著者
中嶌 輝子 吉川 公規
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.561-565, 2006-11-15 (Released:2007-09-29)
参考文献数
11
被引用文献数
1

ウンシュウミカンに水浸状の腐敗を接種して腐敗果を作成し,連続した分光画像を用いて腐敗部と健全部を仕分ける検量式を作成した.多変量解析のSIMCAとPLS回帰分析と重回帰分析を用いた結果,2次微分処理したスペクトルで作成したPLS回帰分析の検量式が最も精度が高かった.解析結果をの画像化(イメージング)したところ,SIMCAとPLSのどちらの判定モデルも全ての供試果実の腐敗を判定することが出来た.腐敗果の判定モデルは,5×5画素で分割した分光画像に,検量式を代入し,腐敗部のみを表示させた.これにより直径1cm程度の小さな腐敗を判定することが実証出来た.
著者
石川 啓 木村 秀也 吉川 省子
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.39-46, 2008 (Released:2008-01-25)
参考文献数
25
被引用文献数
2

ウンシュウミカン樹において発芽期前後に葉面散布された尿素の吸収・移行特性を明らかにするため,15Nトレーサー法を用いて2か年間の圃場試験とポット試験を行った. マシン油乳剤との混用の有無に関わらず,葉面散布された尿素は3月下旬においても旧葉から吸収され,6月中旬までにその57%が春季新生器官に移行した.ただし,根部への移行量は極めて少なかった.葉面散布された尿素の吸収量は,少なくとも3回散布までは散布回数に比例して増加し,その利用率は散布窒素量の約40%前後であった.これらのことから,3月下旬~4月上旬の尿素葉面散布は,窒素レベルが低下している樹に対して全窒素を増加させる効果があることが示された.
著者
天野 文雄 中川 真 山口 修 山路 興造 吉川 周平 谷村 晃 林 公子 山崎 正和
出版者
大阪大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

民族芸能の「翁」の意義は、それ自体の価値とともに、能の「翁」研究の資料たる点にある。その両者を兼ね備えている民族芸能の「翁」には奈良豆比古神社翁舞、兵庫県加東上鴨川住吉神社翁舞、神戸市車の大歳神社翁舞などがあるが、後の二者についてはすでに詳細な調査報告がなされているので、このたびは奈良豆比古神社の翁舞を主たる調査対象としたものである。従って、この調査の目的は次のごとくであった。(1)奈良豆比古神社翁舞の歴史と現況の把握。(2)能の「翁」および民俗芸能の「翁」の中における位置づけ。(1)については、奈良豆比古神社および同社翁講所蔵の未紹介史料の発掘があり、それらの文献をもとに聞き取り調査をも併せ行った結果、寛政以後の翁舞や翁講の動向をある程度把握することができた。また、実績報告書にも報告したように、同翁舞の現況についても、所作と音楽を中心に詳細に分析し、記録化することができた。これは平成元年時の詳細な記録として、将来その評価はきわめて高いものとなることは必至と言える。(2)については、奈良豆比古神社の翁舞は上鴨川住吉神社や神戸市大歳神社の翁舞と同系であり、江戸期に南部の薪猿楽や春日若宮おん祭において「翁」を独占的に演じていた「年預」の系譜を引く「翁」であることが判明した。年預は室町期以前の猿楽座の上座衆(翁の上演構をもつ長老座衆)の末裔であり、「翁」という芸能の伝承力の強さ、民族芸能の「翁」の位置と意義について、新たな認識が得られた。
著者
吉川 友也 斉藤 和巳 元田 浩 大原 剛三 木村 昌弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.1899-1908, 2011-11-01
被引用文献数
2 5

本論文では,非同期時間遅れ付き独立カスケード(AsIC)モデルと非同期時間遅れ付き線形しきい値(AsLT)モデルのそれぞれの場合を仮定して,観測した単一の拡散系列から各時刻における期待影響度(期待影響度曲線)を高精度で推定する問題に取り組む.単純な方法として,観測した拡散系列のアクティブノード数を数えて期待影響度曲線とすることが考えられるが,拡散系列は情報拡散の確率的な動作によって多様な結果になるため,この方法での期待影響度曲線推定には本質的な限界がある.本論文の提案法では,観測した拡散系列から各モデルのパラメータをEMアルゴリズムによって学習し,学習したモデルパラメータを使って,シミュレーションによって期待影響度曲線を推定する.提案法を評価するために,現実のソーシャルネットワーク構造データを用いて人工的に拡散系列を生成して評価実験を行う.生成される拡散系列の長さは,同じ条件であっても多様な長さになる.我々は,提案法を使うことによって,多様な長さの拡散系列からでも期待影響度曲線を高精度で推定できることを示す.
著者
岩井原 瑞穂 吉川 正俊 馬 強 浅野 泰仁
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究はソーシャルネットワークサービス(SNS)やWikiに代表されるソーシャルコンテンツから有用な情報を抽出する技術の開発を目的としている.wiki型コンテンツは多人数が1 つの記事を更新することにより,バージョンが蓄積されるが,その派生過程を正確に求める手法を開発した.またSNSにおいて利用者が行うプライバシー設定の傾向を分析し,適切な設定を推薦する手法を開発した.さらにコンテンツのアクセス制御について効率的な手法の開発を行った.
著者
早瀬 晋三 加藤 剛 吉川 利治 桃木 至朗 弘末 雅士 深見 純生 渡辺 佳成
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、つぎの3つの柱を中心に活動を進めた:1.日本における東南アジア史教育の現状と課題の把握、2.他分野・他地域との関連、3.外国史と自国史。それぞれ1年間の活動を目処におこない、3年目は平行して研究成果のとりまとめをおこなった。第1年度の「日本における東南アジア史教育の現状と課題の把握」では、長年東南アジア史研究・教育に従事してきた先達に、その経験から現状と課題を指摘してもらうと同時に、学生時代に戻って卒論・修論を書くなら、どのようなテーマを選び、どのような準備をするかなど、現在の学生の身になった具体的な論文構想を語ってもらった。また、近年各大学で取り上げられた東南アジア関係の卒論・修論のテーマを収集し、その傾向と問題点を探った。第2年度は、周辺領域分野・地域との関連で東南アジア史研究を考えた。東南アジア史研究に有効な関連分野の理論・手法を学ぶとともに、関連分野に東南アジア史研究で培った理論・手法がどのように活かせるかを考察した。関連分野の研究者との意見交換により、東南アジア史研究の幅を広げ、奥行きを深めることを目標とした。第3年度は、「自国史」と「外国史」の問題を考察した。具体的には、東南アジア各国の高校・大学で「自国史」として使用されている教科書やカリキュラムを検討した。また、各国を代表する歴史学研究者と意見交換した。以上、3年間の成果をふまえて、テキストづくりの作業が進んでいる。すでに、叩き台となるべき「フィリピン」の草稿ができている。また、この研究活動を通じて、テキストのほか、史料の目録・索引、史料の復刻、翻訳、モノグラフの刊行も必要であると感じた。その準備も着々と進められている。まずは、この研究の原成果ともいうべき、報告・報告要旨28篇をまとめて発行する。

1 0 0 0 OA 鉄血宰相伝

著者
吉川潤二郎 著
出版者
開拓社
巻号頁・発行日
1897
著者
中村 仁彦 永井 清 吉川 恒夫
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.489-498, 1986
被引用文献数
31 10

本論文では, 複数のロボットマニピュレータまたは多指ロボットハンドによる協調的あやつりの力学が議論される.協調的あやつりの問題は2つの局面に分けられる.1つは複数のロボット機構による合力を決定することであり, もう1つはそれらの間の内力を決定することである.合力は外力や環境拘束を受ける物体のあやつりに用いられる.内力は最大静止摩擦係数の不確さや変動に適応するために用いられる.合力の決定に対して動的協調制御方式が提案される.また, 最大静止摩擦の拘束の下で対象物に任意な加速度を発生する能力である協調的あやつり可能性を確認するための1方法が提案される.最後に, 最適内力を最大静止摩擦の拘束を満たすために必要な最小ノルムの内力と定義し, 最適解を求めるために非線形計画法が適用される.最適解は, それが存在する限り, 最大〓組の代数方程式を解くことによって必ず求められる.
著者
吉川 望
出版者
関西学院大学
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.18-34, 2006-02-10
著者
鈴木 健太 大平 雅子 野崎 綾子 内山 尚志 吉川 泰生 佐藤 利幸 野村 収作
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.1, pp.162-165, 2012-01-01

精神的なストレスの評価指標としてコルチゾールというホルモンが注目されている.従来,同物質は血液,唾液,尿などの検体から定量されてきた.これに対し本研究では,皮膚に微細孔を形成し,経皮的にコルチゾールを定量する新たな手法を提案する.
著者
菊田 弘輝 泉 孝典 吉川 真弓 白石 洋平 畑中 壮大 今井 綾子 伊藤 匡貴
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

水方式による躯体蓄熱暖冷房システムは,高断熱建物における室内負荷の顕熱成分に対応するシステムである.CASBEEの最高ランクS に相当する建物を対象に,本システムのコミッショニング及びシステムチューニングを実施し,快適性・省エネ性・経済性の向上を確認した.また,低温温水による輻射暖房ならびに高温冷水による輻射冷房の可能性を示唆し,本システムと併用する形で,ダブルスキンにおける省エネルギー効果,トップライトボイド空間における各階の日射負荷の分配率を明らかにした.
著者
高木 靖彦 平田 成 橘 省吾 中村 良介 吉川 真 はやぶさ2プリプロジェクトチーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.48-55, 2010-03-25
被引用文献数
1

「はやぶさ」に続く小惑星探査計画「はやぶさ2」が最初に提案されてからの約4年間の経緯と,計画の概要をまとめた.その中で,ミッションの目標と,それに基づき選定された搭載機器の仕様についても簡単に述べる.
著者
中村 文子 佐藤 弥 吉川 左紀子 松村 道一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.470, pp.7-12, 2002-11-14

近年、いくつかの研究から、視線方向の知覚によって喚起されるような自動的な注意シフトが、シンボルやジェスチャーによっても喚起されるという知見が報告されている。しかし、報告例は少なく実験手続きも統一されていないため、明確な結論は出されていない。今回我々は、視線・シンボル・ジェスチャーを手がかりとする3つの手がかりパラダイム実験を行い、この問題を検討した。手がかりは画面中央にランダムに呈示され、被験者はその後手がかりの左右いずれかに出現するターデットの位置をボタン押しで反応した。その結果、被験者は手がかりが確率的に有効でないことを認識していたにもかかわらず、それらが示す方向へターゲットが呈示された時、異なる方向に呈示された場合に比べ反応時間が有意に短縮された。実験1・2からは、いずれの手がかりによっても、課題遂行の促進が早い段階で起こり、復帰抑制は起こらないことが示された。また実験3からは、手がかり方向へ被験者の注意が移動していることが確かめられた。全ての実験において、質的交互作用は示されなかった。これより、視線・シンボル・ジェスチャー方向が、いずれも知覚者の注意を自動的にシフトさせると結論できる。
著者
吉田 英人 寺澤 敏夫 中村 卓司 吉川 一朗 宮本 英明 臼居 隆志 矢口 徳之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、送信点と異なる場所に多数の受信点を配置し(多地点観測法)、流星が流れたときその飛跡に沿って生じるプラズマで反射した電波(流星エコーと呼ぶ)を、複数の地点で受信して、その到達時間差と送信点-反射点-受信点の距離を同時に測定することにより、精密な流星飛跡を求める観測装置を開発した。この教材は携帯性に優れ、流星の諸パラメータを求めることができ、超高層大気と極微小天体の関係を身近に感じることができる実習教材である。