著者
河野 又四 吉川 賢太郎
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.207-213, 1972-03-15

[Author abstract]The cause of soft fruits in immature Ecuador-banana were unknown. Formosa and Ecuador-banana, normal, soft-immature and anthracnose fruits were investigated on the olation, survival bacterial numbers, identification, inoculation-test, quantities of sugar and vitamin C. As a results, banana fruits were isolated about 30 kinds of Micrococcus, Staphylococcus, Streptococcus, Bacillus, rod-shaped bacteria, chained-rod-shaped bacteria, Aspergillus sp., Asp. niger, Penicillium sp.,P.italicum, P.digitatum, Gloeosporium musae, Fusarium, Monocillium spp.. However causal micro-organism of soft-immature-fruit were unfound. Inoculation test were used these isolates (30 kinds) and Candida albicans, Saccharomyces cerevisiae, Zygosaccharomyces soja, Clostridium welchii, Alkaligenes faecalis, Colletotrichum sp., Aspergillus oryzae, Aspergillus niger, Mucor sp. Penicillium islandicum. As a results were inoculated at flower-scar, fruits were caused rot, browning, blacking but not were caused soft-immature fruits. The quantities of sugar and vitamin C in banana fruits producing Ecuador were recognized high sugar (21.6mg) and low vitamin C (5.4mg%) on the immature soft fruit high vitamin C (18.7mg) and low sugai (3.3mg) on the normal fruits and middle sugar or vitamin C on the anthracnose fruits.[要約]1)エクアドル産バナナの未熟軟質果は低温輸送中の変質で微生物が関与していると推定されることから、昭和45~47年、京都市中央市場、神戸埠頭において入手した材料について正常、未熟軟質、炭そ病などの果実の果皮、果肉別に生菌数、分離菌の同定、接種試験、糖、ビタミンCの定量などを行い検討した。2)正常果の果皮、果肉にも汚染菌を認め、嫌気性菌も存在する。未熟軟質果、炭そ病果にも共通する微生物が認められるが未熟軟質果から固有の微生物を明らかにすることはできなかった。3)接種試験の結果からも特定の原因菌を明らかにできなかった。しかしながらバナナに変敗を生ずる菌の範囲は従来報告されているものよりも広範囲におよぶものと推定される。4)糖の含有量は熟果に多く、ビタミンCは未熟果に多い。未熟軟質果は糖が多く、ビタミンCは少ない。以上の結果から低温輸送中のバナナのうち一部のものは温度条件などが変り、代謝に変化を生じ、果肉が徐々に成熟し、これに非特定の汚染微生物が関与しているものではないかと推定される。
著者
鳥居 久展 貴志 真也 吉川 則人 和田 哲宏 吉田 隆紀 小川 成敏 北村 有己子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.C0325-C0325, 2005

【目的】夏季のスポーツ活動における熱中症の問題は以前より指摘されている。なかでも熱痙攣は発生頻度が高く、一般的にも「筋肉がつる」といった表現で知られている。われわれは1998年から和歌山県高校野球連盟からの要請により全国高校野球選手権和歌山大会のメディカルサポートを和歌山県理学療法士協会協力のもと実施してきたが、試合中の熱痙攣の対処には苦難する場面が多いのが現状である。今回、過去のサポート中における熱痙攣の発生状況について調査し、現場での高校球児の熱痙攣の特徴や要因、今後の課題についての知見を得たので報告する。<BR>【方法】全国高校野球選手権和歌山大会における熱痙攣の発生率、発生時期、発生部位、ポジション別発生状況、試合復帰状況を過去5年間(2000~2004年)のサポートカルテより調査した。<BR>【結果】熱痙攣の発生率は、サポート総処置件数335件中24件と全体の7%であった。しかしその割合は増加傾向にあり2004年では全体の18%と高くなった。発生時期としては21件(88%)が試合後半の6回以降に発生しており、守備中11件、投球中7件、走塁中6件の順に多かった。発生部位は下腿13件(両側4、片側9)、両下肢全体4件、ハムストリングス3件(両側2、片側1)、片側下腿+ハムストリングス2件、全身性2件であった。ポジション別にみると投手8例、捕手1例、内野手8例、外野手7例で全員先発メンバーであった。投手は8例中7例が投球中に軸足側の下腿に発生しておりポジション特性がみられた。処置後、試合復帰可能だった例は16例(うち2例が試合中再発、1例が続行不可能)で、8例が試合復帰不可能となった。処置としては水分補給、アイシング、ストレッチ等の応急処置の他、イニング毎に状況確認を行い必要な処置を実施した。<BR>【考察】高校球児にとって夏の地方大会は甲子園に直結する重要な大会であり、その独特の緊張感と暑熱環境下での開催の為、選手の身体的・精神的疲労は大きいと考えられる。2004年度に発生率が高くなったのは大会中の最高気温が平均33°Cを超えるなど(2003年は同29°C)、環境要因が大きいと考える。ポジション別では投手の割合が高く、発生時期が試合後半、部位は下肢に集中しており、運動量、疲労との関係が大きいと考える。復帰状況では3人に1人が復帰不可能となっており、両下肢や全身性の痙攣を起こしていた為、回復に時間を要したことが原因である。試合中は自由飲水させているチームが多いが、自由飲水の場合必要量の60~70%程度しか摂取できていないともいわれ、今後はチームレベルでイニング毎の水分補給やミネラル分の補給を促す必要がある。それには各選手、チームの熱中症に対する知識を高めるとともに大会レベルでの取り組みが必要となるため、今後一層サポート側からの啓発活動を行っていく予定である。
著者
枝広 あや子 渡邊 裕 平野 浩彦 古屋 純一 中島 純子 田村 文誉 北川 昇 堀 一浩 原 哲也 吉川 峰加 西 恭宏 永尾 寛 服部 佳功 市川 哲雄 櫻井 薫
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.3-11, 2015-07-10 (Released:2016-12-02)
参考文献数
33

本文は,増加する認知症患者の背景と現状を鑑み,認知症患者に対する歯科口腔保健・歯科医療のあり方に関して整理を行い,現時点での日本老年歯科医学会の立場を表すものである。 日本老年歯科医学会は,高齢化が進むわが国で,高齢者歯科医療のあり方について積極的に取り組んできた。しかし,認知症患者に対する歯科口腔保健・歯科医療に対する取り組みは十分とはいえない。 近年,地域包括ケアがわが国の施策の中で重要なミッションの一つになっており,その中で“QOLの維持・向上”に対して歯科が大きな役割を果たす必要がある。そのためには,原因疾患や神経心理学的症状を理解し,病態の進行を的確に予測した継続的な支援計画と歯科治療計画を検討し,柔軟な対応を行うことが必要である。 本文で指摘した認知症発症と口腔との関係,認知症初期段階での早期発見への関わりの整備,歯科医療の意思決定プロセスの整備,歯科治療・口腔機能の管理などの指針の作成を科学的根拠のもとに進め,他の医療,介護・福祉関係者だけでなく,国民に十分な理解を得て,認知症患者の歯科的対応と歯科治療を充実させ,認知症患者のQOLの維持と尊厳保持を進めていくことが日本老年歯科医学会の使命と考える。そのために,日本老年歯科医学会は,日本老年学会,歯科関連学会と協働し,学際的および多職種と連携して認知症の諸問題の解決に取り組み,正しく必要な情報を社会に発信していく決意をここに示す。
著者
吉川 彩 野崎 淳夫 成田 泰章
出版者
Society of Indoor Environment, Japan
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.3-13, 2011
被引用文献数
1 1

本研究では消臭剤の噴霧量,環境条件,噴霧方法について検討し,より実用的な試験評価法を提案した。また,新たな試験法を用いて,噴霧器を統一し,消臭液におけるホルムアルデヒドとVOCの除去性能を試験的に把握した。試験においては,ガス状汚染物質(ホルムアルデヒドとVOC)の初期濃度,環境条件をある一定のレベルに統一した。なお,消臭剤の噴霧は,製品記載の方法で行った。本試験では一般量販店で購入した6種類の消臭液(ホルムアルデヒド除去試験は2種類のみ)と,その性能を評価するためにコントロールとして精製水を用いた。<BR>消臭液のホルムアルデヒド除去性能(相当換気量<i>Q</i><sub>eq</sub>[m<sup>3</sup>/h])を求めた結果,35種類の植物抽出エキスを主成分とする消臭液(1),フィトンチッドを主成分とする消臭液(2)のホルムアルデヒド相当換気量は,それぞれ0.10,0.06 m<sup>3</sup>/hであり,精製水の相当換気量(0.28 m<sup>3</sup>/h)よりも小さい値であった。この値は最新の空気清浄機におけるホルムアルデヒド相当換気量(<i>Q</i><sub>eq</sub>=99.6 m<sup>3</sup>/h)と比較しても,非常に小さい値となった。本研究で対象とした消臭剤は液体であるため,親水性物質であるホルムアルデヒドの除去効果が期待されたが,精製水のみを噴霧した場合でも,大きな室内ガス状汚染物質濃度の低減効果は認められなかった。<BR>また,消臭液のVOC相当換気量(TVOC換算値)は0.40~1.11 m<sup>3</sup>/hの範囲にあった。特に消臭液(4)のVOC相当換気量(TVOC換算値)が最も大きく,精製水の相当換気量(<i>Q</i><sub>eq</sub>=0.16 m<sup>3</sup>/h)の約6.9倍であった。<BR>更に,VOC物質毎の除去性能を求めた結果,各消臭液は,17物質のうち6~11物質に対して除去効果が認められた。最も多くの物質を除去していたのは,ヒノキとユーカリの精油を主成分とする消臭液(5)であり,その相当換気量の平均は0.91 m<sup>3</sup>/hと比較的小さいが,有効成分含有率を上げることにより増大することが期待される。<BR>各消臭液の物質別相当換気量は,平均で0.44~3.85 m<sup>3</sup>/hの範囲にあり,最も大きな相当換気量を示したのは酵素を主成分とする消臭液(3)であった。しかしながら,相当換気量はガス状汚染物質の初期濃度,消臭剤の噴霧量や他の測定条件によって値は異なるため,これらの更なる検討が求められる。
著者
石上 俊一 北口 和彦 崎久保 守人 上村 良 浦 克明 大江 秀明 吉川 明 田村 淳 馬場 信雄 坂梨 四郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.475-480, 2008-05-01

はじめに:直腸切断術には,従来の腹会陰式(Miles手術)以外に,体位変換を伴う仙骨腹式,腹仙骨式,腹仙骨腹式などの術式がある.腹会陰式では,術中の体位変換が不要だが,前立腺背側や腔後壁の止血に難渋する場合がある.今回,体位変換を伴う直腸切断術式の有用性につき検討した.方法:当院で1988年4月から2007年3月までの19年間に,直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術を施行された70例と,仙骨腹式直腸切断術を施行された64例を対象として,両者における手術時間と術中出血量を比較した.結果:手術時間は,腹会陰式365.6±10.5分,仙骨腹式315.1±8.6分と,腹会陰式に比べ,体位変換が必要な仙骨腹式で有意に短かかった(p=0.0004).ただ,側方郭清は両群とも約半数の症例で施行されており,側方郭清症例の多寡が手術時間に影響しているわけではなかった.術中出血量は,腹会陰式1,338.0±164.1ml,仙骨腹式790.9±69.4mlで,腹会陰式に比べ仙骨腹式で有意に少なかった(p=0.0035).考察:直腸切断術での体位変換は,出血量減少や手術時間短縮を図るうえで有用であった.今後,症例を選別して,積極的にこれら体位変換術式を導入していくとともに,後進の外科医に教育・伝達していきたいと考える.
著者
五十嵐 康人 大河内 博 北 和之 石塚 正秀 吉田 尚弘 三上 正男 里村 雄彦 川島 洋人 田中 泰宙 関山 剛 眞木 貴史 山田 桂太 財前 祐二 足立 光司 中井 泉 山田 豊 宇谷 啓介 西口 講平 阿部 善也 三上 正男 羽田野 祐子 緒方 裕子 吉川 知里 青山 智夫 豊田 栄 服部 祥平 村上 茂樹 梶野 瑞王 新村 信雄 渡邊 明 長田 直之 谷田貝 亜紀代 牧 輝弥 佐藤 志彦
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-06-28

初期の放射性Cs放出には従来想定されていた水溶性サブミクロン粒子に加え,直径数μmの不溶性粗大球状粒子が存在することを初めて明らかにした。典型的な里山では再飛散由来のCs濃度は,都市部での結果と異なり,夏季に上昇し,冬季には低かった。夏季のCs担体は大部分が生物由来であることを初めて見出した。放射性Csの再飛散簡略スキームを開発し,領域エアロゾル輸送モデルを用いて森林生態系からの生物学的粒子による再飛散,ならびに事故サイトから継続する一次漏えいも含め,フラックス定量化-収支解析を行った。その結果、他のプロセス同様、再飛散は、地表に沈着したCsの減少や移動にほとんど寄与しないことがわかった。
著者
栗田 浩樹 大井川 秀聡 竹田 理々子 中島 弘之 吉川 信一郎 大塚 宗廣 岡田 大輔 鈴木 海馬 佐藤 大樹 柳川 太郎
出版者
The Japanese Congress of Neurological Surgeons
雑誌
脳神経外科ジャーナル = Japanese journal of neurosurgery (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.842-847, 2012-11-20
参考文献数
15
被引用文献数
1

Orbitozygomatic approachはpterional approachの応用で, より外側下方から頭蓋内高位を見上げる手法である. 本稿では, われわれが施行している基本手技 (1-piece method) について解説し, 脳血管外科領域における本法の臨床応用について検討したので報告する. 過去2年間に施行された脳血管外科手術290例 (脳動脈瘤直達術251, 脳動静脈奇形 [AVM] 摘出術39) のうち, 本法が適応されたのは7例 (2.4%) であった. 内訳はcoil塞栓術が困難と判断されたBA-tip AN 4例, 高位BA-SCA AN 2例と, 大型の左medial temporal AVM症例であり, 術後は全例で病変の消失が確認され, morbidityは1例にとどまった. Intravascular treatmentが普及した現在, 脳血管領域では使用頻度こそ少ないが, 広いsurgical corridorが得られる本法は, 高難易度病変に対して必要不可欠なapproachである.
著者
武田 英明 冨山 哲男 吉川 弘之
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.877-887, 1992-09-01
被引用文献数
15

This paper presents a computable design process model that is based on a logical framework. A computable design process model is useful not only to investigate designing activities but also to realize intelligent CAD (Computer-Aided-Design) systems. We propose a computable model based on a non-classical logical framework including abduction, circumscription, meta-level reasoning, and modal logic. First, we discuss design processes with a cognitive model of design processes. We point out four problems that are difficult to solve in the classical logical framework. Second, we formalize design processes in a non-classical logical framework. In this formalization, a design process is regarded as an iterative process of abduction, deduction, and circumscription. Abduction is used to obtain candidate descriptions of the design object, deduction to find out properties of the design object, and circumscription to solve inconsistency occurred in the design process. These types of inference are used for knowledge about objects ; on the other hand meta-level reasoning based on knowledge about action is used to reason out what should be done next. Furthermore we introduce data semantics to represent transitions of design states. Data semantics is a kind of modal logic which allows not only truth value t and f but also u (unknown), and a design process is interpreted as a process generating possible worlds sequentially. Then, we illustrate a design simulator based on this logical model. We discuss formalization and implementation of abductive inference and utilization of other inferences that are needed to implement a design simulator. We show that it can trace a design process in which design objects are gradually refined as the design proceeds.
著者
安藤 剛 吉川 陽介 下田 裕太 伊藤 尚 笠井 久隆
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.118-121, 2000-09-25
被引用文献数
1

我々は, 既に神経突起伸長因子であるZ-Leu-Leu-Leu-H(Z-LLL-H)の標的タンパク質として, ウシ脳からZ-LLL構造を有するアフィニティー担体にカルシウム依存的に結合するS-100βを単離した。本論文では, アルデヒド基を有するZ-LLL-HとS-100βの反応性, 反応部位および反応様式について報告する。S-100βはZ-LLL-Hとカルシウム依存的に結合し, 修飾S-100βは, 逆相HPLCにより元のS-100βと異なる位置に溶出された。また反応混合溶液のTOF-MS分析により, 元のS-100βより分子量が大きい修飾S-100βが検出された。さらに修飾S-100βを還元固定後, 酵素などにより切断したペプチド断片のアミノ酸組成分析及びアミノ酸配列分析から, Z-LLL-HはS-100β分子中の8個のLys残基のうちLys-55のみと反応し, ε-アミノ基とアルデヒド基がシッフ塩基を形成する可能性が示された。
著者
桑原 史明 平手 裕市 森 俊輔 高野橋 暁 八神 啓 臼井 真人 宮田 義彌 吉川 雅治
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.280-283, 2009-07-15 (Released:2010-04-07)
参考文献数
14
被引用文献数
2

症例は44歳,女性.不明熱の原因検索のため紹介された.血液培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出し,心臓超音波検査で大動脈弁に疣贅を認め,Duke criteriaに基づき感染性心内膜炎(IE)と診断した.バンコマイシン(VCM)とイセパマイシン(ISP)により治療を開始したが,その後も高熱が続き,皮疹も出現したため,抗生剤をテイコプラニン(TEIC)に変更したが効果が見られず,最終的には,第22病日よりリネゾリド(LZD)に変更した.LZDに変更して1週間後には解熱し,心内膜炎に伴う塞栓症による血管炎も軽快した.大動脈弁膜症による心不全を薬物療法によって管理しながらLZDを28日投与し,その時点で,その副作用と思われる貧血を認めたためLZDの投与を中止してレボフロキサシン(LVFX)の内服に変更した.感染の再燃がなく,機械弁による大動脈弁置換術を施行した.LZDは手術直前に投与し,術後も15日間継続した.その後,LVFXの経口投与に切り替えて術後35日目に退院した.退院後も1年間感染の再発がなく経過している.リネゾリドはMRSA心内膜炎の治療法の一つとして有効であると考えられるが,その投与法や投与期間に関しては,さらなる検討が必要である.
著者
宮地 秀樹 小谷 英太郎 岡崎 怜子 吉川 雅智 松本 真 遠藤 康実 中込 明裕 草間 芳樹 磯部 光章 新 博次
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.5, pp.1388-1390, 2011-05-10
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

症例は21歳,女性.不明熱のため各種精査を行うも原因を同定できず.骨病変精査目的で施行したFDG-PET/CTにて大動脈弓部に異常集積を認め,早期の高安動脈炎と診断した.狭窄閉塞,拡張病変が明らかでない早期高安動脈炎の早期診断は現在のガイドラインでは困難である.しかし高安動脈炎は若年女性に好発し,重篤な心血管合併症が生じることからFDG-PET/CTによる早期診断が重要と考え報告する.<br>
著者
吉川 一輝 大橋 拓実 小嶌 健仁 本多 悠真 石尾 広武 高田 真澄 大森 正子 宮尾 克
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.12-18, 2016 (Released:2016-01-30)
参考文献数
22

Objectives: Recent advances in three-dimensional (3D) display technology have contributed significantly to society, particularly in the increasing use of stereoscopic characters. For example, 3D text information is utilized in digital signage. However, research on 3D characters is limited and discussion on the safety and comfort of 3D technology is lacking. According to the 3D Consortium Safety Guidelines in Japan, a comfortable visual parallax with 3D images is less than ±1.0°. However, 3D text must be shown in front of its associated content in order for it to be displayed simultaneously with that content. Methods: We carried out an experiments to verify the permissive limits of cognition in subjects regarding the parallax of 3D images. In the experiment, 94 subjects aged 18 to 81 viewed a 3D flat Maltess cross image having no depth and projected outward from a screen at a large parallax of 1.0° to 6.0°. Results: Eighty-six percent of the subjects recognized the 3D flat image even when it protruded at a 2.0° parallax. These subjects viewed the image comfortably and without visual problems. Conclusions: This study concludes that people can cognitively recognize a 3D telop at a 2.0° parallax without feeling fatigued.