著者
渡辺 健 和田 一郎
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, 1983-06-15

アースアンカーの利用が本格的に実用化され始めた当初から, アンカー体から地盤への力の伝達は引張り杭の力の伝達機構と同じものか・単位面積当りの周囲摩擦抵抗はどの程度か・経時的にアンカー周辺の土はクリープあるいはそれに近い状態が起こらないか, 等の問題点があった。本論では, アンカー導入当初および現在のアースアンカーに関する調査, 試験について述べている。まず, 代々木公園および市ケ谷濠における導入の実状すなわち, アースアンカーによる土留め支保工が最良であるとした経過を説明し, 引張り材の検査, 注入用モルタルの配合と注入量の検査, 外殻モルタルの加圧力の決定について述べられている。次に, 土質工学会の基準案による検査・試験方法のうち, グラウト材や引張り材の検査, 削孔・グラウトの注入等の施工管理, そして引抜き・引張り・確認・特殊の各試験で構成される耐力試験について詳述している。最後に, 現時点における検査・試験の状況について, 交通営団で行ったものを例にとって説明して, 今後の検討点に, 地震時のアンカー体の動的挙動の問題があると示唆して終えている。
著者
和田 義哉 室橋 春光
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.115, pp.165-179, 2012-06-29

本研究では,算数の文章題において絵図を導入することで,問題解決にどのように効果があるのか検討する。調査では健常児と学習困難児それぞれに同じ算数の文章題を行った。文章題には,文章を理解する,絵図を作成する,式を作る,計算する問題があり,対象児間で絵図なし群,絵提示作成群,図提示作成群の3群を設定した。その結果,健常児では3つの対象物の比較問題において図の使用による効果 が現れ,学習困難児では文章の理解が不十分な問題において,絵が提示されることで理解が促進された。すなわち,絵は文章理解の助けとなるが,式を立てることに効果はなかった。一方,図は理論的に構成要素が配置されていても,その読み方や描き方を学習しないと有効に活用できないと考えられる。また,絵図の効果に差が出た問題については,事実関係が複雑で,文章内から書かれていない事実を抜き出 すことを要求するような文章題には,絵図の効果があると考えられる。
著者
山際 伸一 和田 耕一 中野 浩嗣 柚木 清司
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ストリーム指向プログラムはGPUといったメニーコアアクセラレータの普及によって、科学技術計算から産業用製品にまで利用されている。その単体性能は、チップ内における密並列によるプログラム実行により高い性能を示す。しかし、複数のアクセラレータを使った超並列計算を考慮すると、タスクの分割と通信タイミングを配慮したプログラム開発が必要になり、性能をスケーラブルに維持したままの開発が困難となる。本研究では、このようなGPUでのストリーム指向プログラムを対容積・対電力での計算能力の高密度化をねらい、自動的に複数のGPUで並列化し、スケーラブルに性能向上が可能なプログラミング基盤技術を開発する。
著者
和田 昌昭
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

共焦点レーザー顕微鏡,CT,MRIなどによって得られるラスター画像中の生物組織の面積や体積を計算するためのアルゴリズムを開発した.アルゴリズムは,ノイズ耐性,合同不変性,線形不変性,トリム不変性などの好ましい性質を備えている.共焦点レーザー顕微鏡で光電子倍増館感度を5%, 10%, 20%, 40%, 60%, 80%と変化させて撮影した蛍光ビーズ画像にアルゴリズムを適用したところ,得られた面積の標準偏差はたった0.26%であった.
著者
神田 明範 大和田 勇人
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

近年,急速に拡大したインターネットの情報をまとめるためのサイトが登場している.本研究ではこのようなサイトを情報統合サイトと呼ぶ.今回は情報統合サイトを,宿泊サイトに特化して作成する.つまり,宿泊サイトのプラン情報を統合し,ユーザーの負担を減らすようなシステムの提案をすることを目的とする.結果は14073 件のデータの結合に成功し,タグ検索等でユーザーが入手した情報を整理することを可能にした.
著者
吉田 裕 大和田 勇人
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

本研究はICDMコンテストに参加し,Wikipedia編集者の編集行動を予測するモデルを構築した.手法には時系列解析におけるARモデルを参考にして,教師あり学習の理論を導入した自己教師あり学習を提案した.特徴空間には文字数や時間などの特徴を投入したが,主に編集回数に関する特徴の取り方を実験で比較した.同時期の関連研究の結果より予測精度が低いが,実験に基づいた特徴評価ができたと言える.
著者
和田 俊憲
出版者
慶應義塾大学大学院法務研究科
雑誌
慶應法学 (ISSN:18800750)
巻号頁・発行日
no.18, pp.79-136, 2011-01 (Released:2011-00-00)

テーマ企画―遺伝情報をめぐる問題状況 I. はじめに1.遺伝情報と刑事法─概観2.本稿の目的II. DNA型鑑定と「同型性」の認定1.DNA型鑑定の科学的原理・方法と法的類型2.DNA型鑑定の証拠能力─足利事件を題材に3.DNA型鑑定の信用性が争われた近時の裁判例III. DNA型鑑定と「被告人由来性」の認定1.DNA型出現頻度の鑑定の要否2.DNA型出現頻度の意味と評価3.遺伝試料が被告人由来である確率IV. DNA型鑑定と「犯人性」の認定1.指紋鑑定の証明力2.DNA型鑑定のみによる犯人性認定に関する判例・学説3.検 討V. おわりに
著者
恒吉 玲代 永山 寛 涌井 佐和子 浜岡 隆文 齋藤 和人 前田 明 図子 浩二 井上 尚武 和田 智仁 隅野 美砂輝 荻田 太 吉武 裕
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.433-442, 2008-08-01
被引用文献数
4 6

There have so far been no studies examining the physical fitness and physical activity (PA), measured using objective measures, in homebound elderly people. The purpose of this study was to examine physical fitness levels and PA patterns and evaluate their relationships in homebound elderly people. In 2004, a total of 3964 community-dwelling elderly aged 65 years and over participated in a base line survey. The subject data were directly collected by in-home interviewer. Subjects were defined as being homebound if they went outdoors less than once a week. However, the subjects who could not go out without assistance due to sickness and/or disability were excluded from the analysis. In 2005, 38 homebound (22 men, 16 women) and 70 non-homebound (33 men, 37 women) older adults who participated in the base line survey were selected. Measurements of physical fitness levels and PA patterns measured using an accelerometer, were taken in 2005. The total steps per day did not significantly differ between homebound and non-homebound men and women. The time spent in 1.8 METs activity (corresponding to activity level 1 of the accelerometer) was significantly higher in women than in men for non-homebound and homebound, respectively. The time spent in lower-, moderate-, and high-intensity PA did not significantly differ between homebound and non-homebound men and women, respectively. Handgrip strength, knee extensor strength, leg extensor power, stepping and maximum walking speed were significantly higher in non-homebound than in homebound men and women. These results suggest that the physical fitness levels of homebound were lower than those of non-homebound, but no difference was observed in the PA levels between homebound and non-homebound.
著者
工藤 逸郎 三宅 正彦 見崎 徹 小室 歳信 金山 利吉 若松 佳子 納村 晉吉 篠田 宏司 太田 肇 下山 哲夫 会田 卓久 松江 高光 小田 泰之 関根 光治 和田 雅彦
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-20, 2011-03-31

戦中の歯科月報は,戦局の激化により昭利19年(1944)6月20日発行の第24巻第5号を以て廃刊となったが,戦後昭和24年(1994)5月30日日本大学歯学会発行,復刊記念号として復刊された.雑誌の性格は戦中迄の歯科月報と同様,学術誌,同窓会誌との二面牲を持つ性格のものであった.昭和26年(1951)10月31日発行の歯科月報復刊第2号から昭和29年(1954)10月30日発行の歯科月報復刊第10号迄は日本大学歯科同窓会発行となる.復刊第10号は学会誌と同窓会誌の二重の牲格を持つ最後の会誌となる.昭和30年(1955)6月,大学院設置予定に伴い学会誌のみの雑誌の必要性から歯科月報は第29巻第1号から日本大学歯学会機関誌に決定された.そのため同窓会関係については新たに同窓会誌を発行する必要が生じ,昭和31年(1956)3月21日,日本大学歯学部同窓会会誌創刊号が発行された.その後,同誌は日本大学歯学部同窓会雑誌,日本大学歯学部同窓会誌と改題して現在に至っている.歯科月報は昭和39年(1964)1月,日大歯学(Nihon University Dental Journal)第38巻第1号に改題し現在に至っている.以上について本学の歯学部,同窓会,図書館等の資料を用いて検討し若干の考察を加えて報告した.
著者
和田 周佳 広瀬 茂男 新井 雅之
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp."2P1-K02(1)"-"2P1-K02(2)", 2007-05-11

The camera mechanism for Souryu-V is developed in this research. 4 cameras are installed at Souryu-V. Front cameras are fixed and get a front clear view. Rear cameras are revolved and get a view of 360 deg. Souyu-V inspects narrow and winding spaces. Therefore, cameras may check advance. Then, at the time of advance, it is made the structure from which cameras do not check advance. Furthermore, it is made the mechanism in which cameras can circle. Consequently, the stick which supports a camera was made into the thing of an elastic body, and the axis of rotation is prepared into the stick. Consequently, sufficient vision to manage a Souryu-V was got.
著者
川村 光 前川 覚 香取 浩子 常次 宏一 有馬 孝尚 廣田 和馬 前川 覚 陰山 洋 常次 宏一 有馬 孝尚 廣田 和馬 大和田 謙二 香取 浩子
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、特定領域研究「フラストレーションが創る新しい物性」の終了年度研究であり、特定領域5年間の成果の取りまとめが主たる内容となる。本特定領域研究においては、伝統的なフラストレート系研究の場であった磁性分野をその基盤に据えつつも、金属・強相関・誘電体等のより広汎な分野をも含む分野横断的なフラストレート系研究を展開し、これら多様なフラストレート系を統合的に扱うことを通して、フラストレーションを基軸とした新概念・新物性の開拓した。その結果、領域設定期間の間に、フラストレート系研究は格段の進展を見て、「フラストレーション」概念は、幅広い有効性を持った一般概念として物性科学分野に定着するに至った。とりわけ、特定領域活動の結果、フラストレート系研究は格段の進展を見、「フラストレーション」概念は、幅広い有効性を持った一般概念として物性科学分野に定着するに至った。例えば、カゴメ格子系、3角格子系、ハニカム格子系を舞台としたスピン液体状態の発見、カイラリティ概念を基軸とした新奇現象-異常ホール効果、スカーミオン格子、Z2ボルテックス、スピン-カイラリティ分離等-の発見と展開、マルチフェロ物質における新たな外場制御法の創出、フラストレート伝導系における新奇な輸送現象や特異秩序状態・量子臨界現象の発見、リラクサー誘電体における局所分極領域の種となる遅い横波振動モードの発見、といったような諸成果があげられる。本終了年度研究においては、これらの研究成果をを集積し領域として有機的に総合した上で、報告・公表を行った。具体的には、メインとなる研究成果報告書冊子の作成と配布に加え、研究成果発信のホームページの作成を合わせて行った。成果報告書は当領域の成果をまとめたコアとなる450ページ程度の冊子体であり、領域メンバーのみならず関連分野の研究者に広く配布した。
著者
和田 浩二
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 = Journal of the Pharmaceutical Society of Japan (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.11, pp.929-956, 2002-11-01
被引用文献数
13

The chemical constituents of <i>Aconitum yesoense</i> var. <i>macroyesoense</i> and <i>Aconitum japonicum</i> were examined using high-resolution spectral analysis. Twelve novel alkaloids were isolated from <i>A. yesoense</i> var. <i>macroyesoense</i> together with 20 known alkaloids. Eight novel alkaloids were isolated from <i>A. japonicum</i> together with 15 known alkaloids. An HPLC-atmospheric pressure chemical ionization-mass spectrometry (HPLC-APCI-MS) method was useful for the simultaneous determination of 21 <i>Aconitum</i> alkaloids found in <i>A. yesoense</i> var. <i>macroyesoense</i> and A. <i>japonicum</i>. These compounds were fairly stable under the conditions used, and the protonated molecules or fragment ions characteristic of the molecule appeared as base peaks in the mass spectra and were used for selected ion monitoring. HPLC-APCI-MS is a very promising approach for structural investigations of positional isomers and stereoisomers. This method was applied successfully to stereoisomeric <i>Aconitum</i> alkaloids differing in configuration at C-1, -6, or -12. Comparison of the APCI spectra showed that the abundance of fragment ions was significantly higher for the C-1, -6, or -12 β-form alkaloid than for C-1, -6, or -12 α-form alkaloid. The main alkaloid constituents in the root of <i>A. yesoense</i> var. <i>macroyesoense</i>, <i>Aconitum</i> alkaloids of the C<sub>20</sub>-diterpenoid type, kobusine and pseudokobusine, and their acyl derivatives were examined for their peripheral vasoactivities by measuring laser-flowmetrically the cutaneous blood flow in the hind foot of mice after intravenous administration. It is thought that the hydroxyl groups of alkaloids, especially a free OH group of pseudokobusine at C-6, were important for action on the peripheral vasculature leading to dilatation, and the results indicated that esterification of the hydroxyl group at C-15 with either anisoate, veratroate, or <i>p</i>-nitrobenzoate may contribute to enhancement of the activity of the parent alkaloids.<br>
著者
野添 恒幹 和田 安弘 木下 卓也 熊沢 忠躬 浜田 栄幹
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.1041-1049, 1985
被引用文献数
1 1 3

30才男性の両側性他覚的耳鳴を経験し, 耳鳴の発生に関与する筋および機序について検討した. その結果, 口蓋帆張筋間代性痙攣で耳管軟骨部内壁の急激な離開あるいは耳管周囲軟骨の変形が生じ, これが他覚的に click 音として聴取されたものと推定した. また本症例では口蓋帆張筋のみならず鼓膜張筋の間代性痙攣も確認された. 耳鳴時の鼓膜コンプライアンスの増大は鼓膜内陥運動と外耳道容積の増大とによるものと考えられた.
著者
磯貝 明 木村 聡 岩田 忠久 和田 昌久 五十嵐 圭日子 齋藤 継之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

結晶性ミクロフィブリルを有する構造多糖のセルロースおよびキチン、貯蔵多糖のカードランについて従来型および新規TEMPO触媒酸化を適用し、反応条件と酸化多糖の化学構造、ナノ構造、分子量変化を明らかにするとともに、新たな酸化機構を見出した。得られたバイオ系ナノフィブリル表面を位置選択的に高効率で改質する方法を検討し、生分解性のスイッチ機能付与、親水性から疎水性へのスイッチ機能付与方法を構築した。得られたバイオ系ナノフィブリルから各種複合材料を調製して構造および特性を検討し、軽量高強度化、ガスバリア性・選択分離性、重金属捕捉機能、透明導電性など、新規バイオ系ナノ材料として優れた特性を見出した。