著者
種村 剛 小林 泰名
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 : 関東学院大学経済学部総合学術論叢 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.53, pp.61-104, 2012-07

札幌のインディーズ・ミュージシャンがおこなった、USTREAMを用いたライブイベント、UST ROOM FESを事例として、ミュージシャンとライブ配信サービスの関係について考察した。本稿の中心となる問いとして「なぜ札幌のインディーズ・ミュージシャン達は、UST ROOM FESを企画し実践したのだろうか」を設定した。問いに対する仮説として、UST ROOM FESを、地方から全国への音楽活動をプロモーションする手段として考えているのではないか(1)、UST ROOM FESのメリットを、楽曲のダウンロード販売につながる点にあると、考えているのではないか(2)、の二つを提示した。仮説の検証のために、フェスを企画した、札幌のミュージシャン3名にインタビューをおこなった。インタビューの結果、1)ライブ配信サービスを、全国の人びと、地域の人びと、地元のミュージシャンに対する音楽活動のプロモーションとして用いていること、2)実際に観客にライブ会場に足をはこんでもらい、CDを販売したいと考えていること、を明らかにした。最後に、以上の考察をふまえ、地域レーベルの可能性について検討した。
著者
井上 寛司 山岸 常人 小林 准士 平 雅行 久留島 典子 関根 俊一 淺湫 毅 松浦 清 大橋 泰夫 小椋 純一 和田 嘉宥 的野 克之 田中 哲雄 松本 岩雄 鳥谷 芳雄 花谷 浩 山内 靖喜 野坂 俊之 石原 聡
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

天台宗の古刹である浮浪山鰐淵寺は、中世出雲国一宮出雲大社の本寺として創建され、極めて重要な役割を果たした。本研究は、鰐淵寺に対する初めての本格的な総合学術調査であり、鰐淵寺の基本骨格や特徴、あるいは歴史的性格などについて、多面的な考察を加え、その全容解明を進めた。
著者
安井 仁 清水 正啓 山田 明 前田 知行 小林 義典
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.148-152, 1991-01-01
被引用文献数
14

過去18年間に上行結腸癌, 早期胃癌, 直腸癌および残胃癌の消化管領域に限局した異時性4重複癌が発生し, そのおのおのに右半結腸切除術, 幽門側胃切除術, 腹会陰式直腸切断および残胃全摘除術の根治手術を施行しえた75歳, 男性の症例を経験した. 患者はおのおのの手術後, 再発なく社会復帰を果たすことができた. 本症例は当院において長期に経過観察する過程で比較的早期に発見され, すべて根治手術が可能であった. 重複癌発生の特殊要因は認めなかった. 4・5重複癌は臨床例, 剖検例をあわせて本邦で107例報告されているが, このうち消化器に限局したものは15例である. 本邦における剖検重複癌の統計的検討を行った. 重複癌の悪性腫瘍に占める頻度は10年間で倍増しており, かつ4重複以上の高次重複癌が増加する傾向があるので, 術前・術後の他臓器原発癌に対する配慮が重要である.
著者
安東 俊明 恩田 昌彦 森山 雄吉 田中 宣威 京野 昭二 小林 匡
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.889-893, 1990-04-01
被引用文献数
88

誤嚥魚骨による消化管穿孔・穿通は比較的まれであり,さらにその診断は非常に困難とされている.最近,誤嚥魚骨による小腸穿孔2例,および肛門穿通1例を経験し,2例を術前に診断しえた.小腸穿孔の1例は急性虫垂炎穿孔の診断にて開腹したが,他1例は術前腹部CTにて魚骨を確認した.また肛門穿通例は直腸指診にて魚骨を確認した.本邦報告例は自験例3例を加え240例であり,穿孔・穿通部位は肛門が最も多く,次いで回腸,横行結腸,S状結腸,食道の順で,胃,十二指腸には少なかった.ほとんどの例で何らかの外科的処置がなされているが,術前に診断されている例は少なかった.特に腹腔内消化管穿孔・穿通の術前診断は極めて困難であるが,自験例を含め腹部CTで診断された報告があり有用な検査と考えられた.ただし報告例は炎症性肉芽腫などの慢性炎症に限られており,自験例のごとく汎発性腹膜炎症例を術前に診断しえた報告例はなかった.
著者
小林 隆児
出版者
東海大学
雑誌
東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.63-75, 1998

自閉症の人々にみられる対人関係障害を愛着形成の障害として捉え、どうすれば彼らの愛着行動が促進され、他者との間でコミュニケーションが発達していくかを論じた。最初に彼らの愛着形成障害の原因として接近回避動因的葛藤が存在することを、具体的に強度行動障害を合併した自閉症の成人例2例を提示して説明した。ついで彼らの接近回避動因的葛藤を緩和するために、彼らの行動の背後に存在する動因(意図)を感じ取ることの重要性を指摘した。そうした接近によって彼らの愛着行動を引き出すことが可能であること、それを契機に情動的コミュニケーションが深化していくことを示した。情動的コミュニケーションの進展においては、まずもって療育者の積極的関与、すなわち療育者の側からコミュニケーションの枠組みを作っていくことが大切であること、それによって次第に彼らも療育者の意図を察知するようになり、次第にやりとり構造というコミュニケーションの形態を示していくことを論じた。
著者
明田川 正人 高田 孝次 野呂 昌良 小林 慶子 山田 和敏 竹島 信人 李 鍾斗 中山 義則
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.121-125, 1999-01-05
被引用文献数
1 2

This paper describes a suppression of the thermal drift error and an extension of a measurement range to micrometers in the comparative length measurement using a regular crystalline lattice as a reference scale and a dual tunneling unit scanning microscope (DTU-STM) as a detector. A thermo-stabilized cell, in which the DTU-STM can be set, was developed to reduce the temperature fluctuation to less than 0.05 K. In order to assess the thermo-stabilized cell, direct length comparison between the certified scanning electron microscope (SEM) standard grating with a average pitch of 240 nm and highly oriented pyrolytic graphite (HOPG) Iattice spacing, which is 0.246 nm, was performed using the DTU-STM, whose main body is made from Super-Invar. Images of the grating and the HOPG were simultaneously obtained in the range of 1um. To shorten the measurement time and thus reduce the thermal drift error, the lengths of I um for the two samples were measured along the fast scanning axis. A new ultra-low thermally drifted DTU-STM, whose body is fabricated from ultra-low linear expansion glass, was also developed to extend a measurement range to micrometers in the comparative length measurement. Long atomic image of HOPG crystal over a 5-um-long region along the fast scanning axis was obtained using the new DTU-STM in the thermo-stabilized cell. The experimental results show the possibility of the comparative length measurement in micrometers range with sub-nanometer resolution using the HOPG crystal and the DTU-STMs.
著者
小林弘幸
雑誌
小児外科
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.1239-1241, 2004
被引用文献数
2
著者
小林 俊恵 岡部 多加志
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 = Journal of the Society of Biomechanisms (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.77-84, 2006-05-01
参考文献数
13

昨今,福祉や医療の現場に,治療あるいはリハビリテーションといった様々な目的で音楽療法が導入されている.それは音楽そのものの持つ特性が,人間を身体的・精神的・社会的に健康な方向へと導き整える働きを持っているからである.当院では進行性の神経難病であるパーキンソン患者に音楽療法を実施しその効果を科学的に証明する事ができたのでここに報告する.なお,このプロジェクトは患者の人的環境すべてがチームとなって生涯継続するものである.
著者
近藤 照彦 武田 淳史 武田 信彬 下村 洋之助 谷田貝 光克 小林 功 関 耕二 福村 幸仁 村上 正巳 山口 貴史 冨岡 淳
出版者
群馬パース大学
雑誌
群馬パース大学紀要 (ISSN:18802923)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.435-442, 2007-03
被引用文献数
1

我々は、川場村において「癒しと健康をもたらす」とされる、森林浴の生理学的効果を検討した。被験者は、川場村在住の19名の高齢者(男性11名、女性8名)、年齢は平均74歳(男性74±3.5歳、女性74.9±2.9歳)。8月17日の1時間森林集団散策時の天候は曇り、気温30℃から32℃、湿度58%から60%、風速0m/secから2m/sec、コントロールは、同じメンバーによる8月21日の田園地域1時間の集団散策とし、非森林浴時の天候は、森林浴時とほぼ同様であった。森林揮発性物質(フィトンチッド)、気分プローフィール(POMS)、血圧、脈拍数、空腹時の血清からNK活性細胞、カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン)、コルチゾール、アディポネクチンを森林浴・非森林浴前後に測定した。川場村における森林浴調査地から森林揮発性物質が検出され、全員で、森林浴前後においてPOMSの総得点、血圧、コルチゾールおよびアドレナリンが有意に低下した。被験者中の3例に森林浴でNK細胞活性の増加を認め、女性1例のみ森林浴および非森林浴の両者でNK細胞活性の増加を認めた。川場村における森林浴研究結果から、POMS、カテコールアミンおよびコルチゾールの血中濃度低下は、森林浴が癒しと健康をもたらす効果をもつ可能性を示唆する所見と考えられた。
著者
瀬戸嶋 政勝 小林 靖幸 田中 宏明 栗林 善昭 井上 尚美
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.229-233, 1988-10-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
6

Since ankylosing spondylitis (A. S.) tends to be milder and less progressive in women that in men, there are great difficulties in early diagnosing A. S. in female patients. We report a case of A. S. in a woman. A 22-year-old woman with a 6-year history of A. S. was admitted to our hospital in Mar., 1987. The initial sign was gait disturbance due to severe left hip joint pain. Laboratory findings included an almost normal complete blood count, blood chemistry and urinalysis. The ESR at that time was 51mm/h, CRP was 2 puls, rheumatoid factor was negative and HLA B-27 antigen was detected.The plain roentgenogram revealed a narrowing of the joint space and an ankylosing change in the bilateral hip and sacroiliac joints. Routine X-ray examination of the spine showed an almost normal view. An open biopsy of the hip joint showed histopathologically nonspecific chronic inflammatory findings. A Tc-99m scintigram on Feb. 9, 1982 showed an increased activity area in the bilateral hips and sternoclavicular joints, in the sacroiliac joints especially in the iliac sides, and in a part of the cervical spine. This activity began in the early stage of A. S. However, a plain roentgenogram of these joints at that time showed normal findings.If history, clinical and laboratory findings lead to a suspicion of A. S., and there is little significant change by roentgenographic studies, the whole body scintigraphy is useful for the early diagnosis of A. S. in female patients.
著者
吉村 忍 小林 敬 秋葉 博 鈴木 智 荻野 正雄
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.203-221, 2012 (Released:2012-08-15)
参考文献数
17
被引用文献数
3 7

In this paper, we present the three-dimensional finite element seismic response analysis of the full-scale boiling water reactor BWR5 at the Kashiwazaki-Kariwa Nuclear Power Plant subjected to the Niigata-ken Chuetsu-Oki (NCO) earthquake that occurred on 16th July 2007. During the earthquake, the automatic shutdown of the reactors was performed successfully. Although the monitored seismic acceleration significantly exceeded the design level, it was found through in-depth investigation that there was no significant damage of the reactor cores or other important systems, structures and components (SSCs). In the seismic design commonly used in Japan, a lumped mass model is employed to evaluate the seismic response of SSCs. Although the lumped mass model has worked well so far for a seismic proof design, more precise methods should be developed to understand response behaviors visually. In the present study, we propose the three-dimensional finite element seismic response analysis of the full-scale and precise BWR model in order to directly visualize the dynamic behaviors of this model. Through the comparison of the analysis results, we discuss the characteristics of both models. The stress values were also found to be generally under the design value.
著者
枝川 明敬 山本 眞一 小林 信一 加藤 毅 吉川 裕美子 柿沼 澄男
出版者
学術情報センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

学術研究の総合的推進のための重要な柱の1つである若手研究者の養成に関しては平成8年7月の科学技術基本計画における「ポストドクター等一万人支援計画」の閣議決定以降、着実に各省庁で施策の充実が図られており、平成11年度には1万人に達した。このため、この計画による若手研究者の養成の実績やその後の活動状況を検証し、大学院の拡充計画をも視野に入れた今後の長期的展望に立った量的・質的側面の両面を考慮した新たな若手研究者の育成・確保の在り方について研究を行った。本年度においては、昨年度に引き続き、以下の項目について調査・分析を行った。1)日本学術振興会特別研究員制度等の実態と効果に関する調査・分析2)将来の研究者需要に関する調査・分析3)全国の大学研究者に対するポスドクの研究評価及びポスドクの研究環境に関する調査・分析より具体的には、1)については対象者数5,500余社の特別研究員に対し、現在の研究環境を始め、当該人の処遇や勤務先・職場・キャリアパスについてはアンケート調査を行った結果をもとに、その更なる分析を行った結果現在の研究者としてのキャリアパスに少なからず特別研究員の経歴が役立っていることが知れた。一方、2)については、博士課程修了者等を雇用することが予想される企業に2,500余社に対しアンケート調査を行った結果を元にその更なる分析を行った。その結果、以前行った調査(「大学院の量的整備に関する調査研究」1,998)において予想された研究者需給見込みを大幅に変更する必要はなく、その後の経済状況を勘案しても一部に需給バランスが崩れることがあるもののおおよそ釣り合っていることが知れた。また、3)については、今年度初めて調査を行い、大学研究者から5,000名を抽出し、ポスドクへの評価やポスドクを巡る研究環境を聞いた結果、研究環境はかなり恵まれているものの、本人が評価している程には、指導研究者のポスドクへの評価は高くなかったが、概ね、助手クラスの研究活動の同等との評価が大勢であった。
著者
新妻 宏文 石井 元康 小島 敏明 菊池 公美子 鈴木 千晶 小林 智夫 五十嵐 勇彦 真野 浩 上野 義之 小林 光樹 下瀬川 徹 豊田 隆謙
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.346-349, 1999-06-25
被引用文献数
8 6

献血時 (32歳時) にHBVキャリアではないと確認されている症例 (33歳) がHBVの急性感染後にキャリア化した. この症例のウイルスをシークエンスし分子系統樹解析したところgenotype Aであった. 最近, 成人感染後にキャリア化した本邦の1例の検討でgenotypeがAであったと報告された. さらに当科外来で唯一の夫婦ともHBVキャリアの症例では, 夫婦ともにgenotype Aが検出された. 当科外来患者 (宮城県が中心, n=222) のgenotypeの検討ではgenotype Aは3.6%しか存在しなかった. 以上より, genotype Aが急性感染すると成人でもキャリア化することがあると考えられた. 欧米では成人感染後のキャリア化が多く, 本邦では成人感染後のキャリア化は少ないとされている. Genotype Aが欧米で多く本邦で少ないことが, その原因であると考えられた.