著者
吉川 徹 川上 憲人 小木 和孝 堤 明純 島津 美由紀 長見 まき子 島津 明人
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.127-142, 2007-07-20
参考文献数
29
被引用文献数
6

職場のメンタルヘルス向上を目的とした職場環境等の改善のためのアクションチェックリスト(Mental Health Action Check List, 以下MHACL)を開発した.ストレス対策一次予防における職場環境改善等の進め方と意義について検討した.3つのステップによりMHACLを開発した.(1)文献レビューと改善事例の収集と分類,改善フレーズの作成とMHACLのひな型作成,(2)産業現場への適用と産業保健スタッフ等を含むワークショップによる試用,(3)改善フレーズの見直しと改善領域の再構成を行って,広く職場で使える改善アクション選定チェックリストとして提案した.文献レビューにより職場環境等の改善を支援する8つの改善技術領域が整理された.全国の84事業場から延べ201件の事例の職場のストレス対策に役立った改善事例が収集できたので,これら事例から代表的な改善フレーズを抽出し,40項目からなるMHACL原案が作成された.現業職場の職員105名を対象としたMHACL利用の参加型研修会により,MHACLを用いて多様な改善提案を引き出せることが確認された.産業保健スタッフを対象としたMHACL利用のワークショップでは,MHACLの使用者とその受け手の明確化,使用手順と職域でのリスクアセスメント方法のマニュアル化,使用言語の平易化,などが必要と指摘された.これらの経験から,最終的に30項目で構成されるMHACLが作成された.それらの項目は,技術領域としてA)作業計画への参加と情報の共有,B)勤務時間と作業編成,C)円滑な作業手順,D)作業場環境,E)職場内の相互支援,F)安心できる職場の仕組みの6つの領域にまとめられた.現場ですぐ取り組めるメンタルヘルス改善アクション項目からなる職場環境改善用のチェックリストを作成した.今後チェック項目を利用した職場介入経験者との意見交換を行って,使いやすいチェックリストと利用方法を検討していく予定である.MHACLの利用によるストレス対策一次予防の推進による成果が期待される.
著者
桐山 孝司 冨山 哲男 吉川 弘之
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.426-434, 1991-05-01
被引用文献数
26

Integration of design object models is one of the expected roles of intelligent CAD systems. This paper deals with maintenance of relationships among models. We examine the nature of models and show that knowledge about relationships among background theories is crucial for the integration. Based on this discussion, we propose the metamodel mechanism, a new framework for integrated design object modeling. The idea of the metamodel mechanism is to utilize a qualitative model in order to represent dependency among concepts of which the models consist. The metamodel is refined through the design process by four operations, viz. instantiation, unification, specialization, and delegation. We also show an implementation of the metamodel mechanism.
著者
折田 明子 吉川 厚 山本 秀男
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2010-EIP-50, no.30, pp.1-7, 2010-11-18

本稿は,Web サイト炎上事件を題材に,筆者らが教育目的で作成したマンガ教材を用いたプライバシ教育の実施と評価について報告する.マンガ教材は,文章と絵の組み合わせによる読みやすさから,初学者向けの教材として用いられてきたが,本稿で報告する事例は,描画に読み取られるべき教育主題を埋め込み,気づきを以て問題を発見し,問いと組み合わせたクラス設計によって意志決定のシミュレーションの実現を目的としている.教材を用いたクラス運営では,教材・問い・ファシリテーションの組み合わせにより,背景の異なる社会人学生および大学院生から多様な観点を引き出すことが出来た.
著者
吉川 泰永 森松 正美 落合 和彦 永野 昌志 山根 義久 冨澤 伸行 佐々木 伸雄 橋爪 一善
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.1013-1017, 2005-10-25
参考文献数
32
被引用文献数
13

乳腺腫瘍はヒトの女性および雌イヌでもっとも発症頻度の高い腫瘍である.BRCA2遺伝子は, DNAの修復に関与する巨大タンパク質をコードしており, ヒトではBRCA2が変異すると腫瘍罹患リスクが上昇する.BRCA2タンパク質はガン抑制タンパク質であり, これがヘテロ接合性の消失(LOH)によって不活化すると乳腺腫瘍が発症すると考えられている.本研究では, イヌBRCA2のLOH解析に適当な多型マーカを確立するために, 腫瘍に罹患したイヌ30例と罹患していないイヌ21例についてエキソン27領域のゲノム配列を解析した.これまでにイヌBRCA2遺伝子座で報告されていた多型は10204ins/delAAAだけだったが, この他に新たに4種類の単一ヌクレオチド多型(SNP)を発見した.これらのあわせて5つの多型を解析した結果, 4つのアリル型が存在することが判明した.今回解析した多型の中で10204ins/delAAAの出現頻度がもっとも高かったため, PCR法を応用してこの多型を判別する方法を確立した.この方法は, イヌのBRCA2においてLOHと腫瘍発症との関係を解析するうえで有用と考えられる.
著者
古和田 孝之 吉川 隆敏 山本 英人 堀井 洋
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.271-272, 1994-03-07

近年、手書き文字認識の研究が進められ、商品化が盛んに行われている。しかし、不特定多数のユーザを対象にしたシステムの場合、文字データなどのパターン情報だけで高認識率を達成するのは困難である。それを解決する方策として、言語情報を用いた認識後処理技術が必要となる。現在の手書き入力システムの使用シーンを考えると、一般文書の入力よりも、住所、氏名、会社名、商品名など、記入すべき文字列の属性があらかじめ決まっているような形式の入力が主流で、また通常このような入力形式では、一般文書の入力よりも高い認識精度が要求される。このような状況を踏まえ、住所、氏名のように入力属性が限定されている場合の後処理手法の開発を行った。本報告では、その中から、名前に対する認識後処理として、姓名辞書と単漢字辞書を利用し、フリガナ連動処理と単漢字処理を行う手法について述べる。
著者
吉川 左紀子 NORASAKKUNKIT V. NORASAKKUNKIT Vinai
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

昨年度は、ひきこもりの家族関係の役割とメンタルヘルスの状態を調査するためにニート、ひきこもり、そして京都大学の学生を対象に質問紙データの収集を行った。ひきこもりと京都大学の学生のデータには彼等の両親のデータも含まれていた。このデータとそれに関連する調査結果は2010年6月29日に行われた京都大学こころの未来研究センター研究会にて口頭発表、2010年12月18日に行われた京都大学こころの未来研究センター研究報告会2010にてポスター発表を行った。それに加えて、影響力のある査読付き論文集であるJournal of Social Issuesのグローバライゼーションにおける心理学という特別号にニートにおける動機づけのパターンに関する研究についての論文を執筆した。また、収集したデータについて3つの国際学会、7つの国内での会合、5つの招待講演において発表した。現在は、ニートの日本の標準の行動パターンからの逸脱傾向における文化価値の役割について追従、帰属、そして社会的サポートからの知見を検討する実験の準備中である。また、現在社会的不安に関して京都大学こころの未来研究センター内田由紀子准教授と、ミシガン大学心理学部北山忍教授と論文を共同執筆し、その論文はJournal of Cross-Cultural Psychologyに掲載されることが決まっている。
著者
桜井 弘 安井 裕之 吉川 豊 廣村 信 小嶋 良種
出版者
京都薬科大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2004

糖尿病(DM)は、インスリンの絶対的または相対的不足による疾患であり、それぞれインスリン依存性の1型およびインスリン抵抗性による2型DMとよばれている。前者は、1日に数回のインスリンの皮下注射が唯一の治療法であるため、患者に精神的・肉体的負担を与えるのみならず、自己抗体を産生してインスリンの作用が表れなくなることがある。後者の治療には、いくつかの経口合成薬剤が開発されているが、それらを長期に服用すると強い副作用が現れるのみならず、体がインスリン合成を不要と判断するため、やがてはインスリン注射に頼らざるを得なくなることも知られている。このような状況の下で、インスリン注射や合成薬剤に代わりうる新しい薬剤の開発が世界的に要望されている。本研究は、金属錯体による1型および2型糖尿病の治療を目指して行われた。脂肪細胞および実験動物を用いて得られた主な成果は、以下の通りである。(1)細胞を用いるインスリン様作用の評価系(グルコースの取り込み促進と脂肪酸放出抑制)を確立した。(2)バナジル(VO^<2+>)-ピコリネートをリード化合物として11種類の錯体を合成して、構造活性相関性(SAR)を研究し、配位子の置換基の位置が重要であることを明らかにした。(3)バナジル-およびジンク(Zn)-3-ヒドロキシピロネートをリード化合物としてそれぞれ5〜8種類の錯体を合成し、SARを研究し、アリキシン関連配位子の錯体は1および2型DMを治療できるのみならず、メタボリックシンドロームを改善できる新事実を見出した。(4)これらの錯体の作用機構を研究し、バナジルおよびジンク錯体は主としてインスリンシグナル伝達系に存在する各種の酵素のリン酸化を促進し、最終的にグルコース輸送体を細胞膜表面に移動させる新知見を得た。(5)バナジウム化合物や錯体の新しいドラックデリバリーシステムを考案した。(6)以上の結果にもとづいて、臨床応用を目指すいくつかの錯体の構造式を提案した。
著者
中村 覚 吉川 元 伊勢崎 賢治 高橋 和夫 中西 久枝 澤江 史子 栗栖 薫子 森 伸生 北澤 義之 立山 良司 坂井 一成 泉 淳 小林 正英 細井 長 齊藤 嘉臣 末近 浩太 土佐 弘之 木村 修三 小塚 郁也 福田 安志
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本プロジェクトは、国際関係論、安全保障論、中東地域研究の専門家による協働研究を通じて、日本における中東の安全保障問題に関する本格的な研究の基盤づくりを目的とした。また、中東における武力紛争の傾向や特質に関して論ずるのみではなく、短期的な紛争解決と、中長期的な予防レジームの構築に関する課題と可能性に関して考察した。その際に特に、日本への政策的示唆を生み出す視点を重視した。また当該の研究課題の遂行のために必要とされる国外の研究者とのネットワーク作りと同時に、国外への研究成果の発信で成果を上げた。
著者
沢田 昭二 大槻 昭一郎 玉垣 良三 吉川 圭二 福田 礼次郎 高木 富士夫 松田 哲 秋葉 巴也
出版者
名古屋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

1.QCDジェットや重いクォ-コニウムなど摂動論的方法が有効な領域において実験との一致をみているQCQ(量子クロモ力学)が、非摂動的効果が重要となる領域において、どのようにカイラル対称性が自発的に破れる相に移行し、カラ-自由度が閉じ込められてハドロンを構成するか、その機構を理論的に明らかにすることを本研究の中心課題とした。2.この方向に沿って、非摂動効果を含む問題を取扱う新たな手法として、格子ゲ-ジ理論、ア-ベリアン射影、逆転法などを用いた方法が開発され、相移転機構や閉じ込めなどの具体的問題に適用された。3.QCDの低エネルギ-有効理論と考えられる非線型シグマ模型とQCDとの関連を明らかにするとりくみもおこなわれ、またこの模型におけるソリトン解すなわちスカ-ミオンによって核子をはじめとするバリオンとその相互作用の研究が引きつづいておこなわれ、またカイラル・バッグ模型にもとづいて核子の諸特性および核力の導出がおこなわれた。4.格子ゲ-ジ理論にもとづいてQCDから電子計算機を用いて直接QCD系の相構造、ハドロンの質量スペクトル、レッジュ軌跡の勾配などを求めるとりくみは、新しい計算方法の開発と電子計算機の大型化、高速化によって、一層信頼性の高い結果が得られ、当初の結果の抜本的な見直しがおこなわれた。この方向の研究は計算機の進歩とあいまって今後引きつがれる。5.QCDを含めた相互作用の統一を求める研究、標準模型を超える試みも活発におこなわれ、100GeVおよびこれを越える実験結果がえられつつある状況の中でCD不変性の破れ、トップ・クォ-ク質量予測などの研究成果も挙げられた。また宇宙初期の創成過程とかかわって有限温度QCDにもとづくクォ-ク・グル-オンプラズマ,高密度核物質の研究にも新たな知見が加わった。
著者
吉川 重夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.415-424, 1970-06-01

光起電力効果を用いたエネルギー変換素子(太陽電池はその顕著な例)は, 人工衛星あるいは海上, 僻地での電源に重用されているばかりでなく, 光検知器としての用途も広がりつつある.ここではとくに, 宇宙用としての観点から, 従来のSi単結晶セルにはない特徴をもつ多結晶薄膜セルの製法, 構造, 特性について記述した.
著者
サロインソン ファビオラ ベイビ 坂本 圭児 三木 直子 吉川 賢
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-20, 2006-08-31
参考文献数
15
被引用文献数
1 9

拡大しつつあるハチク林の動態を明らかにするため,落葉広葉樹二次林に隣接するハチク林で稈のセンサス調査を12年間継続した。落葉広葉樹二次林と接する部分では,稈の葉群が林冠木の樹冠より高い場合や樹冠と接する場合があり,ハチク林の拡大を可能としていると考えられる。ハチク林では,落葉広葉樹二次林へ稈を侵入させることによって,林分の稈密度と地上部バイオマスが増加し,最前線の稈の位置は落葉広葉樹二次林の方向へ12年間で7m距離を伸ばした。侵入している稈のサイズは,竹林内部の稈のサイズと異なっていなかった。一方,ハチク林拡大の過程で,ハチクによる被圧のため下層木の枯死が著しかった。
著者
吉川 茂 石井 望
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

正倉院尺八から現代尺八までの構造・設計上の変化を音響理論、音響実験、さらにはCT画像の解析を通して考察し、尺八変貌の過程を明確にした。特に、正倉院尺八における運指7(第3, 6孔を開けるクロス・フィンガリング)の問題点を指摘し、江戸・明治期の名管尺八では節の残し具合で調律していることが了解された。また、中国唐代の音楽に関する考察から、正倉院尺八の指孔は燕楽二十八調の音階を吹奏できるように配列されているとの知見を得た。
著者
吉川 かおり 天野 マキ 天野 マキ 大迫 正史 坂口 正治 越田 明子 旭 洋一郎 吉川 かおり 藤島 岳
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究においては、某県内にある某知的障害者更生施設における利用者6名とその保護者、施設職員との共同で、重度知的障害者への非言語的コミュニケーション方法の開発を行った。まず、利用者の全体像をとらえるために、支援職員から見た本人像・家族から見た本人像を調査し、相違点を検証した。また、支援職員がとらえた利用者像を明確化するための研修を実施すると共に、イルカ療法導入・スヌーズレンによる支援・乗馬療法導入に向けての準備を行った。具体的には、イルカとのふれあい体験の実施、水泳・水中活動を通してのプログラムの模索、遊具を用いての発達支援プログラムの開発である。国内外の施設・プログラムの視察を含めながら、対象施設・対象となる利用者にとって最適な方法と用具を模索し、プログラムの開発を試みた。イルカ療法導入の前段階として行った水泳・水中活動は、利用者用の支援プログラムを考案するところまで至ることができた。しかし、イルカ療法を導入するには地理的・気候的・費用的条件の面で困難があり、より手軽に用いる事のできる支援方法を探す必要が示された。スヌーズレンによる支援は、用意できた部屋がリラックスルームのみであったため、そこでの活動を通してコミュニケーションを深めるというところには至らなかった。そのため、他の遊具を用いる発達支援プログラムを考案し、利用者が日常的に楽しみを得ることのできる環境を創出することとした。特に、音の出るおもちゃには関心度が高く、少ない働きかけで多くの刺激が返ってくる遊具を導入する事の有効性が示された。乗馬療法については、その生理学的意義の考察を行い、実際の導入は今後の課題となった。これらのプログラムを導入する事によって、支援職員・保護者の相互理解が深まり、言葉のない利用者が表出する非言語的コミュニケーションの理解の方法および利用者支援の具体的方法が明確化された。
著者
安井 裕之 吉川 豊 廣村 信
出版者
京都薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

数種類の亜鉛錯体について、配位子・錯体の合成、物性解析、インビトロ実験(ラット遊離脂肪細胞、マウス由来3T3-L1培養脂肪細胞、ラット小腸由来α-グルコシダーゼ、ブタ膵臓由来リパーゼ)による活性評価、実験モデル動物を用いたインビボ実験による検討を行った。その結果、天然物であるトロポロンの誘導体を配位子とした亜鉛錯体の中に、従来と比較してより高い血糖効果作用を有する高活性のチオトロポロン亜鉛錯体を見出した。さらに、経口投与による高い血糖降下作用が見出されたチオトロポロン亜鉛錯体に関して、体内動態解析にもとづいた標的臓器の特定、および抗肥満作用の検討を行った。その結果、本錯体は主に肝臓と筋肉に分布し、これらの臓器に作用して糖代謝を改善させた。一方、脂肪組織には分布せず、脂肪組織には作用しなかった。この体内動態特性により、本錯体は肥満抑制効果を示さず、むしろ、高脂血症を亢進させる副作用が認められた。これは、肝臓で産生されたトリグリセライドが脂肪組織へと効率的に蓄積されなかったためと考えた。今後は、糖代謝を司る肝臓、筋肉に加えて脂肪組織にも移行して作用する亜鉛錯体、すなわち、脂肪組織へ高濃度に分布して、その機能を正常化させる亜鉛錯体を分子設計する必要があると結論された。
著者
杉本 雅樹 出崎 亮 関 修平 伊藤 洋 山本 春也 吉川 正人
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

セラミックスの原料である高分子材料の薄膜にイオンビームを照射することで、個々のイオン粒子の飛跡に沿って薄膜中に円筒形の架橋部分を形成し、それ以外の未架橋部を溶媒で除去することで直径数十ナノメートルの高分子ナノファイバーが作製できた。この原料高分子材料に、触媒能等を有する機能性金属をあらかじめ混合しておくことで、金属を含有した高分子ナノファイバーが作製可能であり、これを不活性ガス中で焼成することで、触媒金属を含有したセラミックナノファイバーが作製可能であることを明らかにした。このナノファイバーの長さ・太さ・形成数は、それぞれ高分子薄膜の厚さ、イオンビームの線エネルギー付与(単位飛跡あたり高分子材料に与えるエネルギー量)、射量(イオンビームの個数)で独立して制御可能である。また薄膜に対し、斜め45°で異なる4方向からイオンを照射することで、薄膜中でイオンの飛跡を3次元的に交錯させ、ナノファイバーを立体的に接続した3Dナノメッシュ構造が形成可能であることを明らかにした。