著者
佐藤 伊織 戸村 ひかり 藤村 一美 清水 準一 清水 陽一 竹内 文乃 山崎 喜比古
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.39-49, 2004

我々は、不妊治療と出生前診断について、一般市民の知識・信念・態度を、自記式調査票により調査した。東京都N区の住民基本台帳から30代〜50代の者179名を無作為抽出し、そのうち住所の明らかな169名を対象とし、99の有効回答を得た。各調査項目と属性間、一部項目間の二変量の関係についてPearsonのx2検定を行った。不妊治療の知識やそれへの態度については、男女に明確な差は認められなかった。しかし、女性の方が不妊治療をよりシビアにとらえる傾向が見られた。市民の中には、不妊を夫婦双方の問題として取り組む姿勢も見られ、これからは実際に男性からも積極的に不妊治療に参加できる環境を整えることが望まれる。出生前診断や中絶に関する態度は、その人の年代・子どもの有無によって違いが見られた。出生前診断が必ずしも優生思想や障害者差別に結びつくものではないという点について特に、認識の普及が必要である。
著者
森 芳郎 古城 健志
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.172-179, 1954
被引用文献数
1

球を粉体層へ落下させて貫入率を測定し,高速度写真を用いてその貫入率と衝撃力との関係を求め,更に球の下面の応力集中係数を理論的に解析して,最大衝撃応力を表わす式を次の如く決定した。<BR>この式によれば,従来ボールミル粉砕に関して得られている経験的事実がよく説明される.
著者
八田原 慎悟 藤井 叙人 古屋 晋一 風井浩志 片寄 晴弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.2782-2795, 2009-12-15

脳活動とテレビゲームの関係に注目した関連研究の多くで,テレビゲーム実施時の前頭前野活動の低下が報告されてきた.しかし,これらはゲーム初中級者を対象としたものに限られ,熟達者の脳活動の活動様相および熟達にともなう変化については未解明の点が多い.本研究では2名の熟達者が「未熟達のゲーム」に訓練を重ねて熟達していく過程で脳活動にどのような変化が起こるのかを運動技能とあわせて検討を行った.その結果,当該熟達者の前頭前野活動は,学習初期に上昇し,学習中期には低下し,学習後期には再び上昇するというU-shapeを示した.Previous studies have focused on the relation between playing video games and brain activity. Most of these studies have reported that the prefrontal cortex shows decrease in its activity during playing video games. However, it seems reasonable to assume that the effect of playing games on the brain activity is dependent on the player's mastery level. As an initial step to address this issue, we examined brain activity at the prefrontal cortex while two top-level game players ("masters") were learning to master video games using functional near-infrared spectroscopy (fNIRS). Results demonstrated that their prefrontal activity during playing the game varied with the stage of learning; it increased at the early stage of learning, then decreased, and increased again at the later stage. These findings imply that prefrontal activity during playing the game might change in relation to learning stage and expertise, presumably which would provide implication for designing and programming a novel video game.
著者
中井 幸比古
出版者
神戸市外国語大学
雑誌
神戸外大論叢 (ISSN:02897954)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.21-41, 2007-09
著者
加古 大貴 前田 貴彦
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.75-81, 2013-07-20

本研究は、小児看護において入院中の患児と付添い者をケアする上で、男性看護師が認識する困難を明らかにすることを目的に、小児病棟に勤務する男性看護師6名に半構成的面接を実施し、質的帰納的に分析した。分析の結果、困難として【思春期の女児への羞恥心を意識したケアの実施】【思春期の女児との良好な関係づくり】【男性が苦手な患児のケア】【授乳や母親の入浴場面に遭遇した際の対処】【母親が抱く思いへの共感】【女性看護師とケアを交代する際の調整】の6つが見出された。また、これらの中には成人看護と共通する困難も含まれていた。しかし、〔授乳場面に遭遇した際の対処〕や〔男性が苦手な患児のバイタルサイン測定〕といった小児看護特有の困難もみられた。そして、これらの困難を軽減するためには、基礎教育や現任教育の充実とともに男性・女性看護師が協同していく必要性が示唆された。
著者
古山 公英 黒岩 茂 河合 正計 立川 哲彦
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.85-91, 1983

メチル水銀を多量に含むマグロ肉の摂取に対しては同時に共存するセレンが毒性を減じているという報告がある.一方, マグロ肉を長期摂取すると染色体や病理所見に異常がみられるという報告もある.しかし, 比較的一般人よりマグロ肉を多食すると思われ, また, 毛髪中水銀濃度が高濃度であるマグロ漁船員には異常な所見がみられたという報告はない.そこで今回, 凍結乾燥したカジキマグロ肉45%含有する飼料を作製し, ネコに対して長期投与実験を行い生体への影響を追試した.3年間という長期投与期間のため, 急性伝染病の感染などがあり生存例が少なかったために明確な結論は得られなかったが, 1,175日屠殺例の臓器内蓄積量は対照群に比べ多く, 途中死亡例と比較しても数倍高い値であり, 長期飼育での蓄積の増加がみられた.小脳における総水銀に対するメチル水銀の割合はおのおの57.2, 93.2%と高く, 肝では逆にこの割合は低く, 肝での無機化が示きれた.染色体の異常および神経症状を主とする発症はみられなかった.しかし, 病理組職学的検索においてはメチル水銀中毒所見と思われる小脳の穎粒細胞の脱落, 消失とプルキニエ細胞の消失がみられた.このことはカジキマグロ肉の大量長期摂取は注意を要すると考えられるが, 今後さらに動物数を増加し, dose-response, dose-effectの関係を確かめる必要かあると考えられる.
著者
古川 緑波
出版者
改造社
雑誌
改造文芸
巻号頁・発行日
vol.1, no.6, pp.70-73, 1949-12
著者
布川 真記 古瀬 みどり
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_93-2_100, 2009

本研究の目的は,外来化学療法中のがん患者が,どのようにセルフケア行動を行い治療を継続しているのかを明らかにすることである。研究対象者は,外来化学療法を行っているstageⅢの消化器がん患者11名である。半構成的面接法による調査を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにて分析した。患者がセルフケア行動を取り治療を継続する過程には,治療に伴う身体変化の自覚,セルフケア行動,健康を判断できる条件,支援者,治療に対する満足感と"家族を守るために長生きしたい"があった。患者が取るセルフケア行動には,体重を自己管理の目安にする,日常生活の規則化,日常生活と治療の折り合いをつける,医師との有効な治療関係の維持があった。患者は,セルフケア行動を行うことによって自分自身の健康が判断できており,満足感を得ていた。そして,治療に対する満足感は,患者のセルフケア行動を後押ししていた。外来化学療法患者がセルフケア行動を取り治療を継続できるよう支援するためには,患者自身が健康を判断できるような指導と治療に対する満足感を高められるような外来サービスの提供が必要であると示唆された。
著者
石岡 卓也 米田 貴雄 吉井 伸一郎 古川 正志
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.680-688, 2007-12-15 (Released:2008-03-17)
参考文献数
17
被引用文献数
2

本研究は,実社会の情報伝播の一部分を成すブログ上の情報伝播に着目し,その特性として特に重要であると考えられる情報伝播規模がどのように分布するか,またその分布を決定付ける要因が何であるかを明らかにすることを目的とする.そのため,実ネットワークで観測したブログ上における情報伝播の規模分布の結果と,その数理モデルによる結果を比較し,適切なモデルを得る.情報伝播の規模は,トラックバックの連鎖によって情報が幾つのエントリへ伝播したかを採用した.数理モデルとしては複雑ネットワーク上のパーコレーションを適用した.結果として,ブログ上の情報伝播規模は,スケールフリーネットワーク上のパーコレーションと類似することが分かった.
著者
堀川 慎一 古橋 武 内川 嘉樹
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.906-928, 1992-10-15
被引用文献数
56

最近、ニューラルネットワークをファジィ推論におけるファジィルール等の同定に応用する研究が盛んに行われている。本論文では、このようなニューラルネットワークをファジィニューラルネットワーク(Fuzzy Neural Network : FNN)と呼ぶ。 著者らはこれまでに、ファジィルールの後件部が定数および一次式で表されるファジィ推論を実現した2種類のFNNを提案してきた。これらのFNNは、ファジィルールの同定とメンバーシップ関数の調整を自動的に行うことができ、学習結果をファジィルールとして容易に把握できるという優れた特徴を持つが、同定されたファジィルールや学習時の結合荷重に対する学習率設定に問題があった。 本論文では、上記のFNNに対して前件部に規格化演算を行うユニットを導入することにより重心法を実現する手法を提案する。重心法によれば、ネットワークの入出力関係や対象システムの特性を正確に表したファジィルールの同定が可能となる。さらに、後件部がファジィ変数で表される推論法に基づく新しいFNNを提案する。そして、学習における学習率設定の煩雑さを低減する手法について述べ、簡単な数値例により本FNNの有用性を示す。本FNNの前件部メンバーシップ関数は学習において優れた特徴を持ち、バックプロパゲーション法により適切に調整される。また、同定されたファジィルールは対象システムの特性をよく表している。

3 0 0 0 OA 張州府志

著者
名古屋史談会 編
出版者
名古屋史談会
巻号頁・発行日
vol.第1, 1916
著者
輪島 幸治 林 正樹 古川 利博
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.17, pp.85-88, 2013-03-08

個人によるCGの制作が活発になってきている.MMD (MikuMikuDance)と呼ばれるCGムービー制作ツールは,コンテンツキャラクターのCGを有志が制作することで有名である.MMDで制作された動画はキャラクターのファンの間で人気が高く,動画を制作したいユーザは多い.しかし操作が難解なため専門的な能力を持たないユーザが動画を制作するツールとしては敷居が高い.一方,動画制作の手法にT2V (Text-to-Vision)という専門的な能力を持たなくとも動画を制作可能なメディア変換技術が提案されている.そこでT2VによるCGオブジェクトの再利用を検討する.T2VによるMMD向けCGオブジェクトの再利用が可能となることで,ユーザの容易な動画作成を可能とし,コンテンツ共有サイトのさらなる発展が期待できる.本稿ではT2VとMMDによるそれぞれのCGオブジェクトの形式比較を行い,T2Vを用いた描画検証を行う.そして今後T2VアプリケーションにてMMD向けCGオブジェクトを再利用する際の課題を明らかにする.
著者
松村 謙一郎 田島 平一郎 南野 毅 古賀 満明 前田 滋 矢野 右人
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.1123-1127, 1987-08-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
17
被引用文献数
2

アマニタトキシン(キノコ毒)中毒による劇症肝炎の症例を報告する.45歳,男性,増強する黄疸を主訴として来院.入院時の血液生化学検査でGOT3,410IU/l, GPT 3,762IU/l,プロトロンビン時間150秒以上と著明な肝機能障害を認めた.経過中,肝性脳症II度発症したため,劇症肝炎の診断の下に治療を開始する.病歴,検査結果より典型的アマニタトキシンによる劇症肝炎と診断.血漿交換等を含む積極的治療をおこなった結果臨床症状は回復に向い,救命しえた.本邦においてアマニタトキシン中毒による劇症肝炎の報告はいまだなく,稀有な症例と考え報告する.
著者
近藤 敬比古 小林 富雄
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.907-915, 2007-12-05
被引用文献数
2

CERNで建設中のLHC加速器はもうすぐ完成し物理実験が始まる.これにより人類史上で初めて1 TeVのエネルギー領域を探索することが可能になる.素粒子のより基本的な姿を研究する上で,この1 TeV領域を探索することが特別に重要であるとする明確な理由が存在する.標準モデルの中で唯一の未発見の粒子として残っているヒッグス粒子はほとんど確実にLHC実験によって発見される.さらに超対称性粒子の発見など,標準モデルを超える新しい素粒子物理の兆候を捕らえる可能性も非常に高い.暗黒物質の発見もありうる.ここでは小特集のイントロダクションとして,LHC計画の目的や経過を概説した上で,LHC加速器と四つの実験の紹介,および日本によるLHCプロジェクトへの国際協力参加の現状を述べる.