著者
太田 盛三
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.142-150, 1983

筆者は以前,1974年暖候期の資料を用い,広島県沿岸部 Ox 濃度と低層大気における気象状態との関係について若干の統計的調査を行い,その結果を発表した(1976)。すなわち,米子と福岡の実測による 950mb の推定ベクトル平均風地上から 850mb までの広島上空の早朝低層大気安定度示数の推定値,広島の日中最高気温などを説明変量として,広島県内の当日最高 Ox 濃度値の推算を試みた(以下,これを単に Ox 濃度とよぶ)。その方法は散布図方式により各種の Ox 濃度空間平均等値線図を求め,これらの組み合わせを利用し,遂次段階的に当日 Ox 濃度の推算精度を上げるという方法である。<br>今回,1976,1977,1978年暖候期における筆者の予報当番日の資料により,広島における当日の日中前半(6時~12時)の降水量,当日9時における広島県内最高濃度値を新しい説明変量として追加し,1975 年暖候期の全資料によって検証を行った。その結果,新しい説明変量の追加が実用的に有効であることが認められた。なお,1976年以前の濃度測定値は政令の改正前であったので,0.8倍して修正したものが用いられている。
著者
太田 亨 今井 智文 石田 直人 坂 幸恭
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.9, pp.588-593, 2012
被引用文献数
2

This study re-examines the depositional age, lithostratigraphy, and distribution of Mesozoic sedimentary formations in the section of the Kurosegawa Belt that outcrops in the Toba area, eastern Shima Peninsula, Mie Prefecture, Japan. In this area, Mesozoic successions are divided into the Jurassic Shiranezaki Formation and the Cretaceous Matsuo Group. We collected Bajocian and Callovian–Oxfordian age radiolarians from the Shiranezaki Formation and Valanginian–Barremian age radiolarians from the Matsuo Group. The lithology and age constraints provided by these collected radiolarians suggest that part of the previously defined Matsuo Group actually forms part of the Shiranezaki Formation, with this formation being stratigraphically overlain by the Matsuo Group across a disconformity.
著者
部坂 弘彦 太田 史一 松井 真人 森山 寛
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.62-70, 1997-02-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23

気管内挿管に伴う喉頭, 気管合併症として咽喉頭痛, 喉頭浮腫, 反回神経麻痺, 喉頭肉芽腫, 喉頭横隔膜症, 気管狭窄, 気管食道瘻について症例を呈示し, その原因, 診断, 治療などについて報告した。このような喉頭, 気管損傷は未然に予防することが重要で, 挿管技術の熟練, 最良の気管内チューブの選択, カブの位置および圧のチェック, 挿管期間中の喉頭, 気管の保護が必要である。また, 治療に関してもその病態がさまざまであるから, それぞれに最適な治療方針で臨まねばならない。
著者
浅野 誠 太田 宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 = Journal of Japan Industrial Management Association (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.218-227, 1998-10-15
被引用文献数
2

本論文では, 機械に稼働停止時間帯が設定され, 各ジョブには納期厳守制約と生産開始時刻の非負制約のある単一機械スケジューリング問題を考える.稼働停止時間帯は, 休憩時間, 休日や機械の保守期間などの操業させたくない時間帯であり, 稼働停止時間帯ではジョブの生産はできないが, 残業や休日出勤などによって停止時間の短縮が可能である.また, スケジュールの最初のジョブの生産開始時刻は非負でなければならない.納期は顧客からの要求に従って設定され, 納期遅れは許されず, 納期に合わせて製品が出荷されるため, 生産終了時刻から納期までは製品を在庫として保持しておくための費用が必要である.この問題を解くために, 本論文では, 納期余裕にかかる在庫保持コストと稼働停止時間帯の停止時間短縮コストの総コスト最小化の近似スケジュール導出アルゴリズムを提案する.そのとき, 稼働停止時間帯の停止時間の短縮にかかるコストは, 停止時間を稼働時間にするための残業費用や機械の保守期間短縮に要する費用に相当する.さらに, 提案アルゴリズムの諸特性を数値実験により示す.
著者
渡辺 研一 高橋 誠 中川 雅弘 太田 健吾 佐藤 純 堀田 卓朗
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.255-263, 2006-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
17

2-フェノキシエタノールの麻酔剤としての効果を, 9種の主要な増養殖対象種 (ブリ, マダイ, マアジ, カンパチ, シマアジ, ヒラメ, トラフグ, メバル, クロソイ) について, 水産用医薬品であるFA100と比較, 検討した。網で掬っても魚が暴れない程度に麻酔が罹り, 麻酔後清水に移して一晩経過後に死亡個体が認められない2-フェノキシエタノール濃度は, おおむね200~1, 000μl/lであった。一方, FA100の効果的で安全な濃度はおおむね100~500μl/lであり, 2-フェノキシエタノールの場合と比較して範囲が狭かった。2-フェノキシエタノールで麻酔すると, FA100の場合より麻酔からの覚醒時間が短く, 麻酔翌日の生残状況が優れた。さらに, 2-フェノキシエタノールでは観察されなかった麻酔液表面の泡立ちがFA100で観察された。以上のことから, 2-フェノキシエタノールは増養殖における麻酔剤として優れていることが示唆された。
著者
太田 絵梨子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.204-220, 2021-06-30 (Released:2021-07-21)
参考文献数
26
被引用文献数
5

高校数学では,基礎的な概念の理解や数学的表現力の育成が重視されており,テストなどの学習評価でもそうした観点での診断が求められている。一方,概念的理解やその表現を問うテストとは具体的にどのようなものであり,そうしたテストの実施が教育現場の課題の解決にどのように資するかについては十分検討されていない。そこで本研究では,研究者が心理学的な視点を生かして行なった学習評価に関する提案を高校数学の実践場面で検討した。具体的には,(1)高校数学における概念的理解を評価するテストの考案,(2)テストを受験した高校生のつまずきの分析,(3)高校生による概念的理解の実態に対する教師の認識の検討,の3点を行なった。分析の結果,基礎的な概念の理解や数学的表現に課題が見られ,教師が生徒の理解の実態を必ずしも把握できているとは言えないことが明らかになった。また,結果を教師にフィードバックした際のグループディスカッションの様子から,教師が学習者の理解状況に対する認識を修正し,日常的な評価や授業でも概念的理解を問う必要性を感じていたことが示された。最後に,数学における学習評価の研究及び教育実践に対する示唆と展望について論じた。
著者
石川 正美 太田 宏 高原 信敏 大野 昭二 三浦 則正 稲垣 嘉胤 渋沢 三喜 石井 淳一
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.331-336, 1984-03-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
19

1982年1月から10月までの10ヵ月間に, 6例の大腸穿孔による,汎発性糞便性腹膜炎を経験したので報告する.同期間における当病院の大腸手術例は68例で,大腸穿孔が占める割合は8.8%であった. 手術はexteriorizationおよびHartmann法を症例によって使いわけ,腹腔ドレナージの他に,術中に腹膜潅流用チェーブを挿入して,術後間歇的腹腔内洗浄を行った.術後合併症のうち,創〓開に対して縫合創に全層マットレス減張縫合を加えて良好な結果を得,未然に防止可能と考えられた.術後endotoxin shockから離脱した後に,心筋梗塞を合併して死亡した症例を経験し,初期shockから回復した後も,発生し得る2次的合併症に対する厳重な観察が必要と考えられた. 汎発性糞便性腹膜炎において,白血球数は比較的早期から低下することが示唆され,発症より14時間を経た症例は全例がshockを発生し, 16時間を経た症例の転帰は極めて不良であった.全体の死亡率は50%であったが, shock合併例の死亡率は75%と高値を示し,発症から手術までの時間に大きく左右されることが示唆された.
著者
太田 和彦 神崎 宣次 谷口 彩
出版者
象灯舎
巻号頁・発行日
pp.[1]-58, 2021-02-10

応用哲学会サマースクール「フードスケープをつなぐ」日付:2019年9月場所:総合地球環境学研究所(京都)
著者
梅垣 浩二 室伏 広治 太田 憲 桜井 伸二
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
シンポジウム: スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.265-270, 2012

An increase or decrease of the hammer head mechanical energy was caused by an accumulation of the positive or negative handle power which was the product of wire tensile force and handle velocity in the wire length direction. During single support phase a decrease of the wire tensile force was reduced by a fictitious force caused by handle relative pulling acceleration and relative leading velocity to thrower's center of mass (C.M.). Ground reaction force was resulted from maintaining balance with wire tensile force, hammer head centrifugal force, hammer handle coriolis force, and so on under rotational coordinate system. During double support phase handle relative pushing acceleration and relative drawing velocity to thrower's C.M. caused a fictitious force which make balance with the addition of wire tensile force and hammer head rotational force in the wire length direction and with hammer head rotational force in the horizontal direction perpendicular to wire, so that thrower pushed the ground on his/her feet.
著者
太田 憲 梅垣 浩二 室伏 広治 小宮根 文子 桜井 伸二
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ジョイント・シンポジウム講演論文集:スポーツ工学シンポジウム:シンポジウム:ヒューマン・ダイナミックス
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.270-274, 2008

Dynamics-based force sensor using accelerometers which measures forces and joint torques has been developed. In this study we have applied this method to hammer throw training aid integrating small sensors, signal processing, short-range wireless transmission, data-logger and biofeedback training system. The purpose of this study was to establish methods for the measuring of rotational movement and the biofeedback training system for hammer throwers. Microelectromechanical systems accelerometers were chosen as the sensor platform capable of because they are noninvasive miniaturized devices and have wide bandwidth. In this system, a wireless data-logger was developed as a wearable device to replace cables and reduce constraint caused by wearing cables. The transmitted data were given as biofeedback information over a speaker through signal processing and voltage to frequency conversion.
著者
太田 憲 梅垣 浩二 室伏 広治 仰木 裕嗣
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会
巻号頁・発行日
vol.2014, pp._J2310102--_J2310102-, 2014

The motions of a hammer are commonly regarded as a circular movement which a hammer undergoes around a turning human body. During each turn the hammer rises up toward the high point of the trajectory and passes through the low point. Our interest in this study was to understand the energy transfer mechanism through whole body into the hammer. To elucidate the mechanism novel dynamic equations was derived.
著者
太田 憲 室伏 広治
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1228-1234, 2014-10-15

スポーツの研究によって運動スキルの理解が進んでも,そのスキルをヒトに伝達・伝承することは必ずしも容易ではない.この問題に対応するため,まず運動スキルを数理的に解明することが重要であるが,スポーツのような運動の場合,そのスキルは身体や用具のダイナミクスに強く拘束されるため,ダイナミクスベースで運動スキルを記述した.そして,この運動スキルの数理的な理解に基づいた運動スキルの可視化やその伝達方法の開発を行っているが,その数理をスキル獲得の支援に結びつけるフレームワークをサイバネティック・トレーニングと呼んでいる.ここではハンマー投競技向けのスキル獲得支援システムについて紹介する.
著者
太田 多美 馬渕 智生
出版者
協和企画
巻号頁・発行日
pp.743-746, 2017-07-01

<症例のポイント>キュウリはウリ科の植物で、即時型アレルギーの報告例が散見される。健常人5人にキュウリの葉のパッチテストを施行したところ、2名が陽性だった。自験例、健常人2名は、葉そのものには陽性であったがすりつぶした葉には陰性であった。キュウリの葉に生えている棘毛による刺激性の接触皮膚炎と考えた。
著者
太田 慧
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p>1. はじめに 南西諸島西部に位置する宮古島市は,主に宮古島,伊良部島,下地島から構成されている。宮古島市内には,宮古島の西部に位置する宮古空港と,下地島に位置する下地島空港の2つの空港が存在している。宮古空港は1989年に東京への直行便が就航して以来,本州からの観光客が増加している。一方,下地島空港はパイロットの訓練用の飛行場であったが,2019年3月に旅客用ターミナルの供用が開始され,本州との間に定期便が就航したほか,香港との国際線も就航した。これにより,東京や大阪などの国内大都市圏や海外からの観光客の増加やリゾート開発にともなう島内経済への大きな影響が見込まれている。また,2015年には宮古島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋が開通し,宮古島と伊良部島,下地島間の往来が活発になっている。そこで,本報告ではまず,沖縄県宮古島市における宿泊施設の分布状況を利用料金別に概観し,現在の観光開発の状況について報告する。</p><p>2. データの作成 宿泊施設のデータについては,大手旅行サイト「じゃらんnet」に掲載されている宮古島市に立地する宿泊施設情報から,2020年1月18日時点の大人2名利用時の目安となる宿泊料金を抽出し,116件のデータを得た。その結果,大人2名利用時の料金目安として3,000円未満の宿泊施設数は14軒,3,000〜10,000円未満の宿泊施設数は75軒,10,000〜20,000円未満の宿泊施設数は16軒,20,000円以上の宿泊施設数は11軒であった。これらの結果と分布状況を示したものが図1である。</p><p>3. 利用料金別にみた宿泊施設の分布傾向 図1によれば,宮古島における宿泊施設は宮古島市役所をはじめとする行政機能や島内最大の繁華街が立地する宮古空港北部の平良地区に集中していた。平良地区では特に1泊3,000円以下または3,000円〜10,000円以下の価格帯の宿泊施設が集中しており,民宿ないしは比較的小規模なホテルなどの宿泊施設が目立った。一方,1泊20,000円以上の宿泊施設は宮古島の南海岸に集中しており,宮古島の南海岸沿いに島外資本系列の高価格帯の大規模宿泊施設が進出していることを示している。</p>