著者
中山 一郎 天野 文雄 上畠 力 河内 厚郎 小島 美子 小林 範子 杉藤 美代子 高木 浩志 柳田 益造
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.14, pp.93-100, 1998-02-13

本稿は、筆者らが遂行している、日本語の歌唱表現法に関する学際的研究の紹介である。日本語を洋楽的唱法で歌唱する場合、日本語としてのニュアンスや自然さが失われ、"何を言っているのか解らない"という深刻な事態を招いている。その克服には、古来、日本語の扱いに工夫を重ねて発展してきた伝統芸能(広義の邦楽)との歌唱表現法の比較が不可欠であると考えられるが、そのための方法論すら無い現状である。本研究は、共通の歌詞を、多数の人間国宝を含む、各ジャンルにおける最高クラスの演者に"歌い分け"を行わせ、得られた高品質の音声試料を音響分析することにより、邦楽と洋楽における歌唱表現法の普遍的な差異、及び同一性を科学的に明らかにすることを目的とする。本稿では、研究の具体的な方法論、予想される結果、及び研究の展望について述べる。This article is the review of the interdisciplinary study, having been performed, on a comparison of vocal expressions in Japanese traditional and western classical-style singing, using a common verse. When the Japanese language is sung in western classical-style, the natural qualities and nuances are frequently lost and the lyrics may be difficult to comprehend. In order to resolve the problems, an important first step would be to examine Japanese traditional singing, with its rich linguistic historical and cultural base, and then compare it to western-style vocalization. In the present study performed, a common verse is sung by a number of professional artists, through which the acoustic features of vocal expression in various traditional Japanese arts will be elucidated and compared to a western approach.
著者
中山 一郎 天野 文雄 上畠 力 河内 厚郎 小島 美子 小林 範子 杉藤 美代子 高木 浩志 柳田 益造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.561, pp.47-54, 1998-02-20
被引用文献数
2

本稿は、筆者らが遂行している、日本語の歌唱表現法に関する学際的研究の紹介である。日本語を洋楽的唱法で歌唱する場合、日本語としてのニュアンスや自然さが失われ、"何を言っているのか解らない"という深刻な事態を招いている。その克服には、古来、日本話の扱いに工夫を重ねて発展してきた伝統芸能(広義の邦楽)との歌唱表現法の比較が不可欠であると考えられるが、そのための方法論すら無い現状である。本研究は、共通の歌詞を、多数の人間国宝を含む、各ジャンルにおける最高クラスの演者に"歌い分け"を行わせ、得られた高品質の音声試料を音響分析することにより、邦楽と洋楽における歌唱表現法の普遍的な差異、及び同一性を科学的に明らかにすることを目的とする。本稿では、研究の具体的な方法論、予想される結果、及び研究の展望について述べる。
著者
新倉 真矢子 菅原 勉 小島 慶一 平坂 文男 井上 美穂 菅原 勉 小島 慶一 平坂 文男 井上 美穂
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は英語、ドイツ語、フランス語の「らしさ」が「リズム」に関係するとの前提から日本人学習者を初級者と中・上級者のグループに分けてコーパスを構築し、外国語発話における「リズム」の分析を行った。リズムを構成する音響パラメータのうちアクセント表示機能と境界表示機能そして韻質の特徴において日本語話者が的確に制御できずに母語の影響が大きく関与していることが結論づけられた。また、自立学習用のオンライン学習ソフトの開発を行った。
著者
姫野 完誠 小島 康寛 田野 俊一 市野 順子 橋山 智訓 江崎 朋人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.390, pp.99-102, 2010-01-18

現在インターネット上には多数のWebページが存在しており,様々なユーザが利用している.しかし,各Webページを見ているユーザは互いを認識することができないため,コミュニケーションは活発に行われず,コミュニケーションの場として有効活用されていない.本研究では,アバターを用い互いを認識させることによりコミュニケーションを活性化し,各Webページをコミュニケーションの場と捉え,ユーザから集合知を収集するシステムを提案する.
著者
小宮山 宏 中田 礼嘉 山田 興一 角張 嘉孝 松田 智 小島 紀徳
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1994

平成6年度には大規模スケールでの降雨量分布を予測するためのシミュレータの開発を行った。本シミュレータを地球レベルのグローバルモデルから与えられる境界条件、初期条件等のもとで利用し、オーストラリアでの地表条件と降雨量の関係についての検討を開始した。乾燥条件下における、樹木および毛管力作用による地下水、特に塩水の上方への移動、地上部での塩分蓄積を模擬土壌を用いて検討した。その結果、太陽光を想定した赤外線照射条件下で水分移動が促進され、表層への塩の蓄積を抑制しうることが分かった。また、砂漠に降雨をもたらすためには湿潤な空気と上昇気流が必要であり、人工山の設置する方法と、熱対流により上昇気流を起こす方法とがリストアップされ、検討を進めている。湿潤空気の発生については、人工の浅瀬による蒸発促進を考え、浅瀬での湿潤空気の生成過程を定量化するため、浅い水面上での熱収支モデルを構築し、任意の条件下で平衡水温と水の蒸発速度を推算できるようにした。さらに、砂漠緑化の水収支のうち、モデル実験により蒸散量・土壌水分・地表面蒸発の総合依存関係を調べた。植物の蒸散による水の持ち去りは土壌水分量の豊かさに比例するが、土壌がある程度乾燥すると蒸散量はむしろ抑制されることが明らかになった。平成7年度は前年度に引き続いて砂漠気象シミュレーションのプログラム開発、および要素技術のモデル化を進めるとともに緑化シナリオの策定および評価を行った。西オーストラリア砂漠内に海岸を含む600km×600kmの領域を設定し、物質収支、エネルギー収支に基づくプログラム計算を行い、大気中の水蒸気量や降雨量の変化を求めた。その結果、アルベド、表面の起伏、含水率を変化させることにより、大気中の水蒸気量や降雨量を増加させることができた。さらに砂漠緑化シナリオの具体性を高めるには、緑化により固定された炭素のコストを計算するとともに、他の対策技術と比較を行うことが必要であり、そのための評価手法および一時的評価の具体例を検討した。二酸化炭素問題は地球温暖化問題、エネルギー問題とも重なる部分が多く、これらへの副次的効果についても検討を進めた。
著者
小島 久和
出版者
明治大学人文科学研究所
雑誌
明治大学人文科学研究所紀要 (ISSN:05433894)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.75-90, 2002-03

この小論で取り扱うのはHelisenne de Crenneが1539年に発表した書簡体文学作品『私信ならびに反駁書簡』Les epistres familieres et invectives(略して『書簡集』と記す)である。この作品の作者は本名をMarguerite de Brietといい、1500年頃ピカルディー地方のAbbevilleに生まれ、Crenneの領主Philippe Fournelと結婚して息子Pierreを儲け、1552年頃に亡くなった女性である。彼女の生涯についてほとんど記録が残されていないことから、かつてはさまざまな憶測がなされて、例えば作品に散りばめられた古代ギリシア・ラテン文学からの引用や、ラテン語に基づく造語の多さゆえに、エリゼンヌ・ドゥ・クレンヌをプレイヤード派の師Jean Doratと同一視したり、さらにはFrancois Rabelaisの『第二の書 パンタグリュエル物語』に登場する変体ラテン語を操る「リムーザン学生」その人ではないかと考えられたほどである。
著者
網田 孝司 岩本 一優 一瀬 光之尉 小島 次雄
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.389-394, 1988-08-05

流れ分析系においてマルチチャンネルで連続測定された紫外吸収スペクトルの有効利用を目的にして,スペクトルのデータ圧縮の効果と,圧縮データの,高速検索,及びスペクトルの重なった多成分系の連続リアルタイム同時分析への利用の可能性とについて検討した.アダマール変換による圧縮を行い256点の原スペクトルデータに対して圧縮比0.08〜0.16程度が最良の識別確度を与えることを示すと共に,達成した検索速度により,リアルタイム検索の可能性について検討した.又圧縮データの,多成分同時分析への利用については最小二乗法による方法を示すと共に,この方法で0.08s間隔でのリアルタイム出力が可能になることを明らかにした.
著者
青山 栄一 廣垣 俊樹 上西 康弘 高 在学 小島 淳
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
関西支部講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2000, no.75, pp."4-31"-"4-32", 2000-03-16

In recent year, spur gears have come to be used widely as transmisson gears of motorcars. Therefore, it is one of the most important subjects in gear fields to develop gears which are effective for vibration and noise of transmission. However, there have been very few studies on meshing transmission error of gear used inverse problems, and many problems still remain to be solved. In this paper, taking up the research for estimation of meshing transmission error of the spur gear used the root stress, the auther proposed a technique for estimation of meshing transmission error in meshing of spur gear. From those estimated results, it is found that the calculated value of MTE has the simillar tendency to experimental result.
著者
鈴木 弘孝 小島 隆矢 嶋田 俊平 野島 義照 田代 順孝
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.247-259, 2005-11-30
被引用文献数
7 9

本研究は, 近年ヒートアイランド対策や地球温暖化防止対策への対応等環境負荷の少ない都市環境を形成していくための有力な手法として着目されている壁面緑化について, 現在屋上の緑化や開発利用に取り組んでいる企業とその技術担当者へのアンケート調査結果に基づき, 壁面緑化の市場性, 普及の可能性等について民間企業と技術担当者の意識を把握し, 技術的課題への認識を整理することにより, 今後都市部において壁面緑化を推進していく上での技術開発の方向, 研究開発分野において重点的に取り組むべき対象と範囲を検討するための基礎的資料を得ることを目的としている。調査の結果, 民間企業等の意識として壁面緑化の今後の市場性拡大への期待が高いこと, 技術担当者の意識として壁面緑化に関する技術開発を推進していく上で, 緑化による温熱環境改善効果の定量化, 建設コストの縮減, 維持管理の簡素・効率化等を課題と認識していること, また壁面緑化の6種類のタイプについて対応分析を行った結果, 適用場所や普及可能性に認識の差異のあることが明らかとなった。
著者
和泉 宏幸 小島 勝雄 下山 武彦 赤松 秀樹
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.503-507, 2003
被引用文献数
4

気管・気管支狭窄に対するステント留置による拡張術は標準的な治療となっており,Dumon stentは代表的なシリコンステントである.Dumon stentは通常硬性鏡などの内部に充填して挿入されるが,永久的気管孔を有する症例では硬性鏡は使用できず,挿入法を工夫する必要があった.症例.下咽頭癌術後で永久的気管孔を有する気道狭窄2症例に対してDumon stentを直接的に気管内に挿入・留置した.静脈麻酔と吸入麻酔を併用して自発呼吸を出しながらステントの挿入を行った.ステントは気管の湾曲に沿ったケリー鉗子にて折りたたんで直接把持し,透視下に狭窄部位に誘導した.両症例とも安全かつ迅速にステントの留置が行えた.術後,呼吸困難などの気道病変による症状は著明に改善した.結論.永久的気管孔を有する症例では,湾曲のあるケリー鉗子でステントを把持して直接挿入することで容易にステントを留置できた.折りたたんだステントをケリー鉗子で把持することがこの術式の要と考えられた.
著者
鳥谷 めぐみ 矢野 理香 菊地 美香 小島 悦子 菅原 邦子
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 (ISSN:13464388)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.13-23, 2002-03-31
被引用文献数
1

The purpose of this study was to identify the types of touch and to describe the meaning of touch in the context. The subjects were 3 cancer patients and 10 nurses in the palliative care unit. The data was collected from the participant observation of patients and nurse in the care unit, semi-structured interview to the nurse about the scene, which a touch arose in. These data were analyzed by the qualitative and inductive approach. The findings were as follows. 1. The touch was classified by eight types; 'the touch which aimed at the working', 'the touch for the confirmation', 'the touch to give a comfort', 'The touch to keep safety', 'the touch to support patient's independence', 'the touch of sign', 'the touch reaches to feeling', 'the touch, instead of the word'. 2. From this study, interview method was important to interpret the meaning of
著者
小島 一夫
出版者
つくば国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13412078)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.73-85, 2008

本研究は,エリクソン(1959)の「アイデンティティ形成は,青年期に始まり終わると言うものではなく(中略)その大半が一生涯を通じて続く無意識的な発達プロセスである」の理論に基づいた生涯発達心理学の視点に立って,ライフサイクルの中で現役を引退し,キャリアトランジションすることが,あるアスリートにどのような意味を持ち,そして,どのような引退後の適応過程を辿ったかを元アスリートへのインタビューをもとにアイデンティティ再体制化の過程について豊田・中込(1996),豊田(1999)の仮説の検証と考察を(1)競技引退に伴うアイデンティティ再体制化のプロセス,(2)社会化予期と時間的展望について,(3)競技引退がその後の職業期危機に与えた影響,という3点に絞って行った。そこから以下の4つの点が推察された。(1)競技引退に伴うアイデンティティ再体制化のプロセスにおいては5つの過程がある。(2)社会化予期と時間的展望については事例により異なる。(3)競技引退がその後の職業期危機に与えた影響については,競技期間中におけるアスリートのアイデンティティ確立の心理・社会的背景(性差,投入の個人差,種目,競技実績,競技の知名度等)とトランジションに伴う社会化予期・時間的展望が密接に関係している。(4)アスリートのキャリアトラジションはアイデンティティを形成する過程の特殊性と相まって,その難しさがある。