著者
深見 友紀子 佐藤 和紀 森谷 直美 中平 勝子 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.89-96, 2017-05-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
14
被引用文献数
4

小学校第5学年児童がタブレット端末を家庭に持ち帰り,約3週間にわたってリコーダー演奏に関するビデオを視聴し,卒業式での演奏に向けた練習に取り組んだ.その期間中,児童にはビデオ視聴回数の記録,3回の演奏録画が課された.実践終了後,録画された映像に対して音楽の専門家3名が総合評価(10点満点)と項目別評価(5点満点)を行った結果,児童の集団としての演奏技能が伸び,特に,実践開始時点において中位だった児童(中位群)にすべての項目で進歩が見られた.下位群には3回目に総合点で平均を上回った児童も存在したが,わずかしか伸びない児童もいた.上位群も全般的に伸びが小さかった.技能が伸びにくい児童に対する個別指導の必要性,ビデオ教材の改良等の課題が残ったものの,一般の音楽レッスンの形態を適用した一人1台端末を活用した家庭学習は,音楽科にとっては,授業時数不足という現状を打開する一方法であることが示された.
著者
江川 香奈 内田 聡 野田 五十樹 依田 育士 堀内 義仁 小林 健一 筧 淳夫 長澤 泰
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.669, pp.2057-2064, 2011
被引用文献数
2

The study aims at finding out potential capacity for admitting casualties suffering from devastating disasters occurred in the vicinity of hospitals within a limited time frame during ordinary day to day hospital services. Three stages of analysis on admitting casualties were carried out. As the results, quite significant implications were obtained, inter alia, number of CTs / X-rays as well as the treatment space are found to be critical factors in order to complete the treatment of casualties in limited period of time.
著者
堀内 かおる 花岡 美紀 小笠原 由紀 太田 ひとみ
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, 2013

【目的】  中学校技術・家庭科家庭分野の「A家族・家庭と子どもの成長」は、家庭分野の導入として、ガイダンスの位置づけとすることになっている。しかしこの内容に含まれている「自分の成長と家族とのかかわり」は、中学校入学当初のみならず、家庭分野の学習を通して生徒に見つめさせていきたい内容である。中学生の時期に自立の概念をとらえ、今後の自分の人生を展望することは極めて重要であり、キャリア教育の視点も加味しつつ、家庭科学習との関わりで自らの成長を振り返る契機としたいと考えた。以上の授業観に基づき、中学生が自らの成長を家族との関わりを可視化することを通して考える授業を設定し、その効果と課題を明らかにすることを目的として、「絵本」を教材とした授業実践とその分析・考察を試みた。【方法】 2012年10月に、国立大学附属K中学校第1学年4クラスの生徒を対象として、家族と家庭生活に関する内容の絵本を教材とした授業を試みた。授業は2時間続きで行われ、1時間目には本授業のために制作されたオリジナルのデジタル絵本『「なりたい自分」になるために必要なこと』を、2時間目には、レイフ・クリスチャンソン:文(にいもんじまさあき:訳)、ディック・ステンベリ:絵の『じぶん』(岩崎書店、1997年)という絵本を使用し、他者とのかかわりの中で、相手意識をもって「自分に何ができるのか」を考えるように促した。 授業の中では、現在に至るまでの、家族とのかかわりに着目させることとし、自分の成長の背景には、家族をはじめとする身近な大人たちの存在が不可欠であり、そうした人々との関わりを通して今の「自分」を形成してきたのだということに生徒たちが気づくための手立てを考え、授業の内容が組み立てられた。本授業における生徒の気づきをワークシートや授業後の感想から読み取り、分析を行った。【結果と考察】1.生徒にとっての「自立」: 1時間目の授業の冒頭で、教師は「自立」のイメージマップを生徒たちに書かせた。その結果、「自立」という言葉から直接枝分かれして書かれている言葉は、「一人暮らし」「視野が広がる」「自分の意思をもつ」「自分の力で生活する」ということであった。自立には、生活的な自立、精神的自立、経済的自立があることをとらえていることが分かった。しかし、「自分の力で生活する」と言う言葉から派生しているのは、「自分のことは自分でやる」ということであって、「一人でできるようになる」ということが自立の根本的な考え方として捉えられていた。「誰かと共に助け合って生活する」「誰かのために役立つ自分になる」という「共生」の概念は、この「自立」のマップからは見取ることができなかった。2.「共生」というコンセプトについての生徒の理解: 1時間目の授業では、「自立」の概念に続いて、「共生」の意味についても生徒に提示している。「共生」の概念を押さえたうえで、2時間目の「いまの自分・これからの自分と家族とのかかわりについて考えてみよう」という小題材へと学習は展開した。「自分の成長と家族とのかかわり年表」は、自分の成長とともに家族それぞれも年齢を重ねていくということを可視化させる手がかりとなり、家族とのかかわりを見つめ直した様子がうかがえた。3.教材としての絵本の効果: 授業後のアンケートにより、生徒たちの絵本教材に対する意識を把握したところ、約4割の者が絵本に対する関心を持っていた。しかしほぼ同率で「あまり関心がない」と回答する者もおり、授業にあたり、絵本それ自体に対しては、自発的な興味・関心を抱いている学習者ではなかった。しかし、それにもかかわらず、今回使用したデジタル絵本に対しては肯定的な評価が得られ、約6割が「わかりやすかった」と回答し、約4割が「いまの自分のことを考える手がかりになった」「文章(言葉)がよかった」と回答している。「将来の自分のことを考える手がかりになった」という回答も約4割見られ、これからの自分の生活を考える視点を持つきっかけになったと推察された。
著者
有田 要 玉置 元 堀田 博 奥山 清一 志村 豁 井口 喬 遠山 哲夫 堀田 和一
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.213-227, 1983

分裂病者同士の結婚についてはいまだまとまった研究報告はみられない.昭和大学付属烏山病院において, 1979年9月30日現在, 10年以上にわたって診療を続けている長期経過の分裂病者501例のなかで, 結婚したのは7組 (すべて恋愛結婚) である.そのうち5組が結婚生活を継続しており, 2組が離婚となっている.経過年数は3年から15年である.今回われわれはこれらの病者夫婦をとりあげ, 分裂病者同士の結婚について主として長期経過の病状とのかかわり (欠陥の程度) を中心に考察した.欠陥の程度については精神症状, 社会適応状況, 社会生活能力についてそれぞれ良好, 中間, 不良の3段階に区分したがいずれにしろこれら3項目は相関している.1) 夫の平均は良好群に属し妻のそれは中間群であるが, 夫はいずれにおいても妻と同程度, もしくはそれ以上の安定した能力を保持している.2) 結婚の成立および維持については夫婦単位でみた時, 中間ないし良好の状態に位置しているが, 必ずしも個々が上記の状態に位置する必要はなく, 不良群に属する妻とのペアで結婚生活を維持している例も存在する.3) 夫および妻ともに前記3項目の評価が中間に属する場合でも治療者や周囲の者の濃厚な援助や指導があれば, 結婚生活は維持できる.4) 結婚後3項目の評価が変動 (悪化) した場合は, 治療者のより積極的な介在が必要である.しかしそれが著しい場合は維持が困難である.5) 病状や生活能力等からも出産育児については相当に困難をともなう.6) 子供への遺伝については未解決な問題も多く, 慎重な配慮と指導が必要である.
著者
泉 太郎 堀 里子 佐藤 宏樹 三木 晶子 澤田 康文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.132, no.5, pp.617-627, 2012 (Released:2012-05-01)
参考文献数
8
被引用文献数
3

Aggravation of asthmatic response (asthmatic attack, 2 cases) and adverse events (tremor, 1 case) due to a switch from a brand-name tulobuterol tape to a generic tape were recently reported. These changes disappeared after reformulation from generic to the brand-name tape. To investigate this issue, we conducted a questionnaire survey on changes of asthmatic response, adverse events and product usability due to a switch between tulobuterol tapes. We identified 44 cases (18 from doctors, 26 from pharmacists) in which changes of asthmatic response or adverse events had occurred due to a switch between tulobuterol tapes. Aggravation of asthmatic response had occurred in 30 cases and adverse events in 21 cases due to switch from brand-name tulobuterol tape to generic tape. As regards change of product usability, we obtained 96 relevant responses (18 from doctors, 78 cases pharmacists), and the major response was that generic tulobuterol tape peeled off the skin more easily than did the brand-name tape (60 cases). These results suggest that changes of asthmatic response, adverse events and product usability should be carefully monitored when switching tulobuterol tapes.
著者
泉 翔太 堀 太成 山根 達郎 全 邦釘 藤森 祥文 森脇 亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.398-405, 2020

<p>災害時におけるソーシャル・ネットワーキング・サービスへの投稿には救助や避難に有効な情報が含まれているが,情報収集における活用は未だ十分なされていないといえる.本研究では,様々な投稿の中から災害に関連するキーワードを含む投稿を取得し,有効な情報が含まれているかを判別するDeep Learningモデルを構築し,モデルが着目している単語を可視化した.さらに,投稿から位置情報を抽出することでマッピングを可能にした.構築したDeep Learningモデルは高い精度で投稿を分類できることが示された.また,位置情報も概ね正しく抽出することが示された.これにより,災害時の投稿の分類における有効性が示唆された.</p>
著者
堀井 一摩
出版者
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
雑誌
言語情報科学 (ISSN:13478931)
巻号頁・発行日
no.12, pp.283-297, 2014

本稿の目的は、幸徳秋水のキリスト教批評『基督抹殺論』(丙午出版社、1911 年)と森鷗外の短編小説「かのやうに」(『中央公論』1912 年1 月)を、近代史学と皇国史観との歴史的緊張関係の中に位置づけて読み直すことである。草創期の日本近代史学を担った重野安繹や久米邦武等の「抹殺論」と呼ばれる考証史学の実践とこの二つのテクストとのインターテクスト性を浮かび上がらせる作業を通じて、南北朝正閏論争で顕在化した実証史学の弾圧に対して、この二つのテクストがいかにして「抹殺論」を甦らせようとしているかを分析する。その過程で、『基督抹殺論』と「かのやうに」の応答関係とともに、「抹殺論」甦生の試みが閉塞的な同時代に対してもつラディカルな批評性を明らかにした。
著者
久川 慶貴 佐藤 和紀 三井 一希 高橋 純 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.Suppl., pp.141-144, 2021-12-20 (Released:2022-02-02)
参考文献数
4

本研究は,小学校高学年児童の学校生活におけるグループでのチャットの活用の特徴を明らかにすることを目的とする.公立小学校の第6学年における,グループでのチャット(チャットルーム)の活用状況を調査した.その結果,児童がチャットルームを開設する目的は,「学校行事」「学年行事」「有志活動」であった.開設された目的によって,活用の頻度に差が見られること,同じ目的で開設されたものであっても,具体的な活用のされ方は異なることが示唆された.また,情報共有の手段の一つとしてチャットルームを活用している可能性が示唆された.
著者
山本 圭吾 松島 健 吉川 慎 井上 寛之 手操 佳子 園田 忠臣 波岸 彩子 堀田 耕平 市村 美沙 森田 花織 小池 碧 古賀 勇輝 渡邉 早姫 大倉 敬宏
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

平成26年度より開始された「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」における課題「桜島火山におけるマグマ活動発展過程の研究」の一環として,昨年度に引き続き,2017年11月に桜島火山において一等水準測量の繰返し観測を実施した.本講演では,この測量の結果について報告し,2016年11月に実施した前回測量以降の桜島火山の地盤上下変動について議論する. 水準測量を実施した路線は,桜島西部山腹のハルタ山登山路線,北部山腹の北岳路線の2路線である.路線総延長は約24 kmであった.これらの路線を,2017年11月1日~13日の期間において測量に当たった.測量方法は,各水準点間の往復測量で,その往復差は一等水準測量の許容誤差を満たすようにした.近年の水準儀は測量精度も向上しており,これらの器材を用いて注意深く測量を行った結果,測量における誤差は,1 km当りの平均自乗誤差が,ハルタ山登山路線および北岳路線においてともに±0.22 mm/km,水準環閉合差はハルタ山登山路線において時計回りに0.9 mm(許容誤差7.6 mm)となり,高精度の一等水準測量を行うことができた. 桜島西岸の水準点BM.S.17を不動点(基準)とし,各水準点における比高値を,前回の2016年11月に行われた測量結果(山本・他,2017)と比較することで,2016年11月から2017年11月の期間の約1年間における地盤上下変動量を計算した. 計算された地盤上下変動量から,桜島北部付近の水準点において,地盤隆起(最大で4.5 mm)が生じていることが確認された.前々回から前回測量までの2015年8月・9月から2016年11月の期間においては,1年2~3ヶ月間と多少1年間よりも期間が長いものの,北岳路線のこの付近の水準点において15 mm程度の地盤隆起が測定されていた.このことを考えると,2017年11月までの1年間の桜島北部付近の隆起速度は,それ以前の1年間に比べて減少していると考えられる.一方で,桜島中央部付近においては,若干の地盤沈降(最大で-2.6 mm)が認められる. 茂木モデルに基づき,得られた上下変動量データから圧力源の位置を求めた.測量を実施した水準点の空間分布が限られているため試行的な結果であるが,桜島北方の姶良カルデラの地下約10 kmの深さに増圧源が,また南岳地下の浅部に減圧源が推定された.2016年11月~2017年11月の期間,姶良カルデラ地下のマグマ溜まりにおいて引き続きマグマの貯留が進行していることを示していると考えられる.一方で,南岳直下のマグマ溜りにおいては減圧傾向が示唆される.
著者
堀尾青史著
出版者
中央公論社
巻号頁・発行日
1991
著者
須磨 幸蔵 円治 康浩 堀 原一 種谷 節郎 堺 裕 小笠原 長康 谷口 堯 榊原 宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.59-64, 1974-01-15

植込式心臓ペースメーカーが諸外国6)10),わが国28)で用いられるようになってから約10年を経過する。この間,以前カエルやイヌなどの動物において認められていた電気生理学上の諸現象,たとえば絶対不応期,相対不応期,細動受攻期(vulnerable period),過常期1),Wedensky現象17)32)などが,ヒトの心臓でも実際に確められるようになってきた。 過常期(supernormal phase)は相対不応期の終りにおける一過性に興奮性の高まる時期をさす。興奮性にはexcitability (被刺激性)とconductivity (伝導性)の2つの面がある。より弱い刺激で反応が起これば被刺激性が高いとされる。より容易に,またはより早く興奮が伝導されれば伝導性がよいとされる。両者とも興奮性が高まった状態である。過常期にも,この両者に相当する場合があり,この時期においてその前後の時期にくらべて弱い刺激で反応する過常期興奮(supernormal excita—bility)の場合と興奮の伝導が速く容易になる過常期伝導(supernormal conductivity)の場合とがあり,両者を含めて過常性(supernormality)と呼ぶこともできる。
著者
小泉 真也 プリマ·オキ·ディッキ アルディアンシャー 伊藤 憲三 堀内 隆彦
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.778-785, 2005 (Released:2011-06-24)
参考文献数
21

エッジ抽出は,画像処理における特徴抽出処理の手法として,根本的かつ重要な問題である.一般にエッジ抽出法では,雑音除去,勾配強度計算,エッジの追跡などのアルゴリズムを段階的に適用することによって高精度な処理を実現してきた.しかし,それぞれのアルゴリズムには種々のパラメータが存在し,それらのパラメータ値は一般に入力画像を参照して対話的に決定されているため,適切なパラメータ値の決定は困難である.本研究では輝度画像を対象として,雑音の抑止と勾配強度計算をともに行うことが可能な回帰面を利用した新しいエッジ抽出法を提案する.提案手法では,エッジ抽出結果を制御するパラメータは非エッジの割合を示す一つであり,簡易に設定が可能である.基本図形と自然画像を用いた実験の結果,固定したパラメータ値を用いた提案手法は,適応的にパラメータを設定したCannyオペレータより高精度なエッジ抽出を実現できることを確認した.
著者
安陪 等思 淡河 喜雄 上野 隆登 堀田 まり子 林 明宏 吉田 一郎 早渕 尚文 佐田 通夫
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.193-199, 2002-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9
被引用文献数
1

【目的】医師となる過程に医療人としての自覚を認識するための明確な通過儀式がなかったので, これを白衣授与式として行った. 学生に対するアンケート調査を元に評価したので報告する.【方法】臨床研修として患者に初めて直に接する直前の2001年1月11日に第4学年112人を対象に白衣授与式を行った. 白衣授与式は学長, 医学部長, 病院長の出席を得て, 臨床の場にこれから第一歩を踏み出す学生に白衣と顔写真付きの名札を授与し, 医師を目指す医学生としての心構えを新らたにする目的で行われた. 式の翌日にアンケート調査を行い, 学生の意識調査を行った. 調査項目は医療に携わる責任感, 患者さんへの優しさ, 愛校心, 白衣に対する愛着, プロフェッショナルとしての意識, 医師としての使命感, 勉学する意欲, 厳粛な気持ち, 倫理的・道徳的生活を実行する意欲の9項目である. また, 教職員, 学生の聞き取り調査を加えた.【結果】アンケート調査のすべての項目において意識の向上が認められた (P<.0001). 約8割の学生が来年も引き続き行うことに賛意を示した. 確立した儀式の様式がないことに多少の問題もあったが, 意義深い試みであったとの評価を得た. 一方, 進級の決定と異なった時期であったので違和感をもった学生が多かった.【結論】不慣れな点もあったが教職員, 医学生ともに意義深い通過儀式としておおむね肯定的な意見が得られた. 医師としての専門職意識を育成するひとつの方法として有効な手段であると思われた. 今後は効果の継続性の有無, 意義, 利点や欠点について教職員と学生を含めた検討, 考察を行い, バランス感覚の取れた通過儀式として修正を加えたい.
著者
竹増 まゆみ 梶谷 真也 徳本 和哉 要田 芳代 川上 恵子 只佐 宣子 堀川 俊二 福原 和秀
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.904-908, 2013 (Released:2013-07-23)
参考文献数
6
被引用文献数
1

急性薬物中毒患者が搬入された際には,薬剤師が中毒原因物質に関する情報を迅速に収集し,個々の症例にあった適切な情報と治療方法を医師,看護師に提案する必要がある。 今回,ジフェンヒドラミン(以下,DPH)含有軟膏を大量に誤飲した99歳女性の救命治療に対して,胃洗浄を含めた治療方法と,患者の血中DPH濃度を経時的に測定することを提案した。その結果,血中DPH濃度の低下とともに臨床症状の改善が認められ,DPH含有軟膏誤飲例に対して胃洗浄を施行したこと,および血中濃度測定の臨床における有用性が示唆された。