著者
内山 美保 藤原 百合 小島 千枝子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.382-390, 2016 (Released:2016-11-29)
参考文献数
20
被引用文献数
1

発話速度の調整に伴う構音運動の変化について明らかにするために,エレクトロパラトグラフィ(EPG)を用いて舌と口蓋の接触動態を分析した.対象は健常者9名.発話課題は「北風と太陽」冒頭の1文とし,語頭に位置する歯茎破裂音/t/について分析した.発話速度の調整には,口頭指示と強制的な発話速度の調整法を用いた計8条件を設定した.その結果,通常の発話に比べ,「ゆっくりと」「口を大きく開けて」と指示した場合と,モーラ指折り法・ペーシングボードを用いた場合に発話速度の低下を認めた.その際,/t/構音時の舌の接触時間の延長と接触範囲の拡大を認めた.ペーシングボードで文節単位に区切った際には,直前の音からわずかに舌の接触のない時間が生じており,時間的なゆとりをもって構音運動が行われたと考えられた.EPGを用いた分析により,発話速度の低下によって構音運動が変わることを客観的に捉えることができた.
著者
小島 圭二 大塚 康範 大野 博之 軽部 文雄 土屋 彰義 徳永 朋祥
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.126-139, 2009 (Released:2013-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

東京湾沿岸の地域開発/自然の人工改変の変遷の50年を振り返り, この人工改変に地質工学がどのように対応してきたか,基盤の科学・技術である地球科学と地盤工学の論理と知見を取り込み, どのように地質工学の論理体系を作り上げてきたのかを示した. すなわち, 地盤図を地盤地質図にするための論理の転換を行ったこと, ナチュラルアナログの論理を用いて地盤物性を求める手法を示したこと, 地層への物性の組み込みや地盤物性の劣化の論理を展開してきたことなどを, 事例を挙げて示した. これまでの50年の成果を踏まえ, 今後は, 自然の現象論・地盤の物性論・方法論の3つの基本論理とそれらを統合した地質工学を発展させていくことが重要である. 具体的には, シークェンスやナチュラルアナログの論理や手法の展開, また, 地層への4次元物性組み込みの論理の展開, すなわち地盤スケールの物性を求めること, 広域かつ長期の時系列データから自然の地盤特性を評価すること, そして人工改変の自然への影響を予測するために, 自然現象の変化を, 広域かつ同時に把握するツールの開発などがある.
著者
藤田 翔平 村山 愛 林 豊彦 中村 康雄 小島 英敏 道見 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.80, pp.25-28, 2006-05-19

これまで我々は,嚥下機能を無侵襲かつ定量的に測定・評価するために,喉頭運動,嚥下音,舌骨上筋群筋電図を同時計測する嚥下機能評価システムSFN-1を開発し,本システムをビール飲み込み時の嚥下動態の定量評価にも応用してきた.本研究では,まず解析の効率化のために測定波形の自動解析システムを開発し,次にそのシステムを用いてビールの苦味の違いが嚥下動態に及ぼす影響について調べた.被検飲料は,苦味の程度が異なる2種類のビールとし,上記のシステムで連続的な飲み込み動作を測定した.実験から次の結果が得られた:1)自動解析システムにより筋電図波形から活動区間を自動抽出し,分析パラメータを得ることができた;2)比較的苦味の強いビール嚥下時には,筋活動量が多い;3)苦味の弱いピール嚥下時には,嚥下音が小さい傾向が認められた.
著者
宮崎 泰幸 河邉 真也 山下 翔大 小島 綾夏 臼井 将勝
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.763-770, 2016 (Released:2016-10-06)
参考文献数
18
被引用文献数
2

くさみを抑制するとされる郷土料理の一つ,魚の糠味噌炊きの効果を検証することを目的とし,マアジの水煮調理の際糠あるいは糠味噌を添加して,においの改善効果を調べた。糠あるいは糠味噌を加えると調理時のトリメチルアミンの生成を抑え,保蔵時の脂質酸化で生じるアルデヒドなどのカルボニル化合物の増加を抑制した。官能検査では,魚臭さの低減が糠炊きで有意となった。しかし糠味噌炊きの風味は,糠床漬け物を食した経験のない多くのパネルには嫌われた。
著者
小島 直子 コジマ ナオコ
出版者
同志社大学学習支援・教育開発センター
雑誌
同志社大学学習支援・教育開発センター年報 = Doshisha University annual report of Center for Learning Support and Faculty Development
巻号頁・発行日
no.7, pp.25-41, 2016-06-30

第一部研究論文・実践報告<研究論文>本稿では日本の大学において急速な広がりを見せている、言語の学習を主たる目的としない英語による開講講座(English as a Medium of Instruction, 以下EMI)の現状とその問題点を探った。EMI準備講座履修生への質問紙及び面接調査を行い、EMIでは英語学習動機づけと科目学習動機づけの間に正の相関がある可能性、科目に関する予備知識と英語学習動機づけがEMIにおける学習動機づけに影響している可能性が示唆された。
著者
小島 二郎
出版者
愛知工業大学
雑誌
愛知工業大学研究報告. A, 教養関係論文集 (ISSN:03870804)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.101-110, 1992-03

In 1989,new adoption of children came into effect. The purpose of the present study is to examine annotation on adoption of children by step-parent
著者
小島 弥生 Yayoi KOJIMA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.13, pp.83-96, 2013-12

大学生が学業場面で他者からほめられる際に、ほめ言葉を発する相手やほめ言葉が伝えられる状況が、ほめの受け手の心理的反応(感情・認知)にどのように影響を及ぼすかについて想定場面を用いた質問紙実験で検討した。実験参加者148名は相手(教員・同級生・後輩)と状況(直接・伝聞)を組み合わせた6つの実験条件のいずれか1つに割り当てられ、ほめ言葉の受けとめ方、相手のほめ行動の受けとめ方、場面から感じる感情(肯定的、否定的)を回答した。さらに、心理的反応を調整する個人差変数として、賞賛獲得欲求と拒否回避欲求を測定し、分析に投入した。結果は仮説の一部を支持し、直接ほめ言葉を聞かされる場合よりも第3者から相手のほめ言葉を伝え聞く場合の方が、ほめ言葉やほめ行動を肯定的に認知することが示された。ただし、教師が相手のほめの場合に状況間での認知の違いはみられず、同級生からほめられる場合に状況間での認知の違いが顕著となった。すべての条件において肯定的な感情が高く評定されていたが、賞賛獲得欲求はほめに対する肯定的感情を促進し、拒否回避欲求は肯定的感情を抑制する調整効果があることも示された。
著者
小島 基洋
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-12, 2015-12-20

村上春樹の『羊をめぐる冒険』(1984)の基底には<再・拠失>の詩学がある. 本作では, 鼠と呼ばれる主人公の死んだ親友が, 羊男, そして幽叢として姿を現し, 再び姿を消す. また, 主人公の自殺した恋人が, 「誰とでも寝る女の子」, 「耳の女の子」として現れ, 前者は交通事故で死に, 後者は突然, 主人公のもとを去る. さらに, <再・喪失>の詩学は登場人物だけなく, 物や場所にも適応される. 時計の停止が, 鼠の<再・喪失>を, 再訪した海岸から立ち去ることが, 青春の<再・喪央>を表してもいる.
著者
近藤 香里 酒井 幸弘 内藤 尚久 玉置 明野 市川 一夫 磯谷 尚輝 小島 隆司 中村 友昭 城山 敬康
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.181-190, 2010-12-29

<B>【目的】</B>回折型多焦点IOL挿入術における50歳代から80歳代までの年代別術後成績の検討。<BR><B>【対象と方法】</B>対象は平成19年1月から平成21年5月までに、両眼に回折型多焦点IOL(AMO社製ZM900 16例32眼、Alcon社製SA60D3 5例10眼)を挿入した21例42眼。年代別症例数は、50歳代10例20眼、60歳代5例10眼、70歳代3例6眼、80歳代3例6眼。遠見矯正視力、遠見矯正下近見視力の術後経過、コントラスト感度、アンケート結果を年代別に比較検討した。<BR><B>【結果】</B>50・60歳代は、術後早期より良好な視力が得られたが、70・80歳代は不安定で、80歳代では、最高視力が得られるまでに3ヶ月程度を要した。術後3ヶ月の視力・コントラスト感度は80歳代がやや劣るものの、遠見裸眼視力 0.96、遠見矯正視力 1.24、遠見矯正下近見視力0.91と良好な結果であった。70・80歳代の近用眼鏡使用率は0%であった。80歳代のハロー・グレアの訴えはなく、高い術後満足度が得られた。<BR><B>【結論】</B>70・80歳代における回折型多焦点IOLは、視力の安定には時間を要するものの、日常生活に関するアンケートでは高い満足度が得られた。症例数が少ないため、さらに症例を重ね検討する必要があるが、高齢者においても十分なインフォームド・コンセントを行った上で、回折型多焦点IOLは選択肢になりうる。
著者
山本 杏子 小島 隆矢
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.79, no.695, pp.37-44, 2014-01-30 (Released:2014-07-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

This study examines the feature of the user's behavior in a comedy theater by comparison with another kind of theater. First survey researched the user type and user's needs. Second survey researched for user's behavior before and after performance to analyze behavior of the environment around theater affects revisit of a theater. The results are as followings:1) Comedy theaters are places which young women visit with their friend, and are used for their communication.2) The ease of behavior of the environment around a comedy theater affects the revisit intention of a theater.
著者
川口 雄一 目時 光紀 小島 洋一郎
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 (ISSN:13464388)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.73-77, 2013-06-28

これまで、HTTP Live Streaming (HLS) 方式により、ディジタル動画像教材をストリーミング配信する基盤を構築した。近年、W3C によりHTML5 が公開され、これを利用する形でApple 社からHLS 方式が公開され、iOS では標準となった。動画像ストリーミングの定番はAdobe flash とyoutube の組合せから変化してきている。本稿では、先行研究で懸案であった認証方式の問題を解決する。Moodle LMS の認証を利用してHLS 配信を試みる。いくつかのOS とブラウザの組合せにより視聴実験し、結果を記す。