著者
小倉 英郎 井上 和男 武市 知己 原 昭恵
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.265, 2014

はじめにインフルエンザの感染様式は飛沫感染、接触感染、空気感染が考えられるが、空気感染に関しては、インフルエンザの感染拡大防止対策において重要であるとする意見とそれを疑問視する意見が対立している。今回、われわれは当院重症心身障害病棟において空気感染の可能性を示唆する事例に遭遇したので報告する。事例2014年3月24日〜26日、重症心身障害病棟、1個病棟(41名)において、A型インフルエンザの病棟内流行を認めた。予防接種は40名に行われていた(接種率97.6%)。診断は迅速診断で行ったが、24日9名、25日12名、26日5名が発症し、27日には患者の流行は終息した(罹患率63.4%、うち2名でH1N12009が分離された)。職員では、25日4名、26日5名、27日1名が発症した。3月19日〜21日に個別支援計画の説明が家族になされており、この後の面会がインフルエンザの侵入に関与した可能性が否定できなかった。急激な発症パターンであることとアウトブレイク初日の患者配置図の検討から、空気感染の可能性を強く疑い、現場を検証した。その結果、おむつ交換時に換気スイッチを押すことにより、病棟入り口の天井から急速に吸気され、病室内から外部に排気されることが判明した。このため、病棟廊下から病室への気流が発生し、感染拡大の原因となった可能性が示唆された。この臨時の換気システムは病棟全体の換気システムとは別になっており、応急措置として、おむつ交換時の換気はしないこととした。なお、予防投与を含め、タミフル®が37名、リレンザ®が16名、ラピアクタ®が1名に投与され、流行は終息した。重篤な合併症を呈した例はなかった。考察当院の重症心身障害病棟は3個病棟であるが、他2個病棟では当該病棟のような気流の流れを生じる構造になっていなかった。重症心身障害病棟ではインフルエンザやノロウイルス感染症の流行はしばしば経験される。空気感染対策を考慮した病棟の設計が望まれる。
著者
栗谷 将晴 佐藤 真吾 小倉 薫 向山 雅史
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学研究発表会 発表講演集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1893-1894, 2004
被引用文献数
1

1978年宮城県沖地震以降、丘陵地を造成した住宅地において、地震時に切土盛土の境界付近や盛土内で、住宅が被災する可能性が高いことが知られている。そこで、造成宅地の切盛分布を広範に調査することを目的として、国土地理院発行の2万5千分の1地形図と同旧版地形図の等高線を用いて10mメッシュのデジタル標高データを作成し、両者の差を計算することで、造成宅地の切土盛土分布を示す造成宅地地盤図を作成した。また誤差に対する検討を行った。本図は、地震防災計画の立案や住民への防災意識の高揚、住宅の耐震化等に活用することができる。
著者
小倉 有子 庄林 愛 Ogura Yuko Shobayashi Megumi
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.49, pp.297-304, 2021-02-28

グルテンは、小麦などの麦類に含まれる蛋白質の一種であり、米国ではグルテンを含まない食品を「グルテンフリー(以下、GF)」と表示している。GFと表示された食品(以下、GF食品)を用いた食生活は(以下GF食)、セリアック病などの治療に用いられている。近年、欧米においてGF食は健康に有用である、さらには痩身にも有用であるとの情報が拡散し、グルテンを避ける必要がない者がGF食を取り入れる傾向がある。これをうけて日本でも同様の情報が拡散しGF食品が増加してきた。本研究では、グルテンを避ける必要がない者がGFを選択した場合、非GFと比較して、摂取する栄養量にどのような差異が生じるかを明らかにすることを目的とした。本研究では、GF食/非GF食として最もポピュラーだと思われるパンを試料とした。 結果、グルテンを避ける必要がない者がGFパンを長期的かつ日常的に選択した場合、非GFパンを選択した場合と比較して、食物繊維や鉄の不足および脂質の過剰といった悪影響が出る可能性があることがわかった。
著者
宮谷 友香 別宮 史朗 谷 杏奈 松井 寿美佳 岩佐 武 猪野 博保 小倉 理代 日浅 芳一
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.38-42, 2009-03-25

深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)は肺血栓塞栓症の原因の1つとして重要であり,近年急速に増加している.特に,妊娠中は凝固能亢進や増大子宮による静脈圧排のためにDVT が生じやすくなっている.今回,妊娠後期にDVT を発症し,治療に苦慮した症例を経験したので報告する.症例は22歳の初産婦.妊娠37週に左大腿腫脹と疼痛を認め,左外腸骨静脈のDVT と診断し入院.ヘパリンの持続点滴を行ったが血栓の増大を認め,肺血栓塞栓症予防目的で下大静脈一時フィルターを留置した.フィルター留置後1日目に陣痛発来し,2日目に分娩となった.フィルター留置後もさらに血栓は増大し,ウロキナーゼも効果がみられず下大静脈にも血栓が及んできたため,一時フィルターを抜去し恒久的下大静脈フィルターを留置した.分娩後はワーファリン内服を開始し,産褥13日目に退院となった.
著者
松尾 浩一郎 根本 雅也 小倉 康嗣 清水 もも子 後藤 一樹 土屋 大輔 福山 啓子 岩舘 豊 加藤 旭人 鈴木 雅人 長峯 ゆりか
出版者
帝京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、原爆投下日である8月6日の広島平和記念公園という象徴的な時間と空間に着目し、ビジュアル・エスノグラフィの手法を用いてその包括的な記録と分析を行った。本研究から明らかになったことは、8月6日の平和記念公園では、広島における原爆被災とその後の復興の過程が、きわめて多様なやり方で受け止められているということである。原爆という一つの出来事を受け止めるにも、お互いに鋭く対立しあうような複数の立場性がある。それらが一つの時空間のなかで「共存」しているありさまを、映像データを駆使して明らかにした。
著者
小倉 一朗 芦田 極 明渡 純
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.111-112, 2013

大規模配線基板やマイクロ部品を対象にした多品種変量生産技術を実現するため,オンデマンドリペア技術が望まれている.本研究では製造欠陥を迅速に検出する,レーザスキャンによる欠陥検出システムの開発を目指している.本システムでは製品表面を4秒以内で検査し,欠陥があった場合は別途リペア加工することで生産の歩留まり向上を実現する.本報では高速欠陥検出システムの試作と評価基礎実験を行った結果について述べる.
著者
小倉 芳彦
出版者
東洋史研究會
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.p483-508, 1979-03

This papar is a preliminary attempt to examine the use of proverbs in literature as a part of the investigation into the process whereby orally transmitted words came to be written down. Proverbs reflect the social condition and the ethical concept of the people of where they are born. The skillful use of them in literature, therefore, can enhance its persuasive power by arousing the audiences' sympathy. Proverbs are called yen 諺in Chinese classics. Although there must have been a great number of them, only few have come to be written down, and they are limited to those selected due to the authors' particular needs and preferences. Yens are used effectively to carry euphemistic admonitions advices in Tso-chuan. They are found alongside with quotations from Shih-ching 詩経 and Shu-ching 書経 and sayings of ancient sages, often to show the wisdom from everyday life lacked in them. It is evident, thus, that the author of Tso-chuan did not regard the yen as something vulgar. The yens quoted in Shih-chi, on the other hand, are chiefly those concerned with the fate of men. This is perhaps due to the Ssu-ma Ch'ien's 司馬遷 own interest. There are also yens quoted in memorials presented by the bureaucrats of the time ; they, however, lack the fine quality such as in those found in Tso-chuan, and are nothing but vulgar. In addition, the book Ku-yao-yen 古謡諺 contains many proverbs and folk songs used in the literature of later times. In the present study, however, I limited my examination only to those used in Tso-chuan and Shih-chi.
著者
市川 竜太郎 小林 秀 小倉 あい
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

<b>目的<br></b><b></b>消費者が行う野菜の冷蔵保存の方法として、購入した状態のまま保存するか、食料保存袋に野菜を入れ替えて保存する方法が一般的に行われている。一方、野菜類は保存中に傷ませた経験のある食材であり、鮮度を保持する方法を知りたい食材として挙げられている。そこで、野菜としてホウレンソウを用い、保存方法の違いが保存後の鮮度に及ぼす影響について検討した。&nbsp;<br><b><br>方法<br></b>ホウレンソウは東京都内にて購入した市販品をそのまま供試試料とした。重さ約100gのホウレンソウをそのまま保存した場合、食料保存袋に入れて保存した場合、および含水不織布でホウレンソウを包み食料保存袋に入れたものを2週間家庭用冷蔵庫にて保存し試験に供した。保存後のホウレンソウの鮮度は、重量、ガス(O<sub>2</sub>,CO<sub>2</sub>)濃度、色差計による色調変化、官能評価(指標として、総合的な新鮮さ・しおれ・傷み・黄変・可食の可否)を行った。&nbsp;<br><b><br>結果<br></b>各々の条件で保存したホウレンソウの重量を測定した結果、含水不織布で包み食料保存袋で保存したものは、保存前と比較し重量が約10%増加していた。一方、ホウレンソウをそのまま保存した条件では保存前と比較し約17%の重量減少が認められた。食料保存袋にて保存した条件では顕著な重量変化は認められなかった。また、ガス濃度を測定した結果、保存条件の違いによる差は認められなかった。しかしホウレンソウの色調変化では、含水不織布で包み食料保存袋にて保存したものが最も緑色を維持しており、次いで食料保存袋による保存、そのままの状態での保存の順で葉の黄変が認められた。また、各保存条件で保存したホウレンソウの官能評価では総合的な鮮度で相違が認められ、含水不織布で包み食料用保存袋で保存したものが最も鮮度が良いと評価された。含水不織布を利用した保存条件では、葉からの蒸散作用が抑制されるとともに、ホウレンソウが水分を吸収し、鮮度を保持していたと推察された。
著者
鳥山 朋二 小倉 武
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.35-36, 1992-09-28

ユーザーから設計者に要求を伝えるために設計仕様(設計要項)が作成される。設計仕様を受けとった設計者は内容を理解し、要求された条件を満たすシステムを作成しようとする。ユーザから受けとった設計仕様の内容を理解する段階で、設計者は何らかの形でユーザが要求しているシステムのモデル化を行う。このモデル化によりユーザ要求に内在する矛盾点やあいまいな点、不完全な点の指摘や、構成方法に関する提案等を行なうことが可能となり、これらをユーザに問い合わせ、その内容を設計仕様に反映することを繰り返して設計仕様は改版され、最終仕様へと完成度を高めてゆく。しかし、ここで作成するモデルはユーザの要求を設計者の立場から理解したものとなるため、ユーザーの要求がすべて反映されているという保証はない。従って、このモデルがユーザの要求する機能を満たしているか否かは、ユーザと設計が何らかの方法で確認する必要がある。この確認を十分に行なわないままシステムを作成し、作成後にユーザ要求との不一致が検出されたのでは手戻りが非常に大きくなるため、これらの問題はできるだけ設計の初期段階で解決するべきである。本稿では上記問題を解決するための手段として静的な検証を重視したユーザ要求のモデル化手法について検討し、既設計のLSIに適用した結果について述べる。
著者
小倉 能理子 阿部 テル子 齋藤 久美子 石岡 薫 一戸 とも子 工藤 せい子 西沢 義子 會津 桂子 安杖 優子 小林 朱実
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_75-2_83, 2009-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
25

看護職者の患者指導に関する教育的機能を高めるための教育プログラムおよび教育・指導技能評価ツール開発にむけて,その基礎資料を得るために看護職者の患者指導に対する考えと実施の実態を調査した。その結果,看護職者は,患者指導を重要と考えているが実施は十分ではないことが示された。中でも,患者とともに指導を進めること,指導を計画的に行うために事前に調整が必要なことが行動につながっていなかった。指導形態では,指導計画の立案が不十分であることが把握された。それは,学習理論をふくむ教育方法に関する知識・技術が不十分であることが一因と考えられた。以上のことから,現職看護職者の患者指導に関する教育的機能を高めるためには,教育方法の理論・技術に関する基礎知識,教育の基本原理などの項目を看護基礎教育あるいは新人教育プログラムに盛り込む必要があると考えられた。
著者
庄林 愛 小倉 有子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.85-91, 2020 (Released:2020-11-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1

We surveyed the current status of information provision on 117 Internet sites that sell gluten-free foods in Japan to investigate misunderstandings by customers when selecting products. On more than 90% of the sites, the prices, content, product photos, and sellers of their goods were listed, whereas the storage methods, expiration and freshness dates, and additives were only provided on 67.5%, 51.3%, and 47.9%, respectively. The specific raw materials, including allergens, were only listed on 40.2% of the sites. Approximately 60% of the sites listed "allergy” as an adverse effect of gluten-free foods. "Health” and "weight loss” were listed on 38.5% and 29.9% of sites, respectively, but "celiac disease” and "wheat intolerance/hypersensitivity”, which are the target diseases of gluten-free foods, were only described on 7.7% and 5.1%, respectively. Even on sites selling gluten-free foods for wheat allergy, more than half did not provide information on the possibility of allergen contamination or information on production lines. In addition, 64.7% of the sites indicating safety regarding the possibility of allergen contamination did not provide information on production lines, whereas 81.3% of the sites calling attention to allergen contamination provided such information. This suggests that all Internet sites selling gluten-free foods for wheat allergy do not provide sufficient information for wheat allergy patients to safely select them in Japan. In addition, some of them provide unfound information about beauty and health to healthy persons without wheat allergy. Accurate and detailed information is required to sell gluten-free foods.
著者
松村 暢隆 西村 優紀美 小倉 正義 田中 真理 桶谷 文哲 柘植 雅義
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

発達障害/学習困難児者の、得意・興味等の才能面を活かせる支援の体制・方法と、学校間の連携の在り方に関して、多方面の視点から調査、資料収集、プログラム実施を進めた。(1)シアトル市の教育委員会及び公立小中学校を訪問して、2E教育プログラムの実践研究の実態調査を進めた。2E教育として、才能教育と特別(支援)教育担当部署が連携して、家庭環境や障害の多様性のある児童生徒に公正なプログラムが実施されている様子が見て取れた。発達多様性のある「不協和感のある才能(GDF)児者」の特性を把握するために、自己評定「GDFチェックリスト」を開発して、6因子が見出された。(2)富山大学で発達障害のある高校生に向けた大学進学プログラム「チャレンジ・カレッジ」を開催した。「大学の障害学生支援」について説明を行い、発達障害学生から当事者の視点で大学の授業の一端が説明された。大会シンポジウムで、このような大学体験イベントは、支援ニーズのある高校生・保護者が大学に主体的に繋がれる貴重な場であることが共有された。また発達障害のある生徒の中で病弱や精神的な不調により入院・在宅を余儀なくされる生徒とその家族へのインタビューを行った。学習保障とクラスの仲間意識を育てるための取り組みの必要性を感じた。(3)一昨年度から実施してきた徳島県内の高校での教育相談体制・特別支援教育体制、および鳴門教育大学での体制整備・教職員への啓発・学外連携の在り方の検討を継続して行い、進展が見られた。加えて本年度は読み上げソフトなどのICTの通常学級への導入を促進するための研究、およびGDF児者に関する研究を開始し、一定の成果を得た。(4)大学進学を目指す中学生を対象として、自分の障害特性に関する理解とそれに基づいた事例検討を進めた。自己評価、他者に映る自己評価、他者評価との関連の中で、自己理解の様相を把握していくことの意義が示された。
著者
小倉 勝男
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.866, pp.16-18, 2021-06
著者
飯田 悟 一ノ瀬 昇 五味 哲夫 染矢 慶太 平野 幸治 小倉 実治 山崎 定彦 櫻井 和俊
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.195-201, 2003
被引用文献数
5

人々の清潔志向を背景に, 腋臭を中心とした体臭のデオドラントニーズは年々高まっている。われわれは, 官能評価および機器分析を用いてヒトの腋臭について研究した結果, 新たな臭気原因成分としてビニルケトン類 (1-octen-3-one, <i>cis</i>-1,5-octadien-3-one) を発見した。これらビニルケトン類のにおい閾値は非常に低く強烈な金属臭を有し, 腋臭に大きく寄与していることが示唆された。これら臭気は, 人体代謝物中の不飽和脂肪酸と鉄が接触して生成する酸化物であることをモデル実験によりつきとめ, におい発生のメカニズムを解明した。また, 植物抽出エキスの抗酸化作用により, ビニルケトン類の生成を抑制する方法を<i>in vitro</i>系にて検討し, 『クワエキス』に優れた生成抑制効果を見出した。
著者
小倉 幸雄 井上 芳光 近藤 徳彦
出版者
大阪国際大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高温下運動時における摂取水分の温度と量が体温・循環調節反応に及ぼす影響を,(1)摂取水温の相違,(2)夏季スポーツ活動時の飲水量と飲みやすさ,(3)摂取水温の相違と飲水量,から検討した.その結果,摂取水温の相違は,飲水量が等しい場合には低水温ほど運動の早期から物理的な冷却効果により直腸温を抑制し,自由飲水の場合には低水温の冷却効果と飲水量の調節による影響が推察された。さらに,実際のフィールド運動時においても 5℃水温では物理的冷却効果による体温上昇の抑制,発汗量の抑制,脱水率の軽減を導くことが窺え,5℃程度の水分補給が生体負担度を軽減し,ひいては熱中症予防に有効であることが示唆された.