著者
大内田 裕
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.142-147, 2017-09-30 (Released:2017-12-07)
参考文献数
16

Almost all the amputees feel the existence of the amputated limb after limb amputation, which is known to be phantom limb. Many amputees can move and control their phantom limb at their will and they report that they receive sensory feedback of the phantom limb while phantom limb moving. Further, approximately 50–80% of them have pain on the amputated limb, phantom limb pain. A possible mechanism for phantom limb is that the information of the body in the amputee's brain is not updated after amputation for some reason, causing this illusory feeling of the amputated limb. This phenomenon suggests that our body perception depends largely on the body information in the brain formed from sensory information of multimodal sensors in the body. For understanding the mechanism of our perceptual system, to examine the mismatch between actual sensory information in the environment and our perception is very useful. Thus, to elucidate the phantom limb will provide us with rich information to help understand the mechanism of our body perception.
著者
伊藤 良一 杉谷 政則 稲垣 宏之 瀬戸口 裕子 内田 裕子 伊藤 建比古
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.278-285, 2013-06-15 (Released:2013-07-31)
参考文献数
14
被引用文献数
1

低タンパク食の継続摂取により,コラーゲン合成が低下し老化状態に類似したモデル動物が得られることが報告されている.今回加齢モデル動物でのコラーゲンペプチドの有効性を検討するために,タンパク含有率6 % の低タンパク飼料を3週間与えたWistar系の雄ラットにホルマリン濾紙法により皮下肉芽組織形成を誘導し,コラーゲンペプチドの経口投与が肉芽組織コラーゲン量の増加に及ぼす影響を検討した.また,他の食品由来ペプチド,タンパクの作用とも比較した.次の結果が得られた.(1)低用量群0.2 g/k体重,中用量群1.0 g/kg体重,高用量群5.0 g/kg体重のコラーゲンペプチドおよび対照群として水を7日間経口投与した.その結果,肉芽組織湿重量の濃度依存的な増加がみられた.また肉芽組織中に含まれるHYP量は肉芽組織湿重量と正の相関(相関係数0.837)を示した.(2)コラーゲン線維を特異的に染色するシリウスレッド染色により組織画像解析を行った.画像デジタル処理により肉芽組織の量,コラーゲン線維の密度,コラーゲン線維の量を求めたところ肉芽組織の量,コラーゲン線維の密度はコラーゲンペプチド摂取によって増加傾向が見られ,同じくコラーゲン線維の量に関しては有意に増加が認められた.(3)コラーゲンペプチド,カゼインペプチド,大豆ペプチド,乳タンパクをタンパク濃度1.0 g/kg体重となるよう経口投与し対照群と比較した.タンパク源投与群全ての群で肉芽組織湿重量の増加が認められた.特に,肩甲骨の肉芽組織湿重量はコラーゲンペプチドおよびカゼインペプチドで有意な上昇がみられた.仙骨両側の肉芽組織湿重量も肩甲骨の肉芽組織と同じくタンパク源投与群全ての群で湿重量の増加傾向が示されたが,有意差はコラーゲンペプチドのみみられた.肉芽組織中の水分含率に差はみられなかった.肉芽組織中に含まれるHYP量については肉芽組織湿重量と同様の傾向を示し,コラーゲンペプチド摂取によるHYP量増加が有意差をもって確認された.その他のタンパク源についても増加が示されたが,対照群と比較して有意な差ではなかった.これらの結果より,加齢モデルラットにおけるコラーゲンペプチドの経口投与は肉芽組織でコラーゲン量を濃度依存的に増加することが示された.また,ペプチド,タンパクの投与は種類に関わらず肉芽組織湿重量を増加させたが,本実験においてHYP量の増加とあわせて有意差が認められたのはコラーゲンペプチドのみで,組織コラーゲン量の増加におけるコラーゲンペプチドの優位性が示唆された.
著者
会津 直樹 鈴木 栄三郎 大内田 裕 須藤 珠水 出江 紳一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0635, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】複合性局所疼痛症候群(Complex Regional Pain Syndrome以下CRPS)は,主に外傷後に起こる四肢の遷延する疼痛疾患であり交感神経機能の異常を伴い,リハビリテーションにおいて治療に難渋する。近年,CRPS患者の身体性や空間注意に介入し疼痛を軽減する新規手法がそれぞれ報告されている。しかしながら,CRPS患者では患肢自体に対する注意(身体性注意)が低下していること,一方で,患側空間への注意が過剰になっていることがそれぞれ報告されているため,効果的な治療法を選択する際に患者ごとに身体性注意と空間注意の両者の変化を捉える必要が考えられる。そこで,本研究では心理物理学的手法を用い,身体性注意と空間注意を同一環境で客観的に測定し,CRPS患者の身体性注意と空間注意の変化を明らかにする評価法を確立することを目的とする。【方法】健常者27名,手に症状を有するCRPS患者3名を対象にした。身体性注意を測定するために,患者は机の前の椅子に座り机上の左右のいずれかの位置に患側手を置き,もう一方に手の形をした模造手を置いた。PCにて反応時間課題を作成し,頭上のプロジェクターから視覚刺激を患側手上または模造手上のいずれかに提示させ,できるだけ早く健側手でボタンを押し,反応時間を記録した。健常者では左手の上に視覚刺激を提示させ,右手でボタン押しを行った。模造手上の反応時間から患側手の反応時間を引いた値を患側手の身体性注意量と定義した。さらに,空間注意を測定するために,机の上に患側手と模造手を位置させず,机上の左右空間に視覚刺激を提示させ反応時間を記録し,左右空間の反応時間の差を計算した。統計はone sample t-testを用い患者ごとに健常者と比較した。【結果】健常者において,身体性注意測定では,自己手上よりも模造手上の視覚刺激に対する反応時間が有意に早くなり,手の身体性注意量は22.2±11.9ms(平均±標準偏差)であった。さらに,空間注意測定では,左右空間への反応時間に差は認められず,空間注意の左右差は2.59±21.6msであった。患者では,健常者と比較して,患側手への身体性注意量(1.3ms)が有意に低下し,空間注意(2ms)には差が認められない1例,逆に,患側手への身体性注意量(17.2ms)には差が認められないが,患側への空間注意(30.9ms)が有意に低下していた1例,さらに,患側手への身体性注意量(11.7ms)も患側への空間注意(30.9ms)も有意に低下している1例を認めた。【結論】健常者において身体性注意と空間注意を同一環境で測定する手法を確立し,CRPS患者に対して身体性注意と空間注意を測定した。患者ごとに身体性注意と空間注意の変化が異なることを明らかとした。身体性と空間注意に介入する手法がそれぞれ存在するため,あらかじめ身体性注意と空間注意の変化を捉えておくことはCRPS患者に対する効果的な治療法の選択に有益な情報を与えてくれる可能性がある。
著者
丸田 恭子 園田 至人 内田 裕一 高橋 利幸 福永 秀敏
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.491-495, 2012 (Released:2012-12-26)
参考文献数
19
被引用文献数
4 7

症例は89歳女性である.四肢のしびれと筋力低下を訴え入院した.右視神経萎縮があり視力は手動弁,四肢・体幹の全感覚消失と四肢に中等度の筋力低下を認めた.間質性肺炎が認められ,MRIでは第2から第6頸椎レベルにかけて連続性脊髄病変があり,後索から灰白質中心にかけてガドリニウムにて造影された.抗核抗体640倍(speckled type),抗DNA抗体33.1 IU/ml,抗SS-A抗体40.4,抗SS-B抗体171.9,抗RNP抗体39.5と高値を示したことから,全身性エリテマトーデスやSjögren症候群による縦断性脊髄炎を考え,ステロイドパルス療法を施行した.症状は軽快し,頸髄の異常所見は消失した.その後,抗アクアポリン4抗体陽性が判明し,頸髄病変が再燃したためセミパルス療法を行い,プレドニゾロン10 mg/日を継続している.全身性エリテマトーデスやSjögren症候群による縦断性脊髄炎が報告されているが,視神経脊髄炎においては各種の自己抗体の上昇をともなう場合があり,視神経脊髄炎関連疾患も考察して抗アクアポリン4抗体を測定することが診断および治療の上で重要と考える.
著者
内田 裕 藤村 喜久郎 前垣 義弘
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第30回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.246-251, 2014 (Released:2015-04-01)

脳波の解析についてははっきりした分類法が確立していない.本論文では解析をするために必要な数値化に関しての検討事例を報告する.元の脳波データに対して時間的な差分処理をおこない,さらにその差分データをもとに一定時間間隔での平均を求めて数値化した例について報告する.
著者
明田 修 天野 貴文 内田 裕丈
出版者
Geographic Information Systems Association
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.23-28, 2007-06-30 (Released:2009-05-29)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2

In this study, the analysis system of evacuation action at the time of flood was developed using GIS. The system applied the network analysis which considers multiple refugees and shelters simultaneously and searches the shortest paths through the network links from halfway of the links. Moreover, the evacuation action was simulated in detail by linking network analysis and flood analysis. As a result, it was shown that the analysis system is applicable to plan suitable evacuation routes and shelters, and enlighten the residents on the importance of early evacuation.
著者
内田 裕太
出版者
解釈学会 ; 1955-
雑誌
解釈 (ISSN:04496361)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.11-20, 2016-07
著者
塚本 陽子 設楽 久美子 伊藤 郁乃 森田 三佳子 古田島 直也 見波 亮 内田 裕子 大島 真弓 新藤 直子 松井 弘稔
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.324-329, 2019-11-30 (Released:2020-01-28)
参考文献数
7

慢性呼吸器疾患患者の入浴に関する報告は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を対象としたものが多く症例数も少ない.本研究の目的はCOPDを含む慢性呼吸器疾患患者の入浴中の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の変動を後方視的に調査し負担のかかりやすい動作を明らにすることで効率的な動作指導を検討することである.作業療法士が入浴評価を実施した61名を対象に入浴を構成する各動作項目(脱衣,洗体,洗髪,体拭き,着衣)後のSpO2値を調査した.加えて入浴評価と6分間歩行試験(6MWT)を同じ酸素量で実施した25名を対象に入浴時と6MWT時のSpO2最低値を比較した.入浴時のSpO2値は体拭きで最低値を示し,約35%の患者は6MWTのSpO2最低値を下回った.入浴時は体拭きでSpO2が低下しやすいことを考慮し指導を行う必要がある.また労作時の酸素流量設定は6MWTに加え入浴評価も実施した上で決定することが望ましい.
著者
谷辺 徹 小澤 満津雄 鎌田 亮太 内田 裕市 六郷 恵哲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.104-117, 2014 (Released:2014-03-20)
参考文献数
44
被引用文献数
1 1

本論文では,高温環境下での高強度コンクリートの耐爆裂性評価における爆裂発生指標を提案した.すなわち,拘束リングにコンクリートを打設した供試体の一面加熱試験を実施した.この試験により,拘束条件下のコンクリートの爆裂規模を評価できた.拘束リングの円周方向ひずみの計測値から,円筒モデルよりコンクリートの拘束応力分布を推定した.その結果,加熱面からの断面深さ方向の温度分布に比例した応力分布が得られた.爆裂発生指標では,引張破壊のひずみ限界値を用いたひずみ破壊指数と爆裂破壊指数を提案した.本論文では,ひずみ破壊指数に着目した.試験で得られた爆裂進行深さの経時変化とひずみ破壊指数で評価した爆裂進行深さを比較した.その結果,爆裂開始時間と爆裂進行過程を評価可能であることがわかった.
著者
内田 裕之
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会誌 (ISSN:18802761)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.21-28, 2020 (Released:2020-01-25)
参考文献数
7

2018 年 6 月、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のための「持続可能性に配慮した運営計画」第二版(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、2018)が公開され、大会の温室効果ガス排出量の予測とこれに基づく具体的な削減対策が示された。2019 年 3 月には「持続可能性進捗状況報告書」(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、2019)が公開されており、大会における気候変動への対策が整理されるとともに、対策の進捗状況が公に報告されている。そして、この対策の中で、カーボンフットプリントによる CO2 排出量の見える化が重要な位置づけとなっている。オリンピック・パラリンピック競技大会は、言うまでもなく、国際的に最も大規模かつ世界中の注目を集めるイベントの一つである。そのため大会における気候変動対策は、今後のイベントにおける気候変動対策の参考となる。その対策の中でカーボンフットプリントによるライフサイクル視点の CO2 排出量見える化が重要な位置づけとなっていることは、LCA 手法の今後の活用において注目すべき事例である。本解説では、公開されている報告書の内容をもとに、大会の対策内容、カーボンフットプリントの位置づけを整理した。
著者
内田 裕之
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.366-370, 2021-06-05 (Released:2021-06-05)
参考文献数
9

燃料電池は,外部から供給する燃料がもつ化学エネルギーを電気化学反応により電気エネルギーに直接変換するクリーンで高効率な発電装置です.本稿では,各種燃料電池の作動原理,構成材料,応用例とともに,変換効率の計算法について概説します.また,燃料電池自動車(FCV)や家庭用燃料電池として市販され始めている固体高分子形燃料電池(PEFC)の電極触媒開発のトピックスも紹介します.最近では,固体高分子形水電解や固体酸化物形電解セルに再生可能電力を供給して高効率に製造・貯蔵した水素を工業的に利用したり,燃料電池で高効率に電力に変換する社会の実現を目指す研究が続けられています.
著者
黄 燕清 藤田 欽一郎 内田 裕久
出版者
社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会会報 (ISSN:00214426)
巻号頁・発行日
vol.18, no.10, pp.694-703, 1979-10-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
30
被引用文献数
15 16
著者
中澤 知洋 森 浩二 村上 弘志 久保田 あや 寺田 幸功 谷津 陽一 馬場 彩 幸村 孝由 内山 泰伸 斉藤 新也 北山 哲 高橋 忠幸 渡辺 伸 中島 真也 萩野 浩一 松本 浩典 古澤 彰浩 鶴 剛 上田 佳宏 田中 孝明 内田 裕之 武田 彩希 常深 博 中嶋 大 信川 正順 太田 直美 粟木 久光 寺島 雄一 深沢 泰司 高橋 弘充 大野 雅功 岡島 崇 山口 弘悦 森 英之 小高 裕和 他FORCE WG
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 72.1 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.508, 2017 (Released:2018-04-19)

NGHXTあらため、FORCE衛星は1-80 keVの広帯域X線を高感度で撮像分光し、まだ見ぬ隠されたブラックホールや超新星残骸のフィラメントでの粒子加速の探査を目指している。2016年に変更した計画の内容、検出器および望遠鏡の開発状況、およびサイエンス検討の進捗を報告する。