著者
古川 智恵子 中田 明美
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.9-18, 1986-03-01

今回の実験によって,長い歴史の中で人間の経験上から設定された,仕事着としての腰巻丈は,膝丈から膝上10 cm までの丈に着装されていたこと,また,それ以上の短い場合には,脇スリットを作り,前開きを分散させて,下着としての限界の機能を果させている事の意味が検証できたと考える.即ち,下肢の運動拘束性を,でき得る限り最小に,機能性を最大限に,併せて下着としての股間の隠蔽の機能をも満たす為の限界の丈なのである.腰巻の機能性は,その形態にある.前打合わせ形式である事は,着脱が簡便で,着衣に融通性があり,また,動作姿勢に応じて幅,丈ともに自在に適応出来る.また,構成が簡単で誰にでも作れるという利便性も見逃せない.長方形のシンプルな布,つまり腰巻は,何千年もの間,表着の幾多のめまぐるしい変化に対しても,殆ど影響を受けず,現在まで引き継がれてきた.それは,腰巻が人間工学的な機能美を最も追求した衣であったからである.伝統ある腰巻の形態や機能性は,今後も日本の民族服である和服が続くかぎり,幾世代にもわたって新しい磨きをかけられながら生き続けていくことであろう.
著者
佐藤 翔 永井 裕子 古賀 崇 三隅 健一 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.383-402, 2011-09-27 (Released:2011-12-13)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

本研究では機関リポジトリへの論文登録がその論文の被引用数と電子ジャーナルのアクセス数に与える影響を明らかにするために,『Zoological Science』掲載論文を2つの機関リポジトリに登録し,被引用数と電子ジャーナルアクセス数への影響を観察する実験を行った.実験は2008-2010年にかけ行い,実験前後の機関リポジトリ登録論文の電子ジャーナルアクセス数,被引用数の変化を,登録しなかった論文と比較した.また,機関リポジトリ登録論文の利用状況を分析するとともに,機関リポジトリ利用者と電子ジャーナル利用者をIPアドレスに基づき比較した.その結果,機関リポジトリへの登録により電子ジャーナルアクセス数が減ることはなく,新たな利用者を獲得できていた.しかし論文の被引用数を増やす効果はなかった.機関リポジトリ利用者の多くが動物学研究者ではなく,他分野の研究者や一般市民であったためと考えられる.
著者
金好 純子 古田 貴音 蔵尾 公紀 山口 聡
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.5-10, 2008-01-15

カンキツにおいて三倍体育成の交配親となる単胚性四倍体を作出するため,コルヒチン処理した腋芽を接ぎ木する方法により染色体倍数化を行った.その結果,8品種・系統で19個体の四倍体を得た.四倍体が得られた品種・系統は,'大橘','水晶ブンタン','農間紅ハッサク','清見','安芸タンゴール','西之香','ありあけ'および'広島果研11号'であった.作出した四倍体'清見'を種子親として二倍体'大橘'を交配すると,一果実当たりの三倍体獲得数は7.68であり,二倍体'清見'×二倍体'大橘'の0.05,二倍体'清見'×四倍体'大橘'の0.16に比べて,極めて効率よく三倍体が得られた.また,他の単胚性四倍体を種子親とした二倍体との10組み合わせの交配においても,三倍体が効率的に得られ,一果実当たりの三倍体獲得数は,四倍体'ありあけ'では0.47〜0.91,四倍体'日向夏'では2.13〜2.86,四倍体'クレメンティン'では4.25〜6.00,四倍体'清見'では6.79〜11.33であった.この10組み合わせの交配では,主に小粒の完全種子を形成したが,培養すると79.1%が植物体に再生して,そのうち99.8%(487個体)が三倍体であった.
著者
古賀 浩平
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は大脳皮質における高次脳機能を明らかにすることであった。特に以下の点に焦点を絞って研究を行った。A)無麻酔下サル大脳皮質からのin vivoパッチクランプ法の確立、B)生理的感覚刺激によって誘起される応答をシナプスレベルで解析し、皮質における情報処理機構を明らかにする。以下の実験は、生理学会や疼痛学会など国内外の学会の研究指針および倫理規定に従って行った。1)一年目の研究実施計画(麻酔下サル大脳皮質からのin vivoパッチクランプ記録法の確立)を継続して行った。サルの大脳皮質からパッチクランプ記録を行う際、呼吸由来の脳の揺れが想像以上に大きかった。その為、現状では記録の確立が困難であると考え、記録法の習練が必要と考えた。2)従って、上記の実験を続けながら、小動物からの記録法も同時に目指した。その結果、幼若から成熟までのラット及びマウスの大脳皮質第一次体性感覚野から、麻酔下でin vivoパッチクランプ記録法を適用した。長時間の安定した記録を確立し、受容野へ生理刺激(ブラシ、熱、ピンチ刺激)を行いその応答を解析した。さらに、アジュバンドを用いて後肢に炎症が生じたモデルラットを作製し、正常状態での皮質深層細胞の膜特性及び生理刺激によって誘起される性質を比較した。炎症モデルラットでは、熱及びピンチ刺激で大脳皮質第一次体性感覚野の深層細胞にはより大きな膜の脱分極が観察された。これは第一次体性感覚野V層の錐体細胞は皮質視床路から入力を受け、視床を主に運動野、第二次体性感覚野、脊髄へ軸索を伸ばしている細胞であることから、痛みの高次統合機能を活性化する出力系と考えられる。これらの結果は、国際疼痛学会で発表した。3)1)の実験途中でサルが死亡し、以降供給ができなかった為、研究を継続することができなくなった。
著者
島岡 政基 西村 健 古村 隆明 中村 素典 佐藤 周行 岡部 寿男 曽根原 登
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.7, pp.871-882, 2012-07-01

通信の安全を確立するサーバ認証を適切に行うには,パブリック認証局から発行されたサーバ証明書が必要である.しかしながら,過去にはパブリック認証局から発行を受けることの重要性が正しく認識されてこなかったことがあり,更には商用のサーバ証明書は審査手続きが煩雑な上に学術機関の実態に沿っていないなどの課題もあったため,学術機関におけるサーバ証明書の普及は遅れていた.そこで筆者らは,学術機関のために最適化したサーバ証明書発行スキームと,証明書自動発行支援システムからなる学術機関のためのサーバ証明書発行フレームワークを提案した.国立情報学研究所による実証実験と本運用を通じて,同スキームにより高い身元確認レベルを確保しつつ審査手続きの学術機関最適化を,また同システムにより認証事業者の証明書発行業務を自動化するとともに各学術機関が必要な学内システムを用意した場合には学術機関側の工数削減も可能であることを実証した.
著者
古堅 盛保
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1934-12
著者
古田 一雄 吉村 忍 中田 圭一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

原子力安全規制を例に、わが国及び欧米の安全規制システムの現状と動向について調査した。米国では安全規制に関する連邦法や規制指針は性能規定化されており、具体的な仕様規定は民間技術基準を連邦法や規制指針で引用して用いている。欧州(フランス)においても規制に関する法令はほとんど性能規定化されており、具体的な技術基準を定めるのは事業者の責任であるとされている。これに対し、わが国では法律の下位に省令や告示があってこれらが細かな技術基準を定めており、性能規定化はまだ進んでいない。技術進歩に安全規制が機動的に適応して行くためには、法令の性能規定化と民間技術基準を引用するための制度の整備が必要である。また、事業者の保安活動が技術基準を満たしているかどうかを検査する体制についても、米国では第三者機関が検査機関や検査員の認定・認証を行っており、規制機関の検査官に対する教育訓練、資格認定のプロセスはよく公開されている。欧州においても、EU指令に基く検査機関、検査員の認定・認証制度が整備されている。これに対して、わが国では認定・認証制度が十分に確立されておらず、規制行政当局やその担当者の技術的能力に対する認定・認証も曖昧である。つぎに、安全規制システムの評価を行うための社会シミュレーションを提案した。シミュレーションモデルは企業を単位とするマルチエージェントシステムであり、多数の企業が与えられた条件下で進化しながら生産活動を行う。各企業は事業リソースを生産活動と安全管理に分配し、その結果によって設備の稼働率と信頼性(事故確率)が決る。さまざまな安全規制スタイルを環境条件としてシミュレーションを実施したところ、事後制裁は生産効率向上を促進することがあること、仕様規定型規制は意図と逆の結果を生む可能性があること、途中で規制を撤廃すると信頼性は劣化すること、間隔の長い定期検査よりも抜き打ち検査の方が効果的であることなどがわかった。
著者
十亀 昭人 古谷 寛
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.527, pp.149-154, 2000
被引用文献数
1 3

A concept of cylindrical deployable space structures is proposed in this paper. Two types of cylindrical deployable space structures which can deploy both axial and radius directions simultaneously are investigated. One is the mirror symmetric type, and the other is the rotationally symmetric one. The basic formulas for the geometry are derived to examine the deployment and packaging characteristics. Non-dimensional width (W/R_0), packaged radius (R/R_0), and angle of apex (θ) are expressed in terms of the geometrical parameters. The feasibility for some applications with the cylindrical deployable "space structures is examined for space development. Finally, this study has shown that the concept is available for the requirements of deployable space structures.