著者
堀井 郁夫 浜田 悦昌
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.463-467, 2007 (Released:2007-06-14)
参考文献数
3

医薬品の開発を進めるに際しては開発ステージに応じた非臨床安全性試験の実施が求められており,その基本となっているのが,単回投与毒性試験と反復投与毒性試験,いわゆる一般毒性試験である.単回投与毒性試験は単回投与によって概略の致死量(げっ歯類)や毒性兆候が発現する用量(非げっ歯類)を明らかにすること,反復投与毒性試験は繰り返し投与によって誘起される毒作用を明確にし,毒作用を誘起する用量と毒作用の認められない用量(無毒性量)を明らかにすることを目的としている.実験方法や実施時期はICHの合意に基づいたガイドラインで規定され,詳細について記載した解説書も発行されている.両試験とも試験で認められた種々の変化のどれが毒作用か,認められた毒作用はcriticalか否か,暴露状態と毒作用の関係等を考慮し,慎重に結果を解釈する必要がある.更に,毒作用の発現機序,発現の程度,回復性,治療係数,臨床試験上の対処手段等の観点から総合的に安全性評価を行うことが,適切な臨床開発を進めるためには不可欠である.
著者
富田 さわ子 武部 真子 田波 真弓 柴田 育子 堀越 香織 芳鐘 文子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.117, 2021

一橋大学附属図書館では,令和元(2019)年10月12日(土),東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号の影響により,書庫内に大規模な浸水被害が発生した。施設や書架,蔵書等に受けた被害,復旧作業の経過及び今後に向けた取り組みについて,約1年が経過した時点での状況を報告する。
著者
植竹 紀子 堀田 のぞみ 垣内 康孝 千葉 和義
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.268-277, 2017 (Released:2017-07-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

In the science section of the Japanese course of study, there are four “fields”, i.e. “matter (particle)”, “energy”, “life” and “the earth”, and these fields consist of by many “units” containing scientific knowledge or concepts which should be understood by pupils. To classify scientific papers written by pupils, we identified the scientific knowledge or concepts used by pupils in their scientific papers. When the scientific knowledge or concept in the scientific paper were found in the unit of the Japanese course of study, we determined the papers to be related to that unit. Using 102 papers from the Japanese science contest (Shizekon) from 2006 to 2011, we found that some pupils used scientific knowledge or concepts which were scheduled to be learned later in elementary or junior high schools. Many papers (72%) were classified as the “life” field. On the other hand, only 35% of the units in “the earth” field were found in the papers examined. Most of the papers (82%) were related to two or more units or fields. Because teachers are expected to show pupils the relationships between units to improve their understanding of science, these scientific papers may be useful for teachers to develop their teaching materials.
著者
堀内 圭子
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2002-11-25

新制・論文博士
著者
堀田 かおり 石丸 美奈
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 = Journal of Chiba Academy of Nursing Science (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.61-70, 2021-09-30

[要旨] 本研究の目的は,実践コミュニティの概念を用いてボランティア活動を行う高齢者グループの学習の要素と学習による高齢者個人・グループの変化を文献より明らかにし,ボランティア活動における高齢者グループの学習と学習による変化について仮説的な枠組みを作成することである。CINAHL,MEDLINE,PsycInfo,医中誌Web,CiNiiを用いて,ボランティア活動による高齢者個人またはグループの変化が記述されている12文献を選定し,質的記述的に分析した。結果,高齢者グループの学習の要素18カテゴリ,個人の変化5カテゴリ,グループの変化3カテゴリを得た。 ボランティア活動における高齢者グループの学習は,【メンバー同士で折り合いをつけた活動】や【支援対象者からの学び】等の相互交流から【高齢者の心身の健康と生活への支援】や【自己の能力・知識の向上】,【地域における高齢者の生きがい・居場所づくりの支援】等が目的となり,【活動の質を向上させる知識・技術・ツール】や【日常生活に役立つ知識・技術・情報】を共有して活動することにより,【継続的に学び合う居場所】となり【地域社会における役割と課題の付与】をもたらすと構造的にとらえることができた。ボランティア活動における学習は,高齢者の健康づくりに波及しており,さらに地域づくりへと波及する可能性が示唆された。
著者
夏堀 晃世
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.87-92, 2021-06-05 (Released:2021-07-05)
参考文献数
40

エネルギーの恒常性維持(ホメオスタシス)は,細胞の生命活動を維持する上で極めて重要である.脳においては,特定の神経活動に伴う局所血流増加がNeurometabolic couplingとしてエネルギー恒常性維持の一端を担うと考えられ,それにより生理的条件下で,神経の細胞内エネルギーは常に一定に保たれると予想されてきた.しかしこれまで,生体脳においてエネルギー恒常性維持が達成されていることを検証した報告は無かった.そこで筆者らは,細胞共通のエネルギー通貨として利用されるアデノシン三リン酸(ATP)の神経細胞内濃度の生体計測により,脳のエネルギー恒常性維持の生体検証を行った.その結果,大脳皮質の興奮性神経の細胞内ATP濃度は,動物の睡眠―覚醒に伴い皮質全体でシンクロして変動し,動物の覚醒時に増加することを見出した.この結果は動物の覚醒時,神経活動増加に伴うエネルギー需要増加をさらに上回るエネルギー合成活動が,皮質全域で同時に迅速かつ持続的に行われることを示唆している.このことから,動物の覚醒時に皮質全域の神経細胞内ATP濃度を一気に増加させる,全脳レベルのエネルギー代謝調節機構の存在を初めて予想できた.動物の睡眠覚醒に伴い,脳の広域で一貫した神経細胞内ATP変動を引き起こすエネルギー代謝調節機構の実体として,筆者らは,ノルアドレナリン神経をはじめとする覚醒中枢神経の関与を予想している.これらの汎性投射神経が広範な投射先で伝達物質を拡散放出し,グリア細胞の一種であるアストロサイトへ作用して局所血流調節と神経への乳酸供給という2種類の代謝調節活動を制御することで,広範な脳領域で一貫した神経細胞内ATP濃度最適化に寄与している可能性があると考え,現在研究を進めている.
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[22],
著者
梶田 幸宏 岩堀 裕介 村松 由崇 斉藤 豊
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.389-392, 2017 (Released:2017-09-20)
参考文献数
10

エコーを用いて,腱板断裂患者,凍結肩患者,反復性肩関節脱臼患者,健常人の第5頸椎(以下C5)神経根の断面積を比較検討した.対象は腱板断裂患者36例,凍結肩患者16例,反復性肩関節脱臼患者10例と,健常人100人とした.エコーを用いて頚椎横突起レベルのC5神経根の断面積を算出し,各疾患の患健側,健常人の間で比較した.腱板断裂では患側は7.8mm2±2.7mm2,健側は7.9mm2±3.0mm2,凍結肩では患側は8.7mm2±2.7mm2,健側は8.3mm2±2.4mm2,反復性肩関節脱臼では患側は6.6mm2±2.3mm2,健側は6.2mm2±2.1mm2,健常人では7.0mm2±1.9mm2であった.全群において両側間で有意差がなかった.健常人に比べ腱板断裂,凍結肩では,患健側とも有意に肥大を認めた.腱板断裂患者と凍結肩患者ではC5神経根は患側・健側ともに健常人と比較して肥大していた.肩関節由来の痛みにC5の肥大が関与することが示唆された.
著者
堀尾 文彦 村井 篤嗣 小林 美里
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

ビタミンC(VC)生合成不能のODSラットにVC無添加飼料を8日間与えた時期には欠乏症状は全く発症していないが、LPS誘発性敗血症を引き起こすと5.5%という極めて低い生存率であった。それに対して、最小必要量のVCの摂取は生存率を39%にまで上昇させ、ビタミンC摂取が敗血症防御効果のあることを初めて示した。さらに特筆すべきことは、最小必要量の10倍の高用量のビタミンC摂取は生存率を61%にまで改善させ、高用量VC摂取が敗血症に対して有効な防御手段であることを示した。このVCの作用は、LPSによる血中単核球でのTNFαおよびIL-1βの産生上昇の抑制によることを示唆する結果も得た。
著者
八木澤 史子 安里 基子 遠藤 みなみ 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.3, pp.118-123, 2021-10-29 (Released:2021-10-29)

クラウドでの共同編集機能を用いて,若手教師が作成した学習指導案を,ベテラン教師の助言を受けながら修正するという実践を行った.修正は2つの方法で実施した.1つめは,クラウドサービスのアプリを利用した「共同編集機能のみ」,2つめはクラウドサービスのアプリに加えて,テレビ会議システムを利用した「共同編集機能およびオンラインによる対話」であった.結果,2つの方法ではやりとりされたコメントの数に違いがあることが示唆された.
著者
堀江 浩
出版者
埼玉大学社会調査研究センター
雑誌
政策と調査 = Policy & research (ISSN:2186411X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.3-10, 2019-03

選挙における期日前投票制度が広く知られてきて,この制度を使って投票する人が増えている。政党や候補者,運動員らも期日前投票に行くよう呼びかけを強めている。期日前投票の増加は選挙にどのような影響を及ぼしているだろうか。制度が導入された2004 年の参院選以降の国政選挙を分析すると,全体として投票率を押し上げる効果はなく,これまで当日投票に行っていた層が前倒しで投票している可能性が高い。比較的,組織票が多いとされた期日前投票だが,近年は必ずしも組織化されていない層の利用が増え,期日前投票と当日投票の均質化が進んでいる。Early voting has become popular in elections, resulting in an increased number of people using this option to cast their ballots. Political parties, candidates, and campaign workers are also strongly urging people to vote early. What impact does an increase in early voting have on elections? An analysis of national elections since 2004, when early voting was implemented in an upper house election, indicates that it may not increase overall voter turnout. Rather, it is more likely that those who previously voted on election days are instead now casting early votes. Many early votes were organized votes, but in recent years, voters who are not necessarily part of any organized voting bloc may increasingly use this option, narrowing the difference between early voting and election day turnout.はじめに1.投票率2.投票先3.政党,政治家4.有権者5.出口調査
著者
佐藤 弘喜 石川 和也 堀江 大 伊藤 弘基 山根 生也
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1_18-1_21, 2016

選挙活動において、選挙カーは活動の為の重要なツールである。しかし従来の選挙カーは、機能的に候補者のニーズを十分に満たしているとは考えにくい。また、選挙カーは一般市民にとって好ましい、魅力的な印象を持つ事も重要である。そこで、インタビューや実験などの調査に基づき、候補者の政策等を効果的に伝達できる選挙カーの開発を行った。<br>現状の選挙カーの調査や、議員など利用者のインタビュー調査をもとに新たな選挙カーのニーズを分析し、デザイン案を制作した。採用候補とした複数のデザイン案に対して幅広い年代に評価実験を実施し、どのような選挙カーが好まれるかを調査した。実験結果の分析によってデザイン案を絞り込み、最終的に決定されたデザイン案に基づいて、実際に選挙カーの車輛が製作された(図1)。車輛は今後の選挙において利用される予定である。
著者
河瀬 美之 石神 龍代 堀 茂 中村 弘典 服部 輝男 田中 法一 絹田 章 平松 英敬 皆川 宗徳 黒野 保三
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.185-189, 2000-05-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

足三里穴の降圧効果を検討する目的で、封筒法による鍼治療の多施設臨床比較試験を行った。高血圧状態の患者に対し、足三里穴を使用する群と使用しない群に分けて血圧値の推移を検討した結果、両群の群間には有意な差はなく、足三里穴の有効性までは認められなかった。
著者
横堀 將司
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.922-933, 2021-09-10

Point・外傷診療は時間との勝負である.迅速な初期蘇生はもちろんのこと,正確な重症度,緊急度の評価は必須である.・根治的治療がシームレスに継続されるための情報伝達項目を明確にしておく.チーム医療(戦略,戦術,チームワーク)の確立は必須である.・搬送を急ぐあまり,気道,呼吸,循環の安定化を怠ってはならない.付加的な二次的脳損傷は患者転帰をむしろ悪化させる.