著者
内田 淳 森井 康宏 山脇 信博
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大學水産學部研究報告 (ISSN:05471427)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.45-50, 2008-03

近年、海上を漂うゴミ及び海岸に打ち寄せるゴミについて陸上のゴミ問題の昂揚と相まって、その環境に与える影響の大きさが指摘され、注目されるようになってきた。それとともに、海底に堆積したゴミについても瀬戸内海や都市沿岸の海底のゴミがようやく問題視されるようになった。しかし、外洋である海底のゴミについては調査そのものが困難であるため、公表されたものは少ない。洋上における廃棄物の処理についての規定として、国際的にはマルポール条約が、また、国内では海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律によって規制されおり、規制内容は年ごとに厳しくなってきている。例えば、廃プラスチック類についてみると、2003年までは排出海域が領海の基線から3海里以遠で、灰の状態であれば排出可能であったが、2004年からは海洋での排出はいかなる海域においても、また、灰であっても一切禁止、すべて陸上廃棄となった。しかし、規制は厳しくなっても既存の船にとっては、処理設備を設置するための経済的な問題、スペースの問題がある。新造船では建造費は嵩み、スペースをとるには船体を大きくする必要があり、対応が難しい。特に漁船にとっては、到底ゴミの処理にまで手が回らないと考えられ、ゴミの処理に関しては従来通り海洋投棄に頼っているのではないかと推察される。加えて、海のゴミは陸上から流れ込むものもあり、ゴミ対策が進まない一因にもなっている。そこで著者らは、練習船によるトロール操業の際に引き上げられるゴミの実態調査を行い、海底ゴミの現状を把握し、今後の処理方法等について考察した。
著者
宮城 政雄 内田 干城 米田 隆志 小山 浩幸 舟久保 熙康
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.840-844, 1998-06-05
参考文献数
7
被引用文献数
4 3

The number of lower limb disabled people have lately been increasing because of traffic accidente and aging society. Most of the lower limb disabled people daily live on wheelchairs. Stairs and step are considerable obstacles for the people whose living depends upon wheelchairs. Although stair climbable robots have been developed as robots for extreme tasks, they are of large size, and heavy weight, and too forceful for stairs at home or hospitals. Therefore they are not suitable for welfare purpose at home or hospitals. This study aims at the development of stair clibing wheelchair which offers assistance to the lower limb disabled people. The stair climbing wheelchair has been developed for welfare purpose. The second report described hou to develop stair climbing mechanism of leg and wheel type wheelchair. This report describes how to succeed in automating stair climbing by loading new developed measurement system on the stair climbing wheelchair.
著者
高橋 英雄 植田 啓一 宮原 弘和 渡辺 紗綾 内田 詮三 鎗田 響子 村田 佳輝 板野 栄子 高山 明子 西田 和紀 猪股 智夫 矢口 貴志 佐野 文子 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.34, 2007

水族館飼育下イルカのnon-<I>albicans Candida</I> spp.保菌が健康管理および観客への安全上問題となっているので、飼育されているイルカ20頭の呼気と飼育プール水の病原性酵母叢を昨年8月および本年2月に調査した。さらに飼育関係者24名の口腔内と観客席空中浮遊菌の病原性酵母叢の調査を本年2月に行った。保菌イルカは14頭 (70%)、分離株は<I>C. albicans</I>、<I>C. tropicalis</I>、<I>C. glabrata</I>で、1頭を除き2回の調査とも保有菌種は同一で、大多数の株はアゾール薬に耐性傾向を示した。また、4個体は1呼気あたり数十から数百の病原性酵母を噴出していた。飼育プール水の検査では8箇所中5ヵ所から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. など、飼育関係者の口腔からは24名中5名から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. などが分離され、一部にアゾール薬に耐性傾向を示す株も含まれていた。観客席空中からは<I>Candida</I> spp.など数株の酵母が分離された。しかし、病原性酵母を噴出しているイルカの呼気が観客に直接かかるような状況はなく、実際に観客席空中からイルカとの共通菌種が分離されなかったため、イルカショーで発生するエアロゾルによる観客への影響は少ないと思われる。一方、イルカ、飼育環境、飼育関係者との間では<I>C. albicans</I>が共通して分離されていたので、現在,遺伝子パターンの解析を進めている。また、イルカの真菌保有の有無は健康状態の指標となりうると思われた。
著者
松原 康策 仁紙 宏之 岩田 あや 内田 佳子 山本 剛 常 彬 和田 昭仁
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.7-12, 2012
被引用文献数
2

わが国の小児期侵襲性肺炎球菌感染症 (invasive pneumococcal disease,IPD) の季節変動とそれに関連する因子を明らかにするために,地域中核病院小児科で IPD 患者を後方視的に検討した.対象は,1994 年7 月から2011 年 6 月までの 17 年間に西神戸医療センター小児科で IPD と診断された 15 歳以下の 72 例 (2回の反復例を3 例に認め,患者数は 69 症例) である.疾患内訳は occult bacteremia 48 例,肺炎10 例,髄膜炎10 例,眼周囲蜂窩織炎3 例,乳突洞炎1 例であった.IPD の関連因子として,1) 月齢,2) 同胞数,3) 未就学の同胞数,4) IPD 発症時の本人の保育園・幼稚園の通園の有無,5) 未就学の同胞がいる場合にその同胞の通園の有無の 5 因子を,カルテ記載または電話問診で調査した.季節変動の結果は,4~5 月 (n=21) と 11~12 月 (n=20) の二峰性のピークを形成し 7~9 月 (n=8) の夏季に最も少なかった.4~5 月の 21 例はその他の月に発症した 51 例と比較して,本人の通園している割合 (4~5 月群vs その他の月に発症群,12/21[57.1%]vs 12/51[23.5%];odds ratio,4.3;95% confidence interval,1.5~12.8;p=0.006) においても,また,本人,かつ/または,同胞が通園している割合 (17/21[80.9%]vs 27/51[52.9%];odds ratio,3.8;95% confidence interval,1.1~12.8;p=0.027) においても有意に高かった.しかし,発症月齢 (中央値:14 カ月 vs 15 カ月),同胞数 (0 人[9 例],1 人[11 例],2 人[1 例]vs 0 人[21 例],1 人[27 例],2 人[2 例]),未就学同胞数は 2 群間に相違を認めなかった.一方,11~12 月の第 2 峰群とその他の月群においては上記 5 因子に有意な相違を認めなかった.<BR> 以上から,わが国の小児期 IPD は二峰性の季節変動を示し,4~5 月のピークは通園者が有意に多いことが判明した.4 月からの集団保育への参加が肺炎球菌の保菌率の上昇をもたらし,4~5 月の小児期 IPD のピークを形成する重要な要因のひとつと推測された.
著者
内田 昌男 柴田 康行 大串 健一 阿波根 直一 干場 真弓
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2004年度日本地球化学会第51回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.96, 2004 (Released:2007-02-23)

過去10万年にわたるグリーンランド氷床コアの解析によると、最終氷期の間に起こった数百年程度規模の突然かつ急激な大気中メタン濃度の上昇が、海底下のメタンハイドレートの急激な分解によるものであるとの仮説がある。本研究では、過去に生じた大規模な気候変動とメタンハイドレート崩壊の関連性を明らかにするため、現在メタンハイドレートが存在していることが明らかになっている下北半島沖で採取された柱状堆積物コアについて解析を行った。本研究では、堆積物試料に保存されている有孔虫化石・様々なバイオマーカーについて分析を行った。その結果、海底下からのメタン放出によると示唆される浮遊性および底生有孔虫の炭素同位体比の異常値が見つかった。さらに同層準からは、メタン酸化細菌由来のバイオマーカーの炭素安定同位体比の異常も発見された。最大のメタンシグナルは、最終氷河期の25600年前の温暖期に相当することがわかった。
著者
大西 梨沙 内田 あや 加藤 恵子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.63-67, 2015-03-31

高齢者と高校生の菓子に対する意識についてライフステージ別の特徴を明らかにすることを目的とした.高齢者(65 歳以上)の女性28 名と,女子高校生75 名を対象に,菓子について質問紙法調査を行った.その結果,菓子を食べる頻度では,「ほぼ毎日食べる」が高齢者(46.8%),高校生(48.0%)と多かった.好きな菓子については,高齢者は,「米菓」や「まんじゅう」を好む者が多かった.高校生は「チョコレート」や「スナック菓子」を好む者が多かった.世代間で好きな菓子に違いがみられた.菓子について日頃気にしていることでは,両世代とも「おいしさ」が多かった.他に,高齢者では「糖分」,「脂肪分」,「塩分」,高校生では「値段」,「カロリー」を挙げていた.菓子を食べることは体や心にとって大切と思うかでは,「思う」が多く,その理由は,両世代とも「ストレス解消」「気分転換」「コミュニケーション」だった.世代間で好まれる菓子は異なっていても,菓子には「おいしさ」を求め,菓子を食べることは体や心にとって大切ととらえていた.菓子は両世代において「気持ち」の面でQOL の向上に寄与していることが推察された.
著者
武田 誠一 上野 公彦 山口 繁 萩田 隆一 内田 圭一
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.55-64, 2003-07-15
参考文献数
10

2001年台風第15号,および2002年台風第21号が東京湾を通過する際に実海面で得られた資料を基に,波高の短期統計量等について解析を行った。資料は,東京水産大学練習船海鷹丸ならびに神鷹丸に設置されている,マイクロ波式波高計により計測されたものである。解析の結果,一般船舶や漁船の安全運航に対して,有義波高や最大波高を推定する従来の方法が,台風通過時においても有用であることが確認された。一方,台風通過時の海面においてもP-M型スペクトルで一様に近似して表現することが難しいことが確認された。
著者
内田 純一
出版者
北海道大学
雑誌
大学院国際広報メディア研究科言語文化部紀要 (ISSN:13470280)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.33-64, 2003-03-14

The purpose of this study is to analyze the role that the corporate strategy plays in theeBusiness. Finally, it is tried to propose a strategic course when the business domain isenhanced to eBusiness area.In a typical research on current eBusiness, The question of the method of the new entryto eBusiness is still open. Moreover, it has been said that the core resource is importantwhen entering about eBusiness by a current early research. However, the method ofclarifying the core resource at a start-up stage of the business is unsettled.In this text, the aspect of value creation was introduced as an index which clarified thecore resource. The aim is in giving the concept of value to a past theory about ResourcebasedView of the firm.This research provides the value creation process in eBusiness by an empirical study.The comparison case study of the theory verification type was chosen as a research methodfor the solution of the research topic. Two companies were picked up as a material of thecase study. The first case is "AMAZON. COM". This case concerns the Internet distributorof the retail goods including the book. The second case is "DELL. COM". This caseconcerns a direct distributor of the personal computer and the network equipment.These cases were analyzed by using "Layer model of the business system" which wasthe research framework of this research. It is possible to pay attention to the coreresource of the enterprise by using this framework.As a result of this research, the mechanism of the value creation process by the use ofthe core resource became clear. In conclusion, I proposed the portfolio to select thestrategic course in eBusiness.
著者
川本 佳代 古谷 美夏 宮脇 綾子 内田 智之 平嶋 宗 林 雄介
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1L301, 2018 (Released:2018-07-30)

現代社会において,論理的思考力は最も重要な能力の1つである.高等学校学習指導要領解説においても,論理的な思考力の育成は重視されており,特に高校の数学教育において数学証明を扱うことが論理的思考力の育成に役立つと述べられている.本稿では,数学の証明論法の中でも背理法と対偶法に絞り,数学的な表現力および構成力の習得を通して,表現力を含む論理的思考力の育成を目指した論理的思考力育成システムを提案する。さらに,Android Tablet上に実装したシステムを用いた評価実験により提案システムの有用性を示す.
著者
内田 實
出版者
札幌大学
雑誌
札幌大学女子短期大学部紀要 (ISSN:02888211)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.21-29, 1989-02-28

日本における人口集中地区で10万人以上の都市は142あり,100万人以上の都市は11である。北海道は東京,横浜,大阪,名古屋に次ぐ第5位の札幌と,10〜30万人の6都市があるにすぎない。本州の都市の成立は近畿の古代都市を除けば,中世の城下町,港町に起源をもつ都市が多いのに対し,北海道の都市は,その発展過程において事情が著しく異なる。ここでは北海道総人口の27%を占める札幌市の成立過程において,計画的植民都市として建設された札幌が,現在のプランにならざるを得なかった社会的背景と,現市域に編入されている旧町村の開拓環境について考察した。明治初期の北海道の人口を洪武政夫明治8年版によってみると,人口1万人以上の都市80(全国)のうち北海道は函館と福山(現在の松前)2ヵ所のみで,総人口17万人のうち渡島・桧山・後志に76%が集中し,札幌は1,785人,同12年でも2,910人に止まる。札幌の都市プランからみると,明治2年北海道と改め,10月鍋島直正に代った東久世通禧が開拓使長官となって箱館へ到着,11月判宮島義勇は札幌の地へきて石狩指図によって本府敷地を定めた。その場所は旧札幌図の用水沿い銭函道の交点付近で,この用水は大友亀太郎(幕臣箱館奉行付)が,石狩開拓のため慶応2年伏籠川流域に元村を建設したときの用水で,御手作揚が康午1の村〜3の村の原形となる。開拓使の本庁作りは島の独走で中断をよぎなくし,同4年判官岩村により市街地割が継続された。大友堀の関門の常に市街地,北に官庁,その間に60間(実際は58間)の防火帯(現在の大通公園)を設け,本庁周辺の道路は20間,その他15間半,13間半,市街は方60間に11間道路をつけた。本庁の西側は公園と玄関からなり琴似村へ接続する。これを京都などの方格都市を範としたものとの説があるが,1町60間四方の区画は,殆んどの日本の都市を支配する地割で,京都の場合40丈となるから一致せず,道幅においても相違する。また新しいプランにも拘らず磁北から1度5分,真北から10度15分西寄する。この原因は大友堀とそれに併走する東側道路を基線としたことにあった。屯田兵村は明治8年琴似に始まり,8年山鼻,発寒,11年江別,18年野幌,20年新琴似,22年径路と,32年条令廃止まで24兵村が全道に設けられるが,その7兵村が札幌を囲繞する。山鼻兵村の道路は旧札幌区に接続するにも拘らず,札幌市街より5度6分傾けて4度45分西寄する。その背景には兵部省(薩摩・長州)と開拓使(佐賀)との軋轢が介在し,中央政庁の内部関係と同様な政争の愚が札幌の都市プランに反映したからに外ならない。現在の都市の道路・区画のあり方が,その時代という以上にその時点でのプランに反映していた植民地ならではの遺産であった。また御雇外国人による近代的な都市プランヘの影響などといわれるが,その痕跡もないこと,及び札幌に移住した人々の出身地の特長等についても若干付言した。