり,Gurney Flapの大きさは翼弦長に対して0%,1%,2%,3%,4%,5%,6%の高さの装置を装着する.実験よりC<>L</>曲線の変化の傾向を維持した状態での揚力係数は高さが4%のものが最も高く,翼のみの状態に比べ2倍の効果を発揮した.また変化の傾向が異なるが揚力係数がより高くなるFlapもあった.抗力係数は高揚力装置の高さを高くするほど同じ迎角でも上昇する傾向を示した.揚抗比はFlap高さが低い状態ほど高く,4%の高さの装置を装着している状態では装着していない状態と比較して74%まで減少した.これらの結果よりGurney Flapは翼重量の増加を最小限として揚力係数を得たい場合や動力の余力があり抗力係数を考慮する必要性が低い場合に最大限の能力を発揮する.