著者
若井 俊文 坂田 純 三浦 宏平 堅田 朋大 廣瀬 雄己 滝沢 一泰
出版者
一般社団法人 日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.54-59, 2019-03-25 (Released:2019-04-08)
参考文献数
30
被引用文献数
1

十二指腸乳頭部癌は膵頭十二指腸切除術が標準的治療であり,胆道癌の中で最もR0切除率が高く,治療成績は比較的良好である.粘膜内に留まりOddi筋に達しない癌はリンパ節転移をきたす可能性が非常に低く,理論的には局所的乳頭部切除術が適応可能である.しかし,術前画像診断では癌がOddi筋に達するか否かを正確に診断することは困難であり,基本的には十二指腸乳頭部癌に対しては縮小手術を適応するべきではない.生検で腺腫と診断された場合も局所的乳頭部切除術が適応可能だが,深部に癌を認める可能性もあり,術後の病理学的検索が必須である.膵浸潤は十二指腸乳頭部癌の重要な予後因子であり,癌が膵実質におよぶと神経(周囲)浸潤を高率に認め,浸潤性膵管癌と同様の生物学的悪性度を有するようになる.リンパ節転移も強力な予後因子であり,リンパ節転移個数(0個,1~3個,≥ 4個)は本疾患の予後を良好に層別化する.
著者
坂田 ゆず
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.41, 2022 (Released:2022-04-11)
参考文献数
70
被引用文献数
2

外来植物は、瞬く間に分布域を広げ在来植物を駆逐する場合がある一方で、定着してから気づいたら姿を消していたという場合もある。こうした外来植物の在来生態系でのふるまいの違いを理解・予測する上で、外来植物の自身の形質に加えて、外来植物と在来植物の間の相互作用のメカニズムの理解が欠かせない。本稿では、外来植物が植食者を介して在来植物に与える負の影響(見かけの競争)に注目し、これまで研究されてきた事例を幅広く紹介し、後半ではこの3者間の相互作用が環境要因によってどのように変化しうるかについて議論する。さらに見かけの競争によって、意図的・非意図的な外来植食者の侵入が逆に在来植物の食害を増加させる事例についてまとめた。また、筆者が外来植物のセイタカアワダチソウを材料に、原産地と侵入地で見かけの競争の地理的な変異に注目して行っている事例研究を少し紹介する。最後に、外来植物を取り巻く環境の変化を取り上げて、変動する環境下において、変化していく外来植物のふるまいへの理解を深める今後の研究の展望を探りたい。

1 0 0 0 OA 宇宙の炭素

著者
坂田 朗 和田 節子
出版者
THE CARBON SOCIETY OF JAPAN
雑誌
炭素 (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.138, pp.150-160, 1989-07-05 (Released:2010-06-28)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Recently astronomical observation revealed that optical properties of interstellar dusts in galaxies nearby our Galaxy shows gradual variation of optical properties closely related to their stage of galactic growth. The average interstellar extinction curves of Small Magellanic Cloud (SMC), Large Magellanic Cloud (LMC), and our Galaxy are summarized with astronomical observations of artificial satellites. An extinction curve of SMC, the youngest of them, showed smooth feature from far UV to near IR. But that of our Galaxy, the oldest of them, showed a large hump peaked at 220 nm. In this paper we discussed evolution of carbonaceous dusts in galactic growth.With high resolution observation of IR spectrum near our solar system, a life of carbonaceous dusts were clarified. The carbonaceous dusts were formed in circumstellar space of carbon rich aged stars and then they were expelled into interstellar space to be interstellar dusts. After the long residence in interstellar space the dusts were condensed in a dark cloud to form a protostar. In aged stage of dusts there are at least three substages such as dark cloud stage, protostellar stage, T Tauri stage and so on. The spectral changes of their carbonaceous dusts in these stages were summarized.
著者
森本 真弘 浅香 卓哉 鎌口 真由美 山下 映美 坂田 健一郎 大内 学 大賀 則孝 佐藤 淳 佐藤 千晴 北川 善政
出版者
公益社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.447-454, 2019-07-20 (Released:2019-09-20)
参考文献数
22
被引用文献数
2

Palmoplantar pustulosis (PPP) is a refractory skin disorder exhibiting numerous sterile pustules on the palms and soles of the patients. PPP is related to dental focal infection and metal allergy, and the experts in dermatology and dentistry have worked together to arrive at a consensus regarding the diagnosis and treatment of PPP. However, the obvious cause of PPP remains unknown, and a standard treatment has yet to be established. In this study, we aimed to clarify the relation of PPP to dental focal infection and dental metal allergy. We evaluated 29 patients with PPP who underwent oral examination and patch testing in the Department of Oral Medicine at Hokkaido University Hospital from July 2010 through May 2014. In total, 22 of the 29 patients had positive patch test results, and flare-up was observed in one patient. Metallic component analysis revealed that the oral cavity was metal-positive in 14 of 22 patch test-positive patients. In contrast, odontogenic foci were found in 25 of 29 patients. Among 14 patients who had positive patch-test results for metal in the oral cavity, the course after metal removal could be confirmed in nine patients, and skin symptoms improved in all patients. Among 15 patients who did not have patch-test results for metal in the oral cavity, the course after treatment of odontogenic foci could be confirmed in eight patients, and symptoms improved in only one patient. This study resulted in a higher rate of improvement after removal of dental metals versus treatment of odontogenic foci, suggesting that PPP strongly correlates with dental metal allergy. However, because odontogenic foci may be treated concurrently with metal removal, an association between PPP and dental focal infection cannot be denied. In addition to the time and cost burden of metal removal, symptoms may improve naturally in some cases. Therefore, we suggest that it is necessary to consider the suitability of metal removal on a case-by-case basis.
著者
坂田 雪菜 山本 朋弘
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.1, pp.90-96, 2023-05-05 (Released:2023-05-05)

本研究では,端末を用いた家庭学習において,児童がテーマを自己決定し,学習の成果をまとめられるよう,大学生の運営によるオンラインコミュニティを通して,チャットを用いた学習者間の協働学習を支援した.児童向けの意識調査やチャット上でのやり取りを分析した結果,家庭学習における児童の主体性と協働性で有意な差がみられ,オンラインコミュニティの有効性を明らかにした.また,チャットでは互いに学習内容やスライドへのアドバイスをしている姿が見られた.
著者
彦惣 俊吾 坂田 泰史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.221-227, 2022-02-10 (Released:2023-02-10)
参考文献数
10

ACE(angiotensin-converting enzyme)阻害薬・ARB(angiotensin receptor blocker)は,長らく慢性心不全治療薬の中心的役割を担ってきた.近年,ナトリウム利尿ペプチド分解酵素阻害作用を併せ持つARNI(angiotensin receptor neprilysin inhibitor)が,ACE阻害薬以上の有効性を有することが示され,国内外のガイドラインにおいて,ACE阻害薬・ARBでは効果不十分な症例においてARNIへの切り替えが推奨されるようになった.どのような症例が切り替えの対象となるのか,及び切り替えの際の留意点等について解説する.
著者
釡口 力 小坂田 文隆
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.56-65, 2023-06-05 (Released:2023-07-05)
参考文献数
43
被引用文献数
1

脳には膨大な数のニューロンが存在し,それらがシナプスを介して複雑に絡み合うことで神経回路システムを構築している.この神経回路で行われる情報処理が様々な脳機能の基盤となっていることから,神経回路の構造・機能をそれを構成する多様な神経細胞種と関連づけて理解することが脳の仕組みの理解へ繋がると考えられる.我々は神経回路を解析する手法として,経シナプス感染能を有する狂犬病ウイルスベクターを用いた神経回路標識法を開発してきた.近年では,分子生物学,光学,行動心理学,情報学などと組み合わせることにより,分子・細胞・回路・領域・行動を階層的に結びつけるマルチスケールな解析が可能になってきた.本稿では,G欠損狂犬病ウイルスベクターを用いた経シナプストレーシング法とその応用的な解析に焦点を当て,脳神経回路研究の展望について紹介する.
著者
村田 潤 山形 茂生 古本 節子 村田 伸 大山 美智江 坂田 栄二 北谷 典丈 谷 都美子
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.59-63, 2013 (Released:2013-10-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

本研究は,美顔器使用による顔面の機能や形態的な変化について解明することを目 的として行った。対象は,発症後1年以上経過した慢性期脳卒中片麻痺患者6名であった。 運動機能評価として口を閉じる筋力とまばたき回数を計測し,感覚機能評価として触圧覚 閾値と二点識別覚を測定した。また,同時に顔面の形態的変化を画像解析により評価した。 美顔器を使用しない期間にみられる各測定項目の変化量をコントロールデータとし,その後の美顔器介入期間にみられる変化量と比較した。美顔器プログラムは1試行9分間,朝夕1日2回行わせた。その結果,コントロール期間の変化量と比較して,介入後の触圧覚閾値や2点識別覚の間隔距離の変化量が有意に減少した。しかし,運動機能に関しては有意な変化は認められなかった。一方で,形態的な顔面の左右差は介入期間後に減少した。 本研究結果は,美顔器の刺激が顔面の感覚機能や形態の変化に影響することを示唆した。
著者
田中於菟弥 坂田貞二著
出版者
ピタカ
巻号頁・発行日
1978
著者
田中於菟弥 坂田貞二訳
出版者
春秋社
巻号頁・発行日
1983
著者
川本 稔己 山崎 天 坂田 亘 佐藤 敏紀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 93回 (2021/11) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.131-136, 2021 (Released:2021-11-20)

本稿では、対話システムライブコンペティション4のシチュエーショントラックに提出した対話システムについて述べる。本システムはTransformerをベースとした言語モデルの「HyperCLOVA」を用いて応答生成を行った。言語モデルには対話履歴だけでなく、状況や発話者のペルソナをFew-Shotのプロンプトとして入力することでシチュエーションに沿った応答生成を可能にした。また、シチュエーションに沿わない応答を生成した場合に備えて、応答開始語句を指定した後に再度生成を行う機構を備えている。その結果、本システムは予選で2位の成績を収め、日本語の大規模言語モデルがシチュエーションに沿ったタスク指向対話の応答生成に有用であることを確認した。一方で、生成文には時折Hallucinationが起こることにより、発話の信頼性や対話の一貫性に未だ課題が残る。本稿では、予選の対話ログを参照し課題の議論を行う。
著者
河村 和徳 三船 毅 篠澤 和久 堤 英敬 小川 芳樹 窪 俊一 善教 将大 湯淺 墾道 菊地 朗 和田 裕一 坂田 邦子 長野 明子 岡田 陽介 小林 哲郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

東日本大震災では多くの被災者が生じ、彼らの多くは政治弱者となった。本研究は、彼らの視点から電子民主主義の可能性について検討を行った。とりわけ、彼らの投票参加を容易にする電子投票・インターネット投票について注目した。福島県民意識調査の結果から、回答者の多くは電子投票・インターネット投票に肯定的であることが明らかとなった。しかし、選管事務局職員は、こうしたICTを活用した取り組みに難色を示す傾向が見られた。ICTを利用した投票参加システムを整備するにあたっては、彼らが持つ懸念を払拭する必要があることが肝要であり、財源の担保に加えシステムの信頼を高める努力が必要であることが明らかになった。